本態性高血圧症
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1無尿の患者[腎機能がさらに悪化するおそれがある。]
-
2.2急性腎不全の患者
-
2.3体液中のナトリウム・カリウムが明らかに減少している患者[低ナトリウム血症・低カリウム血症があらわれるおそれがある。]
-
2.4チアジド系薬剤又はその類似化合物(スルフォンアミド誘導体)に対して過敏症の既往歴のある患者
-
2.5デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿)を投与中の患者
効能・効果
用法・用量
インダパミドとして、通常成人1日1回2mgを朝食後経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。 ただし、少量から投与を開始して徐々に増量すること。
使用上の注意
-
8.1本剤の利尿効果は急激にあらわれることがあるので、電解質異常、脱水に十分注意し、少量から投与を開始して、徐々に増量すること。
-
8.2連用する場合、電解質異常があらわれることがあるので定期的に検査を行うこと。
-
8.3降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
-
8.4*急性近視、閉塞隅角緑内障、脈絡膜滲出があらわれることがあるので、急激な視力の低下や眼痛等の異常が認められた場合には、直ちに眼科医の診察を受けるよう、患者に指導すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1重篤な冠動脈硬化症又は脳動脈硬化症のある患者
急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮をきたし、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。
- 9.1.2本人又は両親、兄弟に痛風、糖尿病のある患者
高尿酸血症、高血糖をきたし、痛風、糖尿病の悪化や顕在化のおそれがある。
- 9.1.3下痢、嘔吐のある患者
電解質異常があらわれるおそれがある。
- 9.1.4高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症のある患者
血中カルシウムがさらに上昇するおそれがある。
- 9.1.5減塩療法を受けている患者
低ナトリウム血症等の電解質異常があらわれるおそれがある。
- 9.1.6交感神経切除後の患者
降圧作用が増強するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1急性腎不全の患者
投与しないこと。腎機能がさらに悪化するおそれがある。
- 9.2.2重篤な腎障害のある患者
腎機能がさらに悪化するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1進行した肝硬変症の患者
肝性昏睡を誘発するおそれがある。
- 9.3.2肝疾患・肝機能障害のある患者
9.5 妊婦
妊娠後期には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。チアジド系薬剤では新生児又は乳児に高ビリルビン血症、血小板減少等を起こすことがある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ヤギ)で乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
-
9.7.1小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
-
9.7.2乳児は電解質バランスがくずれやすい。
9.8 高齢者
以下の点に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
-
急激な利尿は血漿量の減少をきたし、脱水、低血圧等による立ちくらみ、めまい、失神等を起こすことがある。
-
一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。
-
特に心疾患等のある高齢者では、急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮をきたし、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。
-
低ナトリウム血症、低カリウム血症があらわれやすい。
相互作用
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| デスモプレシン酢酸塩水和物 • ミニリンメルト(男性における夜間多尿による夜間頻尿) |
低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 | いずれも低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| バルビツール酸誘導体、あへんアルカロイド系麻薬 | 起立性低血圧を増強させるおそれがある。 | これらの薬剤の中枢抑制作用と本剤の降圧作用による。 |
| アルコール | 起立性低血圧を増強させるおそれがある。 | アルコールは心血管系抑制作用があり、本剤の降圧作用を増強する。 |
| 昇圧アミン • ノルアドレナリン等 |
昇圧アミンに対する血管壁の反応性が低下するおそれがあるので、手術前の患者に使用する場合には一時休薬等の処置を講ずること。 | 昇圧アミンに対する血管壁の反応性を低下させることが報告されている。 |
| ツボクラリン及びその類似作用物質 | ツボクラリン及びその類似作用物質の麻痺作用が増強するおそれがあるので、手術前の患者に使用する場合には一時休薬等の処置を講ずること。 | 利尿剤による血清カリウム値の低下により、これらの薬剤の神経・筋遮断作用を増強すると考えられている。 |
| 降圧作用を有する薬剤 | 相互に作用を増強することがあるので、用量調節等に注意すること。 | 作用機序の異なる降圧作用を有する薬剤との併用により、降圧作用が増強される。 |
| ジギタリス剤 | ジギタリスの心臓に対する作用が増強するおそれがある。 | 利尿剤による血清カリウム値の低下により、多量のジギタリスが心筋Na+-K+ATPaseに結合し、心収縮力増加と不整脈が起こる。 |
