Clinical snapshot

プロタノールL注0.2mg

l-イソプレナリン塩酸塩

添付文書改訂 2026年05月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1特発性肥大性大動脈弁下狭窄症の患者[心収縮力を増強するため、左室からの血液流出路の閉塞が増強され、症状を増強させるおそれがある。]

  2. 2.2ジギタリス中毒の患者[重篤な不整脈が起こる可能性がある。]

  3. 2.3カテコールアミン(アドレナリン等)、エフェドリン、メチルエフェドリン、メチルエフェドリンサッカリネート、フェノテロール、ドロキシドパを投与中の患者

効能・効果

  • アダムス・ストークス症候群(徐脈型)の発作時(高度の徐脈、心停止を含む)、あるいは発作反復時

  • 心筋梗塞や細菌内毒素等による急性心不全

  • 手術後の低心拍出量症候群

  • 気管支喘息の重症発作時

用法・用量

  • 〈点滴静注〉

l-イソプレナリン塩酸塩として0.2~1.0mgを等張溶液200~500mLに溶解し、心拍数又は心電図をモニターしながら注入する。 徐脈型アダムス・ストークス症候群においては、心拍数を原則として毎分50~60に保つ。 ショックないし低拍出量症候群においては、心拍数を原則として毎分110前後に保つようにする。

  • 〈緊急時〉

急速な効果発現を必要とする時には、l-イソプレナリン塩酸塩として0.2mgを等張溶液20mLに溶解し、その2~20mLを静脈内(徐々に)、筋肉内又は皮下に注射する。 心臓がまさに停止せんとする時には、l-イソプレナリン塩酸塩として0.02~0.2mgを心内に与えてもよい。 なお、症状により適宜増量する。

使用上の注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1冠動脈疾患のある患者

心筋虚血が起こるおそれがある。

  1. 9.1.2甲状腺機能亢進症のある患者

甲状腺機能亢進症に伴う諸症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.3高血圧のある患者

血圧が上昇するおそれがある。

  1. 9.1.4うっ血性心不全のある患者

不整脈が起こるおそれがある。

  1. 9.1.5糖尿病のある患者

血糖値が上昇するおそれがある。

  1. 9.1.6*本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(マウス、ハムスター)で催奇形性が報告されている。

9.8 高齢者

少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
カテコールアミン
• アドレナリン
(ボスミン)等エフェドリン
メチルエフェドリン
(メチエフ)
メチルエフェドリンサッカリネート
フェノテロール
(ベロテック)
ドロキシドパ
(ドプス)
重篤ないし致死的不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがある。 左記薬剤のβ刺激作用により、相加的に交感神経興奮作用が増強されると考えられている。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
β刺激剤
• サルブタモール
プロカテロール等
不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがある。異常が認められた際には減量するなど適切な処置を行うこと。 左記薬剤のβ刺激作用により、相加的に交感神経興奮作用が増強されると考えられている。
キサンチン誘導体
• テオフィリン
アミノフィリン水和物等
低カリウム血症、循環器症状(頻脈等)等の本剤の副作用症状を増強させることがある。
副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
心刺激作用をともに有しており、本剤の作用が増強されるためと考えられる。
低カリウム血症の増強についての機序は不明である。
ステロイド剤
利尿剤
血清カリウム値が低下するおそれがある。併用する場合には定期的に血清カリウム値を観察し、用量について注意すること。 左記薬剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が増強されることが考えられる。
強心配糖体
• ジゴキシン
ジギトキシン
ラナトシドC等
左記薬剤の作用を増強することがある。 併用により心臓に対する作用が増強され、不整脈が起こる可能性が高くなると考えられる。
また、本剤の副作用の低カリウム血症によりジギタリス中毒が起こりやすくなると考えられる。
アセチルコリン 本剤及び左記薬剤の作用が減弱されることがある。 本剤は、自律神経系の支配臓器において左記薬剤と拮抗的に作用すると考えられている。
マオウ 不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮等があらわれやすくなる。 左記薬剤の主成分であるエフェドリンは交感神経興奮作用を有するため、本剤との併用により、作用が増強される。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
下痢 頻度不明
心悸亢進 1〜5%未満
悪心・嘔吐 頻度不明
振戦 頻度不明
発汗 頻度不明
発疹 頻度不明
神経過敏 頻度不明
胃痛 頻度不明
血圧変動 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 1〜5%未満
顔面潮紅・蒼白 頻度不明
鼓腸 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

心臓、血管、気管支等のアドレナリンβ1及びβ2受容体に非選択的に作用し、強いβ作用を発現する。心拍出量増大(陽性変力作用:β1作用)、洞機能及び房室伝導亢進による心拍数増加(陽性変時作用:β1作用)、骨格筋、内臓血管拡張作用(β2作用)、気管支拡張作用(β2作用)を示すといわれている。

18.2 心収縮力増強(Positive inotropic)作用

イソプレナリン塩酸塩は、交感神経のβ受容体に作用し、心収縮力を増強して、心拍出量を増加する。 これに伴って、左心室駆出速度の増大及び左心室拡張末期圧の低下をもたらし静脈還流を改善し、心拍出量を更に増加するが、この場合の心筋酸素消費量の増加は比較的軽度である1),2),3),4),5),6) (イヌ、ヒト)。

18.3 心拍数増加(Positive chronotropic)作用

イソプレナリン塩酸塩は、心臓の刺激伝導系に作用して心拍数を増加する。その作用部位は、上位中枢にあり、洞機能を亢進し、房室伝導を促進する作用が強いので心ブロック時に使用して洞調律に回復させる作用がある1),3),4),5) (イヌ、ヒト)。

18.4 組織循環促進作用

イソプレナリン塩酸塩は、強力な心拍出量の増加とともに末梢血管の抵抗を減少して、各組織や重要臓器の血流量を増大するので、組織循環が促進される。これは異常に増加した乳酸値の低下や尿量増加がみられることからも確認される6),7),8),9),10) (イヌ、ヒト)。

18.5 気管支拡張作用

イソプレナリン塩酸塩は、気管支平滑筋に作用し、気管支内腔を拡張する作用がある。また、そのdl体はアドレナリンの約10倍の強さをもっている11) (イヌ)。

薬物動態

16.4 代謝

代謝は主に消化管、肝、肺等であり、消化管では抱合を受け、肝ではカテコール-O-メチルトランスフェラーゼにより分解される。静注されたときの主な代謝産物は3-O-メチルイソプレナリンとその抱合体である。

16.5 排泄

ラットにdl-〔7-3H〕イソプレナリン注1)を静注したときの排泄部位は腎、胆汁であった。

注1)本剤の有効成分はl-イソプレナリン塩酸塩である。