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プロプラノロール塩酸塩徐放カプセル60mg「サワイ」

プロプラノロール塩酸塩

添付文書改訂 2025年08月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者[気管支を収縮し、喘息症状が誘発又は悪化するおそれがある。]

  3. 2.3糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。]

  4. 2.4高度又は症状を呈する徐脈、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)、洞房ブロック、洞不全症候群のある患者[これらの症状が悪化するおそれがある。]

  5. 2.5心原性ショックの患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]

  6. 2.6肺高血圧による右心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]

  7. 2.7うっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]

  8. 2.8低血圧症の患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]

  9. 2.9長期間絶食状態の患者[低血糖症状を起こしやすく、かつその症状をマスクし、発見を遅らせる危険性がある。]

  10. 2.10重度の末梢循環障害のある患者(壊疽等)[症状が悪化するおそれがある。]

  11. 2.11*未治療の褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者

  12. 2.12異型狭心症の患者[症状が悪化するおそれがある。]

  13. 2.13リザトリプタン安息香酸塩を投与中の患者

効能・効果

  • 本態性高血圧症(軽症~中等症)

  • 狭心症

用法・用量

  • 〈効能共通〉

プロプラノロール塩酸塩として1日60mg未満の経口投与で効果が不十分な場合に、下記の用法及び用量に基づき使用する。

  • 〈本態性高血圧症(軽症~中等症)〉

通常成人1日1回1カプセルを経口投与する。なお、症状により1日1回2カプセルまで増量することができる。

  • 〈狭心症〉

通常成人1日1回1カプセルを経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1長期投与の場合は心機能検査(脈拍・血圧・心電図・X線等)を定期的に行うこと。特に徐脈になった場合及び低血圧を起こした場合には減量又は中止すること。また、必要に応じアトロピンなどを使用すること。なお、肝機能、腎機能、血液像等に注意すること。

  2. 8.2プロプラノロール塩酸塩使用中の狭心症の患者で急に投与を中止したとき、症状が悪化したり、心筋梗塞を起こした症例が報告されているので、休薬を要する場合はプロプラノロール塩酸塩錠等の投与に切り換えた後徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないよう注意すること。狭心症以外の適用、例えば高血圧で投与する場合でも特に高齢者においては同様の注意をすること。

  3. 8.3褐色細胞腫の手術時に使用する場合を除き、手術前48時間は投与しないことが望ましい。

  4. 8.4めまい、ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者(特に投与初期)には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1うっ血性心不全のおそれのある患者

ジギタリス剤を併用するなど、慎重に投与すること。心機能を抑制し、うっ血性心不全が発現するおそれがある。

  1. 9.1.2甲状腺中毒症の患者

中毒症状をマスクするおそれがある。

  1. 9.1.3特発性低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、絶食状態(手術前後等)の患者

血糖値に注意すること。低血糖症状を起こしやすく、かつその症状をマスクしやすい。

  1. 9.1.4重度でない末梢循環障害のある患者(レイノー症候群、間欠性跛行症等)

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.5徐脈のある患者

徐脈が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.6房室ブロック(Ⅰ度)のある患者

房室伝導時間が延長し、症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.7*褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者

本剤の単独投与により急激に血圧が上昇することがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎機能障害のある患者

薬物の代謝・排泄が影響をうける可能性がある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝機能障害のある患者

薬物の代謝・排泄が影響をうける可能性がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、緊急やむを得ない場合以外は投与しないことが望ましい。妊娠中の投与により新生児の発育遅延、血糖値低下、呼吸抑制が認められたとの報告があり、また、動物実験で胎児に対して、母体より長時間β遮断作用を示すことが報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

