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デュロキセチンカプセル20mg「オーハラ」

デュロキセチン塩酸塩カプセル

添付文書改訂 2024年07月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者

  3. 2.3高度の肝機能障害のある患者

  4. 2.4高度の腎機能障害のある患者

  5. 2.5コントロール不良の閉塞隅角緑内障の患者[症状が悪化することがある。]

効能・効果

  • うつ病・うつ状態

  • 下記疾患に伴う疼痛

  • 糖尿病性神経障害 線維筋痛症 慢性腰痛症 変形性関節症

用法・用量

  • 〈うつ病・うつ状態、糖尿病性神経障害に伴う疼痛〉

通常、成人には1日1回朝食後、デュロキセチンとして40mgを経口投与する。投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する。 なお、効果不十分な場合には、1日60mgまで増量することができる。

  • 〈線維筋痛症に伴う疼痛、慢性腰痛症に伴う疼痛、変形性関節症に伴う疼痛〉

通常、成人には1日1回朝食後、デュロキセチンとして60mgを経口投与する。投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。なお、うつ病・うつ状態以外で本剤の適応となる疾患においても自殺企図のおそれがあり、さらにうつ病・うつ状態を伴う場合もあるので、このような患者にも注意深く観察しながら投与すること。

  2. 8.2不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の精神症状の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。

  3. 8.3自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。

  4. 8.4家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患の精神症状の悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うように指導すること。

  5. 8.5肝機能障害があらわれることがあるので、適宜肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP及び総ビリルビン等)を行うとともに、患者の症状を十分に観察すること。

  6. 8.6心拍数増加、血圧上昇、高血圧クリーゼがあらわれることがあるので、適宜、血圧・脈拍数等を測定し、推移等に十分注意すること。

  7. 8.7眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること。

  8. 8.8投与中止(特に突然の中止)により、不安、焦燥、興奮、浮動性めまい、錯感覚(電気ショック様感覚を含む)、頭痛、悪心及び筋痛等があらわれることが報告されている。投与を中止する場合には、突然の中止を避け、患者の状態を観察しながら徐々に減量すること。

  • 〈糖尿病性神経障害に伴う疼痛〉
  1. 8.9本剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることから、糖尿病の治療を併せて行うこと。

  2. 8.10本剤の投与により血糖値上昇・HbA1c上昇等、糖尿病が悪化することがあるので、血糖値の推移等を慎重に観察するとともに、必要に応じて糖尿病治療薬の用量調節を行うこと。

  • 〈慢性腰痛症に伴う疼痛、変形性関節症に伴う疼痛〉
  1. 8.11本剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることから、疼痛の原因があればその治療を併せて行い、薬物療法以外の療法も考慮すること。また、患者の状態を十分に観察し、本剤を漫然と投与しないこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1前立腺肥大症等排尿困難のある患者

ノルアドレナリン再取り込み阻害作用により症状が悪化することがある。

  1. 9.1.2高血圧又は心疾患のある患者

本剤投与前に適切にコントロールし、定期的に血圧・脈拍数等を測定すること。心拍数増加、血圧上昇、高血圧クリーゼがあらわれることがある。

  1. 9.1.3緑内障又は眼内圧亢進のある患者

症状が悪化することがある。

  1. 9.1.4過度のアルコール摂取者

肝障害が悪化する可能性がある。

  1. 9.1.5自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者

自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。

  1. 9.1.6躁うつ病患者

躁転、自殺企図があらわれることがある。

  1. 9.1.7脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者

精神症状が増悪することがある。

  1. 9.1.8衝動性が高い併存障害を有する患者

精神症状が増悪することがある。

  1. 9.1.9てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者

痙攣を起こすことがある。

  1. 9.1.10出血性疾患の既往歴又は出血性素因のある患者

出血傾向が増強することがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1高度の腎機能障害のある患者

投与しないこと。本剤の血中濃度が上昇することがある。

  1. 9.2.2軽度から中等度の腎機能障害のある患者

本剤の血中濃度が上昇することがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1高度の肝機能障害のある患者

