Clinical snapshot

ブデソニド吸入液0.5mg「武田テバ」

ブデソニド吸入用懸濁剤

添付文書改訂 2025年09月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者[症状を増悪するおそれがある。]

  2. 2.2本剤の成分に対して過敏症(接触性皮膚炎を含む)の既往歴のある患者

効能・効果

気管支喘息

用法・用量

通常、成人にはブデソニドとして0.5mgを1日2回または1mgを1日1回、ネブライザーを用いて吸入投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日の最高量は2mgまでとする。 通常、小児にはブデソニドとして0.25mgを1日2回または0.5mgを1日1回、ネブライザーを用いて吸入投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日の最高量は1mgまでとする。

使用上の注意

  1. 8.1本剤は気管支拡張剤並びに全身性ステロイド剤のように既に起きている発作を速やかに軽減する薬剤ではないので、毎日規則正しく使用すること。なお、通常本剤の効果は投与開始から2~8日で認められ、最大効果は4~6週間の継続投与で得られる。

  2. 8.2本剤の投与期間中に発現する急性の発作に対しては、短時間作用性気管支拡張剤等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。また、その薬剤の使用量が増加したり、効果が十分でなくなってきた場合には、喘息の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し治療を求めるように患者に注意を与えると共に、そのような状態がみられた場合には、生命を脅かす可能性があるので、本剤の増量あるいは気管支拡張剤・全身性ステロイド剤を短期間併用し、症状の軽減に合わせて併用薬剤を徐々に減量すること。

  3. 8.3喘息患者において、感染を伴う喘息症状の増悪がみられた場合には、ステロイド療法の強化と感染症の治療を考慮すること。

  4. 8.4本剤の投与を突然中止すると喘息の急激な悪化を起こすことがあるので、投与を中止する場合には患者の喘息症状を観察しながら徐々に減量すること。

  5. 8.5全身性ステロイド剤と比較して可能性は低いが、本剤の高用量を長期間投与する場合には、副腎皮質機能低下等の全身作用が発現する可能性があるので、定期的に検査を行うことが望ましい。また、異常が認められた場合には、患者の喘息症状を観察しながら徐々に減量するなど適切な処置を行うこと。

  6. 8.6全身性ステロイド剤の減量は本剤吸入開始後症状の安定をみて徐々に行うこと。減量にあたっては一般のステロイド剤の減量法に準ずる。

  7. 8.7本剤を含む吸入ステロイド剤投与後に、潜在していた基礎疾患である好酸球性多発血管炎性肉芽腫症にみられる好酸球増多症がまれにあらわれることがある。この症状は通常、全身性ステロイド剤の減量並びに離脱に伴って発現しており、本剤との直接的な因果関係は確立されていない。本剤の投与期間中は、好酸球数の推移や、他の好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の症状(しびれ、発熱、関節痛、肺の浸潤等の血管炎症状等)に注意すること。

  8. 8.8全身性ステロイド剤の減量並びに離脱に伴って、鼻炎、湿疹、蕁麻疹、眩暈、動悸、倦怠感、顔のほてり、結膜炎等の症状が発現・増悪することがあるので、このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1結核性疾患の患者

症状を増悪するおそれがある。

  1. 9.1.2感染症(有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症を除く)の患者

症状を増悪するおそれがある。

  1. 9.1.3気管支粘液の分泌が著しい患者

本剤の肺内での作用を確実にするため本剤の吸入に先立って、分泌がある程度減少するまで他剤を使用することが望ましい。

  1. 9.1.4長期又は大量の全身性ステロイド療法を受けている患者

全身性ステロイド剤の減量中並びに離脱後も副腎皮質機能検査を行い、外傷、手術、重症感染症等の侵襲には十分に注意を払うこと。また、必要があれば一時的に全身性ステロイド剤の増量を行うこと。これらの患者では副腎皮質機能不全となっていることが考えられる。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度な肝機能障害のある乳幼児患者

本剤は主に肝臓で代謝されるため血中濃度が上昇する可能性がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で催奇形作用が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。海外で実施された授乳中の喘息患者の本剤の乳汁移行を検討した臨床薬理試験において、ブデソニドは乳汁中に移行することが認められた1)。

