Clinical snapshot

ニロチニブカプセル150mg「サワイ」

ニロチニブ塩酸塩二水和物

添付文書改訂 2026年04月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

  2. 1.2本剤投与後にQT間隔延長が認められており、心タンポナーデによる死亡も報告されているので、患者の状態を十分に観察すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

慢性期又は移行期の慢性骨髄性白血病

用法・用量

通常、成人にはニロチニブとして1回400mgを食事の1時間以上前又は食後2時間以降に1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。ただし、初発の慢性期の慢性骨髄性白血病の場合には、1回投与量は300mgとする。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1血小板減少、好中球減少、貧血があらわれることがあるので、定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行うこと。血液検査を投与開始前と投与後の2ヵ月間は2週毎、その後は1ヵ月毎に行い、また必要に応じて追加すること。これらの血球減少はイマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病患者において頻度が高く、また慢性期に比べ移行期の慢性骨髄性白血病患者での頻度が高い。

  2. 8.2QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与開始前には、心電図検査を行うこと。また、本剤投与中は適宜心電図検査等を行うこと。

  3. 8.3外国において、本剤投与後の突然死が、⼼疾患⼜はその既往歴、⼼リスク因⼦のある患者で報告されている。QT 間隔延⻑が寄与因⼦の可能性がある。

  4. 8.4体液貯留があらわれることがあるので、体重を定期的に測定するなど観察を十分に行うこと。

  5. 8.5血中のビリルビン、肝トランスアミナーゼ、リパーゼ増加があらわれることがあるので、肝機能や膵酵素に関する血液検査を定期的に行うこと。

  6. 8.6Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。

  7. 8.7感染症があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行うこと。

  8. 8.8高血糖があらわれることがあるため、本剤投与中は、定期的に血糖値の測定を行うこと。

  9. 8.9めまい、霧視・視力低下等の視力障害等があらわれることがあるので、このような場合には、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

  10. 8.10頭蓋内出血、消化管出血、後腹膜出血があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行うこと。

  11. 8.11腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心疾患又はその既往歴のある患者

心疾患が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.2QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者

QT間隔延長が起こるおそれがある。

  1. 9.1.3電解質異常のある患者(低カリウム血症又は低マグネシウム血症等)

投与開始前に必ず電解質の補正を行い、定期的に血液検査を実施すること。QT間隔延長を起こすおそれがある。

  1. 9.1.4膵炎又はその既往歴のある患者

膵炎が悪化又は再発するおそれがある。

  1. 9.1.5イマチニブに忍容性のない患者

前治療の副作用の内容を確認すること。本剤を投与する際には、慎重に経過観察を行い、副作用の発現に注意すること。イマチニブの投与中止の原因となった副作用と同様の副作用が発現するおそれがある。

  1. 9.1.6B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)

本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。 Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化があらわれることがある。

9.3 肝機能障害患者

肝機能障害が悪化するおそれがある。また、肝機能障害により本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある。

9.4 生殖能を有する者

妊娠可能な女性に対しては、投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット、ウサギ)において、母動物に毒性を示す用量で胚・胎児毒性(吸収胚数の増加、胎児体重の減少、外表及び骨格の変異)が認められたとの報告がある。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行したとの報告がある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