投与しないこと。肝機能障害が悪化することがある。また、消失半減期が延長し、本剤の血中濃度が上昇することがある。

  1. 9.3.2軽度から中等度の肝機能障害のある患者

肝機能障害が悪化することがある。また、消失半減期が延長し、本剤の血中濃度が上昇することがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。妊娠末期にSNRI、SSRIを投与された女性が出産した新生児において、入院期間の延長、呼吸補助、経管栄養を必要とする、離脱症状と同様の症状が出産直後にあらわれたとの報告がある。臨床所見としては、呼吸窮迫、チアノーゼ、無呼吸、発作、体温調節障害、哺乳障害、嘔吐、低血糖症、筋緊張低下、筋緊張亢進、反射亢進、振戦、ぴくつき、易刺激性、持続性の泣きが報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラット及びヒトで乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

海外で実施された7~17歳の大うつ病性障害(DSM-IV-TR※における分類)患者を対象としたプラセボ対照の臨床試験において有効性が確認できなかったとの報告がある。

※:DSM-IV-TR:American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders.4th edition,Text Revision(DSM-IV-TR精神疾患の診断・統計マニュアル)

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。高齢者では薬物の消失が遅延し、血漿中濃度が上昇することがある。

また、高齢者においては、以下の点に注意すること。

  • 低ナトリウム血症、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)の危険性が高くなることがある。

  • めまい等により転倒を起こすことがある。

相互作用

  • 本剤の代謝には主として肝代謝酵素CYP1A2が関与し、CYP2D6も一部寄与している。また、本剤はCYP2D6を競合的に阻害する。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤• セレギリン塩酸塩• (エフピー)
• ラサギリンメシル酸塩• (アジレクト)
• サフィナミドメシル酸塩• (エクフィナ)
他の抗うつ剤で併用により発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等の症状があらわれたとの報告がある。
MAO阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また、本剤からMAO阻害剤に切り替えるときは5日間の間隔をおくこと。
主にMAO阻害剤による神経外アミン総量の増加及び抗うつ剤によるモノアミン作動性神経終末におけるアミン再取り込み阻害によると考えられる。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• ピモジド QT延長、心室性不整脈(Torsades de pointesを含む)等の心血管系副作用が発現することがあるので注意すること。 本剤は、ピモジドの肝での酸化的代謝を阻害し、血中濃度を上昇させると考えられる。
• アルコール 相互に中枢神経抑制作用を増強することがあるので注意すること。また、肝機能が悪化するおそれがある。 アルコールは中枢神経抑制作用を有する。また、過度のアルコール摂取と本剤との併用により、肝機能が悪化することがある。
• 中枢神経抑制剤• バルビツール酸誘導体、ロラゼパム等 相互に作用を増強することがあるので、本剤及びこれらの薬剤の用量を減量するなど注意して投与すること。 機序は不明
• メチルチオニニウム塩化物水和物(メチレンブルー) セロトニン症候群があらわれるおそれがある。 左記薬剤のMAO阻害作用によりセロトニン作用が増強される。
• フルボキサミンマレイン酸塩、シプロフロキサシン、エノキサシン 等 本剤の血中濃度が上昇することがあるので、本剤の用量を減量するなど注意して投与すること。 これらの薬剤のCYP1A2阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇することがある。
本剤とフルボキサミンとの併用により、本剤の血漿クリアランスが減少したとの報告がある。
• 三環系抗うつ剤• アミトリプチリン塩酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩、イミプラミン塩酸塩等
• フェノチアジン系抗精神病剤• ペルフェナジン
• 抗不整脈剤• プロパフェノン塩酸塩、フレカイニド酢酸塩
これらの薬剤の血中濃度が上昇することがあるので、これらの薬剤の用量を減量するなど注意して投与すること。 本剤のCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。
本剤とCYP2D6基質であるデシプラミンとの併用により、デシプラミンのAUCが増加したとの報告がある。
• パロキセチン塩酸塩水和物、キニジン硫酸塩水和物等 本剤の血中濃度が上昇することがあるので、本剤の用量を減量するなど注意して投与すること。 これらの薬剤のCYP2D6阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇することがある。
本剤とパロキセチンとの併用により、本剤の血漿クリアランスが減少したとの報告がある。
• セロトニン作用薬• 炭酸リチウム、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)及び選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、トラマドール塩酸塩、トリプタン系薬剤、L-トリプトファン含有製剤、リネゾリド等
• セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等
相互にセロトニン作用を増強することによりセロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがあるので、本剤及びこれらの薬剤の用量を減量するなど注意して投与すること。 本剤はセロトニン再取り込み阻害作用を有するため、併用により、セロトニン作用が増強することがある。
• 降圧剤• クロニジン塩酸塩等 降圧剤の作用を減弱することがあるので、本剤の用量を減量もしくはこれらの薬剤を増量するなど注意して投与すること。 本剤のノルアドレナリン再取り込み阻害作用によると考えられる。
• アドレナリン、ノルアドレナリン これらの薬剤(特に注射剤)との併用により、心血管作用(血圧上昇等)が増強することがあるので、本剤及びこれらの薬剤の用量を減量するなど注意して投与すること。 本剤はノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有するため、併用により、アドレナリン作用が増強することがある。
• 血漿蛋白との結合率の高い薬剤• ワルファリンカリウム等 相互に作用を増強することがあるので、本剤及びこれらの薬剤の用量を減量するなど注意して投与すること。 本剤は血漿蛋白との結合率が高いため、併用により、本剤及びこれらの薬剤の血中遊離濃度が上昇することがある。
• 出血傾向が増強する薬剤• 非定型抗精神病剤、フェノチアジン系薬剤、三環系抗うつ剤、アスピリン等の非ステロイド系抗炎症剤、ワルファリンカリウム等 出血傾向が増強することがあるので、本剤及びこれらの薬剤の用量を減量するなど注意して投与すること。 SNRI、SSRIとこれらの薬剤との併用により、出血傾向が増強すると考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1〜5%未満
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
BUN上昇 1%未満
CK(CPK)上昇 1〜5%未満
LDH上昇 1〜5%未満
γ-GTP上昇 1〜5%未満
あくび 1%未満
オーガズム異常 頻度不明
しびれ感 1〜5%未満
そう痒 1%未満
トリグリセリド上昇 1〜5%未満
ヘマトクリット減少 1%未満
ヘモグロビン減少 1%未満
ほてり 1%未満
めまい 5%以上
上室性不整脈 1%未満
下痢 5%以上
下肢静止不能症候群 頻度不明
不安 1%未満
不眠 1〜5%未満
乳汁漏出症 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
体重増加 1〜5%未満
体重減少 1〜5%未満
便秘(12.4%) 5%以上
倦怠感 5%以上
傾眠(24.3%) 5%以上
光線過敏反応 頻度不明
冷感 1%未満
冷汗 1%未満
勃起障害等) 1%未満
動悸 1〜5%未満
口内炎 1%未満
口渇(12.8%) 5%以上
口臭 頻度不明
味覚異常 1%未満
呼吸苦 1%未満
咳嗽 1%未満
咽喉緊張 頻度不明
咽頭不快感 1%未満
咽頭炎 頻度不明
嗜眠 頻度不明
嘔吐 1〜5%未満
嚥下障害 頻度不明
多尿 頻度不明
失神 1%未満
失見当識 頻度不明
射精障害 1%未満
尿中アルブミン/クレアチニン比上昇 1%未満
尿中蛋白陽性 1〜5%未満
尿流量減少 1%未満
怒り 頻度不明
性機能異常(月経異常 1%未満
性欲減退 1%未満
悪寒 1%未満
悪心(22.4%) 5%以上
振戦 1〜5%未満
排尿困難 1〜5%未満
排尿障害 1%未満
接触性皮膚炎 頻度不明
攻撃性 頻度不明
散瞳 頻度不明
歩行障害 頻度不明
歯痛 1%未満
歯軋り 頻度不明
気分高揚 1%未満
注意力障害 1%未満
浮腫 1%未満
浮遊感 1〜5%未満
消化不良 1〜5%未満
激越 頻度不明
無感情 1%未満
焦燥感 1%未満
熱感 1%未満
甲状腺機能低下 頻度不明
異常出血(斑状出血 頻度不明
異常夢(悪夢を含む) 1%未満
異常感 頻度不明
発汗 1〜5%未満
発熱 1%未満
発疹 1%未満
白血球減少 頻度不明
皮膚血管炎 頻度不明
眼乾燥 1%未満
睡眠障害 頻度不明
立ちくらみ 1〜5%未満
筋痙攣 1%未満
筋痛 1%未満
筋緊張 頻度不明
精巣痛 頻度不明
総コレステロール上昇 1〜5%未満
総ビリルビン上昇 1〜5%未満
緑内障 頻度不明
耳痛 1%未満
耳鳴 1〜5%未満
肩こり 1%未満
胃炎 1〜5%未満
胃腸出血等) 頻度不明
胃腸炎 1%未満
背部痛 1%未満
胸痛 1%未満
脱力感 1%未満
脱水 1%未満
腹部不快感 1〜5%未満
腹部痛 1〜5%未満
腹部膨満感 1〜5%未満
蕁麻疹 1%未満
血中カリウム上昇 頻度不明
血中カリウム減少 1%未満
血中クレアチニン上昇 1%未満
血圧上昇 1〜5%未満
血管浮腫 頻度不明
視調節障害 1%未満
赤血球減少 1%未満
起立性低血圧 1%未満
躁病反応 1%未満
錐体外路症状 1%未満
錯感覚 1%未満
閉経期症状 頻度不明
開口障害 頻度不明
関節痛 1%未満
霧視 1%未満
頭がぼーっとする 1%未満
頭痛 5%以上
頻尿 1%未満
頻脈 1〜5%未満
顕微鏡的大腸炎 頻度不明
食欲減退 5%以上
高プロラクチン血症 頻度不明
高血糖 1〜5%未満
鼻出血 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ラット視床下部あるいは脳内のセロトニン及び視床下部のノルアドレナリンの取り込みを共に阻害した(in vitroex vivo32) 及びin vivo33) )。 ラット前頭葉皮質における細胞外セロトニン及びノルアドレナリン濃度を共に増加させた34) (in vivo)。 各種神経伝達物質受容体に対する結合阻害活性35) 及びモノアミン酸化酵素阻害作用33) は、セロトニン及びノルアドレナリン取り込み阻害活性32) に比べ弱かった(in vitro)。

