Clinical snapshot

プレバイミス顆粒分包120mg

レテルモビル

添付文書改訂 2025年10月01日

【警告】

  • 〈同種造血幹細胞移植〉

同種造血幹細胞移植患者の感染管理に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例のみに投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2次の薬剤を投与中の患者:ピモジド、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミン、メチルエルゴメトリン、エルゴメトリン

効能・効果

下記におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制

  • 同種造血幹細胞移植

  • 臓器移植

用法・用量

*通常、成人にはレテルモビルとして480mg(240mg錠2錠又は120mg顆粒4包)を1日1回経口投与する。シクロスポリンと併用投与する場合にはレテルモビルとして240mg(240mg錠1錠又は120mg顆粒2包)を1日1回経口投与する。 通常、小児にはレテルモビルとして以下の用量を1日1回経口投与する。

体重 シクロスポリンの併用なし シクロスポリンの併用あり
用量 包数又は錠数 用量 包数又は錠数
30kg以上 480mg 120mg顆粒4包又は240mg錠2錠 240mg 120mg顆粒2包又は240mg錠1錠
15kg以上30kg未満 240mg 120mg顆粒2包又は240mg錠1錠 120mg 120mg顆粒1包
7.5kg以上15kg未満 120mg 120mg顆粒1包 60mg 20mg顆粒3包
5kg以上7.5kg未満 80mg 20mg顆粒4包 40mg 20mg顆粒2包

使用上の注意

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害のある患者

レテルモビルの血漿中濃度が上昇するおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

妊娠可能な女性に対しては、本剤が胎児に悪影響を及ぼす可能性があることを十分に説明し、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、本剤投与の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠中に本剤を投与するか、本剤投与中の患者が妊娠した場合は、本剤投与による催奇形性等が生じる可能性があることについて、患者に十分説明すること。 妊娠ラット及びウサギの器官形成期に投与したとき、成人同種造血幹細胞移植患者の臨床曝露量(シクロスポリン併用下での240mg経口投与)のそれぞれ18倍及び2.8倍の母動物毒性を示す用量で骨格奇形、胎児体重の減少等が認められた。妊娠ラットに着床から分娩後まで投与した試験では、臨床曝露量の3.7倍まで胚・胎児毒性は認められなかった。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で乳汁移行が認められている1)。

