Clinical snapshot

ファンギゾン注射用50mg

アムホテリシンB

添付文書改訂 2024年07月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2白血球を輸注中の患者

効能・効果

  • 〈有効菌種〉

アスペルギルス、カンジダ、ムコール、クリプトコッカス、ブラストマイセス、ヒストプラズマ、コクシジオイデス、ホルモデンドラム、ヒアロホーラ、ホルミシチウム

  • 〈適応症〉

上記真菌による深在性感染症

用法・用量

  • 〈静注〉

(調製法)本品1バイアル(50mg)中に注射用水又は5%ブドウ糖注射液10mLを加えて溶かし、溶液が透明になるまでゆっくりと振盪する。この溶解液(アムホテリシンB 5mg/mL)をさらに5%ブドウ糖注射液で500mL以上に希釈(アムホテリシンB 0.1mg/mL以下の濃度)して使用する。通常、成人に対しては、1日体重1kg当りアムホテリシンB 0.25mg(力価)より開始し、次回より症状を観察しながら漸増し、1日量として体重1kg当り0.5mg(力価)を点滴静注するが、投与量は1日体重1kg当り1mg(力価)又は隔日体重1kg当り1.5mg(力価)までとする。副作用の発現のため投与困難な場合には、初回量は1日1mg(力価)より開始し、症状を観察しながら漸増し、1日総量50mg(力価)までを連日又は隔日1回点滴静注する。点滴静注は3~6時間以上かけて徐々に行う。患者の症状、状態に応じて適宜用量を調節する。

  • 〈気管内注入〉

本品1バイアル(50mg)を注射用水10mLに溶解し、その0.2~4mL(1~20mg)を更に注射用水約10mLに希釈(アムホテリシンB 0.1~2mg/mL)して用いる。通常、初回量は1日1mg(力価)又は5~10mg(力価)より開始し、漸次増量し、1日10~20mg(力価)を隔日1回気管内に注入する。

  • 〈胸膜内注入〉

気管内注入と同じ要領で溶解したアムホテリシンB液を、初回量は1日1mg(力価)より開始し、漸次増量し、5~20mg(力価)を週1~3回、胸水排除後、胸膜内に注入する。

  • 〈髄腔内注入〉

1バイアル(50mg)を注射用水10mLに溶解し、その0.2~4mL(1~20mg)を更に注射用水20~30mLに適宜希釈して用いる。通常1回0.25~1mg(力価)を採取髄液量を超えない液量で漸増法により1日1回隔日、又は3日毎に徐々に注入する。

  • 〈膀胱内注入〉

膀胱内の尿を排除し、アムホテリシンB 15~20mg(力価)を注射用水100mLに溶解し、1日1~2回尿道カテーテルをとおして直接注入する。注入後薬剤は1時間以上(出来れば2~3時間)膀胱内にとどめておく。

  • 〈皮内注〉

1バイアル(50mg)を2%プロカイン10mLに溶かし、その0.1~0.4mL〔アムホテリシンBとして0.5~2mg(力価)〕を病巣皮内及び皮下に分注する。1回の総量は50mg(力価)を限度とし、10~30日の間隔で行う。

  • 〈吸入〉

1バイアル(50mg)を注射用水10~20mLで溶解し、1回2.5~5mg/mLを1日2~5回吸入する。1~2ヵ月継続して行う。

使用上の注意

  1. 8.1腎障害(急性腎不全、尿細管性アシドーシス、腎石灰沈着、BUN上昇、クレアチニン上昇、低張尿等)があらわれることがあるので、定期的に腎機能(尿一般検査、クレアチニンクリアランス試験、BUN試験等)、血清電解質(特にカリウム、マグネシウム)の検査を行うなど、観察を十分に行うこと。総投与量が5gを超えると不可逆的な腎障害があらわれることがあるので十分に注意すること。また、本剤投与前に補液及びナトリウム補給を行うことにより、腎毒性の発現を低下させることがある。

  2. 8.2本剤は毒性が強く、無顆粒球症があらわれることがあるため、また患者によって忍容性の変動が大きいため、定期的に腎機能、肝機能、血清電解質(特にカリウム、マグネシウム)、血球数等の検査を行うなど、観察を十分に行うこと。

