Clinical snapshot

ベタキソロール塩酸塩錠10mg「NIG」

ベタキソロール塩酸塩錠

添付文書改訂 2026年02月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[アシドーシスに基づく心収縮力の抑制を増強させるおそれがある。]

  3. 2.3高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(II、III度)、洞房ブロックのある患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  4. 2.4心原性ショックのある患者[心機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]

  5. 2.5肺高血圧による右心不全のある患者[心機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]

  6. 2.6うっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]

  7. 2.7*未治療の褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者

  8. 2.8妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • 本態性高血圧症(軽症~中等症)

  • 腎実質性高血圧症

  • 狭心症

用法・用量

  • 〈本態性高血圧症(軽症~中等症)〉

通常、成人にはベタキソロール塩酸塩として5~10mgを1日1回経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減できるが、最高用量は1日1回20mgまでとする。

  • 〈腎実質性高血圧症〉

通常、成人にはベタキソロール塩酸塩として5mgを1日1回経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減できるが、最高用量は1日1回10mgまでとする。

  • 〈狭心症〉

通常、成人にはベタキソロール塩酸塩として10mgを1日1回経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減できるが、最高用量は1日1回20mgまでとする。

使用上の注意

  1. 8.1投与が長期にわたる場合は、心機能検査(脈拍・血圧・心電図・X線等)を定期的に行うこと。徐脈又は低血圧の症状があらわれた場合には、減量又は中止すること。 また、必要に応じてアトロピンを使用すること。 なお、肝機能、腎機能、血液像等に注意すること。

  2. 8.2類似化合物(プロプラノロール塩酸塩)使用中の狭心症の患者で急に投与を中止したとき、症状が悪化したり、心筋梗塞を起こした症例が報告されているので、休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないよう注意すること。狭心症以外の適用、例えば高血圧で投与する場合でも、特に高齢者においては同様の注意をすること。

  3. 8.3手術前48時間は投与しないことが望ましい。

  4. 8.4降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者

症状を惹起するおそれがある。

  1. 9.1.2うっ血性心不全のおそれのある患者

観察を十分に行い、ジギタリス剤を併用するなど慎重に投与すること。心機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.3甲状腺中毒症の患者

休薬を要する場合には徐々に減量し、観察を十分に行うこと。急に投与を中止すると、症状を悪化させることがある。また、症状(頻脈等)をマスクするおそれがある。

  1. 9.1.4特発性低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、長期間絶食状態の患者

血糖値に注意すること。低血糖の前駆症状である頻脈等の交感神経系反応をマスクしやすい。

  1. 9.1.5レイノー症候群、間欠性跛行症等の末梢循環障害のある患者

末梢循環障害が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.6徐脈、房室ブロック(I度)のある患者

心刺激伝導系を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.7*褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者

本剤の単独投与により急激に血圧が上昇するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎機能障害のある患者

本剤の代謝又は排泄が遅延するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝機能障害のある患者

本剤の代謝又は排泄が遅延するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で、胚・胎児の死亡の増加が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