  • 本剤は主に代謝酵素CYP3A4及び一部CYP2C8で代謝され、またP糖蛋白(Pgp)の基質であることから、本剤の吸収と消失はCYP3A4又はPgpに影響を及ぼす薬剤により影響を受けると考えられる。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP3A4を阻害する薬剤等
• アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール等)
リトナビル
クラリスロマイシン
グレープフルーツジュース等
本剤の血中濃度が上昇することがあるため、CYP3A4阻害作用がない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。併用する場合は、観察を十分に行いQT間隔延長等に注意すること。
また、本剤とアゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール:国内未発売の経口剤)との併用により、本剤のCmax及びAUCはそれぞれ1.8倍及び3倍に上昇したとの報告がある。
これらの薬剤等はCYP3A4活性を阻害することにより、本剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。
CYP3A4を誘導する薬剤等
• フェニトイン
リファンピシン
カルバマゼピン
フェノバルビタール
デキサメタゾン
セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等
本剤の血中濃度が低下することがあるため、CYP3A4誘導作用が弱い薬剤への代替を考慮すること。
本剤とリファンピシンの併用により、本剤のCmax及びAUCがそれぞれ1/3及び1/5に低下したとの報告がある。
これらの薬剤等はCYP3A4を誘導することにより、本剤の代謝を促進し、血中濃度を低下させる可能性がある。
CYP3A4により代謝される薬剤
• ミダゾラム等
これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。本剤とミダゾラムの併用により、ミダゾラムのCmax及びAUCはそれぞれ2.0倍及び2.6倍に上昇したとの報告がある。 本剤がこれらの薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。
CYP3A4、P糖蛋白の基質及び阻害する薬剤
• イマチニブ等
本剤及びこれらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。
本剤とイマチニブの併用により、イマチニブのAUCは18~39%、本剤のAUCは18~40%上昇したとの報告がある。
これらの薬剤がCYP3A4及びP糖蛋白の活性を阻害して本剤の血中濃度を上昇させる可能性、及び本剤がCYP3A4及びP糖蛋白の活性を阻害してこれらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
抗不整脈剤
• アミオダロン
ジソピラミド
プロカインアミド
キニジン
ソタロール等QT間隔延長を起こすおそれのある他の薬剤
• クラリスロマイシン
ハロペリドール
モキシフロキサシン
ベプリジル
ピモジド等
QT間隔延長を起こす又は悪化させるおそれがあるため、観察を十分に行うこと。 共にQT間隔延長の副作用を有するため。
胃内のpHを上昇させる薬剤
• プロトンポンプ阻害剤等
本剤の吸収が低下することがある。
本剤とエソメプラゾールの併用により、本剤のCmax及びAUCはそれぞれ27%及び34%減少したとの報告がある。
なお、ファモチジン、制酸剤については、本剤と服用時間をずらすことで、本剤のCmax及びAUCに影響はなかったとの報告がある(ファモチジン:本剤投与10時間前及び2時間後に投与、制酸剤:本剤投与2時間前又は2時間後に投与)。
本剤の溶解度はpHの上昇により低下するため。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP増加 頻度不明
ALT増加(26.4%) 頻度不明
AST増加(14.5%) 頻度不明
BUN増加 1%未満
CK増加 1%未満
LDH増加 頻度不明
γ-GTP増加 頻度不明
インフルエンザ様疾患 頻度不明
うつ病 1%未満
オキュラーサーフェス疾患 頻度不明
カンジダ症 1%未満
けん怠感 頻度不明
ざ瘡 1%未満
せつ 頻度不明
そう痒症(15.6%) 頻度不明
チアノーゼ 頻度不明
トロポニン増加 頻度不明
ビリルビン増加(29.9%) 頻度不明
ヘルペスウイルス感染 頻度不明
メレナ 頻度不明
リパーゼ増加(10.5%) 頻度不明
リンパ球減少症 頻度不明
上腹部痛(8.8%) 頻度不明
下痢(7.6%) 頻度不明
下肢静止不能症候群 頻度不明
不安 1%未満
不快気分 頻度不明
不整脈 頻度不明
不眠症 頻度不明
乳房痛 頻度不明
乳房硬結 頻度不明
乳頭腫脹 頻度不明
亜イレウス 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低カルシウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 1%未満
低マグネシウム血症 1%未満
低リン酸血症(14.8%) 頻度不明
低血圧 1%未満
低血糖 頻度不明
体重増加 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘(7.9%) 頻度不明
健忘 頻度不明
側腹部痛 頻度不明
光線過敏 頻度不明
光視症 1%未満
冠動脈疾患 1%未満
冷感 頻度不明
剥脱性発疹 頻度不明
勃起不全 1%未満
動悸 頻度不明
口内乾燥 1%未満
口内炎 1%未満
口腔乳頭腫 頻度不明
