Clinical snapshot

デジレル錠25

トラゾドン塩酸塩

添付文書改訂 2025年03月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

うつ病・うつ状態

用法・用量

トラゾドン塩酸塩として、通常、成人には1日75~100mgを初期用量とし、1日200mgまで増量し、1~数回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

  2. 8.2うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。

  3. 8.3不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。

  4. 8.4自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。

  5. 8.5家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。

  6. 8.6投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、不安、睡眠障害等の離脱症状があらわれることがある。投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。

  7. 8.7QT延長、心室頻拍(torsade de pointesを含む)、心室細動、心室性期外収縮があらわれることがあるので、定期的に心電図検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  8. 8.8無顆粒球症があらわれたとの報告があるので、血液検査等の観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心筋梗塞回復初期の患者及び心疾患の患者又はその既往歴のある患者

循環器系に影響を及ぼすおそれがある。

  1. 9.1.2緑内障、排尿困難又は眼内圧亢進のある患者

抗コリン作用を若干有するため、症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.3てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者

痙攣発作を起こすおそれがある。

  1. 9.1.4躁うつ病の患者

躁転、自殺企図があらわれることがある。

  1. 9.1.5脳の器質障害又は統合失調症の素因のある患者

精神症状を増悪させることがある。

  1. 9.1.6衝動性が高い併存障害を有する患者

精神症状を増悪させることがある。

  1. 9.1.7自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者

自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。

  1. 9.1.8出血傾向又はその既往のある患者**

出血リスクが増大するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へごくわずか移行する。

9.7 小児等

国内において、小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

相互作用

  • 本剤は主に肝代謝酵素CYP3A4、CYP2D6で代謝される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
降圧剤 起立性低血圧及び失神を含む低血圧が起こるおそれがあるので、降圧剤の用量調節に注意すること。 本剤によってもまた、血圧低下があらわれることがある。
アルコール
中枢神経抑制剤
• バルビツール酸誘導体等
本剤の作用が増大するおそれがある。
なお、できるだけ飲酒は避けさせること。
中枢神経抑制作用が増強される。
*モノアミン酸化酵素阻害剤 これらの薬剤の中止直後あるいは併用する場合に、本剤の作用が増大するおそれがあるので、本剤の投与量を徐々に増量するなど慎重に投与を開始すること。 セロトニン再取り込み阻害作用により、脳内のセロトニン濃度が高まるおそれがある。
強心配糖体
• ジゴキシン等フェニトイン
血清中のジゴキシン濃度又はフェニトイン濃度が上昇するおそれがある。 機序不明
フェノチアジン誘導体
• クロルプロマジン塩酸塩等
血圧低下を起こすおそれがある。 ともにα受容体遮断作用を有する。
ワルファリンカリウム プロトロンビン時間の短縮がみられたとの報告がある。 機序不明
**抗凝固薬
• ワルファリンカリウム、リバーロキサバン、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩等抗血小板薬
• アスピリン、クロピドグレル硫酸塩等非ステロイド性抗炎症薬
出血傾向の増強を伴う血液凝固能の変動がみられたとの報告がある。 セロトニン依存性の血小板凝集経路を阻害する可能性がある。
カルバマゼピン 本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。 CYP3A4の誘導作用により本剤の代謝が促進される。
*CYP3A4阻害剤
• リトナビル
• ニルマトレルビル・リトナビル
• インジナビル
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがあるので、本剤を減量するなど用量に注意すること。 これらの薬剤のCYP3A4阻害作用により本剤の代謝が阻害される。
*セロトニン作動薬
• 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)• パロキセチン
• セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)
• アミトリプチリン
• イミプラミン塩酸塩
• クロミプラミン塩酸塩
• タンドスピロン
• 炭酸リチウム
• トリプタン系薬剤
• L-トリプトファン含有製剤
• タペンタドール塩酸塩含有製剤
• デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物含有製剤
• トラマドール塩酸塩含有製剤
• フェンタニル含有製剤
• ペチジン塩酸塩含有製剤
• ペンタゾシン含有製剤
• メサドン塩酸塩
• 等
セロトニン症候群を起こすおそれがある。 機序不明
*セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 セロトニン症候群を起こすおそれがある。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P 1〜5%未満
ALT 1〜5%未満
γ-GTP上昇等) 1〜5%未満
インポテンス 頻度不明
そう痒感 1%未満
ほてり 1〜5%未満
めまい・ふらつき 1〜5%未満
下痢 1%未満
不安 1%未満
不整脈 1%未満
不眠 1〜5%未満
乳房痛 1%未満
乳汁分泌 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
低血圧 1〜5%未満
体重増加 1%未満
体重減少 1%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
健忘 1%未満
動悸・頻脈 1〜5%未満
協調運動障害 頻度不明
口周囲不随意運動 1%未満
口渇 1〜5%未満
味覚異常 1%未満
嚥下障害 1%未満
失神 1%未満
妄想 頻度不明
射精障害 1%未満
尿失禁 1%未満
幻覚 1%未満
徐脈 1%未満
怒り・敵意(攻撃的反応) 頻度不明
性欲亢進 頻度不明
性欲減退 頻度不明
息切れ 頻度不明
悪夢 頻度不明
悪寒 1%未満
悪心・嘔吐 1〜5%未満
振戦等のパーキンソン症状 1〜5%未満
排尿障害 1〜5%未満
月経異常 1%未満
構音障害 1〜5%未満
流涎 1%未満
浮腫 1〜5%未満
溶血性貧血 頻度不明
激越 頻度不明
焦燥感 1%未満
異常感覚 頻度不明
疲労 1%未満
痙攣 1%未満
発汗 1%未満
発熱 頻度不明
発疹 1〜5%未満
白血球増多 1%未満
白血球減少 1〜5%未満
眠気 1〜5%未満
眼球充血 頻度不明
眼瞼そう痒感 頻度不明
眼精疲労 1%未満
知覚障害 1%未満
筋肉痛 1%未満
耳鳴 1%未満
肝機能障害(AST 1〜5%未満
胃重感 1%未満
胸やけ 頻度不明
胸痛 1%未満
脱力感 1〜5%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部膨満感 1%未満
興奮 頻度不明
血小板減少 頻度不明
血尿 頻度不明
血清脂質増加 1%未満
複視等) 1〜5%未満
見当識障害 1%未満
視調節障害(霧視 1〜5%未満
貧血 1〜5%未満
起立性低血圧 頻度不明
躁転 1〜5%未満
運動失調 1〜5%未満
運動過多 1%未満
関節痛 1%未満
集中力低下 1%未満
頭がボーッとする 1〜5%未満
頭痛・頭重 1〜5%未満
頻尿 1%未満
食欲不振 1〜5%未満
食欲亢進 頻度不明
高血圧 頻度不明
鼻閉 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