低用量(例えば高血圧症では2.5mg、狭心症では5mg)から投与を開始するなど、経過を十分観察しながら慎重に投与することが望ましい。休薬を要する場合は、徐々に減量すること。一般的に高齢者では、過度の降圧は好ましくないとされている。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 交感神経抑制剤• レセルピン等 過剰の交感神経抑制を来すことがあるので、減量するなど注意する。 相加的に作用(交感神経抑制作用)を増強させる。
• 血糖降下剤• インスリン
• トルブタミド
• アセトヘキサミド等
血糖降下作用を増強することがある。また、低血糖状態(頻脈、発汗等)をマスクすることがあるので、血糖値に注意する。 低血糖に伴う交感神経系の症状をマスクしたり、β遮断作用により低血糖の回復を遅らせる。
• カルシウム拮抗剤• ベラパミル塩酸塩
• ジルチアゼム塩酸塩等
徐脈、房室ブロック等の伝導障害、うっ血性心不全があらわれることがある。併用する場合には、用量に注意する。 相加的に作用(陰性変力作用、心刺激伝導抑制作用、降圧作用)を増強させる。
• クロニジン クロニジン投与中止後のリバウンド現象を増強するおそれがある。
β遮断剤を先に中止し、クロニジンを徐々に減量する。
クロニジンはα2受容体に選択的に作用し、ノルアドレナリンの遊離を抑制しているため、急激な中止によって、血中カテコールアミンの上昇が起こる。この時β遮断剤を併用すると、上昇したカテコールアミンの作用のうち、β受容体刺激作用が遮断され、α受容体刺激作用だけが残り、急激な血圧上昇が起こる。
• クラスI抗不整脈剤• ジソピラミド
• プロカインアミド塩酸塩
• アジマリン等
• アミオダロン塩酸塩
過度の心機能抑制があらわれることがあるので、減量するなど注意する。 相加的に作用(心機能抑制作用)を増強させる。
• 麻酔剤• エーテル等 過剰の交感神経抑制を来すおそれがあるので、減量するなど注意する。 相加的に作用(交感神経抑制作用)を増強させる。
• ジギタリス製剤 心刺激伝導障害(徐脈、房室ブロック等)があらわれることがあるので、心機能に注意する。 相加的に作用(心刺激伝導抑制作用)を増強させる。
• 非ステロイド性抗炎症剤• インドメタシン等 本剤の降圧作用が減弱することがある。 非ステロイド性抗炎症剤は、血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成を阻害し、血圧を上昇させることがある。
• 降圧作用を有する他の薬剤 降圧作用を増強することがあるので、減量するなど適切な処置を行うこと。 相加的に降圧作用を増強させる。
• レミフェンタニル塩酸塩 徐脈、血圧低下等の作用が増強することがあるので、減量するなど注意すること。 併用により作用(心機能抑制作用)を増強させる。
• フィンゴリモド塩酸塩 フィンゴリモド塩酸塩の投与開始時に本剤を併用すると重度の徐脈や心ブロックが認められることがある。 共に徐脈や心ブロックを引き起こすおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P 頻度不明
ALT 頻度不明
BUN上昇 頻度不明
CK上昇 頻度不明
HDL-コレステロール低下 頻度不明
LDH上昇等) 頻度不明
γ-GTP 頻度不明
インポテンス 頻度不明
うつ状態 頻度不明
コレステロール上昇 頻度不明
しびれ感 1〜5%未満
ふらふら感 1〜5%未満
ぼんやり 1〜5%未満
めまい 1〜5%未満
レイノー現象 頻度不明
下痢 1〜5%未満
不眠 1〜5%未満
中性脂肪上昇 頻度不明
低血圧 頻度不明
倦怠感 1〜5%未満
動悸 1%未満
口渇 1〜5%未満
呼吸困難 1〜5%未満
喘息症状 頻度不明
嘔吐 1%未満
尿酸値上昇 頻度不明
幻覚 1%未満
徐脈 1〜5%未満
心電図異常 頻度不明
悪夢 1%未満
悪心 1〜5%未満
房室ブロック 頻度不明
洞停止 頻度不明
浮腫 1%未満
涙液分泌減少 頻度不明
熱感 1%未満
疲労感 1〜5%未満
瘙痒 1%未満
発汗 1%未満
発疹 頻度不明
目のちらつき 1%未満
眠気 1〜5%未満
耳鳴 1%未満
肝機能障害(AST 頻度不明
胃痛 1%未満
胃部不快感 1〜5%未満
胸痛 1%未満
脱力感 頻度不明
蕁麻疹 1%未満
蟻走感 1%未満
霧視(感) 頻度不明
頭痛 1〜5%未満
高血糖 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1β受容体遮断作用

モルモット摘出心房、麻酔ラットを用いた実験において、イソプロテレノールの陽性変時あるいは変力作用に対し、拮抗作用を示した9)。

  1. 18.1.2β1受容体選択性

  2. (1)モルモットの摘出心房標本及び摘出気管標本を用いた実験において、β1受容体選択性(β1/β2比)は53~55であり、アテノロールの20~32に比べ高かった9)。

  3. (2)ラット大脳皮質のβ受容体に対する結合実験において、β1受容体に対する親和性はβ2受容体に比し170倍強く、アテノロールの29倍、メトプロロール酒石酸塩の27倍に比べ、高い選択性が認められた10)。

  4. 18.1.3血管拡張作用

  5. (1)本態性高血圧症患者に1日1回経口投与により総末梢血管抵抗の減少傾向を認めた11)。

  6. (2)ラット摘出大動脈標本を用いた実験において、K+及びCa++による収縮作用を抑制した12)。

  7. (3)ラット、イヌを用いた実験で、直接的な末梢血管拡張作用が認められ12),13)、総末梢血管抵抗を減少させた14),15)。

18.2 降圧作用

  1. 18.2.1本態性高血圧症患者へ1日1回5~20mg経口投与により、血圧日内リズムに影響を与えることなく、24時間にわたり安定した降圧効果を示した16)。

  2. 18.2.2各種実験的高血圧動物(高血圧自然発症ラット、DOCA-食塩高血圧ラット)において、有意な降圧作用を示し、3週間の連続投与によっても耐薬性を生じなかった17)。

