脳動脈瘤によるくも膜下出血術後の脳血管攣縮、及びこれに伴う脳梗塞及び脳虚血症状の発症抑制
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
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2.2妊婦又は妊娠している可能性のある患者
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2.3重度の肝機能障害を有する患者(Child-Pugh分類クラスC)
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2.4頭蓋内出血が継続している患者[出血を助長する可能性がある。]
効能・効果
用法・用量
通常成人には、クラゾセンタンとして300mg(12mL)を生理食塩液500mLに加え、容量型の持続注入ポンプを用いて、17mL/時の速度で静脈内に持続投与する(クラゾセンタンとして10mg/時)。くも膜下出血術後早期に本剤の投与を開始し、くも膜下出血発症15日目まで投与する。なお、肝機能、併用薬に応じて適宜減量する。
使用上の注意
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8.1本剤の投与は、緊急時に十分な対応をとれる医療機関において、頭蓋内出血の診断及び治療に精通している医師のもとで行うこと。
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8.2本剤投与により肺水腫、胸水、脳浮腫等の体液貯留が発現することがあるため、本剤投与中は体液量の調節に留意し、体液貯留の初期症状を十分に観察すること。特に、Triple H療法又はHyperdynamic療法が併用される場合は、体液貯留リスクが増強するおそれがあるため、慎重に体液量を管理すること。
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8.3本剤は血管拡張作用を有するため、血圧低下が起こることがある。本剤投与に際しては、血圧が適切にコントロールされている状況下で投与を開始し、投与中は血圧を十分にモニタリングすること。
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8.4ヘモグロビン低下があらわれることがあるので、本剤の投与開始前、及び必要に応じて本剤の投与中にヘモグロビン値を測定すること。
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8.5QT間隔の延長があらわれるおそれがあるので、本剤の投与開始前及び投与中に心電図を測定することが望ましい。異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
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8.6本剤の投与に際しては、臨床症状及びコンピューター断層撮影による観察を十分に行い、頭蓋内出血が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1QT間隔延長のある患者、QT間隔延長のおそれ、又はその既往歴のある患者
本剤の投与開始前及び投与中に心電図を測定すること。QT間隔延長が起こるおそれ、又は悪化するおそれがある。
- 9.1.2脳浮腫又は頭蓋内圧上昇のある患者
本剤投与による有益性と危険性を考慮した上で、投与の可否を慎重に検討すること。脳浮腫が発現又は悪化するおそれがある。
- 9.1.3肺水腫又は胸水のある患者
本剤投与による有益性と危険性を考慮した上で、投与の可否を慎重に検討すること。肺水腫又は胸水が悪化する可能性がある。
- 9.1.4出血している患者(硝子体出血、消化管出血等)
患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。出血を助長する可能性がある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝機能障害を有する患者(Child-Pugh分類クラスC)
投与しないこと。血漿中濃度が上昇するおそれがある。
- 9.3.2肝機能障害を有する患者(重度の肝機能障害を有する患者(Child-Pugh分類クラスC)を除く)
肝機能検査を行い、臨床的に顕著に肝酵素(AST、ALT)が上昇した場合、総ビリルビン値が基準値上限の2倍を超える場合、又は黄疸などの肝障害の徴候を伴う場合は、本剤の投与を中止すること。血漿中濃度が上昇するおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な患者では、妊娠していないことを確認した後、本剤の投与を開始するとともに、本剤の投与終了後一定期間は避妊するよう指導すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある患者に対しては投与しないこと。動物実験(ラット及びウサギ)において、エンドセリン受容体拮抗作用に基づく胚毒性及び催奇形性が認められた。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。くも膜下出血術後患者を対象とした国内臨床試験において、肺水腫の発現割合が高かった。
相互作用
- クラゾセンタンはOATP1B1及びOATP1B3の基質である。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • ファスジル塩酸塩水和物 | 血圧低下が増強される可能性がある。また、出血傾向の増強をきたすおそれがある。 併用する場合には、血圧及び出血の徴候を観察するなど注意すること。 |
ともに血管拡張作用を有することから、血圧及び出血傾向に影響を及ぼす可能性がある。 |
| • 血管拡張薬• ニカルジピン塩酸塩等 | 血圧低下が増強される可能性があるので、血圧を観察するなど注意すること。 | 本剤及びこれらの薬剤は血管拡張作用を有することから、血圧に影響を及ぼす可能性がある。 |
| • オザグレルナトリウム | 出血傾向の増強をきたすおそれがある。 併用する場合には、出血の徴候を観察するなど注意すること。 |
本剤は血管拡張作用を有することから、出血を助長する可能性がある。 |
| • リファンピシン | OATP1B1/1B3の阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。 | OATP1B1/1B3の阻害作用により、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。 |
| • OATP1B1/1B3を阻害する薬剤• シクロスポリンA、ロピナビル、リトナビル等 | OATP1B1/1B3の阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。 やむを得ず併用する際には、減量を考慮し、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 |
