Clinical snapshot

バラシクロビル錠500mg「NPI」

バラシクロビル塩酸塩

添付文書改訂 2026年02月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分あるいはアシクロビルに対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 単純疱疹

  • 造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制

  • 帯状疱疹

  • 水痘

  • 性器ヘルペスの再発抑制

用法・用量

  • [成人]

  • 〈単純疱疹〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。

  • 〈造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与する。

  • 〈帯状疱疹〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与する。

  • 〈水痘〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与する。

  • 〈性器ヘルペスの再発抑制〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回500mgを1日1回経口投与する。なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。

  • [小児]

  • 〈単純疱疹〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。

  • 〈造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与する。

  • 〈帯状疱疹〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与する。

  • 〈水痘〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与する。

  • 〈性器ヘルペスの再発抑制〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回500mgを1日1回経口投与する。なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1各効能又は効果に対し設定された用法及び用量で投与した場合、本剤投与時のアシクロビル曝露は、アシクロビル経口製剤投与時よりも高いことから、副作用の発現に留意すること。

  2. 8.2意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。なお、腎機能障害患者では、特に意識障害等があらわれやすいので、患者の状態によっては従事させないよう注意すること。

  • 〈水痘〉
  1. 8.3治療上の有益性と危険性を勘案して投与すること。本剤の使用経験は少ない。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1免疫機能の低下した患者

水痘の治療において、悪性腫瘍、自己免疫性疾患などの免疫機能の低下した患者に対する有効性及び安全性は確立していない。本剤の使用経験がない。

  1. 9.1.2脱水症状をおこしやすいと考えられる患者(腎障害のある患者又は腎機能が低下している患者、高齢者、水痘患者等)

適切な水分補給を行うこと。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎障害のある患者、腎機能が低下している患者

投与間隔及び投与量を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤の活性代謝物であるアシクロビルの曝露量が増加した場合には、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い。適切な減量投与が行われなかったために過量投与の状態となった腎障害患者において、精神神経症状や腎機能障害が発現した症例が報告されている。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝障害のある患者

肝障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 活性代謝物のアシクロビルにおいて、動物実験(ラット)の妊娠10日目に、母動物に腎障害のあらわれる大量(200mg/kg/day以上)を皮下投与した実験では、胎児に頭部及び尾の異常が認められたと報告されている1)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤投与後、活性代謝物のアシクロビルがヒト乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

  1. 9.7.1動物実験(ラット)でバラシクロビルを経口投与したときの活性代謝物であるアシクロビルの曝露量は、成熟動物に比べて幼若動物で大きいことが報告されている。

  2. 9.7.2低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

投与間隔及び投与量を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は、活性代謝物のアシクロビルに変換された後、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため血中アシクロビル濃度が高濃度で持続し、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い。適切な減量投与が行われなかったために過量投与の状態となった高齢者において、精神神経症状や腎機能障害が発現した症例が報告されている。

相互作用

  • 活性代謝物のアシクロビルは、OAT1、MATE1及びMATE2-Kの基質である。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
プロベネシド 本剤の活性代謝物のアシクロビルの排泄が抑制され、アシクロビルの平均血漿中濃度曲線下面積(AUC)が48%増加するとの報告がある2)。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。 プロベネシドは尿細管分泌に関わるOAT1及びMATE1を阻害するため、活性代謝物のアシクロビルの腎排泄が抑制されると考えられる。
シメチジン 本剤の活性代謝物のアシクロビルの排泄が抑制され、アシクロビルのAUCが27%増加するとの報告がある2)。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。 シメチジンは尿細管分泌に関わるOAT1、MATE1及びMATE2-Kを阻害するため、活性代謝物のアシクロビルの腎排泄が抑制されると考えられる。
ミコフェノール酸 モフェチル 本剤の活性代謝物のアシクロビルとの併用により、アシクロビル及びミコフェノール酸 モフェチル代謝物の排泄が抑制され、両方のAUCが増加するとの報告がある3)。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。 活性代謝物のアシクロビルとミコフェノール酸 モフェチル代謝物が尿細管分泌で競合すると考えられる。
テオフィリン 本剤の活性代謝物のアシクロビルとの併用により、テオフィリンの中毒症状があらわれることがある4)。 機序は不明であるが、本剤の活性代謝物のアシクロビルがテオフィリンの代謝を阻害するためテオフィリンの血中濃度が上昇することが考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
めまい 頻度不明
下痢 5%以上
光線過敏症 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嘔気 5%以上
尿閉 頻度不明
意識低下 頻度不明
排尿困難 頻度不明
瘙痒 頻度不明
発疹 頻度不明
肝機能検査値の上昇 5%以上
腎障害 5%以上
腹痛 5%以上
腹部不快感 5%以上
蕁麻疹 頻度不明
頭痛 5%以上

