Clinical snapshot

ビベスピエアロスフィア120吸入

グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物製剤

添付文書改訂 2025年08月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1閉塞隅角緑内障の患者

[抗コリン作用により、眼圧が上昇し症状を増悪させるおそれがある。]

  1. 2.2前立腺肥大等による排尿障害がある患者

[抗コリン作用により、尿閉を誘発するおそれがある。]

  1. 2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解(長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)

用法・用量

通常、成人には、1回2吸入(グリコピロニウムとして14.4µg、ホルモテロールフマル酸塩として9.6µg)を1日2回吸入投与する。

使用上の注意

  1. 8.1用法・用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、本剤が適当ではないと考えられるので、漫然と投与を継続せず中止すること。

  2. 8.2気管支痙攣が認められた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。他の吸入薬と同様、本剤の吸入後に気管支痙攣が誘発されるおそれがある。

  3. 8.3本剤の投与期間中に発現する慢性閉塞性肺疾患の急性増悪に対しては、短時間作用性吸入β2刺激剤等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。また、その薬剤の使用量が増加したり、あるいは効果が十分でなくなってきた場合には、疾患の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し医師の治療を求めるよう患者に注意を与えること。

  4. 8.4本剤の投与中止により症状が悪化するおそれがあるので、患者自身の判断で本剤の使用を中止することがないよう指導すること。また、投与を中止する場合には、観察を十分に行うこと。

  5. 8.5過度に本剤の使用を続けた場合、不整脈、場合により心停止を起こすおそれがあるので、用法・用量を超えて投与しないよう注意すること。また、患者に対し、本剤の過度の使用による危険性について理解させ、用法・用量を超えて使用しないよう注意を与えること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心血管障害(虚血性心疾患、不整脈、心不全等)及びQT間隔延長のある患者

β1作用により、症状を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.2前立腺肥大症の患者(排尿障害がある場合を除く)

排尿障害が発現するおそれがある。

  1. 9.1.3甲状腺機能亢進症の患者

甲状腺機能亢進症の症状を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.4高血圧の患者

血圧を上昇させるおそれがある。

  1. 9.1.5糖尿病の患者

グリコーゲン分解作用により症状を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.6低カリウム血症の患者

Na+/K+ATPaseを活性化し細胞外カリウムを細胞内へ移動させることにより低カリウム血症を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.7気管支喘息の患者

気管支喘息の管理が十分行われるよう注意すること。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度の腎機能障害のある患者(eGFRが30mL/分/1.73m2未満の患者)又は透析を必要とする末期腎不全の患者

グリコピロニウムは主に腎排泄されるため血中濃度が上昇する可能性がある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害のある患者

ホルモテロールは主に肝臓で代謝されるため血中濃度が上昇する可能性がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

ヒトに対する単回投与試験で、グリコピロニウムの極めて低い胎盤通過性が報告されている1)。ラット及びウサギにグリコピロニウム10mg/kg/日を皮下投与したとき、胎児体重の減少がみられ2),3)、1mg/kg/日を皮下投与したとき離乳前新生児の体重増加抑制がみられた4)。また、ホルモテロール3mg/kg/日あるいは15mg/kg/日の経口投与により、ラット母動物では、着床数の減少及び吸収胚数並びに出生児損失の増加がみられ、同腹児数及び同腹児重量が低下した5)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。グリコピロニウム及びホルモテロールのヒト乳汁への移行は不明であるが、動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている4),5)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
カテコールアミン
• アドレナリン
• イソプレナリン等
不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがあるので、副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。 併用により、アドレナリン作動性神経刺激の増大が起きる。
そのため、不整脈を起こすことがある。
キサンチン誘導体
• テオフィリン
• アミノフィリン等
低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある。血清カリウム値のモニターを行うことが望ましい。 キサンチン誘導体はアドレナリン作動性神経刺激を増大させるため、血清カリウム値の低下を増強することがある。
全身性ステロイド剤
• プレドニゾロン
• ベタメタゾン等
低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある。血清カリウム値のモニターを行うことが望ましい。 全身性ステロイド剤及び利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が増強することが考えられる。
利尿剤
• フロセミド等
低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある。血清カリウム値のモニターを行うことが望ましい。 全身性ステロイド剤及び利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が増強することが考えられる。
β遮断剤
• アテノロール等
ホルモテロールの作用を減弱する可能性がある。 β受容体において競合的に拮抗する。
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
• 抗不整脈剤
• キニジン
• プロカインアミド
• ジソピラミド等
• 三環系抗うつ剤等
• イミプラミン等
QT間隔が延長され心室性不整脈等のリスクが増大するおそれがある。 いずれもQT間隔を延長させる可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
頻度不明
頻度不明
1%未満
頻度不明
上室性頻脈 頻度不明
不安 頻度不明
不眠症 1%未満
動悸 1%未満
口内乾燥 1%未満
尿路感染 頻度不明
尿閉 1%未満
悪心 1%未満
振戦 1%未満
期外収縮 頻度不明
浮動性めまい 1%未満
激越 頻度不明
筋痙縮 1%未満
胸痛 1%未満
落ち着きのなさ 1%未満
過敏症 1%未満
頭痛 1%未満
頻脈 1%未満
高血糖 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  • グリコピロニウム臭化物

