Clinical snapshot

トリキュラー錠21

レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール

添付文書改訂 2020年06月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏性素因のある女性

  2. 2.2エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、乳癌、子宮内膜癌)、子宮頸癌及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]

  3. 2.3診断の確定していない異常性器出血のある患者[性器癌の疑いがある。出血が性器癌による場合は、癌の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]

  4. 2.4血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患又はその既往歴のある患者[血液凝固能が亢進され、これらの症状が増悪することがある。]

  5. 2.535歳以上で1日15本以上の喫煙者[心筋梗塞等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]

  6. 2.6前兆(閃輝暗点、星型閃光等)を伴う片頭痛の患者[前兆を伴う片頭痛の患者は前兆を伴わない患者に比べ脳血管障害(脳卒中等)が発生しやすくなるとの報告がある。]

  7. 2.7肺高血圧症又は心房細動を合併する心臓弁膜症の患者、亜急性細菌性心内膜炎の既往歴のある心臓弁膜症の患者[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]

  8. 2.8血管病変を伴う糖尿病患者(糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症等)[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]

  9. 2.9血栓性素因のある女性[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]

  10. 2.10抗リン脂質抗体症候群の患者[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]

  11. 2.11手術前4週以内、術後2週以内、産後4週以内及び長期間安静状態の患者[血液凝固能が亢進され、心血管系の副作用の危険性が高くなることがある。]

  12. 2.12重篤な肝障害のある患者

  13. 2.13肝腫瘍のある患者[症状が増悪することがある。]

  14. 2.14脂質代謝異常のある患者[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。また、脂質代謝に影響を及ぼす可能性があるため、症状が増悪することがある。]

  15. 2.15高血圧のある患者(軽度の高血圧の患者を除く)[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。また、症状が増悪することがある。]

  16. 2.16耳硬化症の患者[症状が増悪することがある。]

  17. 2.17妊娠中に黄疸、持続性そう痒症又は妊娠ヘルペスの既往歴のある患者[症状が再発するおそれがある。]

  18. 2.18妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  19. 2.19授乳婦

  20. 2.20骨成長が終了していない可能性がある女性[骨端の早期閉鎖を来すおそれがある。]

効能・効果

避妊

用法・用量

  • 〈トリキュラー錠21〉

1日1錠を毎日一定の時刻に定められた順に従って(赤褐色糖衣錠から開始する)21日間連続投与し、7日間休薬する。 以上28日間を投与1周期とし、出血が終わっているか続いているかにかかわらず29日目から次の周期の錠剤を投与し、以後同様に繰り返す。

  • 〈トリキュラー錠28〉

1日1錠を毎日一定の時刻に定められた順に従って(赤褐色糖衣錠から開始する)28日間連続投与する。 以上28日間を投与1周期とし、出血が終わっているか続いているかにかかわらず29日目から次の周期の錠剤を投与し、以後同様に繰り返す。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の服用により、年齢、喫煙、肥満、家族歴等のリスク因子の有無にかかわらず血栓症があらわれることがあるので、次のような症状があらわれた場合は直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  • 緊急対応を要する血栓症の主な症状

  • 下肢の急激な疼痛・腫脹、突然の息切れ、胸痛、激しい頭痛、四肢の脱力・麻痺、構語障害、急性視力障害等

本剤服用者に対しても、このような症状があらわれた場合は、直ちに服用を中止し、救急医療機関を受診するよう説明すること。

  1. 8.2本剤の服用中に、血栓症が疑われる症状があらわれた場合は、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
  • 血栓症が疑われる症状

  • 下肢の疼痛・腫脹・しびれ・発赤・熱感、頭痛、嘔気・嘔吐等

  1. 8.3血栓症のリスクが高まる状態(体を動かせない状態、顕著な血圧上昇、脱水等)が認められる場合は、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

