Clinical snapshot

ネクサバール錠200mg

ソラフェニブトシル酸塩

添付文書改訂 2026年04月01日

【警告】

本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌

  • 切除不能な肝細胞癌

  • 根治切除不能な甲状腺癌

用法・用量

通常、成人にはソラフェニブとして1回400mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1手足症候群、はく脱性皮膚炎、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑、ケラトアカントーマ、皮膚有棘細胞癌があらわれることがあるので、必要に応じて皮膚科を受診するよう、患者に指導すること。

  2. 8.2肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。 なお、主に肝細胞癌又は肝硬変のある患者において肝性脳症が報告されているので、これらの患者に投与する際は、血中アンモニア値等の検査を行うとともに、意識障害等の臨床症状を十分に観察すること。

  3. 8.3急性肺障害、間質性肺炎があらわれることがあるので、呼吸困難、発熱、咳嗽等の臨床症状を十分に観察すること。また、呼吸困難、発熱、咳嗽等の症状があらわれた場合には速やかに連絡するよう患者に説明すること。

  4. 8.4血圧の上昇が認められることがあるので、本剤投与中は定期的に血圧測定を行うことが望ましい。高血圧クリーゼがあらわれることがあるので、血圧の推移等に十分注意しながら投与すること。高血圧があらわれた場合には、降圧剤の投与など適切な処置を行うこと。重症、持続性あるいは通常の降圧治療でコントロールできない高血圧があらわれた場合には、投与の中止を考慮すること。

  5. 8.5白血球減少、好中球減少、リンパ球減少、血小板減少、貧血があらわれることがあるので、定期的に白血球分画を含む血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  6. 8.6血清アミラーゼや血清リパーゼの上昇があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に膵酵素を含む血液検査を行うこと。

  7. 8.7創傷治癒を遅らせる可能性があるので、手術時は投与を中断することが望ましい。手術後の投与再開は患者の状態に応じて判断すること。

  8. 8.8腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  • 〈根治切除不能な甲状腺癌〉
  1. 8.9定期的に血清カルシウム濃度を測定すること。

  2. 8.10定期的に甲状腺刺激ホルモン濃度を測定すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1高血圧症の患者

高血圧が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.2血栓塞栓症の既往のある患者

心筋虚血、心筋梗塞などがあらわれるおそれがある。

  1. 9.1.3脳転移のある患者

脳出血があらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者

臨床試験で除外されている。

9.4 生殖能を有する者

妊娠可能な女性に対しては、投与中及び投与中止後少なくとも2週間は有効な避妊を行うよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット、ウサギ)でヒトの臨床用量を下回る用量で胚・胎児毒性及び催奇形作用が報告されている1),2)。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット、経口投与)で乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。動物実験で成長段階の若齢イヌに骨及び歯への影響が報告されている3)。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い。