9.7 小児等

  • 〈臓器移植〉

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • レテルモビルは有機アニオン輸送ポリペプチド1B1/3(OATP1B1/3)、P-糖蛋白(P-gp)及びUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1/3(UGT1A1/3)の基質である。レテルモビルはCYP3Aの時間依存的な阻害作用、並びに乳癌耐性蛋白(BCRP)及びOATP1B1/3の阻害作用を有する。また、レテルモビルはCYP2C9及びCYP2C19の誘導作用を有する可能性がある。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ピモジド(オーラップ) 併用により、ピモジドの血漿中濃度が上昇し、QT延長及び心室性不整脈を引き起こすおそれがある。 レテルモビルの併用により、CYP3Aが阻害されると予測される。
エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン(クリアミン配合錠)
ジヒドロエルゴタミン
メチルエルゴメトリン(パルタンM)
エルゴメトリン
併用により、これら麦角アルカロイドの血漿中濃度が上昇し、麦角中毒を引き起こすおそれがある。 レテルモビルの併用により、CYP3Aが阻害されると予測される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP3Aの基質
• フェンタニル
• キニジン
• ミダゾラム等
併用により、これらの薬剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。 レテルモビルの併用により、CYP3Aが阻害されると予測される。
ボリコナゾール 併用により、ボリコナゾールの血漿中濃度が低下する。
併用時は、ボリコナゾールの治療効果を減弱させるおそれがあるため、患者の状態を十分に観察することが推奨される。
レテルモビルの併用により、CYP2C9及びCYP2C19が誘導されると考えられる。
CYP2C9又はCYP2C19の基質
• フェニトイン
• ワルファリン等
併用により、これらの薬剤の血漿中濃度が低下するおそれがある。
フェニトインとの併用時は、血中フェニトイン濃度を頻繁にモニタリングすること。
ワルファリンとの併用時は、INRを頻繁にモニタリングすること。
レテルモビルの併用により、CYP2C9又はCYP2C19が誘導されると予測される。
リファンピシン 併用により、レテルモビルの血漿中濃度が低下する。
また、リファンピシンとの併用終了翌日に単独投与したレテルモビルの血漿中濃度がさらに低下するので、リファンピシンとの併用終了後、レテルモビルの有効性が減弱する可能性がある。
リファンピシンの併用により、P-gp及びUGT1A1/3が誘導されると考えられる。
アトルバスタチン 併用により、アトルバスタチンの血漿中濃度が上昇する。
併用時は、アトルバスタチンの副作用(ミオパチー等)に注意して患者の状態を十分に観察すること。
レテルモビルの併用により、CYP3A、OATP1B1/3及び腸管のBCRPが阻害される。
シンバスタチン 併用により、これらの薬剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。
併用時は、これらの薬剤の副作用(ミオパチー等)に注意して患者の状態を十分に観察すること。
レテルモビルの併用により、CYP3A、OATP1B1/3及び腸管のBCRPが阻害されると予測される。
ロスバスタチン
フルバスタチン
併用により、これらの薬剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。
併用時は、これらの薬剤の副作用(ミオパチー等)に注意して患者の状態を十分に観察すること。
レテルモビルの併用により、OATP1B1/3及び腸管のBCRPが阻害されると予測される。
プラバスタチン
ピタバスタチン
併用により、これらの薬剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。
併用時は、これらの薬剤の副作用(ミオパチー等)に注意して患者の状態を十分に観察すること。
レテルモビルの併用により、OATP1B1/3が阻害されると予測される。
シクロスポリン 併用により、レテルモビル及びシクロスポリンの血中濃度が上昇する。
レテルモビルとの併用時及び中止時には、シクロスポリンの血中濃度を頻繁にモニタリングし、シクロスポリンの用量を調節すること。
レテルモビルの併用により、CYP3Aが阻害される。
シクロスポリンの併用により、OATP1B1/3が阻害される。
タクロリムス
シロリムス
併用により、これらの薬剤の血中濃度が上昇する。
レテルモビルとの併用時及び中止時には、これらの薬剤の血中濃度を頻繁にモニタリングし、これらの薬剤の用量を調節すること。
レテルモビルの併用により、CYP3Aが阻害される。
エベロリムス 併用により、エベロリムスの血中濃度が上昇するおそれがある。
レテルモビルとの併用時及び中止時には、エベロリムスの血中濃度を頻繁にモニタリングし、エベロリムスの用量を調節すること。
レテルモビルの併用により、CYP3Aが阻害されると予測される。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
下痢 頻度不明
嘔吐 頻度不明
好中球減少症 1%未満
悪心 頻度不明
白血球数減少 1%未満
白血球減少症 頻度不明
過敏症 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

レテルモビルはウイルスの複製に必要なCMVのDNAターミナーゼ複合体を阻害する。生化学的な検討及び電子顕微鏡所見から、レテルモビルは一単位長のゲノムの生成に影響し、ウイルス粒子の形成を阻害することが明らかとなった。

18.2 In vitro抗ウイルス作用

感染細胞培養系でのCMVの臨床分離株(74株)に対するレテルモビルのEC50値の範囲は0.7~6.1nMであった。

18.3 耐性ウイルス

  1. 18.3.1細胞培養系

CMVのDNAターミナーゼのサブユニットはCMV遺伝子のUL51、UL56及びUL89領域にコードされる。細胞培養系にてレテルモビルに低感受性のCMV変異株を分離した。その結果、pUL51(P91S、A95V)、pUL56(C25F、S229F、V231A/L、N232Y、V236A/L/M、E237D、L241P、T244K/R、L254F、L257F/I、K258E、F261C/L/S、Y321C、C325F/R/W/Y、L328V、M329T、A365S、N368D、R369G/M/S)及びpUL89(N320H、D344E)にアミノ酸置換が認められた。これらの置換を有する遺伝子組換えCMV変異株のEC50値は野生株と比較して1.6~9,300倍高値を示した。

