- 低血糖時の救急処置
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1*褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者[カテコールアミンの遊離を刺激して、急激な血圧の上昇を招くおそれがある。]
-
2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、グルカゴンとして1回3mgを鼻腔内に投与する。
使用上の注意
-
8.1患者及びその看護者(家族等)が対処できるように、投与法及び保管方法について十分指導すること。また、低血糖に関する注意についても十分徹底させること。
-
8.2低血糖を生じた患者に本剤を投与しても、意識レベルの低下等の低血糖症状が改善しない場合は、直ちに、ブドウ糖等を静脈内投与するなど適切な処置を行うこと。本剤の繰り返し投与によるグルコース濃度上昇作用の増大は認められていない1)ため、本剤又は他のグルカゴン製剤の追加投与は行わないこと。なお、回復した場合でも糖質投与を行うことが望ましい。
-
8.3本剤投与で意識レベルが一時回復しても、低血糖の再発や遷延により、めまい、ふらつき、意識障害を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1インスリノーマの患者
本剤投与後に低血糖症状が認められた場合はブドウ糖の経口投与又は静脈内投与を行うこと。本剤の投与により、一旦、血糖値が上昇した後、直接又は間接的(血糖上昇に対する反応性)に過度なインスリン分泌を促し低血糖を起こすおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。グルカゴンはヒト胎盤を通過しないことが報告されている2)。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。グルカゴンがヒト乳汁中へ移行するかどうかは不明である。グルカゴンはペプチドであり、未変化体のまま消化管から吸収されることはない。したがって、授乳により乳児がグルカゴンを経口摂取したとしても影響が生じる可能性は低いと考えられる。
9.7 小児等
小児等を対象とした国内臨床試験及び4歳未満の小児等を対象とした国内外臨床試験は実施していない。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| β遮断剤 • ビソプロロールフマル酸塩 カルベジロール アテノロール等 |
脈拍数の一時的な増加及び血圧の一時的な上昇が起こることがある。 | β遮断剤の薬理作用が、グルカゴンのカテコールアミン分泌刺激に伴う臨床症状発現に影響する可能性がある。 |
| ワルファリンカリウム | ワルファリンカリウムの抗凝血作用が増強することがある。 | 機序は不明である。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| そう痒症 | 1%未満 |
| 上気道刺激症状(鼻部不快感 | 頻度不明 |
| 収縮期血圧上昇 | 頻度不明 |
| 味覚異常 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 心拍数増加 | 1%未満 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 拡張期血圧上昇 | 頻度不明 |
| 流涙増加 | 頻度不明 |
| 眼そう痒症 | 頻度不明 |
| 眼充血 | 1%未満 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 鼻漏等) | 頻度不明 |
| 鼻痛 | 頻度不明 |
| 鼻閉 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
グルカゴンは肝臓のグルカゴン受容体に結合して活性化し、肝臓に蓄積されたグリコーゲンをグルコースに分解して血液中に放出させることにより血糖値を上昇させる。
薬物動態
16.1 血中濃度
1型糖尿病及び2型糖尿病患者にクロスオーバー法により本剤3mg経鼻投与又はグルカゴン注射剤1mg筋肉内投与で単回投与したときのグルカゴン(ベースライン値で補正した値)の薬物動態は以下のとおりであった。
| Cmax (pg/mL) |
AUC(0-tlast) (pg・hr/mL) |
Tmax注1) (min) |
CL/F (L/hr) |
V/F (L) |
t1/2注2) (min) |
|
|---|---|---|---|---|---|---|
| 本剤3mg (71例) |
9520 (103) |
4830 (89) |
30 (10, 40) |
563 (46) |
371注3) (92) |
27注3) (8, 85) |
| グルカゴン 注射剤1mg (68例) |
3290 (37) |
3240 (32) |
10 (5, 40) |
303 (31) |
235 (43) |
32 (14, 54) |
幾何平均値(変動係数%)
注1)中央値(範囲)
注2)幾何平均値(範囲)
注3)61例
図1)本剤又はグルカゴン注射剤投与後のグルカゴンの血漿中濃度推移(平均値+標準偏差)
16.4 代謝
グルカゴンは肝臓、腎臓及び血漿で分解されることが知られている。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1小児
4歳以上17歳未満の小児1型糖尿病患者に本剤を経鼻投与又はグルカゴン注射剤を筋肉内投与したときのグルカゴン(ベースライン値で補正した値)の薬物動態は以下のとおりであった3)(外国人データ)。
| Cmax注4) (pg/mL) |
AUC(0-tlast)注4) (pg・hr/mL) |
Tmax注5) (min) |
t1/2注5),注6) (min) |
||
|---|---|---|---|---|---|
| 4歳以上 8歳未満 |
本剤 3mg (12例) |
3960 (62) |
2470 (58) |
17 (10, 60) |
31 (15, 79) |
| グルカゴン 注射剤1mg注7) (6例) |
6290 (33) |
4080 (51) |
17 (5, 30) |
20 (14, 23) |
|
| 8歳以上 12歳未満 |
本剤 3mg (12例) |
5660 (37) |
2940 (35) |
15 (10, 30) |
21 (13, 35) |
| グルカゴン 注射剤1mg (6例) |
4740 (65) |
3640 (57) |
17 (5, 30) |
33 (20, 57) |
|
| 12歳以上 17歳未満 |
本剤 3mg (12例) |
3100 (74) |
2000 (66) |
20 (15, 30) |
24 (13, 42) |
| グルカゴン 注射剤1mg (12例) |
4280 (88) |
3110 (92) |
17 (5, 30) |
38 (14, 58) |
注4)平均値(変動係数%)
注5)中央値(範囲)
注6)グルカゴン濃度の実測値で算出した。
注7)体重25kg以上の場合1mg、体重25kg未満の場合は0.5mg
- 16.6.2感冒に伴う鼻閉又は鼻汁を有する患者
感冒に伴う鼻閉及び/又は鼻汁を有する被験者を対象にオキシメタゾリン点鼻液併用、非併用時又は感冒から回復後に本剤3mgを経鼻投与したときのグルカゴン(ベースライン値で補正した値)の薬物動態は表3のとおりであった。また、血漿中グルコース濃度上昇に影響を及ぼさなかった4)(外国人データ)。
| Cmax (pg/mL) |
AUC(0-tlast) (pg・hr/mL) |
Tmax注8) (min) |
|
|---|---|---|---|
| 感冒症状 (18例) |
1150 (87) |
1040 (98) |
18 (5, 90) |
| 感冒症状+点鼻液併用 (18例) |
812 (74) |
868 (72) |
18 (10, 60) |
| 感冒症状から回復後 (17例) |
746 (74) |
632 (63) |
18 (15, 40) |
平均値(変動係数%)
注8)中央値(範囲)
16.8 その他
- 16.8.1血糖上昇作用
1型糖尿病及び2型糖尿病患者72例にクロスオーバー法により本剤3mgを経鼻投与又はグルカゴン注射剤1mgを筋肉内投与した。本剤投与後10分までに血糖値(中央値)は約70mg/dLに達し、最大血糖値(平均値)は140mg/dLを超える値まで上昇した。
図2)本剤又はグルカゴン注射剤投与後の血糖値の推移(平均値±標準偏差)