Clinical snapshot

フルダラ静注用50mg

フルダラビンリン酸エステル点滴静注用

添付文書改訂 2023年07月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。 同種造血幹細胞移植の前治療として本剤を使用する場合には、同種造血幹細胞移植に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、適切と判断される症例についてのみ投与すること。

  2. 1.2骨髄抑制により感染症又は出血傾向等の重篤な副作用が増悪又は発現することがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  3. 1.3遷延性のリンパ球減少により、重症の免疫不全が増悪又は発現する可能性があるので、頻回に臨床検査(血液検査等)を行うなど、免疫不全の徴候について綿密な検査を行うこと。

  4. 1.4致命的な自己免疫性溶血性貧血が報告されているので、自己免疫性溶血性貧血の既往歴の有無、クームス試験の結果に拘わらず、溶血性貧血の徴候について綿密な検査を行うこと。

  5. 1.5放射線非照射血の輸血により移植片対宿主病(GVHD:graft versus host disease)があらわれることがあるので、本剤による治療中又は治療後の患者で輸血を必要とする場合は、照射処理された血液を輸血すること。

  6. 1.6ペントスタチンとの併用により致命的な肺毒性が報告されているので併用しないこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な腎障害のある患者(クレアチニンクリアランス〈24時間蓄尿により測定〉が30mL/分未満の患者)

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  3. 2.3ペントスタチンを投与中の患者

  4. 2.4フルダラビンリン酸エステルにより溶血性貧血を起こしたことのある患者[重篤な溶血性貧血を起こすおそれがある。]

  5. 2.5本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  6. 2.6重症感染症を合併している患者[特に同種造血幹細胞移植の前治療に本剤を投与する場合は、感染症が増悪し致命的となることがある。]

効能・効果

  • 貧血又は血小板減少症を伴う慢性リンパ性白血病

  • 再発又は難治性の下記疾患

  • *低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫 マントル細胞リンパ腫 急性骨髄性白血病

  • 下記疾患における同種造血幹細胞移植の前治療

  • 急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫

  • 腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置

用法・用量

  • 〈貧血又は血小板減少症を伴う慢性リンパ性白血病、再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫〉

通常、成人にはフルダラビンリン酸エステルとして、1日量20mg/m2(体表面積)を5日間連日点滴静注(約30分)し、23日間休薬する。これを1クールとし、投薬を繰り返す。 なお、患者の状態により適宜増減する。

  • 〈同種造血幹細胞移植の前治療〉

フルダラビンリン酸エステルとして、1日量30mg/m2(体表面積)を6日間連日点滴静注(約30分)する。なお、患者の状態により、投与量及び投与日数は適宜減ずる。

  • 〈腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置〉

再生医療等製品の用法及び用量又は使用方法に基づき使用する。

  • 〈再発又は難治性の急性骨髄性白血病〉

*他の抗悪性腫瘍剤等との併用において、通常、フルダラビンリン酸エステルとして、1日量30mg/m2(体表面積)を5日間連日点滴静注(約30分)する。なお、患者の状態により、投与量及び投与日数は適宜減ずる。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1骨髄抑制により感染症又は出血傾向等の重篤な副作用が増悪又は発現することがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うこと。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。

  2. 8.2遷延性のリンパ球減少(特にCD4陽性リンパ球の減少)により、重症の免疫不全が増悪又は発現する可能性があるので、頻回に臨床検査(血液検査等)を行うなど、免疫不全の徴候について綿密な検査を行うこと。カンジダ等の真菌、サイトメガロウイルス等のウイルス、ニューモシスチス・カリニ等による重症日和見感染に注意すること。また、日和見感染の発現を抑制するため、あらかじめ適切な措置を講ずること。

  3. 8.3本剤の投与により、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎又は劇症肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。

  • 〈同種造血幹細胞移植の前治療〉
  1. 8.4本剤を用いる際には、患者の状態及び臓器機能(心、肺、肝、腎等)を十分検討し、同種造血幹細胞移植を実施可能と判断される患者にのみ投与し、以下の事項について特に注意すること。

