Clinical snapshot

フォルテオ皮下注キット600μg

テリパラチド(遺伝子組換え)注射剤

添付文書改訂 2025年11月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1高カルシウム血症の患者

  2. 2.2次に掲げる骨肉腫発生のリスクが高いと考えられる患者

  • 骨ページェット病の患者

  • 原因不明のアルカリフォスファターゼ高値を示す患者

  • 小児等及び若年者で骨端線が閉じていない患者

  • 過去に骨への影響が考えられる放射線治療を受けた患者

  1. 2.3原発性の悪性骨腫瘍もしくは転移性骨腫瘍のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.4骨粗鬆症以外の代謝性骨疾患の患者(副甲状腺機能亢進症等)[症状を悪化させるおそれがある。]

  3. 2.5妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦

  4. 2.6本剤の成分又はテリパラチド酢酸塩に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

骨折の危険性の高い骨粗鬆症

用法・用量

通常、成人には1日1回テリパラチド(遺伝子組換え)として20μgを皮下に注射する。 なお、本剤の投与は24ヵ月間までとすること。

使用上の注意

  1. 8.1本剤投与直後から数時間後にかけて、ショック、一過性の急激な血圧低下に伴う意識消失、痙攣、転倒があらわれることがある。投与開始後数ヵ月以上を経て初めて発現することもあるので、本剤投与時には以下の点に留意するよう患者に指導すること。
  • 投与後30分程度はできる限り安静にすること。

  • 投与後に血圧低下、めまい、立ちくらみ、動悸、気分不良、悪心、顔面蒼白、冷汗等が生じた場合には、症状がおさまるまで座るか横になること。

  1. 8.2本剤の薬理作用により、投与後約4から6時間を最大として一過性の血清カルシウム値上昇がみられる。また、血清カルシウム値は投与後16時間でほぼ基準値まで下降することが知られているため、本剤投与患者における血清カルシウム値を測定評価する場合は、本剤投与後16時間以降の測定値を評価基準とすること。本剤の投与にあたっては、患者に十分な説明を行い、特に、嘔気・嘔吐、便秘、嗜眠及び筋力低下等の持続性の血清カルシウム値上昇が疑われる症状が認められた場合は、速やかに診察を受けるように指導すること。持続性高カルシウム血症の診断は、血清カルシウム値と測定時点を考慮し、持続性高カルシウム血症と判断された場合は、本剤の投与を中止すること。

  2. 8.3起立性低血圧、めまいがあらわれることがあるので、高所での作業、自動車の運転等危険を伴う作業に従事する場合には注意させること。

  3. 8.4本剤の自己注射にあたっては、患者に十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。添付されている取扱説明書を必ず読むよう指導すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1尿路結石のある患者及びその既往歴のある患者

症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2心疾患のある患者

患者の状態を観察し、病態の悪化がないか注意しながら本剤を投与すること。副甲状腺ホルモンは血管平滑筋の拡張作用や心筋への陽性変時・陽性変力作用を示すことが報告されている。

  1. 9.1.3閉経前の骨粗鬆症患者

ステロイド性骨粗鬆症以外の閉経前骨粗鬆症患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない1)。

9.2 腎機能障害患者

定期的に腎機能検査を行うこと。

  1. 9.2.1重度の腎機能障害患者

外国の臨床薬理試験において、重度の腎機能障害患者では血中からのテリパラチドの消失に遅延が認められている。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害患者

臨床試験では重度の肝機能障害患者は除外されている。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与期間中は有効な避妊を行うよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ウサギでは妊娠によって毒性が強く発現するとともに胎児毒性(胚死亡)がみられ、マウスでは胎児の骨格変異又は異常のわずかな増加、ラットでは出生児の体重増加抑制及び自発運動量の低下が認められている。

9.6 授乳婦

投与しないこと。本剤がヒト乳汁中へ移行するかどうかは不明である。

9.7 小児等

小児等及び若年者で骨端線が閉じていない患者には投与しないこと。小児等を対象とした臨床試験は実施していないが、これらの患者では、一般に骨肉腫発生のリスクが高いと考えられている。