  1. 18.3.2*臨床試験

外国人を対象とした第Ⅱ相試験(020試験)では、131例の成人同種造血幹細胞移植患者に60、120又は240mgのレテルモビル又はプラセボを1日1回84日間投与し、レテルモビル群のうち予防不成功となり検体が得られた12例を対象に、UL56遺伝子の231~369位のアミノ酸配列を中心にDNAシークエンス解析を実施した。60mg投与群1例でレテルモビルに低感受性を示す置換(V236M)が検出された。 成人同種造血幹細胞移植患者を対象とした第Ⅲ相国際共同試験(001試験)では、レテルモビル群のうち予防不成功となり検体が得られた50例を対象に、UL56及びUL89遺伝子のすべてのコード領域のDNAシークエンス解析を実施した。3例でレテルモビルに低感受性を示す4種類の置換がpUL56に検出された。1例でC325W及びR369Tが、他の2例で各々V236M及びE237Gの置換が検出された。 成人同種造血幹細胞移植患者を対象とした第Ⅲ相国際共同試験(040試験)では、全投与群のうち予防不成功又は早期中止しCMV血症が認められた32例を対象に、UL51、UL56及びUL89遺伝子のすべてのコード領域のDNAシークエンス解析を実施した。レテルモビルに低感受性を示す置換は検出されなかった。 小児同種造血幹細胞移植患者を対象とした後期第Ⅱ相国際共同試験(030試験)では、CMV血症が認められ検体が得られた10例を対象に、UL51、UL56及びUL89遺伝子のすべてのコード領域のDNAシークエンス解析を実施した。2例でレテルモビルに低感受性を示す置換がpUL56に検出された。1例でR369Sが、他の1例でC325Wの置換が検出された。 外国人成人腎移植患者を対象とした第Ⅲ相海外試験(002試験)では、レテルモビル群のうちCMV感染症を発症又は早期中止しCMV血症が認められ検体が得られた52例を対象に、UL51、UL56及びUL89遺伝子のすべてのコード領域のDNAシークエンス解析を実施した。レテルモビルに低感受性を示す置換は検出されなかった。 日本人成人腎移植患者を対象とした第Ⅲ相国内試験(042試験)では、レテルモビルの投与を受けた被験者のうちCMV感染症を発症又はCMV血症が認められ検体が得られた4例を対象に、UL51、UL56及びUL89遺伝子のすべてのコード領域のDNAシークエンス解析を実施した。レテルモビルに低感受性を示す置換は検出されなかった。

18.4 交差耐性

ガンシクロビルに耐性を示すpUL97又はpUL54領域に置換を有するCMVは、レテルモビルに感受性を示した。野生型と比較してガンシクロビルに対する感受性を2.1倍低下させるpUL56 E237G置換を有する遺伝子組換えCMV株を除き、レテルモビルに対し耐性を示す置換を有する各種遺伝子組換え株は、ホスカルネット及びガンシクロビルに対して感受性を示した。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1健康成人

日本人健康成人女性にレテルモビル240mg注10)及び480mgを空腹時単回経口投与した際の、レテルモビルの薬物動態パラメータを表1に示す。レテルモビルは、投与後2.25~3.00時間で最高血漿中濃度に到達し、その後、二相性の消失を示した。レテルモビルのAUC0-∞は、用量比を上回る上昇を示した。

用量 例数 Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
Tmax注2)
(hr)
t1/2
(hr)
240mg注10) 6 10,800
(26.6)
61,800
(43.1)
2.25
(1.00-3.00)
9.96
(23.5)
480mg 6 19,600
(30.0)
180,000
(35.1)
3.00
(3.00-5.00)
9.66
(37.2)

幾何平均(幾何平均に基づく変動係数[%])

注2)中央値(範囲)

また、日本人健康成人女性にレテルモビル480mgを反復経口投与した際、AUC0-24hr及びCmaxの幾何平均比に基づく累積係数は、それぞれ0.97及び0.94であった。

  1. 16.1.2成人同種造血幹細胞移植患者

成人同種造血幹細胞移植患者350例(うち、日本人成人同種造血幹細胞移植患者23例)から得られた血漿中レテルモビル濃度データを用いて、母集団薬物動態解析を実施した。日本人成人同種造血幹細胞移植患者にレテルモビルを480mg、及びシクロスポリンを併用投与する場合はレテルモビルを240mgで1日1回経口投与した際の、レテルモビルの定常状態におけるAUC0-24hrを表2に示す。第Ⅲ相国際共同試験(001試験)で得られた曝露量の範囲では、一貫した有効性が示されており、各投与方法における曝露量に、臨床的な違いは認められなかった。

投与方法 AUC0-24hr注3)(ng・hr/mL)
例数 幾何平均 幾何平均に基づく変動係数(%)
480mg経口投与 13 42,390 32.0
シクロスポリン併用240mg経口投与 7 66,450 19.5

