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ニトログリセリン注25mg/50mLシリンジ「テルモ」

ニトログリセリン

添付文書改訂 2024年02月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させるおそれがある。]

  3. 2.3高度な貧血の患者[血圧低下により貧血症状(めまい、立ちくらみ等)を悪化させるおそれがある。]

  4. 2.4ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト)を投与中の患者

効能・効果

  • 手術時の低血圧維持

  • 手術時の異常高血圧の救急処置

  • 急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)

  • 不安定狭心症

用法・用量

本剤は、注射液そのまま、又は生理食塩液、5%ブドウ糖注射液、乳酸リンゲル液等で希釈し、ニトログリセリンとして0.005~0.05%(1mL当たり50~500μg)溶液を点滴静注する。

本剤は、通常1分間に体重1kg当たりニトログリセリンとして、効能・効果ごとに下表に基づき投与する。

効能・効果 用法・用量
手術時の低血圧維持 1~5μg/kg/分の投与量で投与を開始し、目的値まで血圧を下げ、以後血圧をモニターしながら点滴速度を調節する。
手術時の異常高血圧の救急処置 0.5~5μg/kg/分の投与量で投与を開始し、目的値まで血圧を下げ、以後血圧をモニターしながら点滴速度を調節する。
急性心不全
(慢性心不全の急性増悪期を含む)
0.05~0.1μg/kg/分の投与量で投与を開始し、目的とする血行動態を得るまで血圧、左心室充満圧などの循環動態をモニターしながら5~15分ごとに0.1~0.2μg/kg/分ずつ増量し、最適点滴速度で維持する。
不安定狭心症 0.1~0.2μg/kg/分の投与量で投与を開始し、発作の経過及び血圧をモニターしながら約5分ごとに0.1~0.2μg/kg/分ずつ増量し、1~2μg/kg/分で維持する。効果がみられない場合には20~40μg/kgの静注を1時間ごとに併用する。なお、静注する場合は1~3分かけて緩徐に投与する。

使用上の注意

  1. 8.1*本剤の作用には個人差がみられるので、本剤投与中は必ず並行して血圧のモニターを行うこと。急性心不全に対して本剤を用いる場合にはSwan-Ganzカテーテル等を使用し、肺動脈拡張期圧、肺動脈楔入圧等の血行動態をモニターしながら投与すること。また、循環機能検査、動脈血検査、尿量の検査をあわせて行うなど、患者の全身状態を十分に管理しながら投与すること。

  2. 8.2*本剤の過剰投与により血圧が低下し過ぎた場合には投与を中止すること。また、速やかに血圧を回復させたい場合には昇圧剤を投与すること。

  3. 8.3*手術後は、患者の血圧が完全に回復するまで管理を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1メトヘモグロビン血症の患者

メトヘモグロビン血症をさらに悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2頭部外傷又は脳出血の患者

頭蓋内圧を上昇させるおそれがある。

  1. 9.1.3著しく血圧の低い患者

血圧低下をさらに悪化させるおそれがあるので、必要ならばドパミン塩酸塩等の昇圧剤を併用すること。

9.3 肝機能障害患者

副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、乳汁中への移行が報告されている。

9.7 小児等

新生児及び乳幼児はメトヘモグロビン還元酵素活性が低いので、メトヘモグロビン血症を起こしやすい。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら用量に留意して慎重に投与すること。本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では一般に肝機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続し、血圧低下等が発現するおそれがある。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤• シルデナフィルクエン酸塩(バイアグラ、レバチオ)
• バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)
• タダラフィル(シアリス、アドシルカ、ザルティア)
併用により、降圧作用を増強することがある。
本剤投与前にこれらの薬剤を服用していないことを十分確認すること。また、本剤投与中及び投与後においてこれらの薬剤を服用しないよう十分注意すること。
本剤はcGMPの産生を促進し、一方、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。
• グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤• リオシグアト(アデムパス) 併用により、降圧作用を増強することがある。
*本剤投与前にこれらの薬剤を服用していないことを十分確認すること。また、本剤投与中及び投与後においてこれらの薬剤を服用しないよう十分注意すること。
本剤とグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤は、ともにcGMPの産生を促進することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• パンクロニウム パンクロニウムの神経筋遮断効果を延長することがある。 機序不明
• 利尿剤
• 他の血管拡張剤
血圧低下が増強されることがある。 ともに血圧低下作用を有する。
• ヘパリン ヘパリンの作用を減弱するとの報告がある。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
PaO2(動脈血酸素分圧)低下 頻度不明
あくび 頻度不明
メトヘモグロビン血症 頻度不明
不整脈 頻度不明
乏尿 頻度不明
代謝性アシドーシス 頻度不明
倦怠感 頻度不明
口内乾燥感 頻度不明
悪心・嘔吐 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
脳浮腫 頻度不明
頭痛・頭重感 頻度不明
頻脈注1) 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ニトロ化合物は、代謝を受けたり非酵素的に分解されたりして、分子内から一酸化窒素(NO)を遊離する。NOは血管平滑筋の細胞質に存在する可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化することによって細胞内のサイクリックGMP(cGMP)を増加させる。これによりcGMP依存性プロテインキニナーゼが活性化され、細胞内の多くの蛋白質がリン酸化されたり脱リン酸化されたりするが、それらの総合的結果として血管平滑筋の弛緩がもたらされる。ニトロ化合物による血管弛緩作用は静脈に対しても強く働き心臓への静脈還流量が減少するので心臓に対する前負荷が軽減される。当然、動脈拡張に基づく後負荷軽減作用も現す。また、主として太い冠動脈を拡張させるので、側副血行路を流れる血流が増加し、虚血部への酸素供給が増加する4)。