9.8 高齢者

一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 活性型ビタミンD製剤• カルシトリオール
• マキサカルシトール
• ファレカルシトリオール
• エルデカルシトール等
血清カルシウム値が上昇するおそれがあるため、併用は避けることが望ましい。 相加作用による。
• アルファカルシドール 血清カルシウム値が上昇することがある2)。 相加作用による。
• ジギタリス製剤• ジゴキシン等 高カルシウム血症に伴う不整脈があらわれることがある。 血清カルシウム値が上昇すると、ジギタリスの作用が増強される。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP上昇 1〜5%未満
ALT上昇 1%未満
γ-GTP上昇) 1%未満
そう痒感 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ほてり 頻度不明
上腹部痛 1〜5%未満
体位性めまい 1%未満
倦怠感 頻度不明
傾眠 1%未満
全身性蕁麻疹 頻度不明
動悸 1%未満
口渇 1%未満
口腔粘膜浮腫 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
嘔吐 1%未満
四肢痛 頻度不明
変色 頻度不明
心電図ST部分下降 頻度不明
心電図T波振幅減少 頻度不明
悪心 1〜5%未満
注射部位反応(紅斑 頻度不明
浮動性めまい 1%未満
熱感 頻度不明
疼痛 頻度不明
痙攣 頻度不明
発疹 1%未満
白血球数増加 1%未満
硬結 頻度不明
神経過敏 頻度不明
筋痙縮 1%未満
筋肉痛 頻度不明
紅斑 頻度不明
結膜出血 1%未満
肝機能異常(AST上昇 1%未満
胃炎 頻度不明
背部痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
脱力感 1%未満
腎結石症 1%未満
腫脹等) 頻度不明
腹部不快感 1%未満
血中カリウム上昇 1%未満
血中クレアチニン上昇 1〜5%未満
血中尿素上昇 1〜5%未満
血中尿酸上昇 1〜5%未満
血圧低下 1%未満
血腫 頻度不明
関節炎 頻度不明
関節痛 頻度不明
頭痛 1〜5%未満
頻尿 頻度不明
顔面浮腫 頻度不明
食欲不振 頻度不明
高カルシウム血症 頻度不明
高尿酸血症 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  • テリパラチドは内因性のヒト副甲状腺ホルモンのN末端フラグメントであり、34個のアミノ酸で構成されている。1日1回の投与頻度で間欠的に投与すると、主として以下の作用により、骨梁並びに皮質骨の内膜及び外膜面において骨芽細胞機能が活性化され、破骨細胞機能を上回るため、骨新生が誘発される13),14)。

  • 前駆細胞から骨芽細胞への分化を促進する。

  • 骨芽細胞のアポトーシスを抑制する。

  • 一方、テリパラチドを持続的に皮下投与すると、骨吸収が骨形成を上回るため、結果として骨量減少が生じる。

18.2 骨密度及び骨強度に対する作用

卵巣切除雌ラットに本剤8又は40μg/kg/日を6ヵ月間あるいは1年間反復皮下投与した結果、海綿骨が豊富な部位(腰椎骨等)で骨量及び骨強度が顕著に増加した15)。また、皮質骨でも骨量及び骨強度が増加した。卵巣切除雌サルに本剤を18ヵ月間反復皮下投与した結果、1又は5μg/kg/日で海綿骨の骨形成が亢進し、海綿骨が豊富な椎骨及び大腿骨頸部で骨量の増加、骨構造の改善又は骨強度の増強が認められた。また、皮質骨では5μg/kg/日で骨形成が亢進し、皮質骨面積が増加していた16)。

18.3 骨質に対する作用

卵巣切除雌ラットに本剤8又は40μg/kg/日を6ヵ月間反復皮下投与した結果、海綿骨の結合性あるいは骨質に関連するパラメータに改善が認められた15)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人閉経後健康女性18例にテリパラチド10、20、40、60μgを単回皮下投与注1)したときの血清中テリパラチド濃度は、投与0.25時間(tmaxの中央値)にピークに達した後、速やかに消失した。消失半減期は1時間未満であった3)。

