HIV-1感染症
【警告】
B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合,重症化するおそれがあるので注意すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常,成人にはテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩として1回300mg(テノホビル ジソプロキシルとして245mg)を1日1回経口投与する。なお,投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。
使用上の注意
-
*8.1本剤の使用に際しては,国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に,患者又はそれに代わる適切な者に次の事項についてよく説明し同意を得た後,使用すること。
-
8.1.1本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから,日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので,本剤投与開始後の身体状況の変化についてはすべて担当医に報告すること。
-
8.1.2本剤の長期投与による影響については現在のところ不明であること。
-
8.2本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築炎症反応症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また,免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症,多発性筋炎,ギラン・バレー症候群,ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので,これらの症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
-
8.3本剤投与前にクレアチニンクリアランス,尿糖及び尿蛋白の検査を実施すること。また,本剤投与後も定期的な検査等により患者の状態を注意深く観察すること。
-
8.4テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む多剤併用療法を長期間行った患者において,骨粗鬆症が現れ,大腿骨頚部等の骨折を起こした症例が報告されている。長期投与時には定期的に骨密度検査を行う等骨密度減少に注意し,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。なお,本剤の試験において,144週間の投与により腰椎と大腿骨頚部の骨密度の減少が見られている。骨密度の減少した患者の大部分は,投与開始後24~48週目にかけて発現し,以降は144週目まで持続していた。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1B型肝炎ウイルス感染を合併している患者
本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合,重症化するおそれがある。
- 9.1.2腎機能障害のリスクを有する患者
血清リンの検査を実施すること。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1中等度及び重度の腎機能障害のある患者
本剤の血中濃度が上昇する。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(サル)においてテノホビルの胎児への移行が報告されている1)。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。テノホビルのヒト乳汁への移行が報告されており2),動物実験(ラット)において,乳汁中への移行が報告されている。また,女性のHIV感染症患者は,乳児のHIV感染を避けるため,乳児に母乳を与えないことが望ましい。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の肝,腎及び心機能の低下,合併症,併用薬等を十分に考慮すること。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 逆転写酵素阻害剤 • ジダノシン |
ジダノシンによる有害事象を増強するおそれがあるので,ジダノシンの減量を考慮すること。 | ジダノシンのAUC及びCmaxが上昇する。 |
| HIVプロテアーゼ阻害剤 • アタザナビル硫酸塩 |
