Clinical snapshot

トランデート錠100mg

ラベタロール塩酸塩

添付文書改訂 2024年09月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[アシドーシスに基づく心収縮力の抑制を増強させるおそれがある]

  2. 2.2高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)、洞房ブロックのある患者[症状を悪化させるおそれがある]

  3. 2.3心原性ショックの患者、肺高血圧による右心不全のある患者、うっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがある]

  4. 2.4本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

  5. 2.5気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者[気管支を収縮させ、症状を誘発又は悪化させるおそれがある]

効能・効果

本態性高血圧症 褐色細胞腫による高血圧症

用法・用量

通常、成人にはラベタロール塩酸塩として1日150mgより投与を開始し、効果不十分な場合には1日450mgまで漸増し、1日3回に分割、経口投与する。 なお、年齢・症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1投与は少量より開始し、長期投与の場合は心機能検査(脈拍・血圧・心電図・X線等)を定期的に行うこと。特に徐脈になったとき及び低血圧を起こした場合には減量又は中止すること。また、必要に応じて対症療法を行うこと。なお、肝機能、腎機能、血液像等に注意すること。

  2. 8.2類似化合物(プロプラノロール塩酸塩)使用中の狭心症の患者で急に投与を中止したとき症状が悪化したり、心筋梗塞を起こした症例が報告されているので、休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないよう注意すること。狭心症以外の適用で投与する場合でも、特に高齢者においては同様の注意をすること。

  3. 8.3褐色細胞腫の手術時に使用する場合を除き、手術前24時間は投与しないことが望ましい。

  4. 8.4めまい、ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者(特に投与初期)には、自動車の運転等危険を伴う機械の作業に注意させること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1うっ血性心不全のおそれのある患者

観察を十分に行い、ジギタリス剤を併用するなど慎重に投与すること。心機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2房室ブロック(Ⅰ度)のある患者

β遮断剤において房室伝導時間が延長するとの報告がある。

  1. 9.1.3末梢循環障害のある患者

末梢循環障害の症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.4低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、長期間絶食状態の患者

低血糖の前駆症状である頻脈等の交感神経系反応をマスクしやすいので血糖値に注意すること。

  1. 9.1.5甲状腺中毒症の患者

休薬を要する場合には徐々に減量し、観察を十分に行うこと。急に投与を中止すると、症状を悪化させることがある。また、β遮断剤において中毒症状をマスクすることがあるとの報告がある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎障害のある患者

降圧に伴う腎潅流圧の低下により、症状を悪化させるおそれがある。また、腎臓は主要な排泄経路であるので、血中濃度が上昇するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

低用量から投与を開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら行うこと。本剤は主として肝臓で代謝されるので、代謝速度が低下して血中濃度が上昇するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。投与に際しては、母体及び胎児の状態を十分に観察し、過度の血圧低下とならないよう注意すること。胎児及び新生児に血圧低下、徐脈等の異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。妊婦への投与例において、胎児に徐脈等、新生児に血圧低下、徐脈等の症状が認められたとの報告がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

  • 以下の点に注意し、少量から投与するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
  1. 9.8.1高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。