注3)日本人成人同種造血幹細胞移植患者の血漿中レテルモビル濃度データを用いた母集団薬物動態解析から得られたAUC0-24hrのベイズ推定値

  1. 16.1.3成人腎移植患者

日本人成人腎移植患者にレテルモビルを480mgで1日1回経口投与した際の定常状態におけるAUC0-24hrを表3に示す。

投与方法 AUC0-24hr注4)(ng・hr/mL)
例数 幾何平均 幾何平均に基づく変動係数(%)
480mg経口投与 21 156,000 47.3

注4)日本人成人腎移植患者の血漿中レテルモビル濃度データを用いたノンコンパートメント解析から得られたAUC0-24hrの推定値

また、外国人成人腎移植患者を対象とした第Ⅲ相海外試験(002試験)で得られた曝露量の範囲(AUC0-24hr:14,300~259,000ng・hr/mL)では、一貫した有効性が示された。

  1. 16.1.4*小児同種造血幹細胞移植患者

小児同種造血幹細胞移植患者60例(うち、日本人小児同種造血幹細胞移植患者4例)から得られた血漿中レテルモビル濃度データを用いて、母集団薬物動態解析を実施した。小児同種造血幹細胞移植患者にレテルモビルを1日1回経口投与した際の、レテルモビルの定常状態におけるAUC0-24hrを表4に示す。小児同種造血幹細胞移植患者の曝露量は、すべての体重区分で、成人同種造血幹細胞移植患者で得られた曝露量の範囲内であった。

体重 シクロスポリン非併用時の経口投与量 AUC0-24hr
(ng・hr/mL)
中央値
[90%予測区間]注5)
シクロスポリン併用時の経口投与量 AUC0-24hr
(ng・hr/mL)
中央値
[90%予測区間]注5)
30kg以上 480mg 39,100
[18,700, 81,300]
240mg 49,100
[23,200, 104,000]
15kg以上30kg未満 240mg 38,900
[20,200, 74,300]
120mg 51,000
[26,600, 98,200]
7.5kg以上15kg未満 120mg 32,000
[16,700, 59,300]
60mg 41,600
[22,300, 81,100]
5kg以上7.5kg未満 80mg 30,600
[16,200, 55,000]
40mg 39,000
[20,600, 72,000]

注5)中央値及び90%予測区間は、小児同種造血幹細胞移植患者の母集団薬物動態モデルを用いた個体間変動を考慮したシミュレーションに基づき算出した。

16.2 吸収

母集団薬物動態解析から、日本人を含む健康成人に、レテルモビルを240mg注10)から480mgの範囲で投与した際の、レテルモビルの絶対的バイオアベイラビリティは、約94%と推定された。また、日本人を含む成人同種造血幹細胞移植患者に、レテルモビル480mgを1日1回投与した際の、レテルモビルの絶対的バイオアベイラビリティは、約35%と推定された。

  1. 16.2.1シクロスポリンの影響

日本人を含む成人同種造血幹細胞移植患者に、レテルモビルとシクロスポリンを併用投与した際、レテルモビルの血漿中濃度が上昇した。母集団薬物動態解析から、シクロスポリンとレテルモビル240mgを1日1回併用投与した際の、レテルモビルの絶対的バイオアベイラビリティは、約85%と推定された。

  1. 16.2.2食事の影響

外国人健康成人女性に、高脂肪・高カロリー食摂取後にレテルモビル480mgを単回経口投与した際、空腹時投与と比較して、レテルモビルのCmaxは約30%上昇したものの、AUCは変わらなかった。

16.3 分布

母集団薬物動態解析から、日本人を含む成人同種造血幹細胞移植患者にレテルモビルを静脈内投与した際の、レテルモビルの定常状態における分布容積の平均値は、45.5Lと推定された。 In vitroデータより、レテルモビルは、ヒト血漿蛋白に対し、高い結合を示した(98.7%)。レテルモビルの血中と血漿中濃度比(血中/血漿)は0.56であり、検討した濃度範囲(0.1~10mg/L)で変わらなかった。 非臨床分布試験から、レテルモビルは、消化管、胆管及び肝臓の臓器並びに組織に高濃度に分布し、脳に低濃度に分布した。

16.4 代謝

外国人健康成人に、ラベル体で標識したレテルモビルを経口投与した際、血漿中レテルモビル関連物質の大部分は未変化体であり(96.6%)、主要代謝物は検出されなかった。レテルモビルは、UGT1A1/1A3を介したグルクロン酸抱合により、一部消失した。

