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トシリズマブBS点滴静注400mg「MA」

トシリズマブ(遺伝子組換え)[トシリズマブ後続2]注

添付文書改訂 2026年06月01日

【警告】

  • 〈効能共通〉
  1. 1.1感染症

本剤投与により、敗血症、肺炎等の重篤な感染症があらわれ、致命的な経過をたどることがある。本剤はIL-6の作用を抑制し治療効果を得る薬剤である。IL-6は急性期反応(発熱、CRP増加等)を誘引するサイトカインであり、本剤投与によりこれらの反応は抑制されるため、感染症に伴う症状が抑制される。そのため感染症の発見が遅れ、重篤化することがあるので、本剤投与中は患者の状態を十分に観察し問診を行うこと。症状が軽微であり急性期反応が認められないときでも、白血球数、好中球数の変動に注意し、感染症が疑われる場合には、胸部X線、CT等の検査を実施し、適切な処置を行うこと。

  1. 1.2治療開始に際しては、重篤な感染症等の副作用があらわれることがあること及び本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含めて患者に十分説明し、理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤を投与すること。

  2. 1.3本剤についての十分な知識と適応疾患の治療の知識・経験をもつ医師が使用すること。

  • 〈関節リウマチ及び多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎〉
  1. 1.4本剤の治療を行う前に、少なくとも1剤の抗リウマチ薬の使用を十分勘案すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈効能共通〉
  1. 2.1活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  • 〈SARS-CoV-2による肺炎を除く効能〉
  1. 2.3重篤な感染症を合併している患者[感染症が悪化するおそれがある。]

効能・効果

  • 既存治療で効果不十分な下記疾患

  • 関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎

  • キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見(C反応性タンパク高値、フィブリノーゲン高値、赤血球沈降速度亢進、ヘモグロビン低値、アルブミン低値、全身倦怠感)の改善。ただし、リンパ節の摘除が適応とならない患者に限る。

  • 悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群

  • SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素投与を要する患者に限る)

用法・用量

  • 〈関節リウマチ及び多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎〉

通常、トシリズマブ(遺伝子組換え)[トシリズマブ後続2]として1回8mg/kgを4週間隔で点滴静注する。

  • 〈全身型若年性特発性関節炎及びキャッスルマン病〉

通常、トシリズマブ(遺伝子組換え)[トシリズマブ後続2]として1回8mg/kgを2週間隔で点滴静注する。なお、症状により1週間まで投与間隔を短縮できる。

  • 〈悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群〉

通常、トシリズマブ(遺伝子組換え)[トシリズマブ後続2]として体重30kg以上は1回8mg/kg、体重30kg未満は1回12mg/kgを点滴静注する。

  • 〈SARS-CoV-2による肺炎〉

通常、成人には、副腎皮質ステロイド薬との併用において、トシリズマブ(遺伝子組換え)[トシリズマブ後続2]として1回8mg/kgを点滴静注する。症状が改善しない場合には、初回投与終了から8時間以上の間隔をあけて、トシリズマブ(遺伝子組換え)[トシリズマブ後続2]として8mg/kgを1回追加投与できる。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1本剤投与中はアナフィラキシーショック、アナフィラキシーに対する適切な薬物治療(アドレナリン、副腎皮質ステロイド薬、抗ヒスタミン薬等)や緊急処置を直ちに実施できるようにしておくこと。また、投与終了後も症状のないことを確認すること。

  2. 8.2本剤投与中又は投与当日にInfusion Reaction(発熱、悪寒、嘔気、嘔吐、頭痛、発疹等)が発現する可能性があるため、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置(抗ヒスタミン薬、解熱鎮痛薬の投与等)を行うこと。

  3. 8.3抗リウマチ生物製剤によるB型肝炎ウイルスの再活性化が報告されているので、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。

  4. 8.4本剤投与により、急性期反応(発熱、CRP増加等)、感染症状が抑制され、感染症発見が遅れる可能性があるため、急性期反応が認められないときでも、白血球数、好中球数を定期的に測定し、これらの変動及び喘鳴、咳嗽、咽頭痛等の症状から感染症が疑われる場合には、胸部X線、CT等の検査を実施し適切な処置を行うこと。また、呼吸器感染のみならず皮膚感染や尿路感染等の自他覚症状についても注意し、異常が見られる場合には、速やかに担当医師に相談するよう、患者を指導すること。