9.7 小児等

  1. 9.7.1国内において、低出生体重児、新生児、6ヵ月未満の乳児に対する臨床試験は実施していない。

  2. 9.7.2全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、吸入ステロイド剤の投与により小児の成長遅延をきたすおそれがある。本剤を長期にわたり投与する場合には、身長等の経過の観察を十分に行うこと。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

  • 本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• CYP3A4阻害剤• イトラコナゾール等 副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様の症状があらわれる可能性がある。 CYP3A4による本剤の代謝が阻害されることにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
うつ病 1%未満
不眠 1%未満
口腔カンジダ症 1〜5%未満
味覚異常 頻度不明
咳嗽 1%未満
咽喉頭症状(刺激感 1〜5%未満
嗄声 1%未満
悪心 1%未満
感染 1%未満
接触性皮膚炎 1%未満
気管支痙攣注1) 頻度不明
疼痛) 1〜5%未満
発疹 1%未満
皮膚挫傷 1%未満
神経過敏 1%未満
落ち着きのなさ 1〜5%未満
蕁麻疹 1%未満
血管浮腫等の過敏症状 1%未満
行動障害 1%未満
鼻出血 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ブデソニドは、特有の動態学的特性を示す糖質コルチコイドである18)。吸入ブデソニドは、主に気道組織内で可逆的脂肪酸エステル化を受けるが、この特性はブデソニドの持続的な局所組織結合及び抗炎症作用に寄与すると考えられる19)。

18.2 喘息抑制作用

  1. 18.2.1ブデソニドは、喘息モデルへの吸入投与により、即時型及び遅発型喘息反応(ヒツジ20))並びにアセチルコリン(イヌ21))及びセロトニン(ラット22))吸入刺激による気道過敏反応をそれぞれ抑制した。

  2. 18.2.2外国人の成人気管支喘息患者を対象とした臨床薬理試験において、ブデソニド(1日用量1000μg、加圧式定量噴霧式吸入器)の吸入投与により、即時型及び遅発型喘息反応23)を抑制した。また、1日用量1600μgをドライパウダー用吸入器によって吸入投与したとき、メタコリン、メタ重亜硫酸ナトリウム及び5'-AMPによる気道収縮反応24)を抑制した。更に、ブデソニド(1日用量1200μg、定量噴霧式吸入器)の吸入投与により、気道上皮病変の改善25)並びに治療開始後1年以内に気道過敏反応性の改善26)が認められた。同様に、外国人の小児気管支喘息患者において、ヒスタミンPD20(FEV1(1秒率:努力肺活量のうち、呼出開始のはじめ1秒間に呼出される量)を20%低下させるヒスタミン吸入誘発量)にて測定した気道過敏性は、ブデソニド(1日用量600μg、定量噴霧式吸入器)による吸入投与で、22ヵ月間継続して改善が認められた27)。

18.3 抗炎症作用

  1. 18.3.1ブデソニドは、in vitro試験系において、喘息の肺気道炎症反応で重要な役割を果たす各種炎症性メディエーターの産生及び遊離を抑制した28)。また、ブデソニドは、各種動物モデルにおいて、吸入又は気管内投与により、気道内好酸球数増加21),29)、血管透過性亢進30)、炎症性肺浮腫形成31)及び気道粘液繊毛輸送能低下32)に対して抑制作用を示した。

  2. 18.3.2ブデソニドは、外国人健康成人の皮膚血管収縮試験(皮膚蒼白度を指標)において、ベクロメタゾンプロピオン酸エステルの約2倍の局所抗炎症作用を示した33)。また、外国人の成人気管支喘息患者への吸入投与により、気道上皮における好酸球及びリンパ球等の炎症細胞を減少させた25)。

  3. 18.3.3ラットにおいて、吸入ブデソニドは気道組織の細胞内で不活性な脂肪酸エステルを生成し、不活性なエステル体は気道内局所に長時間保持され18),19)、細胞内リパーゼの作用によって活性なブデソニドが徐々に遊離され、持続的な局所抗炎症作用を示した34),35),36)。

