Clinical snapshot

テネリア錠40mg

テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物錠

添付文書改訂 2025年12月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]

  3. 2.3重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]

効能・効果

2型糖尿病

用法・用量

通常、成人にはテネリグリプチンとして20mgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら40mg1日1回に増量することができる。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。

  2. 8.2本剤投与中は、血糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、本剤を3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には他の治療法への変更を考慮すること。

  3. 8.3低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。

  4. 8.4本剤とGLP-1受容体作動薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確立されていない。

  5. 8.5急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心不全(NYHA分類Ⅲ~Ⅳ)のある患者

使用経験がなく、安全性が確立していない。

  1. 9.1.2次に掲げる患者又は状態

低血糖を起こすおそれがある。

  • 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全

  • 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態

  • 激しい筋肉運動

  • 過度のアルコール摂取者

  1. 9.1.3*腹部手術の既往又はイレウスの既往のある患者

腸閉塞を含むイレウスを起こすおそれがある。

  1. 9.1.4QT延長を起こしやすい患者(先天性QT延長症候群等QT延長の既往歴又はTorsades de pointesの既往歴のある患者、重度の徐脈等の不整脈又はその既往歴のある患者、うっ血性心不全等の心疾患のある患者、低カリウム血症の患者等)

QT延長を起こすおそれがある。海外臨床試験において本剤160mgを1日1回投与したときにQT延長が報告されている。 本剤の承認用量は通常、20mg/日であり、最大用量は40mg/日である。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1高度の肝機能障害のある患者

これらの患者(Child-Pugh分類で合計スコア9超)を対象とした臨床試験は実施していない。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

相互作用

  • 本剤は、主としてCYP3A4及びフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO1及びFMO3)により代謝される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
糖尿病用薬
• スルホニルウレア系薬剤
• 速効型インスリン分泌促進剤
• α-グルコシダーゼ阻害剤
• ビグアナイド系薬剤
• チアゾリジン系薬剤
• GLP-1受容体作動薬
• SGLT2阻害剤
• インスリン製剤等
低血糖症状が起こるおそれがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与すること。特に、スルホニルウレア系薬剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。 血糖降下作用が増強される。
血糖降下作用を増強する薬剤
• β-遮断剤
• サリチル酸剤
• モノアミン酸化酵素阻害剤等
更に血糖が低下する可能性があるため、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 血糖降下作用が増強される。
血糖降下作用を減弱する薬剤
• アドレナリン
• 副腎皮質ホルモン
• 甲状腺ホルモン等
血糖が上昇する可能性があるため、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 血糖降下作用が減弱される。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
• クラスⅠA抗不整脈薬• キニジン硫酸塩水和物、プロカインアミド塩酸塩等• クラスⅢ抗不整脈薬• アミオダロン塩酸塩、ソタロール塩酸塩等
QT延長等が起こるおそれがある。 これらの薬剤では単独投与でもQT延長がみられている。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP上昇 1%未満
ALT上昇 1%未満
AST上昇 1%未満
CK上昇 1%未満
γ-GTP上昇 1%未満
アミラーゼ上昇 1%未満
アレルギー性皮膚炎 1%未満
アレルギー性鼻炎 1%未満
そう痒 1%未満
リパーゼ上昇 1%未満
下痢 1%未満
便秘 1%未満
倦怠感 1%未満
十二指腸潰瘍 1%未満
口内炎 1%未満
尿ケトン体陽性 1%未満
尿潜血 1%未満
悪心 1%未満
末梢性浮腫 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
湿疹 1%未満
発疹 1%未満
結腸ポリープ 1%未満
胃ポリープ 1%未満
腹痛 1%未満
腹部不快感 1%未満
腹部膨満 1%未満
蛋白尿 1%未満
血清カリウム上昇 1%未満
血清尿酸上昇 1%未満
逆流性食道炎 1%未満
関節痛 頻度不明
食欲減退 1%未満
鼓腸 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、食事に応答して消化管から分泌され、膵臓からのインスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制することで、食後血糖を調節している20)。テネリグリプチンは、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)活性の阻害によりGLP-1の分解を抑制し、活性型GLP-1の血中濃度を増加させることにより、血糖低下作用を発揮する21)。

18.2 DPP-4阻害作用及びGLP-1分解抑制作用

  • テネリグリプチンはヒト血漿中DPP-4活性を濃度依存的に阻害し、そのIC50値は1.75nmol/Lであった21)(in vitro)。

  • テネリグリプチンはラット血漿中の活性型GLP-1の分解を濃度依存的に抑制した21)(in vitro)。

  • インスリン抵抗性及び耐糖能異常を示す肥満モデルであるZucker Fattyラットを用いた糖負荷試験において、テネリグリプチンは単回投与により血漿中活性型GLP-1濃度及び血漿中インスリン濃度を増加させた21)。

  • 2型糖尿病患者において、テネリグリプチン20mgの1日1回投与は血漿中DPP-4活性を阻害し、血漿中活性型GLP-1濃度を増加させた22)。

18.3 耐糖能改善作用

  • インスリン抵抗性及び耐糖能異常を示す肥満モデルであるZucker Fattyラットを用いた糖負荷試験において、テネリグリプチンは単回投与により血糖値上昇を抑制した21)。