18.2 薬理作用

ラット強制水泳試験において無動行動回数を減少させた36) 。 ラットの学習性無力状態を改善した36) 。 ラット神経障害性疼痛モデル(坐骨神経部分結紮モデル及びL5/L6脊髄神経結紮モデル)37) やその他の疼痛モデル(ラットホルマリン疼痛モデル、マウス酢酸ライジング試験、ラットカラゲニン試験及びラットカプサイシン誘発機械的アロディニアモデル)38) において鎮痛作用を示した。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1健康成人

  2. (1)単回投与

健康成人男性(8例)にデュロキセチン10mg、20mg、40mgを食後単回経口投与したときの血漿中濃度及び薬物動態パラメータを図16-1・表16-1に示す。 Cmax及びAUCは用量の増加に従い増大した。tmax及びt1/2(β)は10~40mgの用量範囲でほぼ一定であった1) 。

投与量
(mg)
例数 Cmax
(ng/mL)
tmax
(hr)
AUC0-48
(ng・hr/mL)
t1/2(β)
(hr)
10 8 12.08±10.09 7.8±2.3 155.51±94.64 12.75±5.88注2)
20 18.31±10.89 7.5±1.4 259.33±141.84 15.34±5.87
40 38.65±19.46 6.9±2.0 551.75±239.64 10.56±2.86

注2)6例

Cmax、AUC0-48:デュロキセチン塩酸塩として表示 (平均値±SD)