グリコピロニウム臭化物は長時間作用性のムスカリン受容体拮抗薬であり、アセチルコリンのM3受容体結合を阻害することにより気管支収縮抑制作用を示す19)。

  • ホルモテロールフマル酸塩水和物

ホルモテロールフマル酸塩水和物は長時間作用性のβ2刺激薬である20)。

18.2 ムスカリン受容体サブタイプに対する選択性

  • グリコピロニウム臭化物

ヒトムスカリン受容体を発現させたチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞を用いた競合結合データから、グリコピロニウム臭化物のM3受容体及びM1受容体に対する親和性はM2受容体に対する親和性よりもわずかに高いことが示唆された19),21),22),23)。

18.3 気道収縮抑制作用

  • グリコピロニウム臭化物

ラットへの気管内投与によりメサコリン誘発気管支収縮を抑制した24)。

18.4 気管支拡張作用

  • ホルモテロールフマル酸塩水和物

モルモット摘出気管のカルバコール誘発収縮に対して迅速かつ持続的な弛緩作用を示した20)。また、モルモット喘息モデルにおいて、吸入投与によって経口投与よりも低い用量で気管支拡張を示し、その作用はサルブタモールより強力であった25)。

薬物動態

16.1 血中濃度

本剤を吸入投与したとき、グリコピロニウム及びホルモテロールの薬物動態パラメータは、同じ吸入デバイスを用いて各有効成分の同用量を単独投与したときと同様であった6),7)。

  1. 16.1.1単回投与

健康成人(23例)に本剤2吸入(グリコピロニウムとして14.4µg、ホルモテロールフマル酸塩として9.6µg)を単回投与したとき、グリコピロニウム及びホルモテロールの血漿中濃度はいずれも速やかに最高濃度に到達した。終末相の半減期(平均値)は、グリコピロニウムで4.14時間、ホルモテロールで5.25時間であった6)。

単回投与後の血漿中濃度(23例の平均値±標準偏差)

測定対象 Tmaxa)
(h)
Cmax
(pg/mL)
AUC0-12
(pg・h/mL)
t1/2
(h)
グリコピロニウム(22例) 0.100
[0.03-0.10]
9.09
(71)
21.8
(41)
4.14b)
(34)
ホルモテロール(23例) 0.100
[0.10-2.00]
12.0
(59)
42.5
(28)
5.25c)
(44)

a)中央値及び範囲、b)14例、c)20例

  1. 16.1.2反復投与

中等症から最重症の慢性閉塞性肺疾患患者(外国人83例)に本剤2吸入(グリコピロニウムとして14.4µg、ホルモテロールフマル酸塩として9.6µg)を1日2回12週間反復投与したとき、グリコピロニウム及びホルモテロールの血漿中濃度はいずれも2~3日で定常状態に到達し、AUC0-12に基づく累積係数はそれぞれ約2.3及び約1.5であった7)。

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合

グリコピロニウム及びホルモテロールの血漿蛋白結合率はいずれも約50%であった(in vitro試験)8),9)。

  1. 16.3.2放射性標識体の肺内分布

本剤と同じ吸入デバイスを用い、健康成人男性(外国人10例)に放射能(99mTc)で標識したエアロゾルを単回吸入投与したとき、投与放射能の約38%が肺内に沈着した10)。

16.4 代謝

グリコピロニウム:グリコピロニウムの消失に占める代謝の寄与はわずかである。グリコピロニウムの主代謝物は、一水酸化体及び二水酸化体、並びに不飽和化を伴う一水酸化体であった(in vitro試験)11)。グリコピロニウムの代謝には主にCYP2D6が関与する(in vitro試験)12)。

ホルモテロール:ヒト血漿及び尿中の主代謝物は、ホルモテロールのグルクロン酸抱合体であった。尿中にはO-脱メチル化体のグルクロン酸抱合体も認められた13)。ホルモテロールのO-脱メチル化反応には主としてCYP2D6及びCYP2C分子種が関与する(in vitro試験)14)。

16.5 排泄

放射能標識したグリコピロニウムを静脈内投与したとき、投与放射能の85%が尿中に排泄された15)。

放射能標識したホルモテロールを経口投与後直ちに静脈内持続注入(30分)したとき、投与放射能の62%が尿中に排泄され、24%が糞中に排泄された13)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害の影響

母集団薬物動態解析の結果、腎機能低下に伴うグリコピロニウムの曝露量の増加が示唆された。ホルモテロールの曝露量に及ぼす腎機能障害の影響は認められなかった16)。

  1. 16.6.2肝機能障害の影響

肝機能障害患者を対象とした試験は実施していない。グリコピロニウムは主に腎排泄によって体内から消失するため、肝機能障害による影響を受けにくいと考えられる。ホルモテロールは主に肝代謝によって体内から消失するため、重度肝機能障害を有する患者では、曝露量の増加が予測される。

薬価情報

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最新薬価: ¥4886.90
年度 品名 規格 単位 薬価 後発品 適用日 製造販売会社
2026年度
ビベスピエアロスフィア120吸入 本剤
2259808G2027
120吸入1キット 120吸入1キット ¥4886.90