  5. 8.5本剤投与に先立って結核に関する十分な問診(結核の既往歴、結核患者との濃厚接触歴等)及び胸部X線検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。 本剤投与中は、胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核症の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに担当医師に連絡するよう説明すること。なお、結核の活動性が確認された場合は本剤を投与せず、結核の治療を優先すること。

  6. 8.6本剤投与中は、生ワクチン接種により感染するおそれがあるので、生ワクチン接種は行わないこと。

  7. 8.7臨床試験において胸膜炎(感染症が特定できなかったものを含む)が報告されている。治療期間中に胸膜炎(所見:胸水貯留、胸部痛、呼吸困難等)が認められた場合には、その病因を十分に鑑別し、感染症でない場合も考慮して適切な処置を行うこと。

  8. 8.8総コレステロール値、トリグリセリド値、LDLコレステロール値の増加等の脂質検査値異常があらわれることがあるので、投与開始3カ月後を目安に、以後は必要に応じて脂質検査を実施し、臨床上必要と認められた場合には、高脂血症治療薬の投与等の適切な処置を考慮すること。

  9. 8.9臨床試験において心障害が認められていることから、患者の状態を十分に観察し、必要に応じて心電図検査、血液検査、胸部エコー等を実施すること。

  • 〈SARS-CoV-2による肺炎を除く効能〉
  1. 8.10感染症を合併している患者に本剤を投与することにより、感染症が重篤化するおそれがあるため、投与開始に際しては、肺炎等の感染症の有無を確認すること。なお、SARS-CoV-2による肺炎を除く適応疾患の臨床症状(発熱、悪寒、倦怠感、リンパ節腫脹等)は感染症の症状と類似しているため、鑑別を十分に行うこと。

  2. 8.11他の抗リウマチ生物製剤から本剤に切り替える際には、感染症の徴候について患者の状態を十分に観察すること。

  • 〈全身型若年性特発性関節炎及びキャッスルマン病〉
  1. 8.12本剤を休薬・中止する際には、IL-6の作用が過剰に発現し病態が悪化する可能性が否定できないので、必要に応じて副腎皮質ステロイド薬の追加・増量等の適切な処置を考慮すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1感染症(SARS-CoV-2による肺炎の場合はSARS-CoV-2による肺炎を除く、その他の効能の場合は重篤な感染症は除く)を合併している患者又は感染症が疑われる患者
  • 〈効能共通〉

感染症を合併している場合は感染症の治療を優先すること。感染症が悪化するおそれがある。

  • 〈悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群、SARS-CoV-2による肺炎〉

治療上の有益性と危険性を考慮し、治療方針を十分に検討すること。

  1. 9.1.2B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)

最新のB型肝炎治療ガイドラインを参考に肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。抗リウマチ生物製剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。

  1. 9.1.3結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部X線上結核治癒所見のある患者)又は結核感染が疑われる患者

  2. (1)結核の既感染者では、結核を活動化させる可能性が否定できない。

  3. (2)結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として本剤の投与開始前に適切に抗結核薬を投与すること。

  • 胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者

  • 結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者

  • インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者

  • 結核患者との濃厚接触歴を有する患者

  1. 9.1.4易感染性の状態にある患者

投与を避けることが望ましい。なお、リンパ球数減少が遷延化した場合(目安として500/µL)は、投与を開始しないこと。日和見感染を含む感染症を誘発するおそれがある。

  1. 9.1.5間質性肺炎の既往歴のある患者

定期的に問診を行うなど、注意すること。間質性肺炎が増悪又は再発することがある。

  1. 9.1.6腸管憩室のある患者

  2. 9.1.7白血球減少、好中球減少、血小板減少のある患者

白血球減少、好中球減少、血小板減少が更に悪化するおそれがある。

  1. 9.1.8心疾患を合併している患者

定期的に心電図検査を行いその変化に注意すること。臨床試験において心障害が認められている。

9.3 肝機能障害患者

トランスアミナーゼ値上昇に注意するなど観察を十分に行うこと。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。カニクイザルにおいて本薬は胎盤関門を通過することが報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本薬のヒト乳汁への移行は不明である。