アタザナビルの治療効果が減弱するおそれがあるので,本剤とアタザナビル硫酸塩を併用する場合には,本剤とアタザナビル300mgをリトナビル100mgとともに投与することが望ましい。また,本剤による有害事象を増強するおそれがある。 | アタザナビルのAUCが25%,Cmaxが21%,Cminが40%低下し,テノホビルのAUCが24%,Cmaxが14%,Cminが22%上昇する。 |
| HIVプロテアーゼ阻害剤 • ロピナビル・リトナビル |
本剤による有害事象を増強するおそれがある。 | テノホビルのAUCが32%,Cminが51%上昇する。 |
| HIVプロテアーゼ阻害剤 • ダルナビル+リトナビル |
本剤による有害事象を増強するおそれがある。 | テノホビルのAUC,Cmax及びCminが上昇する。 |
| 抗HCV剤 • レジパスビル・ソホスブビル |
本剤による有害事象を増強するおそれがある。 | テノホビルのAUC,Cmax及びCminが上昇する。 |
| 抗ウイルス化学療法剤 • アシクロビル,バラシクロビル塩酸塩抗サイトメガロウイルス化学療法剤 • ガンシクロビル,バルガンシクロビル塩酸塩等 |
これらの薬剤又は本剤による有害事象を増強するおそれがある。 | 尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合,排泄経路の競合により,排泄が遅延し,これらの薬剤又は本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 |
| 腎毒性を有する薬剤 |
併用は避けることが望ましい。 | 腎毒性を有する薬剤は腎機能障害の危険因子となる。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| CK増加(12.3%),血中トリグリセリド増加(7.8%),血中アミラーゼ増加(7.5%),AST増加(5.1%),ALT増加(4.3%),好中球数減少(2.4%),尿糖(2.1%),血中ブドウ糖増加(2.0%) | 頻度不明 |
| アレルギー反応,高血圧 | 頻度不明 |
| うつ病,睡眠障害,リビドー減退,神経過敏,不安 | 頻度不明 |
| そう痒症,多汗症,脱毛症,湿疹,ざ瘡,皮膚乾燥,単純ヘルペス,皮膚良性新生物 | 頻度不明 |
| リパーゼ増加,血尿,蛋白尿,血中クレアチニン増加,γ-GTP増加 | 頻度不明 |
| 不眠症,末梢性ニューロパチー,味覚異常,異常な夢,傾眠,ニューロパチー,思考異常,振戦 | 頻度不明 |
| 低リン酸血症,低カリウム血症,糖尿病,高尿酸血症 | 頻度不明 |
| 倦怠感,胸痛,発熱,悪寒,末梢性浮腫 | 頻度不明 |
| 口内乾燥,胃腸障害,便秘,アフタ性潰瘍,胃炎,おくび,腹部膨満 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 頻度不明 |
| 悪心(10.5%),下痢(9.1%),腹痛(5.2%),嘔吐(4.4%),鼓腸(3.0%),消化不良(2.3%) | 頻度不明 |
| 感覚鈍麻 | 頻度不明 |
| 気管支炎,鼻炎,咽頭炎 | 頻度不明 |
| 無力症(6.3%),疼痛(2.4%) | 頻度不明 |
| 発疹(3.3%) | 頻度不明 |
| 筋肉痛,関節痛,背部痛,側腹部痛,筋痙攣 | 頻度不明 |
| 肝炎 | 頻度不明 |
| 脂肪肝,肝機能異常 | 頻度不明 |
| 血中ビリルビン増加,血中リン減少,Al-P増加,血小板数減少 | 頻度不明 |
| 頭痛(5.6%),錯感覚(3.7%),浮動性めまい(3.4%) | 頻度不明 |
| 頻尿,視覚異常,多尿 | 頻度不明 |
| 食欲減退(3.2%),体重減少(2.1%),体脂肪の再分布/蓄積(2.1%) | 頻度不明 |
| 骨軟化症,ミオパチー | 頻度不明 |
| 骨障害(2.1%) | 頻度不明 |
| 高コレステロール血症,高脂血症 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩は,アデノシン一リン酸の非環状ヌクレオシド・ホスホン酸ジエステル誘導体である。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩からテノホビルへの変換には,ジエステルの加水分解が必要であり,その後細胞内酵素によりリン酸化を受け,テノホビル二リン酸となる5)。テノホビル二リン酸は,HIV-1逆転写酵素の基質であるデオキシアデノシン5’-三リン酸と競合すること及びDNAに取り込まれた後にDNA鎖伸長を停止させることにより,HIV-1逆転写酵素の活性を阻害する。哺乳類のDNAポリメラーゼα,β及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するテノホビル二リン酸の阻害作用は弱い6)。
18.2 抗ウイルス作用(in vitro)
HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するテノホビルの抗ウイルス活性を,ヒトリンパ芽球様細胞株,単球/マクロファージ初代培養細胞及び末梢血リンパ球において評価した。テノホビルのIC50値は,0.04μM~8.5μMの範囲であった。
18.3 薬剤耐性
- 18.3.1In vitro試験
テノホビルに対する感受性が低下したHIV-1分離株をin vitro試験により選択した結果,これらのウイルスは逆転写酵素遺伝子にK65R変異が発現しており,テノホビルに対する感受性が3~4倍低下していた。
- 18.3.2臨床成績
本剤を他の抗レトロウイルス薬と併用した患者から,テノホビルに対して感受性が低下したHIV-1株が分離された。治療を経験した患者では,本剤による試験開始後96週までのウイルス学的失敗例304例のうち14例からテノホビル耐性株が認められた。分離された耐性株を遺伝子型解析したところ,HIV-1逆転写酵素遺伝子にK65R変異が発現していた。また,抗レトロウイルス薬による治療を未経験の患者に対する本剤+ラミブジン+エファビレンツの3剤併用療法では,試験開始後144週までのウイルス学的失敗例47例のうち,8例からテノホビル耐性株が確認された。
- (1)抗レトロウイルス療法経験例における抗ウイルス作用(遺伝子型解析)
治療経験を有する患者を対象として,本剤投与前におけるウイルス遺伝子型が本剤のウイルス学的効果に及ぼす影響を検討した(222例)。本剤投与開始前の患者から分離したHIV-1株の94%に1ヵ所以上のNRTI変異が検出され,また,評価した患者の大部分において,プロテアーゼ阻害薬又は非核酸系逆転写酵素阻害薬に関連した変異が認められた。特定の変異あるいは変異数とHIV-1 RNA量の変化との関係を表1に示した。
| 試験開始前のジドブジン関連変異数注18) | HIV-1 RNA量の変化注19) (例数) | |
|---|---|---|
| 本剤300mg | プラセボ | |
| なし | -0.80(68) | -0.11(29) |
| あり | -0.50(154) | 0(81) |
| 1‐2 | -0.66(55) | -0.04(33) |
| M41LあるいはL210Wを含む3個以上の変異 | -0.21(57) | +0.01(29) |
| M41LあるいはL210W以外の3個以上の変異 | -0.67(42) | +0.07(19) |
注18)逆転写酵素のM41L,D67N,K70R,L210W,T215Y/F又はK219Q/E/N変異
注19)試験開始時から24週までのHIV-1 RNA量時間加重平均の変化をlog10copies/mLで示した。
本剤投与により,M41L又はL210Wを含む3個以上のジドブジン関連変異を伴う場合にウイルス学的効果は低下したが,プラセボと比較した場合には効果が認められた。 一方,M184V(ラミブジン+エムトリシタビン+アバカビル関連変異)の変異は本剤のウイルス学的効果に影響を与えず,M184V変異があってもジドブジン関連変異が無ければ,プラセボ群と比較し0.84log10copies/mL減少した。また,K65Rの変異により本剤のウイルス学的効果が減少する傾向が認められた。
- (2)抗レトロウイルス療法経験例における抗ウイルス作用(表現型解析)
治療経験を有する患者を対象に,本剤投与前におけるウイルス表現型が本剤投与のウイルス学的効果に及ぼす影響を検討した(100例)。本剤投与開始前の患者から分離したHIV-1株の本剤に対する感受性と本剤のウイルス学的効果とには相関が見られ,その関係を表2に示した。
| 試験開始前の本剤感受性注20) | HIV-1 RNA量の変化注21)(例数) |
|---|---|
| ≦1 1<~≦3 3<~≦4 |
-0.74(35) -0.56(49) -0.3(7) |
| ≦4 >4 |
-0.61(91) -0.12(9) |
注20)野生型からの感受性変化(倍数)
注21)試験開始時から24週までのHIV-1 RNA量時間加重平均の変化をlog10copies/mLで示した。
- (3)抗レトロウイルス療法未経験例における薬剤耐性
903試験におけるウイルス学的失敗例から分離したHIV-1株では,エファビレンツ関連変異及びラミブジン関連変異が最も高頻度に認められ,本剤投与群とサニルブジン投与群との間に差は認められなかった。K65R変異は試験開始後144週までに本剤投与群の8例及びサニルブジン投与群の2例から分離したHIV-1株に認められたが,本剤投与群の8例のうち,7例では48週までに,1例では96週までに発現した。K65R以外にテノホビル耐性に関連する変異は認められなかった。
18.4 交差耐性