  2. 8.4本剤服用者には、投与開始時及び継続時に以下について説明すること。

  • 血栓症は生命に関わる経過をたどることがあること。

  • 血栓症が疑われる症状があらわれた場合や、血栓症のリスクが高まる状態になった場合は、症状・状態が軽度であっても直ちに服用を中止し医師等に相談すること。

  • 血栓症を疑って他の医療機関を受診する際は、本剤の使用を医師に告知し、本剤による血栓症を念頭においた診察を受けられるようにすること。

  1. 8.5本剤服用中にやむを得ず手術が必要と判断される場合には、血栓症の予防に十分配慮すること。

  2. 8.6年齢及び喫煙量により心血管系の重篤な副作用の危険性が増大するとの報告がある。従って、本剤服用者には禁煙するよう指導すること。

  3. 8.7本剤の投与にあたっては服用者の病歴調査及び検診が必要である。この検診には、血圧測定、乳房・腹部の検査及び臨床検査が含まれる。また、投与中は6ヵ月ごとの検診を行うこと。

  4. 8.8本剤投与開始前及び投与中は、1年に1回以上、子宮・卵巣を中心とした骨盤内臓器の検査を行うこと。1年に1回、子宮頸部の細胞診の実施を考慮すること。

  5. 8.9乳癌の検査は、服用者に自己検診を行うよう指導すること。

  6. 8.10服用中に不正性器出血が発現した場合、通常は投与継続中に消失するが、長期間持続する場合は、腟細胞診等の検査で悪性疾患によるものではないことを確認の上、投与すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.140歳以上の女性(ただし、1日15本以上の喫煙者には投与しないこと)

一般に心筋梗塞等の心血管系の障害が発生しやすくなる年代であるため、これを助長するおそれがある。

  1. 9.1.2子宮筋腫のある患者

子宮筋腫の発育を促進するおそれがある。

  1. 9.1.3乳癌の既往歴のある女性

乳癌が再発するおそれがある。

  1. 9.1.4乳癌の家族歴又は乳房に結節のある女性

定期的に乳房検診を行うなど慎重に投与すること。エストロゲン投与と乳癌発生との因果関係についてその関連性を示唆する報告もある。

  1. 9.1.5喫煙者(ただし、35歳以上で1日15本以上の喫煙者には投与しないこと)

心筋梗塞等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。

  1. 9.1.6肥満の女性

血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。

  1. 9.1.7血栓症の家族歴を持つ女性

血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。

  1. 9.1.8前兆を伴わない片頭痛の患者

脳血管障害(脳卒中等)が発生しやすくなるとの報告がある。

  1. 9.1.9心臓弁膜症の患者(ただし、肺高血圧症又は心房細動を合併する心臓弁膜症の患者、亜急性細菌性心内膜炎の既往歴のある心臓弁膜症の患者には投与しないこと)

血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。

  1. 9.1.10軽度の高血圧(妊娠中の高血圧の既往も含む)のある患者

血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。また、症状が増悪することがある。

  1. 9.1.11耐糖能の低下している女性(糖尿病患者及び耐糖能異常の女性)

十分コントロールを行いながら投与すること。耐糖能が低下することがある。

  1. 9.1.12ポルフィリン症の患者

症状が増悪することがある。

  1. 9.1.13心疾患又はその既往歴のある患者

ナトリウム又は体液の貯留により症状が増悪することがある。

  1. 9.1.14てんかん患者

症状が増悪することがある。

  1. 9.1.15テタニーのある患者

症状が増悪することがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎疾患又はその既往歴のある患者

ナトリウム又は体液の貯留により症状が増悪することがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝障害のある患者

投与しないこと。代謝能が低下しており肝臓への負担が増加するため、症状が増悪することがある。

  1. 9.3.2肝障害のある患者(重篤な肝障害のある患者を除く)

代謝能が低下しており肝臓への負担が増加するため、症状が増悪することがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1本剤投与に際しては、問診、内診、基礎体温の測定、免疫学的妊娠診断等により、妊娠していないことを十分に確認すること。