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

バラシクロビルはアシクロビルのL-バリルエステルであり、経口投与後、主に肝初回通過効果によりアシクロビルに変換されて抗ウイルス作用を発現する。アシクロビルは、単純ヘルペスウイルスあるいは水痘・帯状疱疹ウイルスが感染した細胞内に入ると、ウイルス性チミジンキナーゼにより一リン酸化された後、細胞性キナーゼによりリン酸化され、アシクロビル三リン酸(ACV-TP)となる。ACV-TPは正常基質であるdGTPと競合してウイルスDNAポリメラーゼによりウイルスDNAの3’末端に取り込まれると、ウイルスDNA鎖の伸長を停止させ、ウイルスDNAの複製を阻害する13),38),39),40),41),42),43)。 アシクロビルリン酸化の第一段階である一リン酸化は感染細胞内に存在するウイルス性チミジンキナーゼによるため、ウイルス非感染細胞に対する障害性は低いものと考えられる。

18.2 抗ウイルス作用

  1. 18.2.1単純ヘルペスウイルスに対する作用

バラシクロビルの活性代謝物であるアシクロビルは、単純ヘルペスウイルス1型及び2型のin vitroにおける増殖を抑制し、IC50はそれぞれ0.01~1.25μg/mL及び0.01~3.20μg/mLであった44),45)。

  1. 18.2.2水痘・帯状疱疹ウイルスに対する作用

バラシクロビルの活性代謝物であるアシクロビルは、水痘・帯状疱疹ウイルスのin vitroにおける増殖を抑制し、IC50は0.17~7.76μg/mLであった38),46),47)。また、サル水痘ウイルスを気道に接種したサルにバラシクロビル200及び400mg/kg/日を1日3回に分割し連続10日間経口投与したところ、皮疹の発現が抑制され、血中ウイルス価が減少した48)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

6例の健康成人にバラシクロビル500mg又は1000mgを単回経口投与した場合、その活性代謝物であるアシクロビルに主に肝臓において速やかに代謝され、血漿中アシクロビルの薬物動態パラメータは下記のとおりであった5)。

バラシクロビル
投与量
例数 単回経口投与時のアシクロビルの薬物動態パラメータ
Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
AUC0-∞
(μg・hr/mL)
t1/2
(hr)
500mg 6 3.66±0.83 1.50±0.63 12.74±2.77 2.96±0.41
1000mg 6 5.84±1.08 2.17±0.61 22.26±5.73 3.55±0.27

平均値±標準偏差

  1. 16.1.2反復投与

バラシクロビル500mgを1日2回(12時間毎)又は1000mgを1日3回(8時間毎)6日間反復経口投与した場合、数回の投与で血漿中アシクロビル濃度は定常状態に達し、トラフ濃度の平均はそれぞれ0.22~0.29μg/mL及び0.94~1.18μg/mLであり蓄積性は認められなかった5)。

  1. 16.1.3生物学的同等性試験

バラシクロビル錠500mg「NPI」とバルトレックス錠500を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(バラシクロビルとして500mg)を健康成人男子に絶食単回経口投与し、活性代謝物である血漿中アシクロビル濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された7)。

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-12
(μg・hr/mL)
Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
バラシクロビル錠500mg「NPI」 10.13±2.47 2.9141±0.7513 1.83±0.62 2.8±0.3
バルトレックス錠500 9.80±2.59 2.8421±0.8304 1.89±0.63 2.8±0.3