テノホビルで選択されるK65R変異は,アバカビル,ジダノシン及びザルシタビンにより治療された症例から分離したHIV-1株でも認められている。この変異株はエムトリシタビンやラミブジンに対する感受性も低下していたことから,K65R変異を持つウイルスを有する患者では,これらの薬剤間で交差耐性を起こす可能性がある。 ジドブジン関連変異(M41L,D67N,K70R,L210W,T215Y/F又はK219Q/E/N)を有するHIV-1分離株に対するテノホビルの活性をin vitroで評価した。20例から分離した複数(平均3ヵ所)のジドブジン関連変異を有するHIV-1臨床分離株において,テノホビルに対する感受性は3.1倍低下していた。また,T69S変異の後に二アミノ酸が挿入される変異を持つ多剤耐性株においても,テノホビルに対する感受性は低下していた7)。
薬物動態
16.1 血中濃度
-
16.1.1日本人健康成人男性に本剤300mgを空腹時に経口投与した場合,本剤の活性成分であるテノホビルの血清中濃度は1.2±0.5時間後に最高値に達し,Cmax及びAUCはそれぞれ212±43ng/mL及び2,197±516ng・hr/mLであった。テノホビルの消失は二相性を示し,最終相の半減期は15.1±2.3時間であった3)。
-
16.1.2外国人健康成人に本剤300mgを空腹時単回経口投与した場合,テノホビルの血清中濃度は1.0±0.4時間後に最高値に達し,Cmax及びAUCは,それぞれ296±90ng/mL及び2,287±685ng・hr/mLであった。テノホビルの薬物動態は,本剤の投与量が75~600mgの範囲において用量に比例し,また,反復投与による影響を受けなかった。
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
本剤を軽食とともに服用した場合の薬物動態は,空腹時投与に比較し有意な変動はなかったが,高脂肪食(約700~1,000kcal,40~50%が脂肪由来)摂取後に本剤を服用した場合には,テノホビルのAUC及びCmaxは,それぞれ約40%及び約14%上昇した。本剤300mgを1日1回食後反復投与した場合の,テノホビルのCmax及びAUCは,それぞれ326±119ng/mL及び3,324±1,370ng・hr/mLであった(外国人における成績)。
16.3 分布
テノホビル1.0mg/kg及び3.0mg/kgを静脈内投与後の定常状態での分布容積は,それぞれ1.3±0.6L/kg及び1.2±0.4L/kgであった。テノホビルのヒト血漿及び血清蛋白結合率(in vitro)は,0.01~25μg/mLのテノホビル濃度範囲においてそれぞれ0.7%未満及び7.2%未満であった(外国人における成績)注4)。
注4)本剤の承認された1日用量は経口投与300mgである。
16.4 代謝
本薬は活性成分をテノホビルとするジエステル化プロドラッグであり,経口投与後,速やかにテノホビルに代謝され,その後細胞内でテノホビル二リン酸に代謝される。また,in vitro試験から,テノホビル ジソプロキシル及びテノホビルはいずれもチトクロームP450の基質ではないことが示されている(外国人における成績)。
16.5 排泄
本剤300mgを空腹時に経口投与した際,投与後48時間までのテノホビルの尿中排泄率は24±4%であり,CLrenalは287±64mL/minであった(日本人における成績)3)。本剤300mgを1日1回食後反復経口投与した際,投与量の32±10%(テノホビル換算)が24時間以内に尿中に回収された。また,テノホビルを静脈内投与した場合は,投与量の70~80%が72時間までに,テノホビルとして尿中に回収された。テノホビルは,糸球体濾過と尿細管への能動輸送により腎排泄される(外国人における成績)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎不全患者(919試験)
腎機能障害を有する患者を対象に,本剤300mgを単回投与した場合,クレアチニンクリアランス(CLcr)が50mL/min未満の患者あるいは透析を必要とする末期腎不全患者において,テノホビルのCmax及びAUCが上昇した(外国人における成績)(表1)。
| CLcr (mL/min) |
例数 | Cmax (ng/mL) |
AUC (ng・hr/mL) |
CL/F (mL/min) |
CLrenal (mL/min) |
|---|---|---|---|---|---|
| >80 | 3 | 335.5±31.8 | 2,184.5±257.4 | 1,043.7±115.4 | 243.5±33.3 |
| 50‐80 | 10 | 330.4±61.0 | 3,063.8±927.0 | 807.7±279.2 | 168.6±27.5 |
| 30‐49 | 8 | 372.1±156.1 | 6,008.5±2,504.7 | 444.4±209.8 | 100.6±27.5 |
| <30(12‐28)注5) | 11 | 601.6±185.3 | 15,984.7±7,223.0 | 177.0±97.1 | 43.0±31.2 |