9.7 小児等

  • 〈SARS-CoV-2による肺炎を除く効能〉

低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

  • 〈SARS-CoV-2による肺炎〉

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 肝機能障害を起こす可能性のある薬剤• 抗リウマチ薬(DMARD) 肝機能障害があらわれることがある。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1%未満
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
BUN増加 1%未満
CK上昇 1%未満
CRP増加 1%未満
DNA抗体陽性注1) 1%未満
Dダイマー〕増加 1%未満
HDL増加 1%未満
LDH上昇 1%未満
LDL増加 頻度不明
NAG増加 1%未満
ST部分上昇 1%未満
ST部分下降 1%未満
TAT増加 1%未満
T波振幅増加 1%未満
T波振幅減少 1%未満
T波逆転 1%未満
γ-GTP上昇 1%未満
アレルギー性鼻炎 1%未満
インフルエンザ 1%未満
コレステロール増加(4.9%) 頻度不明
ざ瘡 1%未満
トリグリセリド増加 頻度不明
ビリルビン増加 1%未満
フィブリノゲン減少 1%未満
フィブリン分解産物〔FDP 1%未満
ヘマトクリット減少 1%未満
ヘモグロビン減少 1%未満
ヘルペスウイルス感染 頻度不明
ほてり 1%未満
リウマチ因子陽性 1%未満
リンパ球数減少 1%未満
リンパ節炎 1%未満
リンパ節腫脹 1%未満
上室性期外収縮 1%未満
上気道感染〔鼻咽頭炎 頻度不明
上気道炎等〕(10.7%) 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠症 1%未満
丘疹等〕 頻度不明
中耳炎 1%未満
体重増加 1%未満
便秘 1%未満
倦怠感 1%未満
免疫グロブリンG減少 1%未満
副鼻腔炎 1%未満
創傷感染 1%未満
動悸 1%未満
口内炎 頻度不明
口唇炎 1%未満
口渇 1%未満
口腔カンジダ症 1%未満
咳嗽 1%未満
咽喉頭疼痛 頻度不明
咽頭不快感 1%未満
咽頭紅斑 1%未満
喀血 1%未満
喘息 1%未満
嘔吐 1%未満
四肢痛 1%未満
外耳炎 1%未満
好中球数増加 1%未満
好酸球数増加 1%未満
子宮頚管ポリープ 1%未満
季節性アレルギー 1%未満
尿中白血球陽性 1%未満
尿中赤血球陽性 1%未満
尿糖 1%未満
尿蛋白 1%未満
尿路感染 1%未満
嵌入爪 1%未満
心室性期外収縮 1%未満
急性膵炎 1%未満
性器出血 1%未満
悪寒 1%未満
悪心 1%未満
感覚減退 1%未満
抗核抗体陽性注1) 1%未満
末梢性ニューロパシー 1%未満
歯周病 1%未満
歯痛 1%未満
気分不良 1%未満
気管支拡張症 1%未満
気管支炎 頻度不明
水疱 1%未満
注射部位反応〔紅斑 1%未満
浮動性めまい 1%未満
浮腫 1%未満
消化不良 1%未満
潮紅 1%未満
爪感染 1%未満
疼痛 1%未満
痒疹 頻度不明
痔核 1%未満
瘙痒症 頻度不明
発汗障害 1%未満
発熱 頻度不明
発疹〔湿疹 頻度不明
発疹等〕 1%未満
白内障 1%未満
白癬 頻度不明
白血球数増加 1%未満
皮下出血 1%未満
皮膚乾燥 1%未満
皮膚嚢腫 1%未満
皮膚感染 頻度不明
皮膚潰瘍 1%未満
眩暈 1%未満
眼乾燥 1%未満
眼瞼炎 1%未満
硝子体浮遊物 1%未満
突発難聴 1%未満
筋痛〔筋痛 1%未満
糖尿病増悪 1%未満
紅斑 1%未満
結膜出血 1%未満
結膜炎 1%未満
網膜出血 1%未満
総蛋白減少 1%未満
耳下腺炎 1%未満
耳不快感 1%未満
耳鳴 1%未満
肝機能異常 頻度不明
肩こり〕 1%未満
胃・腸ポリープ 1%未満
胃潰瘍 1%未満
胃腸炎 頻度不明
胆石症 1%未満
背部痛 1%未満
胸痛 1%未満
胸膜炎 1%未満
胸部不快感 1%未満
脂肪肝 1%未満
脱毛症 1%未満
腎盂腎炎 1%未満
腎結石 1%未満
腟感染 1%未満
腫脹 1%未満
腹痛 頻度不明
腹部不快感 1%未満
腹部膨満 1%未満
膀胱炎 1%未満
膿瘍 頻度不明
舌炎 1%未満
若年性関節炎増悪 1%未満
蕁麻疹 1%未満
血中カリウム減少 1%未満
血中カルシウム減少 1%未満
血中リン増加 1%未満
血中リン減少 1%未満
血中尿酸増加 1%未満
血圧上昇 1%未満
血圧低下 1%未満
血栓性静脈炎 1%未満
血清フェリチン減少 1%未満
血糖増加 1%未満
血腫 1%未満
角化症 1%未満
貧血 1%未満
赤血球数減少 1%未満
逆流性食道炎 1%未満
関節痛 1%未満
霰粒腫 1%未満
静脈炎 1%未満
頚部痛 1%未満
頭痛 頻度不明
頻尿 1%未満
食欲不振 1%未満
骨密度減少 1%未満
骨粗鬆症 1%未満
高コレステロール血症 頻度不明
高トリグリセリド血症 1%未満
高脂血症 頻度不明
高血圧 頻度不明
麦粒腫 1%未満
鼻出血 1%未満
鼻漏 1%未満
鼻炎 1%未満
鼻閉 1%未満
齲歯 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

