根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
【警告】
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1.1本剤の投与にあたっては、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性(特に、間質性肺疾患の初期症状、投与中の注意事項、死亡に至った例があること等に関する情報)を十分に説明し、同意を得てから投与すること。
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1.2臨床試験において、本剤の投与により、間質性肺疾患が認められており、死亡に至った例が報告されている。投与に際しては咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状に注意するとともに、投与前及び投与中は定期的に胸部CT検査を実施すること。また、異常が認められた場合には、適切な処置を行うとともに、投与継続の可否について慎重に検討すること。
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1.3肝炎ウイルスキャリアの患者では、本剤の投与期間中に肝炎ウイルスの再活性化を生じ、肝不全から死亡に至る可能性がある。本剤の投与期間中又は投与終了後は、定期的に肝機能検査を行うなど、肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分又はシロリムス誘導体に対し重度の過敏症の既往歴のある患者
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2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性
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2.3生ワクチンを接種しないこと
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはテムシロリムスとして25mgを1週間に1回、30~60分間かけて点滴静脈内投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
使用上の注意
- 8.1間質性肺疾患があらわれることがあるので、投与開始前及び投与開始後は以下の点に注意すること。
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本剤投与前に、胸部CT検査を実施し、呼吸困難、咳嗽、発熱等の臨床症状の有無を確認した上で、投与開始の可否を慎重に判断すること。
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本剤投与開始後は、定期的な胸部CT検査を実施し、肺の異常所見の有無を慎重に観察すること。
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患者に対しては、呼吸困難、咳嗽、発熱等の臨床症状があらわれた場合には、直ちに連絡するよう指導すること。
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8.2infusion reactionがあらわれることがあるので、本剤の投与は重度のinfusion reactionに備えて緊急時に十分な対応のできる準備を行った上で開始すること。2回目以降の本剤投与時に初めて重度のinfusion reactionを発現することもあるので、本剤投与中は毎回患者の状態に十分注意すること。本剤投与開始後はバイタルサインのモニタリングを行うなど患者の状態を十分に観察すること。
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8.3高血糖があらわれることがあるため、投与開始前及び投与開始後は、定期的に空腹時血糖値の測定を行うこと。
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8.4脂質代謝異常があらわれることがあるため、本剤投与前及び投与中は、血清コレステロール、トリグリセリドの測定を行うこと。
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8.5本剤投与により、肝炎ウイルス、結核等が再活性化する可能性があるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置をしておくこと。本剤投与中は感染症の発現又は増悪に十分注意すること。
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8.6創傷治癒を遅らせる可能性があるため、手術時は投与を中断することが望ましい。手術後の投与再開は患者の状態に応じて判断すること。
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8.7腎不全があらわれることがあるため、本剤の投与開始前及び投与開始後は定期的に血清クレアチニン、BUN等の腎機能検査を行うこと。
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8.8本剤は無水エタノールを含有するため、前投薬で投与される抗ヒスタミン剤とアルコールの相互作用による中枢神経抑制作用の増強の可能性があるので、本剤投与後の患者の経過を観察し、アルコール等の影響が疑われる場合には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