  • 2型糖尿病患者において、テネリグリプチン20mgの1日1回投与は、朝食、昼食及び夕食後血糖並びに空腹時血糖を改善した22)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人に、テネリグリプチンとして20mg及び40mgを空腹時に単回経口投与したときのテネリグリプチンの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりである1)。

(平均値+標準偏差、n=6)

Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
tmax
(hr)
t1/2
(hr)
20mg 187.20±44.70 2028.9±459.5 1.8(1.0-2.0) 24.2±5.0
40mg 382.40±89.83 3705.1±787.0 1.0(0.5-3.0) 20.8±3.2

n=6、平均値±標準偏差、tmax:中央値(最小値-最大値)、t1/2:末端消失相の半減期

  1. 16.1.2反復投与

健康成人に、テネリグリプチンとして20mgを1日1回7日間朝食開始30分前に反復経口投与したときのテネリグリプチンの薬物動態パラメータは以下のとおりであり、7日間以内に定常状態に達するものと考えられた2)。

Cmax
(ng/mL)
AUC0-24hr
(ng・hr/mL)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
tmax
(hr)
t1/2
(hr)
初回投与後 160.60±47.26 1057.2±283.9 1627.9±427.8 1.0
(0.4-2.0)
25.8±4.9
7日間投与後 220.14±59.86 1514.6±370.5 2641.4±594.7 1.0
(1.0-1.0)
30.2±6.9

n=7、平均値±標準偏差、tmax:中央値(最小値-最大値)、t1/2:末端消失相の半減期

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人に、テネリグリプチンとして20mgを食後に単回経口投与した場合、空腹時に比べてCmaxは20%低下し、tmaxは1.1時間から2.6時間に延長したが、AUCに差は認められなかった3)。

Cmax
(ng/mL)
AUC0-72hr
(ng・hr/mL)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
tmax
(hr)
t1/2
(hr)
空腹時 232.2
(236.2±43.77)
1855.5
(1861.1±148.1)
2090.3
(2094.6±138.5)
1.1±0.4 26.5
(27.8±9.3)
食後 184.9
(187.5±33.55)
1806.6
(1814.6±183.3)
2044.0
(2056.1±230.9)
2.6±1.1 26.9
(28.3±9.5)

n=14、幾何平均値(算術平均値±標準偏差)、tmax:算術平均値±標準偏差、t1/2:末端消失相の半減期

16.3 分布

テネリグリプチンのヒト血漿蛋白結合率は77.6~82.2%であった4)(in vitro)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1健康成人(外国人、6例)に、[14C]標識テネリグリプチン20mgを単回経口投与したとき、血漿中に未変化体、及び代謝物M1、M2、M3、M4及びM5が認められた。 また、投与後72時間までの血漿中放射能濃度から算出したAUC0-∞に対するテネリグリプチン、M1、M2、M3、M4及びM5のAUC0-∞の割合はそれぞれ71.1%、14.7%、1.3%、1.3%、0.3%及び1.1%であった5)。

  2. 16.4.2テネリグリプチンの代謝には主にCYP3A4、フラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO1及びFMO3)が関与する。また、テネリグリプチンはCYP2D6、CYP3A4及びFMOに対して弱い阻害作用を示したが(IC50値:489.4、197.5及び467.2μmol/L)、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C8/9、CYP2C19、CYP2E1に対して阻害作用を示さず、CYP1A2及びCYP3A4を誘導しなかった6)(in vitro)。

16.5 排泄

  1. 16.5.1健康成人に、テネリグリプチンとして20及び40mgを空腹時に単回経口投与したとき(各6例)、投与量の21.0~22.1%が尿中に未変化体として排泄され、腎クリアランスは37~39mL/hr/kgであった1)。

  2. 16.5.2健康成人(外国人、6例)に、[14C]標識テネリグリプチン20mgを単回経口投与したとき、投与後216時間までに投与放射能の45.4%が尿中に、46.5%が糞中に排泄された。また、投与後120時間までの投与量に対する未変化体、M1、M2及びM3の累積尿中排泄率は、それぞれ14.8%、17.7%、1.4%、1.9%であり、未変化体、M1、M3、M4及びM5の累積糞中排泄率は、それぞれ26.1%、4.0%、1.6%、0.3%及び1.3%であった5)。

  3. 16.5.3テネリグリプチンはP-糖蛋白質の基質であり、99μmol/Lの濃度でP-糖蛋白質を介するジゴキシンの輸送を42.5%まで阻害した7)。また、テネリグリプチンは、腎臓に発現している有機アニオントランスポーターOAT3に対して弱い阻害作用を示した(IC50値:99.2μmol/L)が、OAT1及び有機カチオントランスポーターOCT2に対し阻害作用を示さなかった8)(in vitro)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害者

