Clinical snapshot

ナディック錠30mg

ナドロール

添付文書改訂 2023年12月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1気管支喘息、気管支痙れん、慢性閉塞性肺疾患のおそれのある患者[気管支筋を収縮させ、喘息症状の誘発及び症状の悪化を招くおそれがある。]

  2. 2.2糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[心筋収縮力の抑制が増強されるおそれがある。]

  3. 2.3高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)、洞房ブロック、洞不全症候群のある患者[心刺激伝導の抑制により、症状の悪化をきたす。]

  4. 2.4心原性ショックの患者[心拍出量の抑制により、循環不全が悪化するおそれがある。]

  5. 2.5肺高血圧による右心不全のある患者[心拍出量の抑制により、症状の悪化をきたすおそれがある。]

  6. 2.6うっ血性心不全のある患者[心収縮力抑制作用により、症状の悪化をきたすおそれがある。]

  7. 2.7異型狭心症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  8. 2.8*未治療の褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者

  9. 2.9妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • 本態性高血圧症(軽症~中等症)

  • 狭心症

  • 頻脈性不整脈

用法・用量

ナドロールとして、通常成人に1回30~60mgを1日1回経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1投与が長期にわたる場合は、心機能検査(脈拍、血圧、心電図、X線等)を定期的に行うこと。 特に徐脈になったとき及び低血圧を起こした場合には、減量又は中止すること。また、必要に応じアトロピンを使用すること。なお、肝機能、腎機能、血液像等に注意すること。

  2. 8.2類似化合物(プロプラノロール)を使用中の狭心症の患者で、急に投与を中止したとき、症状が悪化したり、心筋梗塞を起こした症例が報告されているので、休薬を要する場合は、徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないよう注意すること。狭心症以外の適用、例えば不整脈で投与する場合でも、特に高齢者においては同様の注意をすること。

  3. 8.3手術前48時間は投与しないことが望ましい。

  4. 8.4めまい、ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者(特に投与初期)には、自動車の運転など危険を伴う機械の作業に注意させること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1*褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者

本剤の単独投与により急激に血圧が上昇することがある。

  1. 9.1.2うっ血性心不全のおそれのある患者

観察を十分に行い、強心配糖体を併用するなど慎重に投与すること。心収縮力抑制作用により、心不全症状を誘発するおそれがある。

  1. 9.1.3低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、長期間絶食状態の患者

血糖値に注意すること。低血糖症状を起こしやすく、かつ低血糖の前駆症状である心悸亢進、頻脈等の症状をマスクしやすい。

  1. 9.1.4徐脈、房室ブロック(Ⅰ度)のある患者

心刺激伝導の抑制により、症状の悪化をきたすおそれがある。

  1. 9.1.5末梢循環障害のある患者(レイノー症候群、間欠性跛行症等)

末梢血管の拡張を抑制し、症状の悪化をきたすおそれがある。

  1. 9.1.6甲状腺中毒症の患者

頻脈等の甲状腺中毒症状をマスクすることがある。急に投与を中止すると症状を悪化させることがあるので、休薬を要する場合は、徐々に減量し、観察を十分に行うこと。

9.2 腎機能障害患者

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝機能障害のある患者

肝機能障害を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ウサギ)で大量投与により胎児死亡、流産が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳を避けさせること。母乳中へ移行することが報告されている1)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