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8.9低カリウム血症、低リン酸血症があらわれることがあるため、定期的に血中電解質検査を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1肺に間質性陰影を認める患者
間質性肺疾患が発症、重症化するおそれがある。
- 9.1.2感染症を合併している患者
免疫抑制により感染症が悪化するおそれがある。
- 9.1.3肝炎ウイルス、結核等の感染又は既往を有する患者
免疫抑制により、肝炎ウイルス、結核等が再活性化する可能性がある。また、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性の患者においてB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝機能障害患者
減量を考慮すること。本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
- 9.3.2軽度及び中等度の肝機能障害患者
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。動物実験(ラット、ウサギ)において、胚・胎児死亡率の増加、胎児発育遅延が報告されている。また、動物実験(ウサギ)において、催奇形性作用(臍ヘルニア)が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。海外の臨床試験において、高齢者では浮腫、下痢、肺炎等の副作用注)を発現する可能性が高いと報告されている。 注)本剤25mg投与群で発現率10%以上の有害事象のうち、65歳以上の患者での発現率が65歳未満の患者の2倍以上かつインターフェロン-α投与群の65歳以上の患者での発現率が65歳未満の患者の2倍未満の副作用。
相互作用
- テムシロリムス及びシロリムスはCYP3A4により代謝される。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等) | 免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので併用しないこと。 | 免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわす可能性がある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| CYP3A酵素誘導作用を有する薬剤 • カルバマゼピン、フェニトイン、バルビツール酸系製剤、リファブチン、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等 |
テムシロリムス及びその代謝物であるシロリムスの血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱する可能性がある。 | これらの薬剤は、CYP3A4/5を誘導することにより、本剤及びその代謝物であるシロリムスの血中濃度を低下させるおそれがある。 |
| CYP3A酵素阻害作用を有する薬剤 • プロテアーゼ阻害剤(ネルフィナビル、リトナビル等)、抗真菌剤(イトラコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾール等)、マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)、グレープフルーツジュース、ベラパミル、アプレピタント等 |
テムシロリムス及びその代謝物であるシロリムスの血中濃度が上昇する可能性があるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 | これらの薬剤は、CYP3A4を阻害することにより、本剤及びその代謝物であるシロリムスの血中濃度を上昇させるおそれがある。 |
| 不活化ワクチン(不活化インフルエンザワクチン等) | ワクチンの効果が得られないおそれがある。 | 免疫抑制作用によってワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。 |
| ACE阻害剤 • エナラプリル、リシノプリル、キナプリル等 |
本剤とこの薬剤の併用により、血管神経性浮腫反応(投与開始2ヵ月後に発現した遅延性反応を含む)が報告されている。 | 機序不明 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALP上昇 | 5%以上 |
| ALT上昇 | 5%以上 |
| AST上昇 | 5%以上 |
| γ-GTP上昇等の肝機能障害 | 5%以上 |
| うつ病 | 頻度不明 |
| クレアチニン上昇 | 5%以上 |
| ざ瘡 | 5%以上 |
| そう痒症 | 5%以上 |
| 上気道感染 | 5%以上 |
| 下痢 | 5%以上 |
| 不安 | 頻度不明 |
| 不眠症 | 頻度不明 |
| 低カリウム血症 | 5%以上 |
| 低リン酸血症 | 5%以上 |
| 倦怠感 | 頻度不明 |
| 剥脱性皮膚炎 | 頻度不明 |
| 創傷治癒遅延 | 頻度不明 |
| 単純ヘルペス | 頻度不明 |
| 味覚消失 | 頻度不明 |
| 味覚異常 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 5%以上 |
| 咳嗽 | 5%以上 |
| 咽頭炎 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 5%以上 |
| 尿路感染(排尿困難 | 頻度不明 |
| 帯状疱疹 | 頻度不明 |
| 悪寒 | 5%以上 |
| 悪心 | 5%以上 |
| 斑状丘疹状皮疹 | 5%以上 |
| 歯肉炎 | 頻度不明 |
| 毛包炎 | 頻度不明 |
| 気管支炎 | 頻度不明 |
| 浮腫 | 5%以上 |
| 消化管出血 | 頻度不明 |
| 湿疹を含む)(44.8%) | 5%以上 |