16.5 排泄

母集団薬物動態解析から、日本人を含む成人同種造血幹細胞移植患者にレテルモビルを静脈内投与した際、レテルモビルの定常状態におけるクリアランスは、4.84L/hrと推定された。また、クリアランスの個体間変動は、24.6%と推定された。 外国人健康成人に、ラベル体で標識したレテルモビルを経口投与した際、総放射能の93.3%は糞中から回収された。レテルモビルは主に未変化体として糞中に排泄され、少量(6%)はアシルグルクロン酸抱合体として排泄された。また、レテルモビルの腎排泄は、わずかであった(2%未満)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害者

外国人成人腎機能障害者を対象とした臨床試験で、レテルモビルを1日1回8日間反復経口投与した際、成人腎機能正常者(推算糸球体濾過量が90mL/min/1.73m2以上)と比較して、レテルモビルのAUC0-24hrは、中等度(推算糸球体濾過量が30~59mL/min/1.73m2)の成人腎機能障害者では約1.9倍及び重度(推算糸球体濾過量が30mL/min/1.73m2未満)の成人腎機能障害者では約1.4倍高かった。 外国人成人腎移植患者における母集団薬物動態解析から、軽度(クレアチニンクリアランスが60mL/min以上90mL/min未満)、中等度(クレアチニンクリアランスが30mL/min以上60mL/min未満)及び重度(クレアチニンクリアランスが15mL/min以上30mL/min未満)の腎機能障害を有する成人被験者におけるレテルモビルのAUCは、クレアチニンクリアランスが90mL/min以上の成人被験者と比較してそれぞれ約1.1倍、1.3倍及び1.4倍高かったが、臨床的に意味はないと考えられた。

  1. 16.6.2肝機能障害者

外国人成人肝機能障害者に、レテルモビルを1日1回8日間反復経口投与した際、成人肝機能正常者と比較して、レテルモビルのAUC0-24hrは、Child-Pugh分類に基づく中等度(Child-Pugh B)の成人肝機能障害者では約1.6倍及びChild-Pugh分類に基づく重度(Child-Pugh C)の成人肝機能障害者では約3.8倍高かった。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1In vitro試験

In vitroデータから、レテルモビルは、OATP1B1/3、P-gp、BCRP、UGT1A1及びUGT1A3の基質であることが示唆された。また、レテルモビルは、CYP3Aの時間依存的な阻害作用又は誘導作用、CYP2C8の可逆的な阻害作用、CYP2B6の誘導作用を有することが示唆された。また、レテルモビルは、排出トランスポーターであるP-gp、BCRP、胆汁酸塩輸送ポンプ(BSEP)、多剤耐性関連蛋白(MRP2)、有機アニオントランスポーター(OAT3)及び肝取り込みトランスポーターであるOATP1B1/3の阻害作用を有することが示唆された。

  1. 16.7.2臨床薬物相互作用試験

健康成人を対象とした臨床薬物相互作用試験から得られた、レテルモビルの薬物動態に及ぼす併用薬の影響及び併用薬の薬物動態に及ぼすレテルモビルの影響についてそれぞれ表5及び表6に示す。

併用薬 併用薬の投与方法 レテルモビルの投与方法 例数 レテルモビルの薬物動態パラメータの幾何平均比
(併用時/非併用時)
(90%信頼区間)
AUC Cmax
抗真菌薬
フルコナゾール 400mg
単回
PO
480mg
単回
PO
14 1.11
(1.01, 1.23)
1.06
(0.93, 1.21)
イトラコナゾール 200mg
QD
PO
480mg
QD
PO
14 1.33
(1.17, 1.51)
1.21
(1.05, 1.39)
抗マイコバクテリア薬
リファンピシン 600mg
単回
PO
480mg
単回
PO
16 2.03
(1.84, 2.26)
1.59
(1.46, 1.74)
600mg
単回
IV
480mg
単回
PO
16 1.58
(1.38, 1.81)
1.37
(1.16, 1.61)
600mg
QD
PO注6)
480mg
QD
PO
14 0.81
(0.67, 0.98)
1.01
(0.79, 1.28)
600mg
QD
PO
(リファンピシン併用終了後24時間)注7)
480mg
QD
PO
14 0.15
(0.13, 0.17)
0.27
(0.22, 0.31)
免疫抑制薬
シクロスポリン注8) 200mg
単回
PO
240mg
QD
PO
12 2.11
(1.97, 2.26)
1.48
(1.33, 1.65)
ミコフェノール酸モフェチル 1g
単回
PO
480mg
QD
PO
14 1.18
(1.04, 1.32)
1.11
(0.92, 1.34)
タクロリムス 5mg
単回
PO
80mg
BID
PO注10)
14 1.02
(0.97, 1.07)
0.92
(0.84, 1.00)