トシリズマブはin vitroにおいて、可溶性及び膜結合性IL-6レセプターに結合してそれらを介したIL-6の生物活性の発現を抑制した48)。また、トシリズマブは、カニクイザルに投与されたヒトIL-6の活性発現を抑制した49)。

  • 〈本剤〉

18.2 IL-6レセプターに対する結合能

本剤の可溶性及び膜結合性IL-6レセプターに対する結合能は欧州で承認されたトシリズマブ(遺伝子組換え)製剤と同程度であった50)(in vitro)。

18.3 IL-6/可溶性IL-6レセプター複合体に対する解離活性

本剤のIL-6/可溶性IL-6レセプター複合体に対する解離活性は欧州で承認されたトシリズマブ(遺伝子組換え)製剤と同程度であった50)(in vitro)。

18.4 膜結合性IL-6レセプターを介した細胞増殖抑制作用

本剤はヒト骨髄性白血病細胞株TF-1細胞においてIL-6誘導性の細胞増殖を抑制し、その程度は欧州で承認されたトシリズマブ(遺伝子組換え)製剤と同程度であった50)(in vitro)。

18.5 可溶性及び膜結合性IL-6レセプターを介したシグナル伝達抑制作用

本剤は遺伝子改変HEK293細胞及びヒト肝癌由来細胞株Hep G2細胞において可溶性及び膜結合性IL-6レセプターを介したシグナル伝達を抑制し、その程度は欧州で承認されたトシリズマブ(遺伝子組換え)製剤と同程度であった50)(in vitro)。

  • 〈アクテムラⓇ点滴静注用〉

18.6 関節炎抑制・改善作用

トシリズマブは、カニクイザルコラーゲン誘発関節炎において、関節炎発症前からの投与により関節腫脹の発現を抑制するとともに、関節炎発症後の投与により関節の腫脹を改善した51),52)。

18.7 IL-6トランスジェニックマウスでの病態発現抑制作用

抗マウスIL-6レセプター抗体は、IL-6トランスジェニックマウスでの貧血状態、蛋白尿、高γグロブリン血症等の所見の発現を抑制し、生存日数を延長させた53)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  • 〈本剤〉

  • 〈健康成人〉

  1. 16.1.1単回投与

健康成人を対象に、本剤又は先行バイオ医薬品注1)4mg/kg注2)を単回投与した(1時間点滴静注)。血清中トシリズマブ濃度推移を図1、薬物動態パラメータを表1に示した。本剤と先行バイオ医薬品を比較した際の薬物動態パラメータ(AUCinf)の幾何最小二乗平均比の両側90%信頼区間は、80.00%~125.00%の範囲内であり、本剤と先行バイオ医薬品の薬物動態の同等性が確認された11)。