| 無力症(31.4%) | 5%以上 |
| 爪の障害 | 5%以上 |
| 疲労 | 5%以上 |
| 疼痛 | 5%以上 |
| 発熱 | 5%以上 |
| 発疹(そう痒性皮疹 | 5%以上 |
| 白内障 | 頻度不明 |
| 皮膚乾燥 | 5%以上 |
| 筋肉痛(下肢痙攣を含む) | 頻度不明 |
| 粘膜炎 | 5%以上 |
| 細菌・ウイルス感染(蜂巣炎 | 頻度不明 |
| 結膜炎(流涙障害を含む) | 頻度不明 |
| 背部痛 | 頻度不明 |
| 胸痛 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 5%以上 |
| 腹部膨満 | 頻度不明 |
| 膀胱炎 | 頻度不明 |
| 膿疱性皮疹 | 5%以上 |
| 膿瘍を含む) | 頻度不明 |
| 血尿 | 頻度不明 |
| 関節痛 | 頻度不明 |
| 頻尿を含む) | 頻度不明 |
| 食欲不振 | 5%以上 |
| 高コレステロール血症 | 5%以上 |
| 高トリグリセリド血症 | 5%以上 |
| 高脂血症 | 5%以上 |
| 高血圧 | 頻度不明 |
| 鼻出血 | 5%以上 |
| 鼻炎 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
本剤はmTORの活性化を阻害し、その結果、細胞周期のG1からS期への移行を抑制すること、さらに、腫瘍微小環境における血管新生に重要な低酸素誘導性転写因子(HIF)及び血管内皮増殖因子(VEGF)の発現を抑制することにより、腫瘍細胞の増殖を抑制すると考えられている8)。
18.2 抗腫瘍作用
本剤は米国国立がん研究所のヒト腫瘍細胞株パネル(ヒト腎細胞癌由来細胞株として、786-O細胞株、UO-31細胞株、TK-10細胞株、SN12C細胞株、RXF393細胞株、CAKI-1細胞株を含む)を用いたin vitro試験において、ヒト腎細胞癌由来細胞株の増殖を抑制した。また、in vivo試験において、ヌードマウスに移植したヒト腎細胞癌由来細胞株(A498細胞株)の増殖を抑制した9),10) 。
薬物動態
16.1 血中濃度
日本人進行性固形癌患者7例にテムシロリムス15mg/m2(平均投与量:24.2mg)注1)を30分間静脈内投与したとき、血中テムシロリムス濃度は多相性の消失を示した1)。
図 日本人進行性固形癌患者におけるテムシロリムス15mg/m2静脈内投与後のテムシロリムス及びシロリムスの血中濃度-時間推移(平均±標準偏差)
テムシロリムスのCmax及びシロリムスのCmax及びAUCは用量比よりも低い割合で上昇した。
| 15mg/m2投与時 (n=7) |
45mg/m2投与時 (n=3) |
|
|---|---|---|
| テムシロリムス | ||
| Cmax (ng/mL) | 1014±316 | 1793±422 |
| tmax (hr) | 0.51±0.0 | 0.34±0.2 |
| t1/2 (hr) | 14.8±0.68 | 13.5±1.09 |
| AUC0~∞ (ng・h/mL) | 2873±358 | 2750±250 |
| CL (L/hr) | 8.48±1.73 | 27.2±6.37 |
| Vdss (L) | 84±11 | 163±27 |
| シロリムス(代謝物) | ||
| Cmax (ng/mL) | 89.1±40.5 | 157.3±37.1 |
| tmax (hr) | 7.53±11.3 | 1.87±1.9 |
| t1/2 (hr) | 67.0±17.4 | 59.2±28.9 |
| AUC0~∞ (ng・h/mL) | 8168±2089 | 13524±9763 |
| CL/fma) (L/hr) | 3.05±0.61 | 7.11±3.41 |
| Vdss/fma) (L) | 190±23 | 325±103 |
平均±標準偏差 a)fm:テムシロリムスからシロリムスへの代謝率
16.3 分布
テムシロリムスは血球中のFKBP-12と結合し用量依存的な分布を示す。その解離定数Kd(血球中の全FKBP-12の50%が結合する濃度)は5.1±3.0ng/mL(平均±標準偏差)であった(外国人データ)。 14C-標識テムシロリムス濃度を20及び100ng/mLに調製したヒト血液を37℃で30分間インキュベーションしたときの血液/血漿中放射能濃度比はそれぞれ3.6及び3.4であった(in vitro試験)。 14C-標識テムシロリムスを10及び100ng/mL含有する赤血球懸濁血漿中(ヘマトクリット0.45)において、14C-標識テムシロリムスの蛋白結合率はそれぞれ85%及び87%であった2),3) (in vitro試験)。
16.4 代謝
テムシロリムス及びシロリムスはCYP3A4により代謝される。テムシロリムス静脈内投与後に見られる主な代謝物はシロリムス(活性代謝物)であると考えられた4)(外国人データ)。
16.5 排泄
男性健康被験者に14C-標識テムシロリムス25mgを静脈内投与したとき、総放射能の78%が糞中に、4.6%が尿中に排泄された4)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1肝機能障害患者
軽度及び中等度注2)の肝機能障害患者(17例及び7例)にテムシロリムス25mgを30分間静脈内投与したとき、テムシロリムスの平均AUCは同じ投与量を肝機能正常患者6名に投与したときの約1.4倍及び約1.7倍であり、シロリムスの平均AUCはそれぞれ約1.5倍及び約1.7倍であった。 また、重度注2)の肝機能障害患者7名にテムシロリムス10mg注1)を30分間静脈内投与したときのテムシロリムスの平均AUCは同じ投与量を軽度注2)の肝機能障害患者7名に投与したときの約1.7倍であり、シロリムスの平均AUCは約0.8倍であった5)(外国人データ)。 注1)本剤の承認用法・用量は、テムシロリムスとして25mg週1回投与である。 注2)NCI-ODWG基準による分類