Clinical snapshot

ファビハルタカプセル200mg

イプタコパン塩酸塩水和物

添付文書改訂 2025年05月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は補体経路を阻害するため、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等の莢膜形成細菌による重篤な感染症を発症することがあり、特に髄膜炎菌感染症は急激に重症化し、死亡に至るおそれもあるため、以下の点に十分注意すること。

  2. 1.1.1本剤の投与に際しては、髄膜炎菌等による感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直等)に注意して観察を十分に行い、髄膜炎菌等の重篤な感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。

  3. 1.1.2髄膜炎菌、肺炎球菌及びインフルエンザ菌b型に対するワクチンの接種歴を確認し、未接種の場合又は追加接種が必要な場合は、原則、本剤投与前にワクチンを接種すること。必要に応じて、本剤投与中のワクチンの追加接種を考慮すること。

  4. 1.1.3髄膜炎菌感染症は致命的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設及び医師のもとで、あるいは髄膜炎菌感染症の診断及び治療が可能な医療施設との連携下で本剤を投与すること。

  5. 1.1.4髄膜炎菌等の莢膜形成細菌による感染症のリスクについて患者に説明し、当該感染症の初期徴候を確実に理解させ、感染症に関連する症状が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。

  6. **1.2発作性夜間ヘモグロビン尿症又はC3腎症に十分な知識を持つ医師のもとで、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与開始に先立ち、本剤は疾病を完治させる薬剤ではないことを含め、本剤の有効性及び危険性を患者又はその家族に十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1髄膜炎菌感染症に罹患している患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2肺炎球菌、インフルエンザ菌等の莢膜形成細菌による重篤な感染症に罹患している患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  3. 2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 発作性夜間ヘモグロビン尿症

  • **C3腎症

用法・用量

通常、成人にはイプタコパンとして1回200mgを1日2回経口投与する。

使用上の注意

  • 〈発作性夜間ヘモグロビン尿症〉
  1. 8.1本剤を中止した場合に溶血が認められるおそれがある。本剤の投与を中止した患者では、本剤の最終投与から最低2週間は、溶血に付随する臨床症状及びその徴候[LDH値の上昇を伴うヘモグロビン(Hb)値の急激な減少、疲労、ヘモグロビン尿、腹痛、呼吸困難、主要血管事象(血栓症)、嚥下障害又は勃起不全等]の変化を注意深く観察し、必要に応じて適切な処置を行うこと。

  2. 8.2本剤投与により、総コレステロール、LDLコレステロール及びトリグリセリドの上昇等の脂質異常症があらわれることがあるので、本剤投与開始後は定期的に血液検査を実施すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1髄膜炎菌感染症の既往のある患者

髄膜炎菌感染症に罹患しやすくなるおそれがある。

  1. 9.1.2感染症の患者又は感染症が疑われる患者

特に莢膜形成細菌(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等)による感染症が悪化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度(eGFRが30mL/min/1.73m2未満)の腎機能障害のある患者

患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が増強されるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。非結合型の血中イプタコパン濃度が上昇し、本剤の副作用が増強されるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。雌ラットを用いた受胎能及び着床までの初期胚発生試験において、臨床用量の5.4倍の曝露(AUC)で、着床前及び着床後胚死亡率の高値、並びに生存胎児数の低値が認められている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤の母乳中への移行は不明である。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • 本剤は主にCYP2C8で代謝され、有機アニオントランスポーター(OATP)1B1及びOATP1B3の基質である。また、本剤は、CYP2C8阻害作用及びCYP3A4誘導作用を有する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP2C8を阻害する薬剤
• クロピドグレル等
本剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 これらの薬剤のCYP2C8阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
OATP1B1及びOATP1B3を阻害する薬剤
• シクロスポリン等
本剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 これらの薬剤のOATP1B1及びOATP1B3阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
CYP3A4の基質となる薬剤
• ミダゾラム等
これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。 本剤のCYP3A4誘導作用により、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。
CYP2C8の基質となる薬剤
• レパグリニド等
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 本剤のCYP2C8阻害作用により、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
― 頻度不明
― 頻度不明
― 頻度不明
― 頻度不明
― 頻度不明
上気道感染 頻度不明
下痢 頻度不明
尿路感染 頻度不明
悪心 頻度不明
気管支炎 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
細菌性肺炎 頻度不明
腹痛 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血小板数減少 頻度不明
関節痛 頻度不明
頭痛 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  • 〈効能共通〉
  1. 18.1.1イプタコパンは補体B因子に結合してその活性を阻害することで、C3転換酵素の活性を阻害して補体第二経路の活性化を阻害し、下流のC5転換酵素形成を含むカスケード反応を阻止する。
  • 〈発作性夜間ヘモグロビン尿症〉
  1. 18.1.2発作性夜間ヘモグロビン尿症患者において、イプタコパンは膜侵襲複合体形成を阻害して血管内溶血を抑制するとともに、C3フラグメントのオプソニン化を阻害して血管外溶血を抑制する。
  • 〈C3腎症〉
  1. **18.1.3C3腎症では、補体第二経路が過剰に活性化して分解されたC3が糸球体に沈着し炎症が生じることにより、腎機能が低下して、最終的に腎不全に至る。C3腎症患者において、イプタコパンは補体B因子に結合することにより補体第二経路の過剰な活性化を阻害する11)。