  2. 8.4.1本剤の投与後は患者の状態を十分に観察し、致命的な感染症の発現を抑制するため、抗菌剤投与等の感染症対策を行い、適切な無菌管理を行うこと。

  3. 8.4.2本剤の投与後は輸血及び造血因子の投与等適切な支持療法を行うこと。

  • 〈再発又は難治性の急性骨髄性白血病〉
  1. 8.5*本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:フルダラビンリン酸エステル(再発又は難治性の急性骨髄性白血病)」等)を熟読すること1) 。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1感染症を合併している患者

骨髄抑制により感染症が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.2B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)

B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎又は劇症肝炎があらわれることがある。B型肝炎ウイルス増殖の徴候や症状の発現に注意すること。本剤の治療期間中及び治療終了後は継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うこと。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎障害のある患者(クレアチニンクリアランス〈24時間蓄尿により測定〉が30mL/分未満の患者)

投与しないこと。本剤は腎から排泄されるので、排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれがある。

  1. 9.2.2腎機能が低下している患者(クレアチニンクリアランスが30~70mL/分の患者)

副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

症状を悪化させるおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1生殖可能な年齢の患者に投与する場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

  2. **9.4.2妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

  3. **9.4.3男性には、本剤投与中及び最終投与後95日間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。胎児毒性及び催奇形性が報告されている。また、妊娠中に本剤の投与を受けた患者で奇形を有する児を出産したとの報告がある。

9.6 授乳婦

授乳を避けさせること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。

9.7 小児等

  • 〈慢性リンパ性白血病、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫及び同種造血幹細胞移植の前治療〉

*小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

本剤投与前に患者の状態及び臓器機能を十分検討し確認すること。投与開始後は、患者の状態を慎重に観察すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ペントスタチン
(コホリン)
致命的な肺毒性が発現することがある。 機序は不明

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
シタラビン 骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがある。 in vivo試験及びin vitro試験において、シタラビンの活性代謝物であるara-CTPの細胞内濃度の上昇が認められている。
他の抗悪性腫瘍剤 骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがある。 ともに骨髄抑制作用を有する。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP上昇 1〜5%未満
ALT上昇 5%以上
AST上昇 5%以上
BUN上昇 5%以上
CRP上昇 頻度不明
LDH上昇 5%以上
γ-GTP上昇 1〜5%未満
アレルギー性鼻炎 頻度不明
インフルエンザ様症状 頻度不明
ウロビリン尿 頻度不明
クレアチニン上昇 1〜5%未満
めまい 頻度不明
上気道炎 頻度不明
下垂手 頻度不明
下痢 頻度不明
下肢知覚異常 1〜5%未満
不整脈 1〜5%未満
不眠 頻度不明
代謝性アシドーシス 頻度不明
低カルシウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
低酸素(症) 1〜5%未満
体重減少 1〜5%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 頻度不明
動悸 頻度不明
口内炎 頻度不明
口唇疱疹 1〜5%未満
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 1〜5%未満
呼吸障害 1〜5%未満
1〜5%未満
咽頭炎 頻度不明
喘鳴 1〜5%未満
嘔吐 5%以上
四肢痛 頻度不明
多汗 頻度不明
尿中結晶 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 5%以上
感覚減退(しびれ) 頻度不明
手指感覚異常 1〜5%未満
末梢性浮腫 頻度不明
水痘 1〜5%未満
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
潮紅 頻度不明
無力症 頻度不明
疲労 5%以上
疼痛 1〜5%未満
発熱 5%以上
発疹 頻度不明
皮膚そう痒症 1〜5%未満
神経痛 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
粘膜障害 頻度不明
総ビリルビン上昇 5%以上
胃部不快感 頻度不明
脈拍数増加 1〜5%未満
脱力感 5%以上
腰痛 頻度不明
腹痛 頻度不明
膵酵素変化 頻度不明
蛋白尿 5%以上
血清アルブミン低下 1〜5%未満
血清総蛋白減少 1〜5%未満
表皮剥離 頻度不明
視力障害 頻度不明
視神経炎 頻度不明
視神経障害 頻度不明
錯感覚 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲不振 頻度不明
高カリウム血症 頻度不明
高リン酸血症 頻度不明
高尿酸血症 頻度不明
黄疸 1〜5%未満
鼻咽頭炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼなどを阻害し、DNA及びRNA合成並びにDNA修復を阻害することにより、増殖細胞及び静止細胞のいずれにも抗腫瘍効果を発揮する。また、リンパ球減少に伴う免疫抑制作用を有する8),9),10),11),12),13) 。