トラゾドン塩酸塩の抗うつ作用の作用機序は次のように考えられる。

  • セロトニン(5-HT)再取り込み阻害作用を示し、うつ病患者で低下したセロトニン神経機能を亢進させる。

  • 5-HT2受容体遮断作用が比較的強く、うつ病・うつ状態に伴う睡眠障害を改善させる。

18.2 セロトニン取り込み阻害作用

  1. 18.2.1ラット脳シナプトゾームを用いた実験で、ノルアドレナリンよりもセロトニンに対して強い取り込み阻害作用を示した14)。

  2. 18.2.2ラットでのin vivo試験において、ノルアドレナリン取り込み阻害作用はほとんど認められなかった14)。

18.3 各種モノアミン受容体への作用

ラット脳を用いたin vitroの実験において、α1及びα2受容体並びにセロトニン受容体に対して親和性を示すが、ドーパミン受容体及びムスカリン性アセチルコリン受容体に対する親和性はほとんどなかった15),16)。

  1. 18.3.1セロトニン受容体

  2. (1)5-HT2(セロトニン2)受容体遮断作用が比較的強かった15)。

  3. (2)低用量では、セロトニンにより誘発されるマウス首振り行動(head twitch)を抑制し15)、フェンフルラミンによるラット後肢屈曲反射亢進を抑制した17)ことからセロトニン受容体遮断作用を有すると考えられる。高用量では、それ自体で後肢屈曲反射を亢進したことからセロトニン受容体に対する直接的な刺激作用を有すると考えられる。

  4. 18.3.2α受容体/β受容体

  5. (1)ラットを用いた実験において、ノルアドレナリンによる昇圧反応を抑制したことから、α受容体遮断作用を有すると考えられる18)。

  6. (2)ラットを用いた実験において、25日間の連続投与によりβ受容体への[3H]-ジヒドロアルプレノロール結合量が減少し、β受容体の感受性が低下したと考えられる19)。

18.4 抗うつ、抗不安・鎮静作用の検討

  1. 18.4.1従来の三環系抗うつ薬と異なり、ラットを用いた抗レセルピン作用18)、マウスを用いたメタンフェタミンの作用増強効果を示さず、強制遊泳試験においても副作用が認められず、マウスを用いた抗コリン作用もほとんど認められなかった20)。

  2. 18.4.2健康成人における定量脳波試験において、100mg投与1時間後にthymoleptic型の脳波変化を示すが、低域α波の増加と速波の減少が特徴的であった。トラゾドン塩酸塩の作用特性は精神賦活作用よりも抗不安・鎮静作用が強いと考えられる21)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人にトラゾドン塩酸塩50mg注)及び100mgを食後に単回経口投与したとき、血漿中トラゾドン濃度は投与3~4時間後に最高値に達し、半減期6~7時間で消失した1)。

  1. 16.1.2反復投与

健康成人にトラゾドン塩酸塩25mgを1日3回14日間反復経口投与したとき、血漿中トラゾドン濃度は投与2日目から定常状態に達した1)。

16.2 吸収

ラット及びイヌにトラゾドン塩酸塩を経口投与したとき、主として小腸から良好かつ速やかに吸収された2)。

16.3 分布

ラット及びイヌ等に14C標識トラゾドン塩酸塩を経口投与したとき、直ちに各組織に分布したが、消失は速やかであった。また、ラットに14C標識トラゾドン塩酸塩を経口投与したとき、胎仔への移行は少なかった。 トラゾドンの血清蛋白結合率は、健康成人、精神疾患を有する患者、慢性腎不全患者で94~95%、血液透析患者で79%であり、主要な結合蛋白はアルブミンである(in vitro)(外国人データ)。

16.4 代謝

健康成人にトラゾドン塩酸塩を経口投与したとき、尿中にはオキソトリアゾロピリジンプロピオン酸(TPA)が最も多く、他に4-ヒドロキシ体のグルクロン酸抱合体、ジヒドロジオール体等が認められた。未変化体は極めて少量であった1)。

16.5 排泄

ラット及びイヌに14C標識トラゾドン塩酸塩を経口投与したとき、尿中への排泄率は約40%であり、一部腸肝循環することが示唆された。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1授乳婦

授乳婦にトラゾドン塩酸塩50mg注)を単回経口投与したとき、血漿中トラゾドン濃度は投与2時間後に最高値に達し、その後二相性で減少した。乳汁中トラゾドン濃度は血漿中濃度の約1/10で、血漿中濃度とほぼ並行して推移した3)(外国人データ)。 注) 本剤の用法及び用量は「トラゾドン塩酸塩として、通常、成人には1日75~100mgを初期用量とし、1日200mgまで増量し、1~数回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。」である。