  3. 18.2.3腎性高血圧のラット及びイヌにおいて、有意な降圧作用を示した13),17)。

18.3 抗狭心症作用

  1. 18.3.1労作性あるいは労作兼安静狭心症患者に1日1回10mg反復経口投与し、トレッドミル運動負荷試験を行った結果、Rate Pressure Product(RPP)を減少させ、最大運動時間、ST下降(1mm)に至るまでの運動時間に有意な延長が認められた18)。

  2. 18.3.2麻酔イヌにおいて静脈内投与により心筋酸素消費量を減少させた14)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人、本態性高血圧症患者及び腎機能低下を伴う高血圧症患者に5mgを1回経口投与後の血漿中未変化体の薬物動態パラメータを下表に示す1),2),3)。

パラメータ 健康成人
(n=6)
本態性高血圧症患者
(n=5)
腎機能障害
高血圧症患者
(n=6)
Cmax(ng/mL) 11.4±2.2 9.8±0.8 17.0±6.8
tmax(h) 5.0±1.9 3.6±0.9 5.7±1.5
t1/2(h) 12.9±4.7 17.2±7.5 18.8±4.2
AUC0→∞(ng・h/mL) 232±45 267±118 482±248

(Mean±S.D.)

  1. 16.1.2反復投与

腎機能低下を伴う高血圧症患者に5mgを7日間反復経口投与したとき、4日目にほぼ定常状態に達した4)。

  1. 16.1.3生物学的同等性試験
  • 〈ベタキソロール塩酸塩錠5mg「NIG」〉
  1. (1)ベタキソロール塩酸塩錠5mg「NIG」とケルロング錠5mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ2錠(ベタキソロール塩酸塩として10mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された5)。
投与量
(mg)
AUC0-48
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
ベタキソロール塩酸塩錠5mg「NIG」 10 548.6±88.3 22.5±2.1 5.7±1.5 19.1±2.8
ケルロング錠5mg 10 534.9±84.1 22.5±2.8 5.3±1.0 18.7±2.5

(平均±標準偏差、n=6)

  • 血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

  • 〈ベタキソロール塩酸塩錠10mg「NIG」〉

  1. (2)ベタキソロール塩酸塩錠10mg「NIG」とケルロング錠10mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ベタキソロール塩酸塩として10mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された5)。
投与量
(mg)
AUC0-48
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
ベタキソロール塩酸塩錠10mg「NIG」 10 477.9±55.5 20.0±1.3 5.7±0.8 19.1±2.8
ケルロング錠10mg 10 480.2±58.7 20.4±1.7 5.7±0.8 18.9±2.4

(平均±標準偏差、n=6)

  • 血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

  1. 16.2.1バイオアベイラビリティ

健康成人に150μg/kgを経口及び静脈内投与注1)し、AUC0→48hより求めたバイオアベイラビリティは89%であった6)(外国人データ)。

  1. 16.2.2食事の影響

健康成人に20mgを食前あるいは朝食30分後に経口投与したときでは、最高濃度及び消失半減期に有意な差は認められず、食事の影響はなかった7)(外国人データ)。

16.3 分布

  1. 16.3.1乳汁中移行

14C-ベタキソロール塩酸塩を哺乳ラットに5mg/kg経口投与したときの乳汁中放射能濃度は投与後3時間で最高濃度に達した後、血液中放射能濃度に比べ緩徐に低下した。投与後24時間における乳汁中放射能濃度(0.15μg/g)は血液中放射能濃度の約5倍であった8)。

16.4 代謝

健康成人での主な代謝経路はイソプロピルアミノプロポキシ基のN-脱アルキル化と、シクロプロピルメトキシエチル基のO-脱アルキル化及びこれに続く酸化であった3)。

16.5 排泄

  1. 16.5.1健康成人に10mg及び20mgを経口投与したとき、72時間後までの尿中排泄率は投与量の55~58%で、そのうち未変化体は26~27%であった1),3)。

  2. 16.5.2本態性高血圧症患者に5mgを経口投与したとき、48時間後までの尿中未変化体排泄率は投与量の約16%であった2)。

注1)成人における本剤の承認された用量は5~20mgを1日1回経口投与である。