平均値±標準偏差
注5)CLcrが10mL/min未満で,透析を行っていない患者における薬物動態は検討されていない。
なお,血液透析による除去率は54%で,本剤300mg単回投与時には4時間の血液透析により投与量の約10%が除去された。
16.7 薬物相互作用
In vivoにおいて認められる濃度よりもはるかに高濃度(約300倍)において,テノホビルはヒトチトクロームP450分子種(CYP3A4,CYP2D6,CYP2C9又はCYP2E1)を阻害しなかったが,CYP1Aをわずかに(6%)阻害した。 本剤と主な薬剤との併用による,薬物動態への影響を下表に示す(表2及び表3)。 また,表4に本剤とジダノシンとの相互作用を示す。
| 併用薬 | 併用薬の用量 | 例数 | 他剤併用時/非併用時のテノホビルの薬物動態パラメータ変化率(%)(90%信頼区間) | ||
|---|---|---|---|---|---|
| Cmax | AUC | Cmin | |||
| アバカビル | 300mg 1回 |
8 | ⇔ | ⇔ | - |
| ラミブジン | 150mg 1日2回,7日間 |
15 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| ジダノシン (腸溶剤) |
400mg 1回 |
25 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| ジダノシン (制酸剤含有) |
250あるいは400mg注6) 1日1回,7日間 |
14 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| インジナビル | 800mg 1日3回,7日間 |
13 | ↑14 (↓3~↑33) |
⇔ | ⇔ |
| ロピナビル・リトナビル | 400/100mg 1日2回,14日間 |
24 | ⇔ | ↑32 (↑25~↑38) |
↑51 (↑37~↑66) |
| エファビレンツ | 600mg 1日1回,14日間 |
29 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| アタザナビル | 400mg 1日1回,14日間 |
33 | ↑14 (↑8~↑20) |
↑24 (↑21~↑28) |
↑22 (↑15~↑30) |
| アデホビルピボキシル | 10mg 1回 |
22 | ⇔ | ⇔ | - |
| エムトリシタビン | 200mg 1日1回,7日間 |
17 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| ネルフィナビル | 1,250mg 1日2回,14日間 |
29 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| サキナビル+リトナビル | 1,000/100mg 1日2回,14日間 |
35 | ⇔ | ⇔ | ↑23 (↑16~↑30) |
| ダルナビル+リトナビル | 300/100mg 1日2回 |
12 | ↑24 (↑8~↑42) |
↑22 (↑10~↑35) |
↑37 (↑19~↑57) |
| レジパスビル・ソホスブビル注7) | 90/400mg 1日1回,10日間 |
24 | ↑47 (↑37~↑58) |
↑35 (↑29~↑42) |
↑47 (↑38~↑57) |
| レジパスビル・ソホスブビル注8) | 23 | ↑64 (↑54~↑74) |
↑50 (↑42~↑59) |
↑59 (↑49~↑70) |
|
| レジパスビル・ソホスブビル注9) | 90/400mg 1日1回,14日間 |
15 | ↑79 (↑56~↑104) |
↑98 (↑77~↑123) |
↑163 (↑132~↑197) |
| レジパスビル・ソホスブビル注10) | 90/400mg 1日1回,10日間 |
14 | ↑32 (↑25~↑39) |
↑40 (↑31~↑50) |
↑91 (↑74~↑110) |
| レジパスビル・ソホスブビル注11) | 90/400mg 1日1回,10日間 |
29 | ↑61 (↑51~↑72) |
↑65 (↑59~↑71) |
↑115 (↑105~↑126) |
上昇:↑,低下:↓,不変:⇔,未算出:-
注6)体重60kg未満:250mg,60kg以上:400mg
注7)アタザナビル硫酸塩,リトナビル,エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩配合錠との併用
注8)ダルナビル エタノール付加物,リトナビル,エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩配合錠との併用
注9)エファビレンツ・エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩配合錠との併用