9.2 腎機能障害患者

一旦休薬するか、投与間隔をあけて投与すること。本剤の投与により、更に腎機能が低下するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行するかは不明である。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
白血球輸注 白血球輸注中又は直後に本剤を投与した患者に、急性肺機能障害がみられたとの報告がある。 機序は不明である。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• シスプラチン、ペンタミジン、アミノグリコシド系抗生物質、シクロスポリン、ガンシクロビル、タクロリムス水和物、ホスカルネットナトリウム水和物 腎障害が発現、悪化するおそれがあるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。 両薬剤とも腎毒性をもつ。
• 副腎皮質ホルモン剤• ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン等
• ACTH
低カリウム血症を増悪させることがあるので、血清中の電解質及び心機能を観察すること。 副腎皮質ホルモンは血清カリウムを排泄する作用がある。
• 三酸化ヒ素 血清電解質の異常をきたし、左記の薬剤によるQT延長が発現するおそれがあるので、血清中の電解質及び心機能を観察すること。 両薬剤とも血清電解質の異常を引き起こすことがある。
• 強心配糖体• ジギトキシン、ジゴキシン、メチルジゴキシン等 ジギタリスの毒性(不整脈等)を増強するので、血清電解質及び心機能を観察すること。 本剤による低カリウム血症により、多量のジギタリスが心筋Na-K ATPaseに結合し、心筋収縮力増強と不整脈が起こる。
• 抗不整脈剤• キニジン、リドカイン、ベラパミル等 抗不整脈剤の催不整脈作用を増強するおそれがあるので、血清電解質及び心機能を観察すること。 本剤による低カリウム血症のため、抗不整脈剤の毒性が増強される。
• 非脱分極性筋弛緩剤• 塩化ツボクラリン
• 塩化パンクロニウム等
クラーレ様薬剤の麻痺作用を増強し、呼吸抑制が起こるおそれがある。 本剤による低カリウム血症により、これらの薬剤の神経・筋遮断作用を増強させる作用がある。
• フルシトシン フルシトシンの毒性(骨髄抑制作用)を増強させるとの報告がある。 本剤によるフルシトシンの細胞内取り込み促進や腎排泄障害作用により、フルシトシンの毒性が増強される。
• 利尿剤• フロセミド、ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン等 腎障害を発現、悪化することがあるので、併用する場合は十分に塩類を補給し、腎毒性の軽減をはかることが望ましい。 利尿剤によるナトリウム欠乏により、本剤による腎血流量の減少を助長する。
• 頭部放射線療法 併用により白質脳症があらわれたとの報告がある。 頭部放射線照射により血液脳関門に変化が生じ、本剤の神経毒性が発症する。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
BUN上昇 頻度不明
アレルギー反応 頻度不明
クレアチニン上昇 頻度不明
そう痒 頻度不明
めまい 頻度不明
下痢 頻度不明
下血 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低マグネシウム血症 頻度不明
低張尿 頻度不明
体重減少 頻度不明
倦怠感 頻度不明
凝固障害 頻度不明
出血性胃腸炎 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
好酸球増多 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心・嘔吐 頻度不明
斑点状丘疹性皮疹 頻度不明
末梢神経障害 頻度不明
気管支痙攣 頻度不明
注射部疼痛 頻度不明
消化不良 頻度不明
潮紅 頻度不明
疼痛 頻度不明
痙攣 頻度不明
痙攣性心窩部痛 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球増多 頻度不明
白血球減少 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
耳鳴 頻度不明
聴力低下 頻度不明
肝機能異常 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
血圧低下 頻度不明
血小板減少 頻度不明
血栓性静脈炎 頻度不明
複視 頻度不明
貧血 頻度不明
過敏性肺臓炎 頻度不明
関節痛 頻度不明
難聴 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 頻度不明
顆粒球減少 頻度不明
食欲不振 頻度不明
高カリウム血症 頻度不明
黄疸 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

アムホテリシンBは感受性真菌の細胞膜成分であるエルゴステロールと結合することにより膜障害を起こし、細胞質成分の漏出が生じてその真菌を死滅させる5) 。

18.2 抗真菌作用

アムホテリシンBは、カンジダ属、アスペルギルス属等の病原真菌に対し抗菌力を示すが、グラム陽性菌、グラム陰性菌、リケッチア、ウイルス等には、ほとんど抗菌活性を示さない。カンジダに対する最小発育阻止濃度は、0.04~1.56μg/mLである4),6) (in vitro)。

薬物動態

16.1 血中濃度

外国人のデータでは、成人に本剤約0.5mg/kg/dayを連続投与した場合の平均最高血漿中濃度は0.5~2μg/mLである1),2),3),4) 。初期血漿中半減期は約24時間で消失半減期は約15日である2) 。乳幼児及び小児における本剤の薬物動態のデータは少ない。

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

本剤は血漿蛋白と高度に(>90%)結合し、ほとんど透析されない1),2) 。

  1. 16.3.2投与後の血漿中濃度の約2/3が炎症性の胸膜、腹膜、滑膜及び房水中に認められている。なお、脳脊髄液中からはほとんど検出されない。また正常もしくは炎症性の髄膜、硝子体及び正常の羊水にはほとんど移行しない。本剤の組織内分布については解明されていないが、主に肝組織に蓄積されるとの報告がある2) 。

16.5 排泄

本剤は腎臓からきわめて緩徐に排泄され、投与量の2~5%は生物学的活性体として排泄される。また消失速度が遅いため、投与中止後3~4週間尿中に検出される。胆汁排泄が重要な排泄経路である可能性もあるが、代謝経路について他に詳細な報告はない。血中濃度は腎機能及び肝機能による影響を受けない2) 。