AUC0-t(pg・
hr/mL)a)
Cmax(pg/mL)a) tmax(hr)b) t1/2(hr)c)
222(53.0) 227(35.7) 0.25(0.25-0.75) 0.708(0.479-1.21)

a)幾何平均値(CV%):n=18 b)中央値(範囲):n=18 c)幾何平均値(範囲):n=17

外国人健康成人22例(男性11例、女性11例)にテリパラチド20μgを単回皮下投与したときのAUC0-∞及びCmaxは、男性被験者でそれぞれ229pg・hr/mL及び112.7pg/mLであり、女性被験者ではそれぞれ281pg・hr/mL及び125.7pg/mLであった4)。

  1. 16.1.2反復投与

外国人閉経後健康女性24例にテリパラチド40μgを14日間1日1回反復皮下投与注1)したとき、投与1日目(18例)及び14日目(16例)のCmaxはそれぞれ479pg/mL、438pg/mL、投与後2.5時間までのAUCはそれぞれ802pg・hr/mL、767pg・hr/mLであり、蓄積性は認められなかった5)。 第II相臨床試験でテリパラチド10、20又は40μgを投与注1)された日本人閉経後骨粗鬆症患者94例から得た血清中テリパラチド濃度データを用いて、母集団薬物動態解析により薬物動態パラメータを推定した6)。テリパラチド20μgを皮下投与したときのAUC及びCmaxはそれぞれ373.7pg・hr/mL及び229.5pg/mLと推定された。体重はテリパラチドの薬物動態に有意な影響を及ぼすと推定され、体重が増加するに従いCmaxは低下すると予測された。

パラメータ 母集団パラメータ推定値 個体間変動
吸収速度定数 Ka (hr-1) 17.5
見かけのクリアランス CL/F (L/hr) 54.3 28.9%
見かけの分布容積 V/F (L) 80.1 36.5%
V/Fに対する体重の影響a) 1.62
CL/FとV/Fの相互作用の項 0.0606
残差変動(比例誤差) 25.9%

a)V/F = 80.1×(体重/47.4)1.62、47.4は解析対象患者における体重の中央値

図1)日本人閉経後骨粗鬆症患者にテリパラチド20μgを皮下投与したときの血清中テリパラチド濃度推移の予測

16.2 吸収

外国人健康成人22例(男性11例、女性11例)にテリパラチド20、40及び80μgを単回皮下投与注1)、並びに17.54μgを単回静脈内投与注1)したときの血清中テリパラチド濃度を用い、母集団薬物動態解析により推定したテリパラチドを皮下投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは、約95%であった4)。また、外国人骨粗鬆症患者360例(女性)及び251例(男性)を対象とした母集団薬物動態解析により投与部位による違いを検討した結果、腹部に皮下注射するときに比べ、大腿部に皮下注射したときにCmaxが約15~20%低下すると推定されたが、CL/Fに投与部位による有意な差は認められず、AUCに差はないと推測された7),8)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1心不全の患者

軽度及び中等度の心不全注2)を有する外国人患者13例(男性5例、女性8例)にテリパラチド20μgを皮下投与したときのCmaxは118.9pg/mL、AUC0-tは135.9pg・hr/mLであった9)。

  1. 16.6.2腎機能障害患者

外国人の軽度及び中等度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:31~75mL/min)12例(男性7例、女性5例)にテリパラチド40μgを単回皮下投与注1)したときのCmaxは228.6pg/mL、AUC0-tは326.6pg・hr/mL及びt1/2は1.18hrであり、腎機能が正常な被験者(クレアチニンクリアランス:90mL/min以上)9例(男性5例、女性4例)のCmax(222.8pg/mL)、AUC0-t(321.7pg・hr/mL)及びt1/2(1.14hr)と同様であった。一方、重度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:30mL/min以下)5例(男性3例、女性2例)にテリパラチド40μgを単回皮下投与注1)したときのCmaxは227.7pg/mL、AUC0-tは555.8pg・hr/mL及びt1/2は2.02hrであり、腎機能が正常な被験者と比べてAUC0-t及びt1/2はそれぞれ73%、77%増加した10)。

注1)本剤の承認された用法及び用量は「テリパラチド(遺伝子組換え)として1日1回20μg皮下投与」である。

注2)ニューヨーク心臓協会(NYHA; New York Heart Association)心機能分類のクラス1~3