Clinical snapshot

バンコマイシン塩酸塩散0.5g「VTRS」

バンコマイシン塩酸塩

添付文書改訂 2025年11月01日

【警告】

本剤の耐性菌の発現を防ぐため、「5. 効能・効果に関連する注意」、「8. 重要な基本的注意」の項を熟読の上、適正使用に努めること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分によるショックの既往歴のある患者

効能・効果

  • 〇感染性腸炎

  • 〈適応菌種〉

バンコマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、クロストリジウム・ディフィシル

  • 〈適応症〉

感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)

  • 〇骨髄移植時の消化管内殺菌

用法・用量

  • 〈感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)〉

用時溶解し、通常、成人1回0.125~0.5g(力価)を1日4回経口投与する。 なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

  • 〈骨髄移植時の消化管内殺菌〉

用時溶解し、通常、成人1回0.5g(力価)を非吸収性の抗菌剤及び抗真菌剤と併用して1日4~6回経口投与する。 なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現を防ぐため、次のことに注意すること。

  2. 8.1.1感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導の下で行うこと。

  3. 8.1.2投与期間は、感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適切な時期に、本剤の継続投与が必要か否か判定し、疾病の治療上必要な最低限の期間の投与にとどめること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1本剤の成分又はペプチド系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 9.1.2ペプチド系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質による難聴又はその他の難聴のある患者

難聴が発現又は増悪するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

投与量・投与間隔の調節を行い、慎重に投与すること。偽膜性大腸炎等の重度の腸管炎症のある高度の腎機能障害患者(血液透析中等)では、吸収され、排泄が遅延して蓄積するおそれがあり、バンコマイシン塩酸塩の静脈内投与で報告されているものと同様な副作用が発現する危険性がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。静脈内投与により、ヒト母乳中への移行が認められている。

9.8 高齢者

腎機能等に注意して、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• コレスチラミン 同時に投与すると本剤の臨床効果が減弱するおそれがあるので、数時間間隔をあけて投与すること。 コレスチラミンは腸管内でバンコマイシンと結合する。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 頻度不明
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
BUN上昇 頻度不明
クレアチニン上昇 頻度不明
そう痒 頻度不明
下痢 頻度不明
口内炎 頻度不明
嘔吐 頻度不明
好酸球増多 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
潮紅 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球減少 頻度不明
舌炎 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血小板減少 頻度不明
貧血 頻度不明
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

バンコマイシンの作用は細菌の細胞壁合成阻害によるものであり、その抗菌作用は殺菌的である12)。更に細菌の細胞膜の透過性に変化を与える。

18.2 抗菌作用

  1. 18.2.1バンコマイシンは試験管内でブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、クロストリジウム属(クロストリジウム・ディフィシルを含む)、アクチノマイセス、ラクトバチルスに抗菌力を示す13)。グラム陰性菌には抗菌力を示さない14)。

  2. 18.2.2バンコマイシンは試験管内でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対して抗菌力を有し、他の抗菌剤との間に交差耐性を示さない14)。また、MRSAを用いた継代培養試験において、バンコマイシンに対する耐性化は低い15)。

18.3 生物学的同等性試験

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、クロストリジウム・ディフィシルに対する最小発育阻止濃度(MIC)測定試験(in vitro)及びクロストリジウム・ディフィシル腸炎モデル(マウス)に対する治療効果比較試験において、バンコマイシン塩酸塩散0.5g「VTRS」と塩酸バンコマイシン散0.5gの生物学的同等性が確認された16)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1健康成人

経口投与時の血中濃度を表1に示す3)。

1日投与量
投与期間
n 血中濃度
(μg/mL)
500mg(力価)×4/日
7日
1 測定限界
(2.5)以下

(測定法:bioassay)