腎機能障害者に、テネリグリプチンとして20mgを単回経口投与したとき、テネリグリプチンのCmax及びt1/2は腎機能障害の程度に応じた顕著な変化は認められなかった。一方、AUC0-∞は健康成人と比較して、軽度腎機能障害者(50≦Ccr≦80mL/min)、中等度腎機能障害者(30≦Ccr<50mL/min)及び高度腎機能障害者(Ccr<30mL/min)でそれぞれ約1.25倍、約1.68倍及び約1.49倍であり、末期腎不全患者のAUC0-43hrは健康成人と比較して、約1.16倍であった。また、血液透析によってテネリグリプチンは投与量の15.6%が除去された9)(外国人のデータ)。

腎機能障害の程度 Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
t1/2
(hr)
健康成人 n=8 178.93
(176.50±38.42)
1748.39
(1772.7±657.3)
25.64
(26.1±5.0)
軽度 n=8 193.15
(207.96±53.31)
2178.90
(2234.2±278.6)
25.60
(27.7±7.9)
健康成人との比(%)
[90%信頼区間]
107.95
[86.24-135.12]
124.62
[100.97-153.82]
99.84
[75.94-131.27]
中等度 n=8 199.55
(203.63±42.33)
2930.17
(3090.3±868.6)
34.93
(36.0±11.0)
健康成人との比(%)
[90%信頼区間]
111.53
[89.10-139.60]
167.59
[135.78-206.86]
136.19
[103.59-179.06]
高度 n=8 186.39
(191.63±49.07)
2603.17
(2833.3±652.3)
26.26
(29.8±11.0)
健康成人との比(%)
[90%信頼区間]
104.17
[82.10-132.18]
148.89
[119.10-186.13]
102.41
[76.61-136.89]
健康成人 n=8 192.69
(195.75±43.28)
1568.38
(1569.5±345.5)
17.41
(18.3±5.7)
末期腎不全患者 n=8 211.26
(219.00±118.91)
1826.06
(1820.9±285.4)
22.85
(23.6±5.8)
健康成人との比(%)
[90%信頼区間]
109.64
[82.30-146.06]
116.43
[98.10-138.19]
131.20
[98.26-175.18]

幾何最小二乗平均値(算術平均値±標準偏差) 健康成人:Ccr>80mL/min、軽度:50≦Ccr≦80mL/min、中等度:30≦Ccr<50mL/min、高度:Ccr<30mL/min t1/2:末端消失相の半減期

  1. 16.6.2肝機能障害者

肝機能障害者に、テネリグリプチンとして20mgを単回経口投与したとき、テネリグリプチンのCmaxは健康成人と比較して、軽度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア5~6)及び中等度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア7~9)でそれぞれ約1.25倍及び約1.38倍であり、AUC0-∞はそれぞれ約1.46倍及び約1.59倍であった10)(外国人のデータ)。なお、高度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア9超)での臨床経験はない。

肝機能障害の程度 Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
t1/2
(hr)
健康成人 n=8 200.58
(185.88±84.65)
1610.10
(1548.8±209.1)
21.95
(24.8±6.4)
軽度 n=8 251.64
(229.25±86.16)
2348.28
(2207.9±790.0)
26.69
(27.9±7.1)
健康成人との比(%)
[90%信頼区間]
125.45
[97.07-162.14]
145.85
[122.13-174.17]
121.56
[94.13-156.99]
中等度 n=8 276.24
(247.63±112.95)
2566.69
(2418.9±505.8)
30.21
(30.9±6.6)
健康成人との比(%)
[90%信頼区間]
137.72
[106.56-177.99]
159.41
[133.49-190.37]
137.59
[106.54-177.68]

幾何最小二乗平均値(算術平均値±標準偏差) 軽度:Child-Pugh分類で合計スコアが5~6、中等度:Child-Pugh分類で合計スコアが7~9 t1/2:末端消失相の半減期

  1. 16.6.3高齢者における薬物動態

健康な高齢者(65歳以上75歳以下、12例)と非高齢者(45歳以上65歳未満、12例)に、テネリグリプチンとして20mgを空腹時に単回経口投与したとき、Cmax、AUC0-∞及びt1/2の非高齢者に対する高齢者の幾何最小二乗平均値の比(90%信頼区間)は、それぞれ1.006(0.871-1.163)、1.090(0.975-1.218)及び1.054(0.911-1.219)であり、ほぼ同様であった11)(外国人のデータ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1ケトコナゾールとの併用

ケトコナゾールを併用したとき、テネリグリプチンの薬物動態への影響は次表のとおりであった12)(外国人のデータ)。

併用薬 併用薬用量 テネリグリプチン用量 テネリグリプチンの薬物動態パラメータ幾何平均値の比[90%信頼区間]
併用/単独
Cmax AUC0-∞
ケトコナゾール 400mg 20mg 1.37
[1.25-1.50]
1.49
[1.39-1.60]
  1. 16.7.2他の糖尿病用薬との併用

テネリグリプチンとカナグリフロジン注1)、ピオグリタゾン注1)、グリメピリド注1)又はメトホルミンを併用したとき、テネリグリプチン及びこれらの薬剤の薬物動態に併用投与による明らかな影響は認められなかった(外国人のデータ)。

注1)カナグリフロジン、ピオグリタゾン、グリメピリドは日本人のデータ