次の点に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

  • 高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。

  • 休薬を要する場合は、徐々に減量する。

相互作用

  • 本剤は主として肝代謝酵素CYP2D6、CYP1A2、CYP2C19で代謝される。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
リザトリプタン安息香酸塩
• (マクサルト)
リザトリプタンの消失半減期が延長、AUCが増加し、作用が増強する可能性がある。本剤投与中あるいは本剤投与中止から48時間以内の患者にはリザトリプタンを投与しないこと。 相互作用のメカニズムは解明されていないが、本剤がリザトリプタンの代謝を阻害する可能性が示唆されている。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
**交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤
• β遮断剤(チモロール等の点眼剤を含む)
交感神経系の過剰の抑制(徐脈、心不全等)をきたすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 相互に作用(交感神経抑制作用)を増強させる。
**血糖降下剤
• インスリン
• アセトヘキサミド
• 等
血糖降下作用が増強されることがある。また、低血糖症状(頻脈等)をマスクすることがあるので血糖値に注意すること。 血糖値が低下するとカテコールアミンが副腎から分泌され、肝でのグリコーゲンの分解を促し、血糖値を上昇させる。このとき、肝臓のβ受容体が遮断されていると、カテコールアミンによる血糖上昇作用が抑えられ、血糖降下作用が増強する可能性がある。また、カテコールアミンによる頻脈のような低血糖症状がマスクされると考えられている。
カルシウム拮抗剤
• ベラパミル
• ジルチアゼム
• ニフェジピン
• 等
ベラパミル、ジルチアゼム等では、低血圧、徐脈、房室ブロック等の伝導障害、心不全が発現するおそれがあるので減量するなど注意すること。また、ジヒドロピリジン系薬剤でも、低血圧、心不全が発現するおそれがあるので注意すること。本剤からカルシウム拮抗剤の静脈投与に変更する場合には48時間以上あけること。 相互に作用(心収縮力や刺激伝導系の抑制作用、降圧作用等)を増強させる。薬物動態的な相互作用のメカニズムは解明されていないが、肝血流量の変化によって本剤の代謝が影響をうけると考えられている。
クロニジン クロニジンの投与中止後のリバウンド現象(血圧上昇、頭痛、嘔気等)を増強する可能性がある。クロニジンを中止する場合には、本剤を先に中止し、その後数日間観察した後、クロニジンを中止すること。また、クロニジンから本剤へ投与を変更する場合にはクロニジンを中止した数日後から本剤を投与すること。 クロニジンを投与されている患者でクロニジンを中止すると、血中カテコールアミンが上昇し、血圧上昇をきたす。β遮断剤が投与されていると、カテコールアミンによるα刺激作用が優位になり、血管収縮がさらに増強される。
**クラスⅠ抗不整脈剤
• ジソピラミド
• プロカインアミド
• 等クラスⅢ抗不整脈剤
• アミオダロン等
過度の心機能抑制(徐脈、心停止等)があらわれることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 抗不整脈剤は陰性変力作用及び陰性変時作用を有する。β遮断剤もカテコールアミンの作用を遮断することにより心機能を抑制するため、併用により心機能が過度に抑制される。
交感神経刺激剤
• アドレナリン等
相互の薬剤の効果が減弱する。また、血管収縮、血圧上昇をきたすことがあるので注意すること。 非選択性のβ遮断剤により末梢血管のβ受容体が遮断された状態でアドレナリンなどの交感神経作動薬が投与されると、α受容体を介する血管収縮作用のみがあらわれる。また、徐脈は副交感神経の反射によるものである。
麻酔剤
• セボフルラン等
反射性頻脈が弱まり、低血圧のリスクが増加することがある。陰性変力作用の小さい麻酔剤を選択すること。また、心筋抑制作用を有する麻酔剤との併用は出来るだけ避けること。 麻酔剤により低血圧が起こると反射性の頻脈が起こる。β遮断剤が併用されていると、反射性の頻脈を弱め、低血圧が強められる可能性がある。また、陰性変力作用を有する麻酔剤では、相互に作用を増強させる。
リドカイン リドカインの代謝を遅延させ、血中濃度を上昇させることがあるので併用は避けること。 本剤が肝血流量を減らし、また肝の薬物代謝酵素を阻害するために、リドカインの代謝が遅れると考えられている。
ジギタリス製剤 房室伝導時間が延長し、徐脈、房室ブロック等が発現することがあるので注意すること。 ジギタリス、β遮断剤はともに房室結節伝導時間を延長させる。ジギタリス中毒時には特に注意を要する。
シメチジン 本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。 シメチジンが肝血流量を低下させ、また、肝の薬物代謝酵素を阻害することにより、肝での本剤の分解が低下し、血中濃度が上昇すると考えられている。
クロルプロマジン 本剤とクロルプロマジンの作用がそれぞれに増強することがある。 本剤とクロルプロマジンが薬物代謝酵素を競合するために、本剤、クロルプロマジンともに血中濃度が上昇すると考えられている。
ヒドララジン 本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。 ヒドララジンが肝血流量を増加させるためと考えられている。
麦角アルカロイド
• エルゴタミン等
下肢の疼痛、冷感、チアノーゼ等が発現することがあるので注意すること。 麦角アルカロイドとβ遮断剤が相乗的に末梢灌流を低下させると考えられている。
非ステロイド性抗炎症剤
• インドメタシン等
本剤の降圧作用が減弱することがある。 非ステロイド性抗炎症剤は血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成を阻害する。
アルコール 本剤の血中濃度の変動により、作用が減弱または増強する可能性があるので注意すること。 アルコールにより本剤の吸収、代謝が変動するためと考えられている。
リファンピシン 本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱する可能性があるので注意すること。 リファンピシンが肝酵素を誘導し、本剤の代謝・消失を促進すると考えられている。
キニジン
プロパフェノン
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。 本剤はチトクロームP450によって代謝をうける。このため、チトクロームP450によって代謝をうける薬剤との間で、血中濃度が影響をうける可能性がある。
ワルファリン ワルファリンの血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。 相互作用のメカニズムは解明されていないが、本剤がワルファリンの肝代謝を阻害することが考えられている。
フィンゴリモド フィンゴリモドの投与開始時に本剤を併用すると重度の徐脈や心ブロックが認められることがある。 共に徐脈や心ブロックを引き起こすおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-Pの上昇等 1〜5%未満
ALT 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
LDH上昇 1%未満
しびれ 1%未満
めまい 1〜5%未満
下痢等 1%未満
不眠 1%未満
乾癬悪化 1%未満
乾癬様皮疹 1%未満
低血圧 1%未満
便秘 1%未満
倦怠感 1〜5%未満
傾眠 1%未満
口内乾燥 1%未満
可逆的脱毛 1%未満
嘔吐 1%未満
嘔気 1〜5%未満
幻覚 1%未満
悪夢 1%未満
抑うつ 1%未満
抗核抗体陽性化 1%未満
気分の変化 1%未満
浮腫 1〜5%未満
涙液分泌減少 1%未満
無力症状 1%未満
疲労 1%未満
発疹 1〜5%未満
知覚減退 1%未満
筋痛 1%未満
精神変調等 1%未満
胸痛 1%未満
腹痛 1%未満
蕁麻疹等 1〜5%未満
血中尿素上昇 1%未満
血糖値低下 1%未満
視力異常 1%未満
重症筋無力様症状 1%未満
重症筋無力症悪化 1%未満
錯乱 1%未満
霧視 1%未満
頭痛 1〜5%未満
頻尿 1%未満
食欲不振 1%未満
高尿酸血症 1%未満
高脂血症 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