18.2 補体B因子への結合作用

イプタコパンは競合結合アッセイでレポーター分子の補体B因子触媒ドメインへの結合を阻害した(IC50値:9.6nM)12)(in vitro)。

18.3 補体第二経路活性化の阻害作用

  1. 18.3.1イプタコパンはマウス血清でC3フラグメント沈着を阻害し、ヒト血清で膜侵襲複合体の形成を阻害した12)(in vitro)。

  2. 18.3.2イプタコパンは発作性夜間ヘモグロビン尿症患者由来赤血球の溶血及び赤血球表面へのC3フラグメント沈着を阻害した11)(in vitro)。

  3. 18.3.3イプタコパンは、関節炎を自然発症するマウス血清を移入することにより作製した関節炎モデルマウス11)、及びラット尿細管上皮タンパク質Fx1Aに対する抗体を含有したヒツジ血清を投与して作製した受動的ヘイマン腎炎モデルラットに対し、疾患の進行又は発症を抑制した13)(in vivo)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人健康成人(24例)に本剤25、100及び400mg注1)を単回経口投与したとき、投与1.5~2.25時間後(中央値)にCmaxに到達し、曝露量は用量比を下回った。T1/2は13.2~24.7時間であった1)。

薬物動態パラメータ 25mg
n=8
100mg
n=8
400mg
n=8
Cmax(ng/mL) 1160 ± 254 2460 ± 735 7990 ± 1360
AUClast(ng・h/mL) 12400 ± 3240 28300 ± 8930 78300 ± 23600
Tmax(h)※ 1.50(1.00~3.00) 1.75(1.00~2.50) 2.25(1.00~3.00)
T1/2(h) 13.2 ± 2.15 15.1 ± 3.64 24.7 ± 15.6

平均値±標準偏差 ※中央値(最小値~最大値)

日本人健康成人に本剤25、100及び400mgを単回経口投与したときの血漿中未変化体濃度推移(平均値±標準偏差)

  1. 16.1.2反復投与

健康成人(6例)に本剤200mgを1日2回反復経口投与したとき、投与約2時間後(中央値)にCmaxに到達した。トラフ濃度の推移から投与約5日目で定常状態に達し、投与14日目の累積率は約1.4であった。本剤200mgを1日2回反復経口投与したときの、定常状態におけるイプタコパンのT1/2は、25時間であった。本剤25mg~200mg注1)1日2回反復経口投与したとき、25~100mgの用量間では曝露量の増加は用量比を下回ったが、100mg及び200mg間では概ね用量に比例して曝露量が増加した2)(外国人データ)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人(12例)に本剤100mg注1)を空腹時及び高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、イプタコパンの曝露量は食事による影響を受けなかった2)(外国人データ)。

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

イプタコパンは全身循環血中でB因子に結合することにより濃度依存的な血漿蛋白結合を示した。イプタコパンの1000~10000ng/mLの血漿中濃度において、血漿蛋白結合率は75%~93%であった3)(in vitro)。