相互作用

  • In vitro試験において、本剤は薬物代謝酵素チトクロームP450 3A4(CYP3A4)による酸化的代謝とグルクロン酸転移酵素(UGT1A9)によるグルクロン酸抱合により代謝されることが示されているので、本酵素の活性に影響を及ぼす薬剤と併用する場合には、注意して投与すること。また、in vitro試験で、本剤のUGT1A1、UGT1A9、CYP2B6、CYP2C9及びCYP2C8に対する阻害活性が示されており、これらの酵素により代謝される他の薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
イリノテカン イリノテカン及びその活性代謝物であるSN-38のAUCがそれぞれ26~42%及び67~120%増加するとの報告がある4)。 本剤はUGT1A1によるグルクロン酸抱合を阻害することにより、SN-38の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。
ドキソルビシン ドキソルビシンのAUCが21%増加したとの報告がある5)。 機序不明
CYP3A4誘導薬(リファンピシン、フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン、デキサメタゾン等)及びセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 リファンピシンとの併用により本剤のAUCが37%減少したとの報告がある6)。
CYP3A4誘導薬等の併用により本剤の血漿中濃度が低下する可能性がある。
In vitro試験において、本剤はCYP3A4によって代謝されることが示唆されている。
ワルファリン ワルファリンを併用した症例において、出血又はプロトロンビン時間の延長(INR値の上昇)の報告がある7)。
本剤とワルファリンを併用する場合には、定期的にプロトロンビン時間又はINRのモニタリングを行うこと。
機序不明
ドセタキセル ドセタキセルのAUCが36~80%増加したとの報告がある8)。 機序不明
パクリタキセル/カルボプラチン パクリタキセル及びカルボプラチンとの併用により本剤のAUCが47%増加し、パクリタキセル及びその活性代謝物である6-OHパクリタキセルのAUCがそれぞれ29%及び50%増加したとの報告がある。 機序不明
カペシタビン カペシタビン及びその活性代謝物であるフルオロウラシルのAUCがそれぞれ50%及び52%増加したとの報告がある。 機序不明
フラジオマイシン(経口剤:国内未発売) フラジオマイシンとの併用により本剤のAUCが54%低下したとの報告がある9)。
抗生物質との併用により本剤の血漿中濃度が低下する可能性がある。
フラジオマイシンの腸内細菌叢への影響により、本剤の腸肝循環が抑制される。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 頻度不明
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
INR上昇 1%未満
LDH上昇 頻度不明
QT延長 頻度不明
アミラーゼ上昇 頻度不明
インフルエンザ様症状 頻度不明
うつ 1%未満
ざ瘡 頻度不明
そう痒 頻度不明
ビリルビン上昇 頻度不明
プロトロンビン時間延長 1%未満
リパーゼ上昇 頻度不明
下痢 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低リン酸血症 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
勃起不全 1%未満
口内炎(口内乾燥及び舌痛を含む) 頻度不明
味覚異常 頻度不明
嗄声 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嚥下障害 頻度不明
女性化乳房 1%未満
悪心 頻度不明
感染 頻度不明
放射線照射リコール反応 頻度不明
末梢感覚神経障害 頻度不明
毛包炎 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
湿疹 頻度不明
潮紅 頻度不明
無力症 頻度不明
甲状腺機能亢進 1%未満
甲状腺機能低下 1%未満
疲労 頻度不明
疼痛(口内疼痛 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹・皮膚落屑 頻度不明
白血球破砕性血管炎 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
筋痙縮 頻度不明
筋痛 頻度不明
粘膜の炎症 頻度不明
紅斑 頻度不明
耳鳴 1%未満
胃炎 1%未満
胃食道逆流性疾患 頻度不明
胆のう炎 1%未満
胆管炎 頻度不明
脱毛 頻度不明
脱水 頻度不明
腹痛 頻度不明
過敏性反応(皮膚反応及びじん麻疹を含む) 頻度不明
過角化 頻度不明
関節痛 頻度不明
頭痛及びがん疼痛を含む) 頻度不明
食欲不振 頻度不明
骨痛 頻度不明
高カリウム血症 1%未満
高血圧 頻度不明
鼻漏 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

In vitro試験において、本剤は腫瘍進行に関与するC-Raf、正常型及び変異型B-Rafキナーゼ活性、並びにFLT-3、c-KITなどの受容体チロシンキナーゼ活性を阻害した。さらに、本剤は腫瘍血管新生に関与する血管内皮増殖因子(VEGF)受容体、血小板由来成長因子(PDGF)受容体などのチロシンキナーゼ活性を阻害した。 In vivo試験では、本剤は腎細胞癌及び肝細胞癌細胞株を用いた担癌マウスにおいて、腫瘍組織中の血管新生を抑制した。また、肝細胞癌細胞株を用いた担癌マウスでは、腫瘍細胞のERKリン酸化を抑制し、アポトーシスを誘導した30),31),32)。

18.2 抗腫瘍効果

本剤は腎細胞癌細胞株(RENCA、786-O)及び肝細胞癌細胞株(PLC/PRF/5)を移植したマウスにおいて腫瘍の増殖を抑制した。さらに、k-ras又はb-rafの変異を有するヒト由来腫瘍の他、EGFR等の増殖因子受容体を過剰発現している腫瘍の担癌マウスにおいても、腫瘍増殖を抑制した30),31),32)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人固形癌患者6例に本剤400mgを単回経口投与した際の血漿中濃度は、投与8時間後に最高血漿中濃度(Cmax)1.21mg/Lに達した。消失半減期(t1/2)は25.5時間であり、血漿中濃度時間曲線下面積(AUC)は35.4mg・h/Lであった14)。