18.4 全身への影響

  1. 18.4.1ブデソニドは、モルモット、マウスなどの動物モデルにおいて、ベクロメタゾンプロピオン酸エステルに比して、局所投与時の抗炎症作用が強く、下垂体-副腎機能抑制を含む全身作用は弱かった37)。

  2. 18.4.2外国人成人気管支喘息患者にドライパウダー用定量吸入器を用いて1日用量1600μgを6週間吸入投与しても下垂体-副腎機能に影響を与えなかった38)。

  3. 18.4.3外国人の小児気管支喘息患者(7~15歳)を対象とした臨床薬理試験において、ブデソニド又はベクロメタゾンプロピオン酸エステルとして200μg、400μg又は800μgを漸増法により定量噴霧吸入器を介して各4週間連続して吸入投与したとき、ベクロメタゾンプロピオン酸エステルでは24時間尿中コルチゾール排泄の用量依存的な抑制がみられたが、ブデソニドではみられなかった39)。ブデソニド吸入懸濁液を外国人小児気管支喘息患者(6ヵ月~8歳)に1日1.0mgまで12週間吸入投与したとき、下垂体-副腎機能に影響を及ぼさなかった40) 。 また、外国人小児気管支喘息患者(5~16歳)において、喘息の重篤度に応じて調整した用量のブデソニド(平均用量504μg)を3~6年間、加圧式定量噴霧吸入器又はドライパウダー用定量吸入器を介して吸入投与したとき、非ステロイド療法を受けた対照群に比較して、X-線吸光光度法によって測定した骨塩量に影響はみられなかった41)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1血漿中濃度

外国人の成人気管支喘息患者にブデソニド吸入用懸濁液1mgを1日2回ネブライザー注)より吸入投与したとき、血漿中ブデソニド濃度は吸入開始後、約40分で最高濃度に達し、その後速やかに消失した。定常状態における薬物動態パラメータを以下に示す9)。

AUC
(nmol・h/L)
Cmax
(nmol/L)
Tmax
(min)
T1/2
(h)
5.98(72.6) 1.97(70.9) 39.9(13.9) 3.89(30.9)

22例の幾何平均値(%CV)、但しTmaxは算術平均値(SD)

外国人の小児気管支喘息患者(3~6歳、n=10)にブデソニド吸入用懸濁液1mgをネブライザー注)より単回吸入投与したとき、血漿中ブデソニド濃度は速やかに最高濃度に達した。AUCは4.6nmol・h/L、終末相の半減期は2.3時間であり、これらは外国人成人に同量を吸入投与したときの薬物動態パラメータと同様の値を示した。外国人の小児気管支喘息患者(3~6歳)における全身の利用率は約6%であった。外国人の小児気管支喘息患者(3~6歳)における定常状態の分布容積は3L/kgであり、外国人健康成人と顕著な違いはなかった10)。 注)パリ・マスター・ネブライザーシステム(パリLCプラスネブライザー及びパリ・マスター・コンプレッサーの組み合わせ)を用いて投与

16.3 分布

  • in vitro試験において、ヒト血漿蛋白質との結合率は、1~100nmol/Lの濃度範囲で約90%であった11)。

16.4 代謝

  • 3H標識ブデソニドを静脈内投与したとき、尿中に未変化体は検出されなかった12)。 ブデソニドの主要代謝物は、16α-ヒドロキシプレドニゾロン及び6β-ヒドロキシブデソニドであり、これらの主要代謝物の糖質コルチコイド活性は未変化体の1%以下であった13)。代謝にはチトクロームP450のCYP3A4が関与する14)。

16.5 排泄

*外国人の健康成人男子に3H標識ブデソニド100μgを静脈内投与したとき、96時間までに投与量の57%が尿中に、34%が糞中に排泄された11)。

16.7 薬物相互作用

外国人の健康成人にブデソニド3mg(カプセル剤)とケトコナゾール200mgを併用経口投与したとき、ブデソニドの平均AUCはブデソニド単剤投与時に比べて6.8倍上昇した15)。また、ブデソニド1000μg(加圧式定量噴霧吸入器)を吸入時にイトラコナゾール200mgを経口投与したとき、ブデソニドの平均AUCはブデソニド単剤投与時に比べて4.2倍上昇した16)。