気道過敏性検査
【警告】
-
1.1本剤を使用する際は、呼吸器疾患や喘息の診断・治療に十分な経験のある医師の監督のもとで投与すること。
-
1.2重度の気管支収縮及び呼吸機能低下を生じるおそれがあるので、使用に際して以下の点に留意すること。
-
急性の呼吸困難に対応するための緊急用の備品及び治療薬を使用可能な状態で準備すること。必要に応じ、検査前に血管確保も検討すること。
-
重度の気管支収縮及び呼吸困難が生じた場合は、直ちに速効型吸入用気管支拡張薬(吸入β2刺激薬)の投与を行い、必要に応じ、その他の呼吸困難に対する緊急処置も行うこと。なお、β遮断薬を使用している患者では、吸入β2刺激薬による処置に反応しない可能性があることに留意すること。
-
本剤による検査終了後は、原則として吸入β2刺激薬を投与し、速やかに1秒量(FEV1)を回復させること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1本剤に対して過敏症の既往歴のある患者
-
2.2気流制限が高度の場合(対標準1秒量(%FEV1)が50%未満又は1秒量が1L未満)及び明らかな呼吸困難や喘鳴の症状がある患者[重度の気管支収縮を発現する可能性がある。]
-
2.33ヵ月以内に心筋梗塞又は脳梗塞を発症した患者、コントロール不良の高血圧患者、脳動脈瘤又は大動脈瘤がある患者[心血管イベントを誘発する可能性がある。]
-
2.4同日に気道過敏性検査を実施した患者[本剤の作用が増強される可能性がある。]
効能・効果
用法・用量
メタコリン塩化物100mg(1バイアル)に日局生理食塩液を加え溶解及び希釈し、通常0.039~25mg/mLの範囲の適切な希釈系列の希釈液を調製する。成人及び小児ともに、調製した希釈系列を低濃度よりネブライザーを用いて吸入し、気道過敏性検査を実施する。
使用上の注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1甲状腺機能亢進症の患者
心血管系に作用して不整脈を起こすおそれがある。
- 9.1.2徐脈を伴う心血管系疾患のある患者
心拍数、心拍出量の減少により、症状が悪化するおそれがある。
- 9.1.3消化性潰瘍疾患のある患者
消化管運動の促進及び胃酸分泌作用により、症状が悪化するおそれがある。
- 9.1.4アジソン病の患者
副腎皮質機能低下による症状が悪化するおそれがある。
- 9.1.5消化管又は尿路閉塞のある患者
消化管又は排尿筋を収縮、緊張させ、閉塞状態が悪化するおそれがある。
- 9.1.6てんかんの患者
痙攣を起こし、症状が悪化するおそれがある。
- 9.1.7パーキンソニズムの患者
ドパミン作動性神経系とコリン作動性神経系に不均衡を生じ、症状が悪化するおそれがある。
- 9.1.8迷走神経亢進状態の患者
症状が悪化するおそれがある。
- 9.1.9コリンエステラーゼ阻害薬を常用する重症筋無力症患者
症状が悪化するおそれがある。
- 9.1.10気流制限が中等度の場合(対標準1秒量(%FEV1)が70%未満又は1秒量が1.5L未満)の患者
重度の気管支収縮を発現する可能性がある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児又は6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
副作用発現に留意し、経過を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に呼吸機能が低下している。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| β遮断薬 ビソプロロール アテノロール メトプロロール等 |
本剤による気管支収縮が増強又は持続する可能性がある。 | 双方の気管支平滑筋収縮作用が増強されるおそれがある。 |
| コリン作動薬 アセチルコリン塩化物等 コリンエステラーゼ阻害薬 ネオスチグミン臭化物等 |
本剤のコリン作動性作用に基づく副作用を増強させるおそれがある。 | 双方のコリン作動性作用が増強されるおそれがある。 |
| β2刺激薬、抗コリン薬及びテオフィリンなどの抗喘息薬及び抗アレルギー薬、パパベリンを含む製剤、カフェインを含む飲食物 | 本剤による検査において、正確な検査結果が得られない可能性がある。 | 気管支拡張作用があり、本剤の作用と拮抗するおそれがある。 |
| 吸入ステロイド薬 フルチカゾンプロピオン酸エステル ブデソニド フルチカゾンフランカルボン酸エステル等 |
本剤による検査において、正確な検査結果が得られない可能性がある。 | 抗炎症作用があり、検査結果に影響するおそれがある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| 呼吸音異常 | 1〜5%未満 |
| 咳嗽(12.5%) | 5%以上 |
| 喘鳴 | 1〜5%未満 |
| 息詰まり感 | 1〜5%未満 |
| 酸素飽和度低下 | 1〜5%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 測定法
気管支平滑筋の収縮及び気管支分泌物の増加は、副交感神経(コリン作動性)支配を受けており、迷走神経の刺激によって、神経末端からアセチルコリンが放出され、受容体に作用することで生じる。メタコリンはアセチルコリンのβメチル同族体であり、直接アセチルコリン受容体に作用する4)。 喘息を有する被験者がメタコリンを含む溶液を吸入した場合、健康被験者と比べてメタコリンに対する感受性が高く、より低用量で気管支収縮が生じる。この反応の差がメタコリン負荷試験の薬理学的根拠となっている。
18.2 気管支平滑筋収縮作用
摘出ヒト気管組織標本を用い、気管平滑筋の収縮に対するメタコリンの作用を評価した。ヒト気管平滑筋標本をKrebs溶液中で120分間平衡化させた後、メタコリン溶液で段階的に濃度を上げて処理し、標本より発生する張力を等尺性に測定した。その結果、メタコリンは1~100μmol/Lの適用で濃度に依存した収縮作用を示した6)(in vitro)。
18.3 気道粘液分泌に対する作用
摘出ヒト気管組織標本を用いた器官培養において、[3H]glucosamine、[14C]glucosamine、[3H]threonine及びNa2[35S]O4をトレーサーに用いて、粘液糖タンパク質分泌に対するメタコリンの作用を検討した。予め摘出ヒト気管組織標本を各トレーサーを含む培養液で16時間培養した後、これらを含まないコントロール培地にメタコリンを溶解させた培養液で4時間培養した。それぞれの培養上清の放射線量を測定して比を求め、粘液糖タンパク質分泌の指標とした。その結果、メタコリンは100μmol/Lの濃度で、気管組織の粘液糖タンパク質の分泌をコントロール培地と比較して62%増加させた。アトロピンは100μmol/Lの濃度でメタコリンの作用を阻害した7)(in vitro)。
薬物動態
16.1 血中濃度
健康成人(男女13例)に0.039~25mg/mLの本剤を漸増吸入して気道過敏性検査を実施し、最高濃度25mg/mLを吸入投与した後の全血中メタコリン濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す3)。
| 吸入濃度 | Cmax (ng/mL) |
Tmax (min) |
AUC0-∞ (ng・min/mL) |
t1/2 (min) |
|---|---|---|---|---|
| 25mg/mL | 3.31±1.43 | 8.5 (3.0-15.0) |
234±116 | 71.4±37.2 |
(各値は平均値±標準偏差、ただしTmaxは中央値(最小値-最大値)、n=13)
16.4 代謝
メタコリンはアセチルコリンエステラーゼにより加水分解される4)。 ヒト血液中においてメタコリンは速やかに代謝され、インキュベート後15秒における血液中残存率は52.7%であったが、それ以降の代謝は緩やかとなり、終末相におけるメタコリンのt1/2は175分であった5)(in vitro)。