交感神経β受容体においてカテコールアミンと競合的に拮抗し、β受容体遮断作用を示すことによって、抗狭心症作用を発揮するものと考えられる。

18.2 交感神経β受容体遮断作用

プロプラノロール塩酸塩徐放カプセルは、健康成人男子への1回投与により、運動負荷による心拍数上昇に対し24時間にわたりほぼ一定した抑制を示した1)。 また、狭心症患者にプロプラノロール塩酸塩徐放カプセルを1日1回2週間投与した場合、運動負荷時の心拍数、血圧及び心仕事量(収縮期血圧×心拍数)は投与前に比較し有意に低下した11)。プロプラノロール塩酸塩を健康成人男女に経口投与した場合、イソプレナリン負荷による心拍数の増加を抑制し、心仕事量を減少させ交感神経β受容体遮断作用を示した12)。

18.3 降圧作用

本態性高血圧症患者にプロプラノロール塩酸塩を1日1回投与した場合、血圧の日内の変動幅が減少する傾向が認められ、降圧効果も安定していた8)。 プロプラノロール塩酸塩の降圧作用機序については、心拍出量に対する作用13)、レニン分泌抑制作用14)、末梢血管抵抗減少作用15)が高血圧症患者において認められているほか、ネコを用いた実験で中枢作用16)、モルモット心房標本を用いたin vitroの実験で交感神経末梢からのノルアドレナリン遊離減少作用17)等が示されている。

18.4 膜安定化作用

プロプラノロール塩酸塩はウサギ心房筋標本を用いた電気生理学的実験において膜安定化作用を示した18)。

18.5 内因性交感神経刺激作用

プロプラノロール塩酸塩はラットを用いた実験で内因性交感神経刺激作用を示さなかった19)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康男子にプロプラノロール塩酸塩徐放カプセルを単回経口投与した場合、最高血漿中濃度は投与約5時間後にみられ、投与後3~14時間にわたって高い血漿中濃度が持続した。1日1カプセルを8日間経口投与した場合の消失半減期は約10時間であった1)。 なお、本態性高血圧症患者においても健康人と同様の安定した血漿中濃度の持続性がみられている2)。

  1. 16.1.2生物学的同等性試験

プロプラノロール塩酸塩徐放カプセル60mg「サワイ」とインデラルLAカプセル60mgを健康成人男子にそれぞれ1カプセル(プロプラノロール塩酸塩として60mg)空腹時及び食後単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中プロプラノロール濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された3)。

Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC0-56hr
(ng・hr/mL)
空腹時 プロプラノロール塩酸塩徐放カプセル60mg「サワイ」 8.04±3.07 7.5±1.5 14.8±9.3 150.0±50.2
インデラルLAカプセル60mg 8.27±3.75 7.3±1.8 11.2±3.8 146.4±50.8
食後 プロプラノロール塩酸塩徐放カプセル60mg「サワイ」 9.83±3.22 7.6±1.5 9.7±2.6 176.0±65.2
インデラルLAカプセル60mg 9.22±2.98 7.3±1.3 12.1±7.6 170.7±55.6

(Mean±S.D.)

血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.4 代謝

プロプラノロールの代謝は主として肝臓で行われ、尿中にナフトキシ乳酸、グルクロン酸抱合体、4-ヒドロキシプロプラノロールなどの代謝物が認められた4)。