  1. 16.3.2体組織への分布

健康成人(6例)に本剤200mgを1日2回反復経口投与したとき、定常状態における見かけの分布容積は288Lであった2)(外国人データ)。

16.4 代謝

イプタコパンの主な消失経路は代謝であった。イプタコパンの代謝にはN-脱アルキル化、O-脱エチル化、酸化等があり、主にCYP2C8(酸化的代謝における寄与率98%)により代謝される4)。健康成人に14C標識した本剤100mg注1)を単回経口投与したときの血漿中の主な成分は未変化体であるイプタコパンであり、血漿中総放射能のAUC0-48hの83.0%であった5)(外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人に14C標識した本剤100mg注1)を単回経口投与したときの、総放射能(イプタコパン及び代謝物)の平均総排泄率は、投与量のそれぞれ便中71.5%及び尿中24.8%であり、投与量の96%以上が排泄された。未変化体として投与量の17.9%が尿中に、16.8%が便中に排泄された5)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害者**

母集団薬物動態解析を用いて、発作性夜間ヘモグロビン尿症患者及びC3腎症患者における腎機能障害がイプタコパンの曝露量に及ぼす影響を評価した。その結果、発作性夜間ヘモグロビン尿症患者では、腎機能が正常な患者(98例)、軽度(eGFR 60以上、90mL/min/1.73m2未満)(45例)、中等度(eGFR 30以上、60mL/min/1.73m2未満)(17例)及び重度(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)(1例)の腎機能障害患者におけるイプタコパンのAUCtauの平均値は、それぞれ32100、37500、43800及び47000ng・h/mL、Cmaxの平均値はそれぞれ3940、4480、5170及び5610ng/mLと推定された。C3腎症患者では、腎機能が正常な患者(46例)、軽度(eGFR 60以上、90mL/min/1.73m2未満)(26例)、中等度(eGFR 30以上、60mL/min/1.73m2未満)(20例)及び重度(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)(8例)の腎機能障害患者におけるイプタコパンのAUCtauの平均値は、それぞれ31560、31900、40610及び48950ng・h/mL、Cmaxの平均値はそれぞれ3910、3680、4790及び5170ng/mLと推定された。なお、透析患者については評価を行っていない。

  1. 16.6.2肝機能障害者

軽度(Child-Pugh分類A)、中等度(Child-Pugh分類B)又は重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害患者に本剤200mgを単回経口投与し、肝機能障害がイプタコパンの曝露量に及ぼす影響を評価した。血漿中のイプタコパンについて、軽度の肝機能障害患者(8例)ではCmaxが約1.04倍に増加したが、中等度(8例)又は重度(6例)の肝機能障害患者では変化は認められなかった。軽度及び重度の肝機能障害患者ではいずれもAUCinfが1.03倍に増加したが、中等度の肝機能障害患者では変化は認められなかった。その一方、血漿中の非結合型のイプタコパンについて、軽度、中等度及び重度の肝機能障害患者でCmaxはそれぞれ1.38倍、1.67倍及び2.11倍に増加した。また、AUCinfはそれぞれ1.48倍、1.58倍及び3.71倍に増加した6)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1クロピドグレル

健康成人(18例)にクロピドグレル(CYP2C8阻害剤)を投与初日に300mg、2日目から75mgを1日1回4日間反復経口投与し、2日目に本剤100mg注1)を単回投与したとき、本剤の単独投与時に対するクロピドグレル併用時のイプタコパンのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.05及び1.36であった7)(外国人データ)。

  1. 16.7.2シクロスポリン

健康成人(20例)にシクロスポリン(OATP1B1/1B3阻害剤)175mgを1日2回4日間反復経口投与し、1日目に本剤100mg注1)を単回投与したとき、本剤の単独投与時に対するシクロスポリン併用時のイプタコパンのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.41及び1.50であった7)(外国人データ)。

  1. 16.7.3ジゴキシン、ロスバスタチン

健康成人(17例)に本剤200mgを1日2回15日間反復経口投与し、投与6日目にジゴキシン(P-gpの基質)0.25mg及びロスバスタチン(OATP1B1/1B3の基質)10mgを単回投与したとき、ジゴキシンの単独投与時に対する本剤併用時のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.08及び1.02であった。ロスバスタチンの単独投与時に対する本剤併用時のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.00及び1.01であった7)(外国人データ)。

  1. 16.7.4In vitro試験

In vitro試験においてイプタコパンはCYP2C8の阻害作用及びCYP3A4の誘導作用を示した8)。

注1)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人にはイプタコパンとして1回200mgを1日2回経口投与する」である。

最新安全性情報

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最新薬価: ¥83406.30
年度 品名 規格 単位 薬価 後発品 適用日 製造販売会社 出典
2026年度
ファビハルタカプセル200mg 本剤
3999064M1020
200mg1カプセル 200mg1カプセル ¥83406.30 — — — —