  1. (2)反復投与

健康成人男性(各6例)にデュロキセチン20mg2) 、40mg3) 、60mg4) を1日1回7日間、食後反復経口投与したときの薬物動態パラメータを表16-2に示す。 血漿中濃度推移は反復投与により上昇し7日目におけるCmax、AUCは初回投与時と比べて増大したが、投与7日目には定常状態に達していた。

投与量
(mg)
例数 Cmax
(ng/mL)
tmax
(hr)
AUC0-24
(ng・hr/mL)
t1/2(β)
(hr)
20 6 1日目 13.57±4.40 6.2±1.0 139.56±27.40 12.30±3.11
7日目 16.24±4.95 6.0±0.0 205.32±45.34 12.09±2.58
40 6 1日目 22.17±12.67 6.7±2.9 254.15±151.73 13.78±6.82
7日目 31.50±16.81 5.8±1.2 426.76±263.55 17.26±2.25
60 6 1日目 46.2±25.7 5.8±1.2 519.1±267.4 13.46±5.03
7日目 68.1±20.8 5.7±0.5 895.8±344.3 13.18±2.26

Cmax、AUC0-24:デュロキセチン遊離塩基として表示 (平均値±SD)

  1. 16.1.2生物学的同等性試験

デュロキセチンカプセル30mg「オーハラ」とサインバルタカプセル30mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1カプセル(デュロキセチンとして30mg)健康成人男性に絶食及び食後単回経口投与して血漿中未変化体濃度(デュロキセチン濃度)を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲であり、両剤の生物学的同等性が確認された5) 。

n AUC0→72
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
tmax
(hr)
t1/2
(hr)
絶食投与 デュロキセチンカプセル30mg「オーハラ」 17 208.1±186.7 11.81±8.29 6.1±1.6 11.5±3.1
サインバルタカプセル30mg 17 213.3±223.0 13.56±10.70 5.8±1.6 11.7±2.2
食後投与 デュロキセチンカプセル30mg「オーハラ」 19 287.9±163.4 16.30±8.22 8.4±1.3 11.4±2.7
サインバルタカプセル30mg 19 288.7±192.4 17.37±9.75 8.2±4.0 11.1±3.0

(平均値±SD)

①絶食投与②食後投与

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、血液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人男性(7例)にデュロキセチン20mgを空腹時あるいは食後に単回経口投与し、食事の影響を検討したときの薬物動態パラメータ及び統計解析結果を表16-4に示す。食後投与のCmaxは空腹時に比べ高い値を示し、有意差が認められたものの、tmax、AUC、t1/2(β)、Ae(尿中排泄量)は有意な変化を示さなかった6) 。

投与量
(mg)
例数 Cmax
(ng/mL)
tmax
(hr)
AUC0-48
(ng・hr/mL)
t1/2(β)
(hr)
Ae0-48
(μg)
20 空腹時 7 8.53±4.12 5.7±0.8 116.33±58.16 9.01±1.42 11.36±7.04
食後 10.97±6.17 6.0±0.0 133.82±66.72 9.27±0.79 11.93±6.06
p値 0.0422* 0.2856 0.1427 0.7171 0.9499

Cmax、AUC0-48:デュロキセチン塩酸塩として表示 Ae0-48(尿中排泄量):デュロキセチン遊離塩基として表示 p:有意確率、*:有意差あり(p<0.05) (平均値±SD)

  1. 16.2.2食事の影響及び投与時間の影響

健康成人女性(12例)を対象に、デュロキセチン40mgを朝空腹時、朝食後、あるいは夜就寝時(空腹)にそれぞれ単回経口投与し、食事の影響及び投与時間の影響を検討したときの薬物動態パラメータ及び統計解析結果を表16-5に示す。 Cmax、AUCは朝食後投与と朝空腹時投与との間で有意差は認められなかった。朝食後投与のtmaxは朝空腹時投与に比べ延長し、有意差が認められた。朝食後投与における血漿中濃度の消失速度定数(λz)は空腹時に比べ大きく、有意差が認められた。 夜就寝時(空腹)投与のCmax、AUCは朝空腹時投与に比べ低く、tmaxは延長し、それぞれ有意差が認められた7) (外国人によるデータ)。