口腔内潰瘍形成 頻度不明
口腔咽頭痛 頻度不明
吐血 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
咽喉刺激感 頻度不明
喘鳴 頻度不明
嗜眠 1%未満
嘔吐(9.0%) 頻度不明
回転性めまい 頻度不明
多形紅斑 頻度不明
多汗症 頻度不明
失神 1%未満
失見当識 頻度不明
女性化乳房 1%未満
好酸球増加症 1%未満
寝汗 頻度不明
尿失禁 頻度不明
尿意切迫 頻度不明
尿路感染 頻度不明
強膜充血 頻度不明
徐脈 1%未満
心房細動 1%未満
心拡大 頻度不明
心雑音 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心(18.1%) 頻度不明
意識消失 1%未満
感覚鈍麻 頻度不明
房室ブロック 頻度不明
手足症候群 頻度不明
投与中止に伴う筋骨格系疼痛 頻度不明
挫傷 1%未満
振戦 1%未満
排尿困難 頻度不明
斑状出血 頻度不明
月経過多 頻度不明
期外収縮 1%未満
末梢性ニューロパチー 頻度不明
末梢性浮腫(5.6%) 頻度不明
歯の知覚過敏 頻度不明
歯肉炎 頻度不明
毛包炎 頻度不明
気管支炎 1%未満
気道感染 1%未満
水疱 頻度不明
注意力障害 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
消化不良 頻度不明
湿疹 頻度不明
潮紅 頻度不明
潰瘍性食道炎 頻度不明
点状出血 頻度不明
無力症(6.6%) 頻度不明
熱感 頻度不明
片頭痛 1%未満
甲状腺機能亢進症 頻度不明
甲状腺機能低下症 頻度不明
甲状腺炎 頻度不明
異常感覚 頻度不明
疲労(10.8%) 頻度不明
疼痛 頻度不明
痔核 1%未満
痛風 頻度不明
発声障害 頻度不明
発熱 頻度不明
発熱性好中球減少症 1%未満
発疹(41.4%) 頻度不明
白血球増加症 頻度不明
皮下組織膿瘍 頻度不明
皮膚乳頭腫 1%未満
皮膚乾燥(9.7%) 頻度不明
皮膚剥脱 頻度不明
皮膚嚢腫 頻度不明
皮膚変色 頻度不明
皮膚潰瘍 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
皮膚疼痛 1%未満
皮膚肥厚 頻度不明
皮膚色素過剰 頻度不明
皮膚萎縮 頻度不明
眼そう痒症 頻度不明
眼乾燥 頻度不明
眼充血 頻度不明
眼出血 頻度不明
眼刺激 頻度不明
眼痛 1%未満
眼瞼浮腫 頻度不明
眼瞼炎 頻度不明
眼窩周囲浮腫 1%未満
眼部腫脹 頻度不明
着色尿 頻度不明
知覚過敏 頻度不明
筋力低下 1%未満
筋痙縮(8.3%) 頻度不明
筋骨格痛(17.1%) 頻度不明
筋骨格硬直 1%未満
糖尿病 頻度不明
紅斑 頻度不明
結節性紅斑 頻度不明
結膜充血 頻度不明
結膜出血 1%未満
結膜炎 頻度不明
続発性副甲状腺機能亢進症 頻度不明
網脈絡膜症 頻度不明
羞明 頻度不明
耳痛 頻度不明
耳鳴 頻度不明
聴覚障害 頻度不明
肛門膿瘍 頻度不明
肝腫大 頻度不明
肺高血圧症 頻度不明
胃潰瘍 頻度不明
胃腸炎 頻度不明
胃食道逆流 1%未満
胆汁うっ滞 頻度不明
背部痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
胸膜炎 頻度不明
胸膜痛 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
脂腺過形成 頻度不明
脂質異常症 頻度不明
脱毛症(11.4%) 頻度不明
脱水 頻度不明
腎不全 頻度不明
腹痛(5.6%) 頻度不明
腹部不快感 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
蕁麻疹 1%未満
血中アミラーゼ増加(6.2%) 頻度不明
血中インスリン増加 1%未満
血中クレアチニン増加 頻度不明
血中副甲状腺ホルモン増加 頻度不明
血中非抱合ビリルビン増加 1%未満
血小板血症 頻度不明
血尿 頻度不明
血栓症 頻度不明
血腫 頻度不明
裂孔ヘルニア 頻度不明
複視 頻度不明
視力低下 1%未満
視力障害 頻度不明
視神経乳頭浮腫 頻度不明
視神経炎 頻度不明
超低比重リポ蛋白(VLDL)増加 1%未満
足部白癬 頻度不明
過敏症 頻度不明
過角化 頻度不明
重力性浮腫 頻度不明
錯乱状態 頻度不明
錯感覚 1%未満
関節炎 頻度不明
関節痛(8.6%) 頻度不明
関節腫脹 頻度不明
限局性浮腫 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛(20.8%) 頻度不明
頻尿 頻度不明
頻脈 1%未満
顔面浮腫 頻度不明
顔面神経麻痺 頻度不明
顔面腫脹 頻度不明
食欲不振 頻度不明
食欲亢進 頻度不明
食道痛 頻度不明
駆出率減少 頻度不明
高カリウム血症 1%未満
高カルシウム血症 1%未満
高コレステロール血症(5.4%) 頻度不明
高トリグリセリド血症 頻度不明
高リン酸血症 頻度不明
高尿酸血症 頻度不明
高血圧 頻度不明
高血圧クリーゼ 頻度不明
鼓腸 頻度不明
鼻出血 1%未満
鼻咽頭炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ニロチニブは、アデノシン三リン酸(ATP)と競合的に拮抗し、Bcr-Ablチロシンキナーゼを阻害することによって、Bcr-Abl発現細胞に細胞死を誘導する12),13)。ニロチニブは、Bcr-Ablだけでなく、幹細胞因子(SCF)受容体のc-kit及び血小板由来成長因子(PDGF)受容体チロシンキナーゼを阻害するが、イマチニブよりもBcr-Ablに対し選択的に作用する12),14),15)。また、ニロチニブは疎水性相互作用によってイマチニブ抵抗性Bcr-Abl変異体にも結合することが可能であり、多くのイマチニブ抵抗性Bcr-Abl変異体も阻害する15),16)。