次の点に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

  • 一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。

  • 休薬を要する場合は、徐々に減量する。

  • 本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
クラスⅠ抗不整脈剤
• ジソピラミド
プロカインアミド 等アミオダロン
ソタロール
過度の心機能抑制があらわれることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 併用により心機能抑制作用が強くあらわれる。
強心配糖体
• ジゴキシン
ジギトキシン 等
心刺激伝導障害(徐脈、房室ブロック等)があらわれることがある。 併用により心刺激伝導抑制作用が強くあらわれ、房室伝導時間が延長する。
カルシウム拮抗剤
• ベラパミル
ジルチアゼム 等
過度の血圧低下や心刺激伝導障害(徐脈、房室ブロック等)、心機能抑制があらわれることがある。 併用により降圧作用、心刺激伝導抑制作用、陰性変力作用が強くあらわれる。
交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤
• レセルピン等
過度の交感神経抑制をきたすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 併用により交感神経抑制作用が強くあらわれる。
麻酔剤
• ジエチルエーテル等
過度の血圧低下や心機能抑制があらわれるおそれがある。 併用により交感神経抑制作用が強くあらわれる。
フィンゴリモド フィンゴリモドの投与開始時に併用すると徐脈が増強されることがある。 ともに徐脈を引き起こすおそれがある。
クロニジン クロニジンの投与中止後のリバウンド現象(急激な血圧上昇)を増強する可能性があるので、本剤を中止した後、クロニジンを徐々に減量すること。 α2-選択的刺激作用を有するクロニジンの急激な中止により、血中カテコールアミンが上昇するが、β-遮断剤の併用によりα-刺激作用が優位にあらわれると考えられる。
アドレナリン製剤 血圧上昇、徐脈等が起こるおそれがあるので、血圧や脈拍に注意すること。 本剤のβ-遮断作用により、アドレナリンのα-刺激作用が優位になると考えられる。
血糖降下剤
• インスリン
クロルプロパミド
トルブタミド 等
これらの薬剤の血糖降下作用を増強したり、低血糖症状(心悸亢進等)をマスクすることがあるので、血糖値に注意すること。 本剤のβ-遮断作用による低血糖からの回復遅延と低血糖に伴う交感神経症状のマスクが考えられる。
リドカイン リドカインの血中濃度が上昇することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 本剤による肝血流量の低下により、リドカインの代謝が遅延すると考えられる。
麦角アルカロイド
• エルゴタミン等
末梢血流量の低下により四肢の疼痛、冷感、チアノーゼ等が起こるおそれがある。 併用により末梢血管収縮作用が強くあらわれると考えられる。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
• インドメタシン等
本剤の降圧作用が減弱することがある。 非ステロイド性消炎鎮痛剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、ナトリウムや水の貯留、血管収縮が生じ、降圧作用が減弱する。
降圧作用を有する他の薬剤
• 降圧剤
亜硝酸・硝酸剤 等
相互に降圧作用を増強するおそれがあるので、用量を調節するなど注意すること。 併用により降圧作用が強くあらわれる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALPの上昇 1%未満
ALTの上昇 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
BUNの上昇 1%未満
しびれ感 1%未満
そう痒感 1%未満
トリグリセリドの上昇 1〜5%未満
ふらつき 1〜5%未満
めまい・立ちくらみ 1〜5%未満
下痢 1〜5%未満
不眠 1%未満
便秘 1%未満
倦怠感 1〜5%未満
動悸 1〜5%未満
口渇 1%未満
咳嗽・喀痰 1〜5%未満
喘息発作の誘発 1%未満
嘔気 1〜5%未満
四肢の冷感 1%未満
徐脈 1〜5%未満
心胸比増大 1〜5%未満
息切れ・息苦しさ 1〜5%未満
悪寒 1%未満
房室ブロック 1%未満
浮腫 1〜5%未満
涙液分泌減少 1%未満
疲労感 1〜5%未満
発疹 1%未満
眠気 1〜5%未満
胃痛 1%未満
胃部不快感・胃重感 1%未満
胸部圧迫感 1%未満
脱力感 1%未満
腹痛 1%未満
腹部膨満感 1%未満
血圧低下・起立性低血圧 1〜5%未満
血糖値の上昇 1%未満
霧視 頻度不明
頭痛・頭重感 1〜5%未満
食欲不振 1%未満
鼻閉 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤はシナプス前及び後膜のアドレナリン作動性β-受容体においてカテコールアミンと特異的に拮抗し、その作用を遮断する。 抗高血圧作用機序として、β-遮断作用に基づく交感神経系の抑制、心拍出量の減少作用及びレニン分泌抑制作用が考えられている10)。 また、抗狭心症作用及び抗不整脈作用は、直接的に心筋の収縮力を減弱させることなく心臓の刺激伝導系の過剰な興奮を抑制し、心仕事量や心筋酸素消費量を低下させることによると考えられている11),12)。

18.2 β-受容体遮断作用

モルモット摘出心房及び気管ならびにラット血管を用いたin vitro実験において、イソプロテレノールの陽性変時及び変力作用に対して強力な拮抗作用を示す10),13),14)。また、in vivo実験(イヌ)においてもイソプロテレノール又は運動負荷による頻脈を強力に抑制し、その作用は長時間持続する14)。

18.3 抗高血圧作用

実験的高血圧動物(ラット及びイヌ)において1回及び反復経口投与で持続性の抗高血圧作用を示す15)。

18.4 抗狭心症及び抗不整脈作用

粥状動脈硬化家兎や麻酔イヌにおいて抗狭心症及び抗不整脈作用を示す11),16),17)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与
Tmax(h) Cmax(ng/mL) t1/2(h)
4 59.1 4.8(α相)
19.6(β相)
Tmax(h) Cmax(ng/mL) t1/2(h)
4 40.5 2.5(α相)
17.4(β相)

16.2 吸収

  1. 16.2.1吸収率

17.9%(ラット)4)

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

23.9%(in vitro、ヒト血漿、60ng/mL)2)

16.4 代謝

体内では代謝されない2)。

16.5 排泄

  1. 16.5.1排泄経路

主として尿中

  1. 16.5.2排泄率

投与後72時間までの尿中に投与量の11.5~14.1%が未変化体として排泄された2)(健康成人、60mg 1回投与)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

クレアチニンクリアランスが9~50mL/min/1.48m2の腎機能障害患者8名に60mgを1回投与したときの血中濃度半減期は、27.8~83.5時間と健康成人に比べてかなり遅延していた5)。