18.2 抗腫瘍効果

種々の培養ヒト白血病細胞株を用いた腫瘍選択性試験において、骨髄性白血病細胞に比べ慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病及び成人T細胞白血病・リンパ腫細胞で強い増殖阻害作用を示した14) 。非ホジキンリンパ腫については、患者由来細胞及び株化細胞に対して増殖抑制作用を示し、マントル細胞リンパ腫患者から採取した細胞においてアポトーシス増強作用を示した15),16),17) (in vitro)。 マウスL1210白血病細胞又はヒトJOK-1白血病細胞を腹腔内移植したマウスにおいて、静脈内投与(L1210、JOK-1)、経口投与(JOK-1)ともに延命効果を示した18),19),20) (in vivo)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与及び反復投与

日本人の慢性リンパ性白血病(CLL)及び成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)患者に本剤15、20、25mg/m2注3) を1日1回30分点滴静注5日間連日投与したとき、投与1日目の血漿中代謝物(2F-ara-A)濃度は半減期0.6〜0.8時間及び11〜20時間の2相性で消失した。最高血漿中濃度及びAUCは用量依存的に増加した。また、投与5日目のAUCは1日目の約2倍に増加した2) 。

米国人白血病患者に本剤20〜125mg/m2注3) を30分点滴静注したとき、白血病細胞内の活性代謝物(2F-ara-ATP)濃度は投与3.5時間後に最高値を示した後、半減期14〜15時間で消失した3) 。

16.3 分布

  1. 16.3.1蛋白結合率

最終添加濃度0.2〜5μg/mLでの2F-ara-Aのヒト血漿との蛋白結合率は19.3〜29.4%であり、濃度によらずほぼ一定であった4) 。また、2F-ara-A(最終添加濃度0.285μg/mL)のヒト血清アルブミンとの結合率は9.1%であった5) (in vitro)。

16.4 代謝

本剤は静脈内投与後血液中で速やかに2F-ara-Aに代謝される(マウス、イヌ)。

16.5 排泄

本剤は静脈内投与後血液中で速やかに2F-ara-Aに代謝され、2F-ara-Aとして主に尿中に排泄される(マウス、イヌ)。 日本人のCLL及びATL患者に本剤15、20、25mg/m2注3) を1日1回30分点滴静注5日間連日投与したとき、投与1日後までに投与量の29〜42%が2F-ara-Aとして尿中に排泄された。また、5日間連日投与したとき、2F-ara-Aの尿中排泄率は1日当りの投与量の29〜64%であった2) 。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能低下患者(米国人癌患者、血清クレアチニン濃度≧1.5mg/dL又はクレアチニンクリアランス<70mL/分)に本剤80〜260mg/m2注3) を単回静脈内投与したとき、血漿中2F-ara-A濃度の全身クリアランスは腎機能の正常な患者に比して低下した6) 。さらに、腎機能低下患者(米国人白血病患者、クレアチニンクリアランス<70mL/分)に5日間連日点滴静注したとき、血漿中2F-ara-A濃度の全身クリアランスとクレアチニンクリアランスには正の相関関係が認められた。また、AUCは、腎機能低下度がより大きい患者では腎機能の正常な患者に比して最大約2倍まで増加した7) 。

注3)本剤の慢性リンパ性白血病、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫に対する承認用量は1日量20mg/m2(体表面積)である。