18.2 抗腫瘍作用

  1. 18.2.1Bcr-Ablを発現した白血病細胞株に対する細胞増殖抑制作用

In vitro細胞培養系において、ニロチニブはヒト白血病細胞株及びBCR-ABL遺伝子を導入し、発現させたマウス骨髄系細胞株の細胞増殖を抑制した16)。また、イマチニブ抵抗性Bcr-Abl変異体を発現させたマウスBa/F3細胞株33種のうち、32種の細胞増殖を抑制した16)。

  1. 18.2.2Bcr-Abl依存的な白血病動物モデルに対する作用

ニロチニブは、BCR-ABL遺伝子導入細胞を静脈内移植した免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖を抑制した17)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1反復投与

  2. (1)初発の慢性期の慢性骨髄性白血病

初発の慢性期の慢性骨髄性白血病日本人患者(8例)にニロチニブ300mgを1日2回(1日用量として600mg)反復経口投与したときの定常状態(投与開始8日目以降)でのCmax及びAUC0-12はそれぞれ1,292ng/mL及び11,032ng・h/mLであった1)。

1日用量
(mg)
N Tmax
(h)
Cmax
(ng/mL)
Cmin
(ng/mL)
AUC0-12
(ng・h/mL)
定常
状態
600(300×2) 8 2.0 1,292±853 1,056±837 11,032±7,173

Tmaxは中央値を、それ以外は平均値±標準偏差を示す。

  1. (2)イマチニブ抵抗性の慢性期又は移行期の慢性骨髄性白血病

イマチニブで効果不十分又はイマチニブに忍容性のない慢性期、移行期、急性期注1)の慢性骨髄性白血病及びフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病注1)の日本人患者(42例)にニロチニブ200mgを1日1回注2)、400mgを1日1回注2)又は400mgを1日2回(1日用量として800mg)反復経口投与したとき、投与開始6日目には定常状態に到達し、AUCは投与初日のそれぞれ2.1倍、2.0倍及び2.6倍となった。400mgを1日1回投与したときのCmax及びAUCは、200mgを1日1回投与したときの2倍であった。また、400mgを1日2回投与したときの定常状態における1日あたりのAUC(AUC0-12を2倍したもの)は、400mgを1日1回投与したときの1.8倍であり、概ね1日用量に比例して増加した2),3)。

1日用量
(mg)
N Tmax
(h)
Cmax
(ng/mL)
Cmina)
(ng/mL)
AUC0-24
(ng・h/mL)
AUC0-12
(ng・h/mL)
1日目 200(200×1) 4 3.1(3.0~4.0) 491±174 169±96.4 6,410±2,680
400(400×1) 4 3.5(1.9~7.0) 818±420 324±164 11,600±5,630
800(400×2) 33 3.0(2.0~23.0) 1,070±458 Not measured 7,850±2,790
15日目 200(200×1) 3 3.0(3.0~7.0) 727±170 322±73.6 11,000±766
400(400×1) 4 3.0(2.0~7.1) 1,600±512 575±301 21,200±9,340
800(400×2) 28 3.0(1.8~8.0) 2,320±1,070 1,170±588 19,000±9,090b)

Tmaxは中央値(最小値~最大値)を、それ以外は平均値±標準偏差を示す。 a)1日1回投与では投与後24時間の濃度を、1日2回投与では投与後12時間の濃度を示す。 b)N=26