  2. 9.4.2服用中に激しい下痢、嘔吐が続いた場合には本剤の吸収不良を来すことがあり、その場合には妊娠する可能性が高くなるので、その周期は他の避妊法を併用させること。

  3. 9.4.3服用中に消退出血が2周期連続して発来しなかった場合、投与継続に先だって妊娠していないことを確認すること。

  4. 9.4.4本剤の服用を中止して妊娠を希望する場合には、月経周期が回復するまで避妊させることが望ましい。

9.5 妊婦

  1. 9.5.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠が確認された場合には投与を中止すること。

  2. 9.5.2卵胞ホルモン剤を妊娠動物(マウス)に投与した場合、児の成長後腟上皮及び子宮内膜の悪性変性を示唆する結果が報告されている。 また、新生児(マウス)に投与した場合、児の成長後腟上皮の悪性変性を認めたとの報告がある。

9.6 授乳婦

投与しないこと。他の避妊法をすすめるなど適切な指導をすること。母乳の量的質的低下が起こることがある。また、母乳中への移行、児において黄疸、乳房腫大が報告されている。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
副腎皮質ホルモン
• プレドニゾロン等三環系抗うつ剤
• イミプラミン等セレギリン塩酸塩
シクロスポリン
オメプラゾール
これらの薬剤の作用が増強するおそれがある。 本剤はこれらの薬剤の代謝を抑制すると考えられる。
テオフィリン
チザニジン塩酸塩
これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 本剤がこれらの薬剤の代謝酵素(CYP1A2)を阻害すると考えられる。
リファンピシン
バルビツール酸系製剤
• フェノバルビタール等ヒダントイン系製剤
• フェニトインナトリウム等カルバマゼピン
ボセンタン
モダフィニル
トピラマート
本剤の効果の減弱化及び不正性器出血の発現率が増大するおそれがある。 これらの薬剤は薬物代謝酵素を誘導し、本剤の代謝を促進すると考えられる。
テトラサイクリン系抗生物質
• テトラサイクリン等ペニシリン系抗生物質
• アンピシリン等
本剤の効果の減弱化及び不正性器出血の発現率が増大するおそれがある。 これらの薬剤は腸内細菌叢を変化させ、本剤の腸肝循環による再吸収を抑制すると考えられる。
テルビナフィン塩酸塩 黄体ホルモン・卵胞ホルモン配合剤との併用で、月経異常があらわれたとの報告がある。 機序不明
Gn-RH誘導体
• ブセレリン酢酸塩等
これらの薬剤の作用を減弱するおそれがある。 これらの薬剤は性ホルモンの分泌を低下することにより薬効を示すため、性ホルモンである本剤の投与によってこれらの薬剤の効果を減弱する可能性が考えられる。
血糖降下剤
• インスリン製剤、スルフォニル尿素系製剤、スルフォンアミド系製剤、ビグアナイド系製剤等
血糖降下剤の作用が減弱するおそれがある。血糖値その他患者の状態を十分観察し、血糖降下剤の用量を調節するなど注意する。 本剤は耐糖能を低下させ、血糖降下剤の作用を減弱させると考えられる。
ラモトリギン
モルヒネ
サリチル酸
これらの薬剤の血中濃度が低下するおそれがある。 本剤はこれらの薬剤のグルクロン酸抱合を促進すると考えられる。
HIVプロテアーゼ阻害剤
• ネルフィナビルメシル酸塩、リトナビル、ダルナビル、ホスアンプレナビル(リトナビル併用時)、ロピナビル・リトナビル配合剤等非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤
• ネビラピン
本剤の作用が減弱するおそれがある。 エチニルエストラジオールのAUCが減少する。
*HIVプロテアーゼ阻害剤
• アタザナビル
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 *本剤の代謝酵素(CYP3A4)を阻害すると考えられる。
非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤
• エトラビリン
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 エトラビリンは本剤の代謝酵素(CYP2C9)を阻害すると考えられる。
フルコナゾール 本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 フルコナゾールは本剤の代謝酵素(CYP3A4)を阻害すると考えられる。
ボリコナゾール 本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
ボリコナゾールの血中濃度が上昇するおそれがある。
ボリコナゾールは本剤の代謝酵素(CYP3A4)を阻害すると考えられる。
本剤がボリコナゾールの代謝酵素(CYP2C19)を阻害すると考えられる。
アセトアミノフェン 本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
アセトアミノフェンの血中濃度が低下するおそれがある。
アセトアミノフェンはエチニルエストラジオールの硫酸抱合を阻害すると考えられる。
本剤が肝におけるアセトアミノフェンのグルクロン酸抱合を促進すると考えられる。
セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 本剤の効果の減弱化及び不正性器出血の発現率が増大するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。 この食品は薬物代謝酵素を誘導し、本剤の代謝を促進すると考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
カンジダ膣炎 1%未満
ざ瘡 1〜5%未満
しびれ 頻度不明
じん麻疹 1%未満
トリグリセリド上昇 頻度不明
めまい 1〜5%未満
下痢 1〜5%未満
下腹部痛 5%以上
不正性器出血(破綻出血 頻度不明
乳房痛 1%未満
乳房緊満感 5%以上
体重増加 1〜5%未満
便秘 1%未満
倦怠感・疲労 1〜5%未満
動悸 1%未満
口内炎 1%未満
口渇 1%未満
嘔吐 5%以上
帯下の増加 1%未満
性欲減退 1%未満
息切れ 1%未満
悪心(29.4%) 5%以上
抑うつ 1%未満
浮腫 1〜5%未満
湿疹 1%未満
点状出血) 頻度不明
片頭痛 1〜5%未満
発疹 1%未満
眠気 1%未満
神経過敏 1〜5%未満
網膜血流障害による視力障害 頻度不明
総コレステロール上昇 頻度不明
肝機能異常 1%未満
肩こり 1%未満
腰痛 1〜5%未満
腹痛 1〜5%未満
色素沈着注1) 頻度不明
血圧上昇 1%未満
褐色斑 1%未満
頭痛 5%以上
食欲不振 1%未満
食欲亢進 1%未満
黄疸 頻度不明
鼻出血 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は排卵抑制作用を主作用とし、子宮内膜変化による着床阻害作用及び頸管粘液変化による精子通過阻害作用等により避妊効果を発揮する。