図1 健康成人における単回投与時の血清中トシリズマブ濃度推移(平均値±SD)

AUCinf注3)
(µg・hr/mL)
AUClast注3)
(µg・hr/mL)
Cmax注3)
(µg/mL)
Tmax注4)
(hr)
t1/2注3)
(hr)
本剤 12400±1959
(n=58)
12400±2018
(n=63)
99.9±16.0
(n=63)
1.02
(1.00、7.23)
(n=63)
37.6±7.6
(n=58)
先行バイオ
医薬品注1)
12830±1970
(n=62)
12820±1958
(n=63)
99.9±16.8
(n=64)
1.52
(1.00、7.00)
(n=64)
31.7±8.1
(n=62)

注1)欧州で承認されたトシリズマブ(遺伝子組換え)製剤

注2)本剤の承認用量は、1回8mg/kg(ただし、体重30kg未満の悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群は1回12mg/kg)である。

注3)平均値±SD

注4)中央値(最小値、最大値)

  • 〈アクテムラⓇ点滴静注用〉

  • 〈健康成人〉

  1. 16.1.2単回投与

健康成人男性5例を対象に、0.15、0.50、1.0、2.0mg/kg注2)を単回投与した(1時間点滴静注)。Cmaxは投与量に比例して上昇したものの、投与量の増加に伴ってCLtotalは減少し、t1/2及びMRTが延長したことから、トシリズマブの体内動態に非線形性が認められた12)。

投与量
(mg/kg)
Cmax
(µg/mL)
AUClast
(µg・hr/mL)
t1/2
(hr)
CLtotal
(mL/hr/kg)
MRT
(hr)
Vd,ss
(mL/kg)
0.15 2.4±0.6 11±6 17±16 3.8±2.3 25±22 63.4±16.6
0.50 8.5±1.2 285±73 33±4 1.3±0.2 47±5 58.4±7.1
1.0 19.5±2.7 1009±222 49±5 0.8±0.1 69±8 57.3±10.9
2.0 37.6±8.8 2532±569 74±9 0.6±0.2 107±16 65.9±8.3

(例数:4-5、平均値±SD)

  • 〈関節リウマチ〉
  1. 16.1.3単回投与

関節リウマチ患者31例を対象に、8mg/kgを単回投与した(1時間点滴静注)。血清中トシリズマブ濃度を図2に示した。このときの薬物動態パラメータはAUClast=19852±5749µg・hr/mL(幾何平均値±SD、以下同様)、t1/2=133±25.7hr、CLtotal=0.4±0.1mL/hr/kg及びVd,ss=78.5±16.8mL/kgであった13),14)。

図2 関節リウマチ患者における単回投与時の血清中トシリズマブ濃度推移(平均値±SD)

  1. 16.1.4反復投与

  2. (1)第Ⅰ/Ⅱ相試験(用量相関性の検討)

関節リウマチ患者15例(1群5例)を対象に、2、4あるいは8mg/kg注2)を2週間隔にて投与した(2時間点滴静注)。CLtotalは投与量の増加にともなって減少し、t1/2は延長したことから非線形性の体内動態が認められた15)。

投与
回数
投与量
(mg/kg)
C1hr
(µg/mL)
AUClast
(µg・hr/mL)
t1/2
(hr)
CLtotal
(mL/hr)
MRT
(hr)
Vd,ss
(mL)
1 2 43.6±10.1 3440±822 74±18 28.8±10.9 107±25 2921±576
4 49.0±12.6 4663±2185 97±50 50.6±33.2 138±68 5585±1441
8 82.5±32.4 10661±4070 160±34 30.5±11.9 227±46 6546±1852
3 2 27.9±12.3 3014±1070 87±18 28.2±11.1 140±26 3839±1290
4 49.5±10.1 6035±3200 140±71 40.7±34.7 204±105 5421±1385
8 129.9±48.1 19939±8900 242±71 13.5±5.3 343±105 4355±1605

(例数:4-5、平均値±SD)