  1. 16.1.2生物学的同等性試験
  • 〈ニロチニブカプセル200mg「サワイ」〉

ニロチニブカプセル200mg「サワイ」とタシグナカプセル200mgを健康成人男性にそれぞれ1カプセル(ニロチニブとして200mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中ニロチニブ濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、対数値の平均値の差の90%信頼区間がlog(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、かつ対数値の平均値の差がlog(1.11)を超えない範囲であることから、両剤の生物学的同等性が確認された4)。

Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC0-72hr
(ng・hr/mL)
ニロチニブカプセル200mg「サワイ」 474.2±142.5 3.8±1.2 12.3±8.5 8171±2738
タシグナカプセル200mg 485.0±191.0 4.1±1.7 15.3±16.7 9438±3698

(Mean±S.D., n=76)

血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

ニロチニブの絶対バイオアベイラビリティに関するデータは得られていないが、健康成人に14C-標識ニロチニブを経口投与したとき、放射能の68.5%が未変化体として糞中に回収されたことから、ニロチニブが消化管では代謝されず、また吸収されたニロチニブは未変化体として消化管に排泄されないと仮定したとき、ヒトにニロチニブを経口投与したときの吸収率は約30%と推定された5)(外国人のデータ)。

  1. 16.2.1食事の影響

ニロチニブを通常食摂取30分後及び2時間後に投与したとき、Cmaxは空腹時に比べてそれぞれ1.55倍及び1.33倍に増加し、AUCは1.32倍及び1.19倍に増加した。また、高脂肪食摂取30分後に投与したとき、Cmax及びAUCは空腹時に比べてそれぞれ2.12倍及び1.82倍に増加した6)(外国人のデータ)。

16.3 分布

ニロチニブの血漿中蛋白結合率は約98%と高く、また濃度に依存しなかった(in vitro)。ニロチニブは血清アルブミン及びα1-酸性糖蛋白質に結合し、主結合蛋白はα1-酸性糖蛋白質であると考えられた(in vitro)。ヒト血液中でのニロチニブの血液-血漿中濃度比は0.68であった(in vitro)7),8)。

16.4 代謝

健康成人に14C-標識ニロチニブ400mgを単回注3)経口投与したとき、血清中のニロチニブ由来放射能の87.5%は未変化体であった。主な代謝経路はメチルイミダゾール環のメチル基の水酸化及び水酸基のカルボン酸への更なる酸化であった5)(外国人のデータ)。 In vitro試験の結果から、ニロチニブの主代謝酵素はCYP3A4であり、CYP2C8も一部寄与すると考えられた9)。

16.5 排泄

健康成人に14C-標識ニロチニブを経口投与したとき、投与168時間後までに投与放射能の90%以上が糞中に排泄され、尿中にはニロチニブ及びその代謝物由来の放射能は検出されなかった。したがって、ニロチニブの主排泄経路は糞中であると考えられた。糞中放射能は主に未変化体に由来するものであった(投与量の68.5%)5)(外国人のデータ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者における薬物動態

ニロチニブの血清中濃度は肝機能障害によりわずかに上昇し、軽度(Child-Pugh分類A)、中等度(Child-Pugh分類B)及び重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害を有する被験者にニロチニブを単回経口投与したときのAUCはそれぞれ健康被験者の1.35倍、1.35倍、1.19倍であった。また、単回投与時の血清中濃度推移データを用いて反復投与時の定常状態におけるニロチニブの濃度推移をシミュレーションした結果、軽度、中等度及び重度の肝機能障害を有する被験者における定常状態でのニロチニブのCmaxは、健康被験者に比べてそれぞれ1.29倍、1.18倍、1.22倍になると推定された。肝機能障害によるニロチニブの薬物動態への影響は小さいことから、肝機能障害を有する患者における用量調節の必要はないと考えられる10)(外国人のデータ)。

16.8 その他

  • 〈ニロチニブカプセル150mg「サワイ」〉

ニロチニブカプセル150mg「サワイ」は溶出挙動に基づき、ニロチニブカプセル200mg「サワイ」と生物学的に同等とみなされた11)。

注1)本剤の承認された効能又は効果は、慢性期又は移行期の慢性骨髄性白血病である。 注2)本剤の承認された用法及び用量は、イマチニブ抵抗性の慢性期又は移行期の慢性骨髄性白血病の場合、1回400mgを1日2回である。 注3)本剤の承認された用法及び用量は、1回400mgを1日2回であり、初発の慢性期の慢性骨髄性白血病の場合、1回投与量は300mgである。