Clinical snapshot

テトラミド錠10mg

ミアンセリン塩酸塩錠

添付文書改訂 2024年08月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者

効能・効果

うつ病・うつ状態

用法・用量

ミアンセリン塩酸塩として、通常成人1日30mgを初期用量とし、1日60mgまで増量し、分割経口投与する。 また、上記用量は1日1回夕食後あるいは就寝前に投与できる。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないように注意すること。

  2. 8.2うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。

  3. 8.3不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。

  4. 8.4自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。

  5. 8.5家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。

  6. 8.6投与量の急激な減少ないし投与の中止により、振戦、焦燥感、不安等の離脱症状があらわれることがある。投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。

  7. 8.7無顆粒球症があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うことが望ましい。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1緑内障、排尿困難又は眼内圧亢進等のある患者

本剤は抗コリン作用を若干有するため、これらに影響を与える可能性がある。

  1. 9.1.2心疾患の患者

本剤は心機能抑制作用を若干有するため、症状に影響を与える可能性がある。

  1. 9.1.3てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者

痙攣を起こすことがある。

  1. 9.1.4躁うつ病患者

躁転、自殺企図があらわれることがある。

  1. 9.1.5脳の器質障害又は統合失調症の素因のある患者

精神症状を増悪させることがある。

  1. 9.1.6衝動性が高い併存障害を有する患者

精神症状を増悪させることがある。

  1. 9.1.7自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者

自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。

  1. 9.1.8コントロール不良な糖尿病患者

耐糖能の低下がみられることがある。

  1. 9.1.9*QT延長又はその既往歴のある患者、QT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者、著明な徐脈や低カリウム血症等がある患者

QT延長、心室頻拍(torsade de pointesを含む)、心室細動を起こすことがある。

9.2 腎機能障害患者

代謝・排泄障害により副作用があらわれることがある。

9.3 肝機能障害患者

代謝・排泄障害により副作用があらわれることがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている1)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

少量から投与を開始するとともに患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。起立性低血圧、ふらつき等があらわれやすい。

相互作用

  • 本剤は、主に肝代謝酵素CYP1A2、CYP2D6、CYP3A4により代謝される。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
MAO阻害剤
• セレギリン塩酸塩(エフピー)
• ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)
• サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ)
発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれるおそれがある。MAO阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また、本剤からMAO阻害剤に切りかえるときは、2~3日間の間隔をおくことが望ましい。 機序は不明であるが、以下のような説がある。
a. 中枢性アドレナリン受容体の感受性の増強
b. 神経外アミン総量のMAO阻害剤による増加及び本剤によるモノアミン作動性神経終末におけるアミン取り込み阻害
c. MAO阻害剤(ヒドララジン型)による本剤の代謝酵素阻害作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
リネゾリド 発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれるおそれがある。 機序は不明であるが、以下のような説がある。
a. 中枢性アドレナリン受容体の感受性の増強
b. 神経外アミン総量の増加及び本剤によるモノアミン作動性神経終末におけるアミン取り込み阻害
リネゾリドは、非選択的、可逆的MAO阻害作用を有する。
中枢神経抑制剤
• バルビツール酸
• 誘導体等
相互に作用を増強することがある。 機序不明
CYP3A4酵素誘導作用を有する薬剤
• カルバマゼピン
• フェニトイン等
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。 CYP3A4の誘導作用により本剤の代謝が促進される。
アルコール 相互に作用を増強することがある。 本剤の肝代謝を阻害するため。
降圧剤
• クロニジン塩酸塩等
降圧剤の作用を減弱することがある。 本剤のα2受容体阻害作用によると考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1%未満
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
γ-GTP上昇 1〜5%未満
アカシジア 1%未満
しびれ感 1〜5%未満
にがみ 1%未満
ねむけ 5%以上
ぼんやり 1%未満
めまい・ふらつき 1〜5%未満
下痢 1〜5%未満
下肢不安症 頻度不明
不安 1〜5%未満
不眠 1〜5%未満
体重増加 1%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
動悸 1%未満
口渇 1〜5%未満
徐脈 頻度不明
悪心・嘔吐 1〜5%未満
振戦等のパーキンソン症状 1〜5%未満
排尿困難 1〜5%未満
構音障害 1%未満
浮腫 1%未満
浮腫 1%未満
焦躁感 1〜5%未満
発汗 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
胃腸障害 1〜5%未満
脱力感 1〜5%未満
腹痛 1%未満
血圧降下 1%未満
視調節障害 1〜5%未満
躁転 1〜5%未満
運動失調 1%未満
鎮静 頻度不明
関節痛 頻度不明
頭痛 1〜5%未満
頻脈 1〜5%未満
食欲不振 1〜5%未満
食欲亢進 1〜5%未満
鼻閉 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ミアンセリン塩酸塩のうつ病・うつ状態に対する作用機序は、脳内におけるノルアドレナリンのturnoverを亢進し、また、シナプス前α-アドレナリン受容体を阻害することにより神経シナプス間隙へのノルアドレナリン放出を促進し、受容体への刺激を増進することによるものと考えられている。