18.2 排卵抑制作用

健康女性(8例)で本剤投与前周期及び投与周期の血清ホルモン動態を検討した。いずれの症例においても、黄体形成ホルモン(LH)及び卵胞刺激ホルモン(FSH)のピークは投与周期に消失した。また、エストラジオールの典型的な2峰性パターン、排卵後のプロゲステロンの上昇も投与周期において抑制され、排卵は抑制されていた1)。

18.3 子宮内膜の性状変化による着床阻害作用

健康女性(28例)で本剤投与中に子宮内膜診を行った。その組織像は周期的な変化が認められたが、正常周期のものとは異なっていた6)。

18.4 子宮頸管粘液の変化による精子通過阻害作用

健康女性(6例)で本剤投与中の子宮頸管粘液を調べた。投与中の電子顕微鏡像は黄体期と類似の構造を示し、分泌量も少なく非常に粘性が高かった。また、精子通過性は抑制されていた7)。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康女性(8名)に月経第1日より21日間連続経口投与したとき、21日目におけるレボノルゲストレルの血中濃度は、投与1.3時間後に最高値6.18ng/mLを示したのち、22.1時間の半減期で低下した。なお、エチニルエストラジオールは、投与1.6時間後に最高血中濃度121.5pg/mLを示し、半減期は11.2時間であった。 連続投与によるレボノルゲストレル及びエチニルエストラジオールの蓄積はほとんどないものと考えられる1)。