  2. 9.8.2休薬を要する場合は、徐々に減量する。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
交感神経系に抑制的に作用する他の薬剤 過剰の交感神経抑制をきたすことがあるので、減量するなど注意する。 相加的に作用(交感神経抑制作用)を増強させる。
血糖降下剤
• インスリン
• アセトヘキサミド等
血糖降下作用が増強することがある。また、低血糖症状(頻脈、発汗等)をマスクすることがあるので、血糖値に注意する。 低血糖に伴う交感神経系の症状をマスクしたり、β遮断作用により低血糖の回復を遅らせる。
麻酔剤
• セボフルラン等
過剰の交感神経抑制をきたすおそれがあるので、減量するなど注意する。又は麻酔の導入前にアトロピンを静脈内投与しておくこと。 相加的に作用(交感神経抑制作用)を増強させる。
カルシウム拮抗剤
• ベラパミル塩酸塩
• ジルチアゼム塩酸塩等
徐脈、房室ブロック等の伝導障害、うっ血性心不全があらわれることがある。
併用する場合には、用量に注意する。
相加的に作用(陰性変力作用、心刺激伝導抑制作用、降圧作用)を増強させる。
抗不整脈剤
• ジソピラミド
• プロカインアミド等
過度の心機能抑制があらわれることがあるので、減量するなど注意する。 相加的に作用(心機能抑制作用)を増強させる。
三環系抗うつ剤
• イミプラミン
• アミトリプチリン等
併用により振戦があらわれやすいとの報告がある。 本剤との併用によりイミプラミンの水酸化が阻害され、イミプラミンのAUCが増加したとの報告がある1)。
シメチジン 併用により本剤の血中濃度が上昇したとの報告があるので、併用する場合には減量するなど慎重に投与すること。 シメチジンが本剤の肝での代謝を抑制し、本剤のクリアランスが減少し、血中濃度が上昇する。
ジギタリス製剤
• ジゴキシン等
心刺激伝導障害(徐脈、房室ブロック等)があらわれることがあるので注意すること。 相加的に作用(心刺激伝導抑制作用)を増強させる。
非ステロイド性抗炎症剤
• インドメタシン等
本剤の降圧作用が減弱するおそれがある。併用する場合には、必要に応じて用量調整を行うこと。 非ステロイド性抗炎症剤は、血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成・遊離を阻害する。
交感神経刺激剤
• アドレナリン等
本剤との相互作用により高血圧症、徐脈が発現するおそれがあるので注意すること。 本剤のβ遮断作用により交感神経刺激剤のα刺激作用が優位となる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P等の上昇 頻度不明
ALT 頻度不明
AST 頻度不明
BUNの上昇 頻度不明
CKの上昇 頻度不明
β遮断剤の投与により 頻度不明
γ-GTP 頻度不明
しびれ感 頻度不明
また 頻度不明
めまい・たちくらみ 頻度不明
不眠 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
冷感等) 頻度不明
勃起不全 頻度不明
口渇 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
喘息様症状 頻度不明
射精不能 頻度不明
尿閉 頻度不明
徐脈 頻度不明
性欲減退 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心・嘔吐 頻度不明
房室ブロック 頻度不明
抑うつ 頻度不明
振戦 頻度不明
末梢循環障害(レイノー症状の悪化 頻度不明
気管支痙攣 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
涙液分泌減少等があらわれたとの報告がある。注) 頻度不明
疲労感 頻度不明
瘙痒 頻度不明
発汗 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
眠気 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
胃痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
腹痛 頻度不明
苔癬様皮疹 頻度不明
血管性浮腫 頻度不明
陰萎 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 頻度不明
頭皮異常感 頻度不明
鼻閉 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ラベタロールはβ受容体遮断作用に加えて、α受容体遮断作用を併せ持ち、心拍出量にほとんど影響を及ぼさずに全末梢血管抵抗を減少し、血圧を降下させる。

18.2 α,β受容体遮断作用

健康成人における検討で、本剤はβ受容体遮断作用に加えて、α受容体遮断作用を併せ持つことが認められている9)。 また、ネコの摘出脾臓を用いたin vitroの実験で本剤のα受容体遮断作用はα1受容体に選択的であることが確認されている10)。

18.3 血圧降下作用

成人高血圧症患者に投与した場合、心拍出量にほとんど影響を及ぼさずに全末梢血管抵抗を減少し、血圧を降下させる。なお心拍数はわずかに減少する11)。 また本剤は、早朝の急激な血圧上昇を抑制することが認められている12)。

18.4 腎機能、脳循環、末梢循環、冠循環に及ぼす影響

成人高血圧症患者における検討で、本剤は腎血管抵抗を減少させ、腎血流量、糸球体ろ過値を増加又は維持することが認められている13)。また脳循環、末梢循環及び冠循環を維持することが認められている11),14),15),16)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人に本剤50mg又は100mgを単回経口投与した時の血中ラベタロール濃度は図1のとおりであり、用量依存性を示す6)。

図1健康成人における単回経口投与時の血中濃度(n=5)

パラメータ 50mg 100mg
Tmax(hr) 0.97 1.22
T1/2(hr) 17.22 17.65
Cmax(ng/mL) 21.77 59.73
AUC(hr・ng/mL) 198.81 533.98
Ka(/hr) 2.89 7.52
Kel(/hr) 0.17 0.15

16.3 分布

  1. 16.3.1体液・組織内移行

ラットに14C-ラベタロール20mg/kgを経口投与した結果、組織内濃度は各組織において投与後1.5時間に最高濃度に達し、以降速やかに減少した。投与後1.5時間の組織内濃度は、特に肝臓と腎臓で高く、脳への移行は低かった。 また、妊娠18日目のラットに14C-ラベタロール20mg/kgを経口投与したところ、胎仔の組織内濃度は1.5時間後で母動物血液中濃度の1/3、胎盤の1/4以下であった7)。

  1. 16.3.2血漿蛋白結合率

約50%8)(外国人データ)

16.4 代謝

健康成人に3H-ラベタロール200mg注)を経口投与した結果、主な代謝産物は、ラベタロールのo-フェニルグルクロン酸抱合体が投与量の15%、その他のラベタロールの抱合体が45%であった8)(外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人に3H-ラベタロール200mg注)を経口投与した結果、投与後24時間までの尿中排泄率は約60%であった8)(外国人データ)。

注)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人にはラベタロール塩酸塩として1日150mgより投与を開始し、効果不十分な場合には1日450mgまで漸増し、1日3回に分割、経口投与する。」である。