注10)リルピビリン塩酸塩・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩・エムトリシタビン配合錠との併用
注11)ドルテグラビル+エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を用いた薬物動態試験
| 併用薬 | 併用薬の用量 | 例数 | 他剤併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータ変化率(%)(90%信頼区間) | ||
|---|---|---|---|---|---|
| Cmax | AUC | Cmin | |||
| アバカビル | 300mg 1回 |
8 | ↑12 (↓1~↑26) |
⇔ | - |
| ラミブジン | 150mg 1日2回,7日間 |
15 | ↓24 (↓34~↓12) |
⇔ | ⇔ |
| 経口避妊薬 | エチニルエストラジオール・ノルゲスチメート 1日1回,7日間 |
20 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| インジナビル | 800mg 1日3回,7日間 |
12 | ↓11 (↓30~↑12) |
⇔ | ⇔ |
| ロピナビル・リトナビル | 400/100mg 1日2回,14日間 |
24 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| エファビレンツ | 600mg 1日1回,14日間 |
30 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| アタザナビル | 400mg 1日1回,14日間 |
34 | ↓21 (↓27~↓14) |
↓25 (↓30~↓19) |
↓40 (↓48~↓32) |
| アタザナビル+リトナビル | 300/100mg 1日1回,42日間 |
10 | ↓28 (↓50~↑5) |
↓25注12) (↓42~↓3) |
↓23注12) (↓46~↑10) |
| リバビリン | 600mg 1回 |
22 | ⇔ | ⇔ | - |
| アデホビルピボキシル | 10mg 1回 |
22 | ⇔ | ⇔ | - |
| エムトリシタビン | 200mg 1日1回,7日間 |
17 | ⇔ | ⇔ | ↑20 (↑12~↑29) |
| ネルフィナビル M8代謝物 |
1,250mg 1日2回,14日間 |
29 | ⇔ ⇔ |
⇔ ⇔ |
⇔ ⇔ |
| サキナビル | 1,000/100mg 1日2回,14日間 |
32 | ↑22 (↑6~↑41) |
↑29 (↑12~↑48) |
↑47 (↑23~↑76) |
| リトナビル | ⇔ | ⇔ | ↑23 (↑3~↑46) |
||
| ダルナビル | 300/100mg 1日2回 |
12 | ↑16 (↓6~↑42) |
↑21 (↓5~↑54) |
↑24 (↓10~↑69) |
上昇:↑,低下:↓,不変:⇔,算出不能:-
注12)HIV感染症患者において,本剤にアタザナビル300mg及びリトナビル100mgを併用した場合,アタザナビルのAUC及びCminは,アタザナビル400mgを単独投与した場合と比較してそれぞれ2.3倍及び4倍上昇した。
| ジダノシンの用量/投与方法注13) | 本剤の投与方法注13) | 例数 | ジダノシン空腹時400mg投与時に対する薬物動態パラメータ変化率(%)(90%信頼区間) | ||
|---|---|---|---|---|---|
| Cmax | AUC | ||||
| 制酸剤含有製剤400mg注14) 1日1回,7日間 |
空腹時 ジダノシン投与後1時間 |
14 | ↑28 (↑11~↑48) |
↑44 (↑31~↑59) |
|
| 腸溶剤 | 空腹時 400mg,1回 |
食後 ジダノシン投与後2時間 |
26 | ↑48 (↑25~↑76) |
↑48 (↑31~↑67) |
| 食後 400mg,1回 |
ジダノシンと同時投与 | 26 | ↑64 (↑41~↑89) |
↑60 (↑44~↑79) |
|
| 空腹時 250mg,1回 |
食後 ジダノシン投与後2時間 |
28 | ↓11 (↓22~↑3) |
⇔ | |
| 空腹時 250mg,1回 |
ジダノシンと同時投与 | 28 | ⇔ | ↑14 (0~↑31) |
|
| 食後 250mg,1回 |
ジダノシンと同時投与 | 28 | ↓29 (↓39~↓18) |
↓11 (↓23~↑2) |
上昇:↑,低下:↓,不変:⇔
注13)食後投与の食事は軽食(約373kcal,20%が脂肪由来)
注14)体重60kg以下の症例4例含む(ジダノシンは250mg投与)