投与量 AUC
(mg・h/L)
Cmax
(mg/L)
tmax※
(h)
t1/2
(h)
CL/f
(L/h)
400mg 35.4
(3.50)
1.21
(3.57)
8
[3~24]
25.5
(1.47)
11.3
(3.50)

n=6、幾何平均値(幾何標準偏差) ※:中央値[範囲] tmax:最高血漿中濃度到達時間 CL/f:全身クリアランス

  1. 16.1.2反復投与

日本人固形癌患者6例に本剤400mgを1日2回反復投与した際、投与開始10日後には定常状態に達した。定常状態における血漿中濃度推移は平坦であり、一定の濃度を維持していた。反復投与開始から14日後のCmax及びAUCは、それぞれ、4.9mg/L及び36.7mg・h/Lであった14)。

投与量 AUC(0-12)
(mg・h/L)
Cmax
(mg/L)
400mg 36.7
(1.92)
4.9
(1.96)

n=6、幾何平均値(幾何標準偏差)

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人15例に、高脂肪食(約900~1000kcal、脂肪含量50~60%)摂取直後、中脂肪食(約700kcal、脂肪含量30%)摂取直後及び空腹時に本剤400mgを単回経口投与した場合、中脂肪食後に投与した際のAUCは、空腹時と比較し14%増加し、高脂肪食後に投与した際は29%低下した15)(外国人データ)。

16.3 分布

本剤は血漿タンパクと高い結合能を示し、ヒト血漿タンパク結合率は99.5%であった。主にアルブミンと結合し、その他にα-グロブリン、β-グロブリン及び低比重リポタンパク(LDL)にも結合した16)(in vitro試験)。

16.4 代謝

マスバランス試験の結果、8種の代謝物が同定され、うち5種が血漿中に検出された。日本人固形癌患者に本剤を1日2回反復投与した際、定常状態における未変化体AUCが占める割合は、総AUCに対して約74~90%であった。血漿中主代謝物(ピリジン基のN-酸化体)の定常状態におけるAUCは総AUCの約6~12%であった14),17)。

16.5 排泄

健康成人4例に[14C]ソラフェニブ100mgを溶液にて単回経口投与した場合、投与14日目までに糞中に77%、尿中に19%が回収され合計96%が排泄された。糞中には未変化体として50.7%が、カルボン酸体として19.1%が排泄された。尿中にはソラフェニブのグルクロン酸抱合体が14.8%、ピリジン基のN-酸化体のグルクロン酸抱合体が2.7%排泄された17)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

軽度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス(Ccr)50~80mL/min)、中等度の腎機能障害(Ccr30~<50mL/min)及び、重度の腎機能障害(Ccr<30mL/min)を有する被験者に、本剤400mgを経口投与した場合、腎機能低下による本剤の薬物動態への影響は見られなかった18)(外国人データ)。 なお、腎透析を受けている患者における検討は行っていない。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

日本人固形癌患者において、軽度の肝機能障害(Child-Pugh分類A)患者6例及び中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)患者6例に本剤400mgを1日2回経口投与した場合、本剤のAUCは、それぞれ、33.47mg・h/L及び29.45mg・h/Lであり、肝機能障害のない固形癌患者と比較し、それぞれ9%及び20%減少した19)。 なお、重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)患者での検討は行っていない。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1ワルファリン

本剤はCYP2C9をKi値7~8μMで阻害したが20)(in vitro試験)、CYP2C9の基質であるワルファリンを本剤400mg1日2回28日間反復投与時に併用投与したとき、PT-INRの最大変化率は、プラセボ群を超えるものではなかった7)(外国人データ)。

  1. 16.7.2フラジオマイシン

本剤の血中薬物動態に対する腸肝循環の寄与を評価するため、健康成人にフラジオマイシン(経口剤:国内未発売)を5日間反復経口投与して腸内細菌叢を死滅させたのち、本剤を経口投与したところ、本剤のAUCが54%減少した9)(外国人データ)。 フラジオマイシン以外の抗生物質との相互作用については検討していない。

  1. 16.7.3その他の薬剤

本剤はCYP3A4及びUGT1A9により代謝されるが、健康成人16例に、ケトコナゾール(400mg)を1日1回7日間反復投与中に、本剤50mgを単回経口投与した際のAUCに変化は認められなかった21)(外国人データ)。 本剤はCYP2C19、2D6及び3A4をKi値17、22及び29μMで阻害したが20)(in vitro試験)、それぞれのプローブ基質であるミダゾラム、デキストロメトルファン及びオメプラゾールを本剤400mg1日2回28日間反復投与時に併用しても、これら薬物の曝露量に変化は認められなかった22)(外国人データ)。 本剤は、CYP2B6及びCYP2C8をKi値5~6μM及び1~2μMで阻害した20)(in vitro試験)。