外国人成人のデータ QD:1日1回投与、BID:1日2回投与、IV:静脈内投与、PO:経口投与、AUC:単回投与の場合はAUC0-∞、1日1回投与の場合はAUC0-24hr、1日2回投与の場合はAUC0-12hr

注6)投与後24時間の血漿中濃度(C24hr)の幾何平均比(90%信頼区間)は、0.14(0.11, 0.19)であった。

注7)リファンピシン最終投与から24時間経過後のリファンピシンがレテルモビルに及ぼす影響を示す。C24hrの幾何平均比(90%信頼区間)は、0.09(0.06, 0.12)であった。

注8)日本人成人のデータ

併用薬 併用薬の投与方法 レテルモビルの投与方法 例数 併用薬の薬物動態パラメータの幾何平均比
(併用時/非併用時)
(90%信頼区間)
AUC Cmax
CYP3A基質
ミダゾラム 1mg
単回
IV
240mg
QD
PO注10)
16 1.47
(1.37, 1.58)
1.05
(0.94, 1.17)
2mg
単回
PO
240mg
QD
PO注10)
16 2.25
(2.04, 2.48)注9)
1.72
(1.55, 1.92)
P-gp基質
ジゴキシン 0.5mg
単回
PO
240mg
BID
PO注10)
22 0.88
(0.80, 0.96)注9)
0.75
(0.63, 0.89)
免疫抑制薬
シクロスポリン 50mg
単回
PO
240mg
QD
PO
14 1.66
(1.51, 1.82)
1.08
(0.97, 1.19)
ミコフェノール酸モフェチル 1g
単回
PO
480mg
QD
PO
14 1.08
(0.97, 1.20)
0.96
(0.82, 1.12)
タクロリムス 5mg
単回
PO
480mg
QD
PO
13 2.42
(2.04, 2.88)
1.57
(1.32, 1.86)
シロリムス 2mg
単回
PO
480mg
QD
PO
13 3.40
(3.01, 3.85)
2.76
(2.48, 3.06)
抗真菌薬及び抗ウイルス薬
アシクロビル 400mg
単回
PO
480mg
QD
PO
13 1.02
(0.87, 1.20)
0.82
(0.71, 0.93)
フルコナゾール 400mg
単回
PO
480mg
単回
PO
14 1.03
(0.99, 1.08)
0.95
(0.92, 0.99)
イトラコナゾール 200mg
QD
PO
480mg
QD
PO
14 0.76
(0.71, 0.81)
0.84
(0.76, 0.92)
ポサコナゾール 300mg
単回
PO
480mg
QD
PO
13 0.98
(0.82, 1.17)
1.11
(0.95, 1.29)
ボリコナゾール 200mg
BID
PO
480mg
QD
PO
12 0.56
(0.51, 0.62)
0.61
(0.53, 0.71)
HMG-CoA還元酵素阻害剤
アトルバスタチン 20mg
単回
PO
480mg
QD
PO
14 3.29
(2.84, 3.82)
2.17
(1.76, 2.67)
経口避妊薬
エチニルエストラジオール/レボノルゲストレル 0.03mg
EE
単回
PO
480mg
QD
PO
22 1.42
(1.32, 1.52)
0.89
(0.83, 0.96)
0.15mg
LNG
単回
PO
22 1.36
(1.30, 1.43)
0.95
(0.86, 1.04)

外国人成人のデータ QD:1日1回投与、BID:1日2回投与、IV:静脈内投与、PO:経口投与、EE:エチニルエストラジオール、LNG:レボノルゲストレル、AUC:単回投与の場合はAUC0-∞、1日1回投与の場合はAUC0-24hr、1日2回投与の場合はAUC0-12hr

注9)AUC0-lastの比

  1. 16.7.3生理学的薬物速度論モデルによるシミュレーション

生理学的薬物速度論モデルによるシミュレーションにおいて、CYP3A基質であるエベロリムス2mgを単独投与したときに対し、レテルモビル480mgとの併用時では、エベロリムスのAUCは2.5倍に増加すると推定された2)。

注10)本剤の用法・用量は、成人にはレテルモビルとして1日1回480mgを経口投与である。なお、シクロスポリンを併用投与する場合には、1日1回240mgを経口投与である。