薬物動態
パラメータ
Cmax注4)
(ng/mL)
tmax注5)
(hr)
AUC0-∞注4)
(ng・hr/mL)
λz
(hr-1)
t1/2注6)
(hr)
朝空腹時 1回目 27.5
(30)
6.0
(4.0-10.0)
464.3
(32)
0.058
(23)
11.9
(8.2-17.5)
2回目 25.9
(36)
6.0
(1.0-10.0)
456.7
(41)
0.061
(21)
11.3
(8.0-14.9)
朝食後 24.1
(47)
10.0
(6.0-16.1)
402.3
(41)
0.070
(25)
9.8
(5.9-14.1)
夜就寝時
(空腹)
19.6
(35)
10.0
(4.0-16.0)
381.7
(40)
0.064
(17)
10.8
(8.1-16.3)
朝空腹注3)
vs.朝食後
p値
0.405 <0.001* 0.060 0.004*
朝空腹注3)
vs.就寝時
p値
<0.001* <0.001* 0.005* 0.368

注3)朝空腹時1回目、2回目のデータを統合

注4)デュロキセチン遊離塩基として表示

注5)中央値(最小値-最大値)

注6)調和平均(最小値-最大値)

p:有意確率、*:有意差あり(p<0.05) (平均値(変動係数)、12例)

16.3 分布

  1. 16.3.1乳汁移行

健康授乳婦〔6例(分娩12週後)〕に、デュロキセチン40mgを1日2回注7) 食後反復経口投与し、投与4日目朝投与後の血漿中及び乳汁中濃度を測定した結果、乳汁中への移行が認められ、乳汁中濃度のAUCは血漿中濃度のAUCの約1/4であった。乳児のデュロキセチン1日摂取量を推定した結果、およそ7μgであり、母体の投与量(80mg)の約10000分の1であった7) (外国人によるデータ)。

  1. 16.3.2胎児への移行(参考)

  2. (1)胎児移行

妊娠第12日目のラット(n=3~4)に14C-標識デュロキセチン塩酸塩(デュロキセチンとして45mg/kg)を経口投与したときの放射能の胎児移行率は投与量の0.02%以下であった8) 。

  1. (2)胎児主要組織への移行

妊娠第18日目のラット(n=1)に14C-標識デュロキセチン塩酸塩(デュロキセチンとして45mg/kg)を経口投与したとき、胎児主要組織への放射能の移行が認められたが、投与後24時間では検出限界以下まで低下した8) 。

  1. 16.3.3蛋白結合率

健康成人を対象とした単回及び反復投与試験におけるex vivoの血清蛋白結合率を測定した結果、97~99%であった。結合率は血漿中デュロキセチン濃度に依存せず、反復投与による変化は認められなかった1),2),3) 。

16.4 代謝

ヒト肝ミクロソームを用いた試験(発現CYPでの代謝と特異的阻害剤による阻害)の結果より、ヒト肝ミクロソームでは主に4位及び5位の水酸化が起こり、その反応にはCYP1A2及びCYP2D6が関与していると考えられる9) (in vitro試験)。 デュロキセチンの主代謝物は、4-ヒドロキシ デュロキセチン グルクロナイドで、他に5-ヒドロキシ 6-メトキシ デュロキセチン サルフェート、5,6-ジヒドロキシ デュロキセチン グルクロナイド、6-ヒドロキシ 5-メトキシ デュロキセチン グルクロナイドが認められ、いずれもデュロキセチンが酸化された後、抱合を受けた代謝物であった7) (外国人によるデータ)。

16.5 排泄

糞中及び尿中にデュロキセチンはほとんど存在せず、投与量の72.0%は代謝物として尿中に排泄され、18.5%は糞中に排泄された7) (外国人によるデータ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎障害患者