| 糖質副腎皮質ホルモン剤、ACTH | 過剰のカリウム放出が起きるおそれがある。 | ともにカリウム排泄作用を有する。 |
| グリチルリチン製剤 | 血清カリウム値の低下があらわれやすくなる。 | グリチルリチン製剤は低カリウム血症を主徴とした偽アルドステロン症を引き起こすことがある。したがって両剤の併用により低カリウム血症を増強する可能性がある。 |
| リチウム | リチウム中毒を増強させることがあるので、血清リチウム濃度の測定を行い、注意すること。 | リチウムの腎における再吸収を促進し、リチウムの血中濃度を上昇させる。 |
| 糖尿病用剤 | 糖尿病用剤の作用が減弱するおそれがある。 | 機序は明確ではないが、利尿剤によるカリウム消失により、膵臓のβ細胞のインスリン放出が低下すると考えられている。 |
| 非ステロイド性消炎鎮痛剤 • インドメタシン等 |
利尿降圧作用が減弱されるおそれがある。 | 非ステロイド性消炎鎮痛剤のプロスタグランジン合成酵素阻害作用により、腎内プロスタグランジンが減少し、水・ナトリウムの体内貯留が生じて本剤の作用と拮抗する。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALPの上昇 | 1%未満 |
| ALT | 1%未満 |
| AST | 1%未満 |
| BUN | 1〜5%未満 |
| いらいら感 | 1%未満 |
| クレアチニンの上昇 | 1〜5%未満 |
| そう痒 | 1%未満 |
| ふらつき感 | 1%未満 |
| 下肢しびれ感 | 1%未満 |
| 中性脂肪の上昇 | 1%未満 |
| 低クロール性アルカローシス | 1〜5%未満 |
| 便秘 | 1%未満 |
| 光線過敏症 | 1%未満 |
| 動悸 | 1%未満 |
| 口渇 | 1〜5%未満 |
| 夜間尿 | 1%未満 |
| 悪心・嘔吐 | 1〜5%未満 |
| 湿疹 | 1%未満 |
| 疼痛 | 1%未満 |
| 発疹 | 1〜5%未満 |
| 白血球減少 | 1%未満 |
| 眠気 | 1%未満 |
| 眩暈 | 1〜5%未満 |
| 立ちくらみ | 1〜5%未満 |
| 紅斑 | 1%未満 |
| 総コレステロールの上昇 | 1〜5%未満 |
| 耳鳴 | 1%未満 |
| 肩こり | 1%未満 |
| 胃部不快感 | 1%未満 |
| 胃重感 | 1%未満 |
| 胸部不快感 | 1%未満 |
| 脱力・倦怠感 | 1〜5%未満 |
| 血小板減少 | 1%未満 |
| 頭痛・頭重 | 1〜5%未満 |
| 頻尿 | 1%未満 |
| 顔のほてり | 1%未満 |
| 顔面潮紅 | 1%未満 |
| 食欲不振 | 1〜5%未満 |
| 高カルシウム血症 | 1%未満 |
| 高尿酸血症 | 1〜5%未満 |
| 高血糖症 | 1〜5%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
尿細管(特に遠位尿細管)におけるNa及び水再吸収率の抑制による利尿作用に基づく循環血量の減少並びに末梢血管平滑筋の収縮抑制(反応性の低下)によって降圧作用を示すと考えられる7),8),9)。
18.2 降圧作用
正常血圧ラットでは血圧に影響を与えず、DOCA-食塩高血圧ラット及び一側腎摘出DOCA-食塩高血圧ラットにおいて1,3,10mg/kg、並びに自然発症高血圧ラットにおいて10,30mg/kgの単回経口投与により著明な血圧降下を示した10)。
18.3 利尿作用
正常ラットにおいて、0.1mg/kg経口投与から用量依存的な利尿作用を示し、0.05mg/kg経口投与から尿中へのナトリウム排泄量増加を示した。しかし、尿中へのカリウム排泄作用は比較的軽度であった7)。また、尿量及びカリウム排泄量は、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジドに比べて少なかった。
18.4 血管平滑筋の収縮反応に対する抑制作用
ウサギ摘出血管標本におけるニコチン及びチラミンによる収縮を3×10-5mol/L以上で抑制した8)(in vitro)。DOCA-食塩高血圧ラットの脊髄破壊標本において、10mg/kg/日の2週間前投与で、アンジオテンシン及び交感神経電気刺激による血圧上昇を有意に抑制した9)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康成人10名に、本剤1mg錠注)を空腹時に単回経口投与したところ、未変化体の血清中濃度は投与後1.7時間に最高値9.9ng/mLに達し、その後、半減期13.2時間で消失した。また、健康成人14名に本剤2mg錠を空腹時に単回経口投与した場合、未変化体の血漿中濃度は投与後1.9時間に最高値23.4ng/mLに達し、その後、半減期19.8時間で消失した1)。
| 投与量 (mg) |
Tmax (hr) |
Cmax (ng/mL) |
T1/2 (hr) |
AUC0-24 (ng・hr/mL) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1.7±0.9 | 9.9±2.2 | 13.2± 2.1 | 110.3±27.0 |
| 2 | 1.9±1.0 | 23.4±3.5 | 19.8±20.6 | 257.9±42.4 |
平均値±標準偏差
- 16.1.2反復投与
健康成人11名に、1日1回インダパミド2mgを2週間反復経口投与した場合又は本態性高血圧症患者22名に1日1回2mg又は3mg注)を1.5〜15ヵ月間投与した場合の血液中濃度から、長期連用による蓄積性は認められなかった。
16.3 分布
- 16.3.1血清蛋白結合率
約83%(ヒト血清、平衡透析法)2)
16.4 代謝
- 16.4.1主な代謝産物
5-OH-インダパミド、4-chloro-3-sulfamoylbenzoic acid
16.5 排泄
健康成人5名にインダパミド4mg注)を経口投与した場合、96時間までに投与量の49.4%が尿中に排泄され、未変化体は投与量の6.0%であった。 注)本剤の承認用量は「インダパミドとして、通常成人1日1回2mgを朝食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、少量から投与を開始して徐々に増量すること。」である。