これらの薬剤のOATP1B1/1B3の阻害作用により、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。 |
| • QT延長を起こすことが知られている薬剤• アミオダロン、モキシフロキサシン、キニジン等 | QT間隔延長、心室性不整脈(TdPを含む)等の重篤な副作用を起こすおそれがある。 | 本剤及びこれらの薬剤は、いずれもQT間隔を延長させる可能性があるため、併用により作用が増強するおそれがある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| 低ナトリウム血症 | 頻度不明 |
| 低血圧 | 頻度不明 |
| 出血(硝子体出血 | 頻度不明 |
| 心不全 | 頻度不明 |
| 浮腫 | 頻度不明 |
| 網膜出血等) | 頻度不明 |
| 肝機能異常 | 頻度不明 |
| 肺うっ血 | 頻度不明 |
| 肺炎 | 頻度不明 |
| 腹水 | 頻度不明 |
| 貧血 | 頻度不明 |
| 顔面浮腫 | 頻度不明 |
| 鼻閉 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
クラゾセンタンはETA受容体に対して選択的な拮抗作用を示し、125I-ET-1結合に対するKi値は0.13~1.7nMであった13) 。
18.2 血管収縮に対する作用
- 18.2.1摘出組織に対する作用
クラゾセンタンはラットから摘出した大動脈のET-1刺激誘発収縮(ETA受容体介在性)及び気管のサラフォトキシンS6c刺激誘発収縮(ETB受容体介在性)を阻害し、そのpA2値はそれぞれ9.5及び6.4であり、ETB受容体と比較してETA受容体に対して1000倍以上の選択性を示した13) 。
- 18.2.2脳血管攣縮に対する作用
ニューロペプチドであるET-1は、ETA受容体を介して強力な血管収縮作用を示し、脳動脈瘤によるくも膜下出血患者の脳血管攣縮とそれに続く遅発性虚血性神経脱落症状及び脳梗塞の病態生理に関与している14) 。クラゾセンタンはイヌ及びウサギのくも膜下出血モデルにおいて脳血管攣縮を抑制した13),15) 。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1健康成人
健康成人に本剤1mg/時注2) を4時間、5mg/時注2) を4時間、15mg/時注2) を4時間の順に静脈内持続投与した時の、血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは下記のとおりであった。クラゾセンタンの薬物動態は、検討した用量範囲で用量比例性を認めた1) 。
静脈内持続投与後の血漿中クラゾセンタン濃度推移(平均値±標準偏差)
| 薬物動態パラメータ (n=12) |
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|---|---|
| AUC0-4(ng・h/mL) | 115(104, 128) |
| AUC4-8(ng・h/mL) | 580(528, 638) |
| AUC8-12(ng・h/mL) | 1507(1345, 1689) |
| AUC0-∞(ng・h/mL) | 2366(2133, 2623) |
| t1/2(h) | 2.4(2.2, 2.6) |
| CL(L/h) | 35.5(32.0, 39.4) |
| Vss(L) | 9.9(7.5, 13.0) |
幾何平均値(95%信頼区間)
- 16.1.2くも膜下出血患者
脳動脈瘤破裂に伴うくも膜下出血のクリッピング術後患者に、本剤を5mg/時注2) 及び10mg/時で静脈内持続投与した時の、くも膜下出血発症後9日目±2日の血漿中クラゾセンタン濃度は下記のとおりであった。血漿中クラゾセンタン濃度は、用量依存的に増加した2) 。
| 5mg/時 (n=30) |
10mg/時 (n=33) |
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|---|---|---|
| 幾何平均値(ng/mL) | 148.2 | 317.0 |
16.3 分布
クラゾセンタンのヒト血漿タンパク結合率は97.6%であり、主にアルブミンに結合した3) 。
16.4 代謝
健康成人男性4例に14C-クラゾセンタンを0.2mg/kg/時注2) で3時間静脈内持続投与した時、血漿中放射能の93.4%が未変化体であった。尿及び糞中に排泄された放射能の大部分が未変化体であり、投与放射能の5%を超える代謝物は認められなかった4) (外国人データ)。 ヒトにおける主な代謝経路はCYP2C9によるピリジン環のメチル基の水酸化であった5),6) (in vitro)。
16.5 排泄
健康成人男性4例に14C-クラゾセンタンを0.2mg/kg/時注2) で3時間静脈内投与した時、投与終了後192時間までにほとんどが未変化体として排泄され、投与放射能の80.9%が糞中、15.0%が尿中に排泄された4) (外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
健康成人8例及び重度腎障害患者8例にクラゾセンタンを1mg/時注2) で6時間静脈内持続投与した時、健康成人に対する重度腎障害患者におけるクラゾセンタンのCss及びAUC0-∞の幾何平均値の比はそれぞれ1.08及び1.08倍であった7) (外国人データ)。
- 16.6.2肝機能障害患者
健康成人8例及び軽度肝障害患者8例(Child-Pugh分類クラスA:A群)、中等度肝障害患者8例(Child-Pugh分類クラスB:B群)にクラゾセンタンを1mg/時注2) で、重度肝障害患者8例(Child-Pugh分類クラスC:C群)に0.5mg/時注2) で6時間静脈内持続投与した時、投与量で補正した健康成人に対するA群、B群及びC群におけるクラゾセンタンのCssの幾何平均値の比はそれぞれ1.35、2.10及び3.20倍であり、AUC0-∞の幾何平均値の比はそれぞれ1.41、2.37及び3.79倍であった8) (外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1in vitro試験
クラゾセンタンはOATP1B1、OATP1B3及びBCRPの基質である。
- 16.7.2リファンピシン
健康成人男性13例にリファンピシン(OATP1B1及びOATP1B3の阻害薬)600mgを30分かけて静脈内持続投与し、その直後にクラゾセンタンを15mg/時注2) で3時間静脈内持続投与した時、クラゾセンタン単独投与時に対する併用投与時のクラゾセンタンのCmax及びAUC0-∞の幾何平均値の比は3.13及び3.88であった9) (外国人データ)。
注2)本剤の承認用量は10mg/時である。