(平均値±標準偏差、n=18)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

食事によりアシクロビルの最高血漿中濃度到達時間は僅かに遅延したが、AUCに有意な差を認めなかった7),8)(外国人データ)。

  1. 16.2.2バイオアベイラビリティ

健康成人にバラシクロビル1000mgを単回経口投与した場合のアシクロビルの生物学的利用率は54.2%であった9)(外国人データ)。

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

In vitroでのバラシクロビル及びアシクロビル(活性代謝物)の血漿蛋白結合率は、それぞれ13.5~17.9及び22~33%であった10),11)。

  1. 16.3.2乳汁中濃度

ヒトにバラシクロビル500mg経口投与後、アシクロビルの乳汁中Cmaxは、母体血清中Cmaxの0.5~2.3倍(中央値:1.4)を示し、アシクロビルの乳汁中AUCは、母体血清中AUCの1.4~2.6倍(中央値:2.2)を示した12)(外国人データ)。

16.4 代謝

ヒト肝において、バラシクロビルの加水分解活性は高かった13)。

16.5 排泄

6例の健康成人にバラシクロビル1000mgを単回経口投与した場合、主な排泄経路は尿中であり、24時間以内の尿中に未変化体、アシクロビル及び9-カルボキシメトキシメチルグアニン(既知のアシクロビルの代謝物)がそれぞれ投与量の0.4%、43.1%及び5.0%排泄された5)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

透析患者(クレアチニンクリアランス値 平均0.93mL/min)にバラシクロビル1000mgを単回経口投与した場合の薬物動態パラメータは以下のとおりであった14)。また、4時間の透析により血漿中のアシクロビルは約70%が除去された。

被験者 例数 単回経口投与時のアシクロビルの薬物動態パラメータ
Cmax
(μg/mL)
Tmax注1)
(hr)
t1/2
(hr)
AUC0-∞
(μg・hr/mL)
腎機能障害患者 18 10.60±4.22 2.00
(1.00-4.00)
22.2±5.0 249.43±105.09

平均値±標準偏差、注1)中央値(範囲)

  1. 16.6.2高齢者

高齢者(平均72歳、クレアチニンクリアランス値 平均57mL/min)にバラシクロビルを経口投与した場合、健康成人に比べ血漿中アシクロビルのCmax及びAUCはそれぞれ15~20%及び30~50%増加した。この変化は高齢者での加齢に伴う腎機能低下によると考えられた15)(外国人データ)。

  1. 16.6.3小児等

小児水痘患者(1~9歳)にバラシクロビル25mg/kg(顆粒剤50mg/kg)注)を1日3回5日間反復経口投与した場合の初回投与時の血漿中アシクロビルの薬物動態パラメータは下記のとおりであった。投与5日目の血漿中アシクロビル濃度に反復投与による蓄積性は認められなかった16)。 注)水痘における本剤の承認用量は、通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与である。

投与量
(mg/kg)
年齢
(歳)
例数 初回投与時のアシクロビルの薬物動態パラメータ
Cmax
(μg/mL)
Tmax注1)
(hr)
AUC0-∞
(μg・hr/mL)
t1/2
(hr)
25 1~9 11注2) 6.21±2.46 1.03
(1.00-4.08)
16.90±6.99 1.34±0.29

平均値±標準偏差 注1)中央値(最小値-最大値) 注2)AUC0-∞及びt1/2については、9例

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1In vitro

バラシクロビルの活性代謝物であるアシクロビルは、OAT1、OAT2、MATE1及びMATE2-Kの基質であった17),18),19),20)。

  1. 16.7.2吸収過程における相互作用(in situ

ラット小腸にバラシクロビル0.01mMを含む緩衝液を灌流した時、バラシクロビルの小腸透過係数はペプチドトランスポーター(PEPT)1の基質として知られるβ-ラクタム系抗生物質(アモキシシリン、アンピシリン、セファドロキシル、セファラジン;各々5mM)の高濃度の共存下で有意に低下したことから、バラシクロビルの吸収過程にはPEPT1が関与していることが示された21)。