18.2 レセルピンに対する作用

マウスでの眼瞼下垂、低体温4)、ネコでの外側膝条体における橋-膝条体-後頭野(PGO)スパイク発生5)等を指標とした実験で、レセルピンに対する著明な拮抗作用は認められていない。

18.3 カテコールアミンのturnover亢進作用

ラットでのカテコールアミン合成阻害剤を用いた実験6)及び放射性同位元素で標識したカテコールアミン前駆物質を用いた実験7),8)で、ノルアドレナリンのturnoverを亢進することが示唆されている。

18.4 カテコールアミン放出の促進作用

3H-ノルアドレナリンを取込ませたラット大脳皮質切片での電気刺激によるノルアドレナリン放出に対し、促進作用が認められている。また、この促進作用はシナプス前α-アドレナリン受容体阻害によることが示唆されている9)。

18.5 カテコールアミン取込みに対する作用

in vivoでのラットの脳についての取込み実験6),9)並びにin vitroでのウサギ脳切片10)及びラット脳細胞のシナプトソームを用いた実験11)などで、カテコールアミン取込みに対し作用を示さないか、あるいは弱い抑制作用しか示さないことが認められている。

18.6 その他の薬理作用

  1. 18.6.1抗セロトニン作用

マウス、ラット、ウサギでの行動観察6),12),13),14)、体温測定14)及び脊髄ラットの後肢伸展反射12)を指標とした実験などで、トリプタミン、5HTP等に対する拮抗作用を示し、抗セロトニン作用を有することが認められている。

  1. 18.6.2抗コリン作用

マウスの行動観察でピロカルピン、トレモリン等に対し極めて弱い拮抗作用しか示さない13)。 また、ウサギでの脳波覚醒反応を指標とした実験で、フィゾスチグミンに対し拮抗しないなど抗コリン作用は弱いことが認められている15)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1健康成人男子24例にテトラミド錠10mg 3錠及びテトラミド錠30mg 1錠を1回経口投与し、crossover法で血漿中ミアンセリン濃度を比較したところ、両群ともほぼ同様に推移し、投与後2時間で最高血漿中濃度(40~45ng/mL)に達し、その後二相性の減衰を示し、投与後72時間にはほぼ血漿中から消失した。消失半減期はテトラミド錠10mg投与群18.2±1.3時間、テトラミド錠30mg投与群18.3±1.2時間で両群間に有意差は認められなかった。図 血漿中ミアンセリン濃度の経時的推移
パラメータ
投与量
AUC
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
テトラミド錠10mg×3錠 458.8±34.9 45.2±2.9 2.0±0.1 18.2±1.3
テトラミド錠30mg×1錠 435.4±35.3 40.7±2.6 2.0±0.1 18.3±1.2

(科学技術研究所)

  1. 16.1.2うつ病・うつ状態の患者19例を対象とした1日1回投与時及び分割投与時における定常状態での血漿中ミアンセリン濃度は表2に示したとおりほぼ同等であった。また、両投与方法間には5%の有意水準で相関が認められた2)。
投与法
1日投与量
分割投与
(ng/mL)
1日1回投与
(ng/mL)
30mg 20.6±17.95 21.1±20.15
60mg 25.5±21.91 33.8±22.59

(Mean±S.D., t-test:N.S.)

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

平衡透析法によりミアンセリンの血漿蛋白結合率を検討した結果、ミアンセリンは男性、女性の血漿濃度によらず、約90%の蛋白結合率を示した。また、この結合率には他剤の共存による影響は見られなかった(in vitro)。

16.5 排泄

健康成人6例に14C標識ミアンセリン塩酸塩10mgを経口投与したとき、その約70%が尿中に排泄される。尿中には未変化体のほか8-OH体、N-Oxide体等の代謝物が非抱合体又は抱合体として確認されている3)(外国人データ)。