  1. 16.1.2偽膜性大腸炎の患者

経口投与時の血中濃度を表2に示す4)。

1日投与量
投与期間
n 血中濃度
(μg/mL)
500mg(力価)×4/日
5~7日
3 測定限界
(1.25)以下

(測定法:bioassay)

  1. 16.1.3メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による感染性腸炎の患者

経口投与時の血清中濃度を表3に示す5)。

1日投与量
投与期間
n 血清中濃度
(μg/mL)
500mg(力価)×4/日
2~19日※1
26 測定限界
(1.0)以下

※1)有効性評価対象例31例における投与期間を示した。 〔測定法:FPIA(蛍光偏光免疫測定法)〕

16.2 吸収

通常、経口投与によってほとんど吸収されず、高い消化管内濃度が得られる。また、血中にはほとんど認められない3)。ただし、腸管に病変のある患者において、吸収され尿中に排泄されたとの報告がある4)。

16.3 分布

  1. 16.3.1蛋白結合率

健康成人に1.0g(力価)点滴静注注)時の血清を用い、遠心限外ろ過法にて測定された血清蛋白結合率は34.3%であった6)。

16.4 代謝

バンコマイシン塩酸塩の代謝物は確認されていない。

16.5 排泄

  1. 16.5.1健康成人

経口投与時の糞便中濃度、尿中濃度を表4に示す3)。なお、バンコマイシン塩酸塩は点滴静注注)後、72時間までに90%以上が尿中に未変化体として排泄された6)。

1日投与量
投与期間
糞便中濃度
(μg/g)
尿中濃度
(μg/mL)
500mg(力価)×4/日
7日
2500~4750
(n=1)
検出されず
(n=1)

(測定法:bioassay)

  1. 16.5.2偽膜性大腸炎の患者

経口投与時の糞便中濃度、尿中濃度を表5に示す4)。

1日投与量
投与期間
糞便中濃度
(μg/g)
尿中濃度
(μg/mL)
500mg(力価)×4/日
5~19日
726~8370
(n=5)
測定限界
(1.25)以下
(n=1)
2.44~94.6
(尿中排泄率:0.15~1.65%)
(n=3)

(測定法:bioassay)

  1. 16.5.3メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による感染性腸炎の患者

経口投与時の糞便中濃度、尿中濃度を表6に示す5)。

1日投与量
投与期間
糞便中濃度
(μg/g)
尿中濃度
(μg/mL)
500mg(力価)×4/日
2~19日※1
500~5500
(n=9)
10.5~92.5※2
(n=1)
測定限界以下~23.4
(n=7)

※1)有効性評価対象例31例における投与期間を示した。 ※2)水様性下痢を呈した1例。 (測定法:bioassay)

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害を有する偽膜性大腸炎の患者

経口投与時の血清中濃度を表7に示す(外国人データ)。

No. 年齢、性 基礎疾患 1日投与量
投与期間
血清中濃度
(μg/mL)
1 14歳、女7) 無腎、
血液透析中
250mg(力価)×4/日×8日 13.5~34.0
2 62歳、男8) 腎不全 500mg(力価)×4/日×8日
1000mg(力価)/日×9日
500mg(力価)/日×3日
11.4~20.3
3 32歳、男9) 糖尿病、
血液透析中
250mg(力価)×4/日×11日 約4.5~7.0
4 45歳、男9) 血液透析中 250mg(力価)×4/日
投与期間不明
2.4~2.6
5 45歳、男9) 血液透析中 500mg(力価)×4/日×3日 11~13
125mg(力価)×4/日
投与期間不明
2.4~3.4
6 63歳、男9) 糖尿病、
血液透析中
250mg(力価)×4/日
投与期間不明
0.0
7 28歳、男9) 糖尿病性腎症 500mg(力価)×4/日
投与期間不明
0.7~9.8

〔測定法:No.1;RIA(放射免疫測定法)、No.2~7;FPIA(蛍光偏光免疫測定法)〕

注)本剤の承認された用法・用量とは異なる。