高度の腎障害患者〔12例(男性10例、女性2例)〕と健康成人〔12例(男性10例、女性2例):クレアチニンクリアランス値が75mL/min以上〕との間でデュロキセチン60mg空腹時単回経口投与時の薬物動態を比較したとき、高度の腎障害患者においては健康成人と比べてt1/2には有意な差は認められなかったが、Cmax及びAUCはいずれも約2倍に増大し、それぞれ有意差が認められた7) (外国人によるデータ)。

  1. 16.6.2肝障害患者

中等度の肝硬変を有する患者(Child-Pugh Bに分類)〔6例(男性5例、女性1例)〕と健康成人〔6例(男性5例、女性1例)〕との間でデュロキセチン20mg空腹時単回経口投与時の薬物動態を比較したとき、中等度の肝硬変を有する患者においては健康成人と比べてCmaxには有意な差は認められなかったが、AUCは約5倍に増大し、t1/2は約3倍に延長し、それぞれ有意差が認められた7) (外国人によるデータ)。

  1. 16.6.3高齢者

健康高齢男性と健康非高齢男性(各6例)との間でデュロキセチン10mg食後単回経口投与時の薬物動態を比較したとき、高齢者においては非高齢者に比べて有意な差は認められなかったものの、Cmaxは約1.3倍、AUCは約1.6倍にそれぞれ増大し、t1/2は約1.6倍に延長する傾向を示した10) 。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1本剤が受ける影響

  2. (1)フルボキサミン

健康成人男性(14例)に、デュロキセチン(60mg単回経口投与)とフルボキサミン(100mg/日反復経口投与)を併用投与し、デュロキセチンの薬物動態を評価した。フルボキサミンの併用により、デュロキセチンのCmax、AUCはそれぞれ2.41倍、5.60倍に増大、t1/2は約3倍に延長、血漿クリアランスは77%の減少がみられ、いずれも有意差が認められた11) (外国人によるデータ)。

  1. (2)パロキセチン

健康成人男性(12例)に、デュロキセチン(40mg1日1回反復経口投与)とパロキセチン(20mg1日1回反復経口投与)を併用投与し、デュロキセチンの薬物動態を評価した。パロキセチンの併用により、デュロキセチンのCmax、AUCはそれぞれ1.60倍、1.59倍に増大、t1/2は1.26倍に延長、血漿クリアランスは37%の減少がみられ、いずれも有意差が認められた11) (外国人によるデータ)。

  1. (3)ファモチジン、活性炭

健康成人男性(14例)に、デュロキセチン(40mg朝空腹時単回経口投与)とファモチジン40mg(朝空腹時単回経口投与)、活性炭液剤(活性炭として50g朝空腹時単回経口投与)をそれぞれ併用投与し、デュロキセチンの薬物動態を評価した。デュロキセチンの吸収に及ぼすファモチジンの影響は小さかった。活性炭の併用により、デュロキセチンのCmax、AUCはそれぞれ68%及び65%に低下し、t1/2は0.91倍に短縮し、いずれも有意差が認められた11) (外国人によるデータ)。

  1. 16.7.2他剤に及ぼす影響

テオフィリン 健康成人男性(10例)に、デュロキセチン(60mg1日2回注7) 反復経口投与)とテオフィリン(アミノフィリンとして250mgの30分間点滴静脈内投与)を併用投与し、テオフィリンの薬物動態を評価した。テオフィリン薬物動態に有意な変化はみられなかった11) (外国人によるデータ)。

  1. 16.7.3相互に及ぼす影響

ロラゼパム 健康成人(男性8例、女性8例)に、デュロキセチン(60mg1日2回注7) 反復経口投与)とロラゼパム(2mg1日2回反復経口投与)を併用投与し、相互に及ぼす影響を評価した。薬物動態に相互作用はみられなかった11) (外国人によるデータ)。

16.8 その他

デュロキセチンカプセル20mg「オーハラ」は溶出挙動に基づき、デュロキセチンカプセル30mg「オーハラ」と生物学的に同等とみなされた12) 。

注7)本剤の承認された用法は1日1回朝食後に経口投与、1日最大用量は60mgである。