  1. (2)第Ⅲ相試験

関節リウマチ患者157例を対象に、8mg/kgを4週間隔で13回投与した(1時間点滴静注)。血清中トシリズマブ濃度は初回投与以降上昇し、血清中トシリズマブ投与直前値は3回目投与4週間後(初回投与12週後、平均値±SD、以下同様)で9.8±7.5µg/mL、6回目投与4週間後(初回投与24週間後)で12.3±8.6µg/mLであり、初回投与20週後以降ほぼ一定の値で推移した16),17)。

図3 関節リウマチ患者における反復投与時の血清中トシリズマブ濃度(投与直前値)推移(平均値±SD)

  • 〈多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎〉
  1. 16.1.5反復投与

多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎患者19例(3-19歳、中央値12歳)を対象に、8mg/kgを4週間隔で3回投与した(点滴静注)。初回投与後の血清中トシリズマブ薬物動態パラメータを表4に示した18),19)。

C1hr
(µg/mL)
AUClast
(µg・hr/mL)
t1/2
(hr)
CLtotal
(mL/hr/kg)
MRT
(hr)
Vd,ss
(mL/kg)
145±37.5 20700±7130 123±41.5 0.3±0.1 178±46 58.3±13.9

(平均値±SD) (C1hr及びAUClast:n=19、その他のパラメータ:n=12)

  • 〈全身型若年性特発性関節炎〉
  1. 16.1.6反復投与

全身型若年性特発性関節炎患者56例(2-19歳、中央値8歳)を対象に、8mg/kgを2週間隔で3回反復投与し(点滴静注)、その後有効性の認められた被験者を対象に6回(合計9回、初回投与後18週間)投与を行った。 血清中トシリズマブ濃度推移は初回投与8週から14週の範囲で定常状態となったと考えられ、血清中トシリズマブ濃度(投与直前値)は57.4µg/mL(初回投与18週後、例数:13)であった20),21)。 低体重、低身長及び低年齢のいずれかの因子を有する患者において、血清中トシリズマブ濃度の消失速度が大きくなることがあった22)。

  • 〈キャッスルマン病〉
  1. 16.1.7反復投与

キャッスルマン病患者28例を対象に、8mg/kgを2週間隔で8回反復投与した(1時間点滴静注)。 血清中トシリズマブ濃度は8回目投与直前値で36.6±17.5µg/mLであり、初回投与以降上昇していた。初回投与後6回目投与までt1/2及びMRTは延長したが、投与6回目以降はほぼ一定の値を示した23)。

投与量
(mg/kg)
投与
回数
C1hr
(µg/mL)
AUClast
(µg・hr/mL)
t1/2
(hr)
CLtotal
(mL/hr/kg)
MRT
(hr)
Vd,ss
(mL/kg)
8 1 112.9±24.7 13092±3254 99.7±17.1 0.6±0.2 145±26.8 80.1±15.3
8 192.3±38.7 28423±7410 139±37.4 0.2±0.1 205±54.2 46.8±8.8

(例数:26-28、平均値±SD)

  • 〈悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群〉
  1. 16.1.8反復投与

キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群43例(日本人1例)を対象に、体重30kg以上の場合は8mg/kg、30kg未満の場合は12mg/kgを投与した(1時間点滴静注)。 初回投与時の血清中トシリズマブ濃度のCmaxは43.2~210µg/mL(日本人:122µg/mL)であった24)。

  • 〈SARS-CoV-2による肺炎〉
  1. 16.1.91回又は2回投与

SARS-CoV-2による肺炎患者を対象に、標準治療併用下においてトシリズマブ8mg/kgを1-2回点滴静注した(1回投与につき1時間点滴静注)。血清中トシリズマブ薬物動態パラメータを表6に示した25),26)。

投与量 Cmax
(µg/mL)
t1/2
(hr)
CLtotal
(L/hr)
8mg/kg
1回投与
160±27.1 140±59.6 0.0285±0.00833
8mg/kg
2回投与
254±54.3 177±101 N.A.

(平均値±SD、N.A.:算出せず) (1回投与:n=37-41、2回投与:n=6-7)

16.5 排泄

  • 〈アクテムラⓇ点滴静注用〉

健康成人男性5例を対象に、0.15、0.50、1.0、2.0mg/kg注2)を1時間点滴静注したとき、いずれの投与量においてもトシリズマブは尿中に排泄されず、トシリズマブの主消失クリアランスは腎外クリアランスであることが示された12)。