多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制
テクフィデラカプセル240mg
フマル酸ジメチルDimethyl Fumarate〔JAN〕
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはフマル酸ジメチルとして1回120mg 1日2回から投与を開始し、1週間後に1回240mg 1日2回に増量する。なお、いずれの場合も朝・夕食後に経口投与する。
使用上の注意
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8.1本剤の投与によりリンパ球数が減少することがある。また、本剤の投与により、進行性多巣性白質脳症(PML)があらわれ、重度の障害に至った例が報告されているため、本剤の投与開始前、投与中及び投与中止後は以下の点に注意すること。
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8.1.1*PMLが報告された症例の多くでは、6ヵ月以上継続するリンパ球数の減少が報告されている。本剤投与開始前及び本剤投与中は少なくとも3ヵ月に1回、リンパ球を含む全血球数の測定を行うこと。
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8.1.2リンパ球数が6ヵ月以上継続して500/mm3未満である場合は、本剤の投与中止を考慮すること。また、リンパ球数が6ヵ月以上継続して800/mm3未満である場合には、治療上の有益性と危険性を慎重に考慮して投与継続の可否を判断すること。
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8.1.3本剤の投与を中止したときは、リンパ球数が回復するまで患者の状態を慎重に観察すること。
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8.2腎機能異常があらわれることがあるので、本剤投与開始前に腎機能検査を行うとともに、本剤投与中は定期的に腎機能検査を行うこと。
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8.3本剤投与後に嘔吐、下痢等を発現して脱水状態となった患者において、急性腎不全に至った例が報告されているので、嘔吐又は下痢がみられた場合には、観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。
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8.4肝機能異常があらわれることがあるので、本剤投与開始前に肝機能検査を行うとともに、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うこと。
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8.5本剤投与に関連したアナフィラキシー(呼吸困難、蕁麻疹及び喉・舌の腫脹等)があらわれることがある。また、本剤投与時には潮紅が高頻度で認められるため、潮紅があらわれた場合は、アナフィラキシーとの鑑別を慎重に行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1リンパ球減少のある患者
リンパ球減少がさらに悪化するおそれがある。リンパ球数の減少が6ヵ月以上継続した患者では、進行性多巣性白質脳症(PML)の発症リスクが高まる可能性がある。
- 9.1.2感染症を合併している患者又は感染症が疑われる患者
感染症が増悪するおそれがある。
- 9.1.3易感染性の状態にある患者
感染症が誘発されるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1重度の腎機能障害のある患者
血中濃度が上昇するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝機能障害のある患者
血中濃度が上昇するおそれがある。
9.5 妊婦
妊娠又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト乳汁中への移行は不明である。
9.7 小児等
臨床試験において除外され、十分なデータがない。
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 抗腫瘍剤、免疫抑制剤 | 免疫系の相加的な抑制作用により、感染症等のリスクが増大する可能性がある。 | 本剤は免疫系に抑制的に作用する可能性がある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 | 頻度不明 |
| アラニンアミノトランスフェラーゼ増加 | 頻度不明 |
| そう痒症 | 頻度不明 |
| ほてり | 頻度不明 |
| 上腹部痛 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 尿中アルブミン陽性 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 潮紅(22%) | 頻度不明 |
| 灼熱感 | 頻度不明 |
| 熱感 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 白血球数減少 | 頻度不明 |
| 紅斑 | 頻度不明 |
| 総ビリルビン増加 | 頻度不明 |
| 胃炎 | 頻度不明 |
| 胃腸炎 | 頻度不明 |
| 胃腸障害 | 頻度不明 |
| 脱毛症 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 蕁麻疹 | 頻度不明 |
| 蛋白尿 | 頻度不明 |
| 血管浮腫 | 頻度不明 |
| 鼻漏 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
- 18.1.1Nrf2抗酸化応答経路の活性化
酸化ストレスは脱髄及び神経変性等に関与しており、Nrf2経路はその酸化ストレスに対する抗酸化応答を介した細胞防御機構である。Nrf2ノックアウトマウスにフマル酸ジメチルを経口投与すると、Nrf2応答遺伝子発現が認められなかったことから、フマル酸ジメチルは主にNrf2経路の活性化を介して薬力学的作用を表すことが示された9),10)。
- 18.1.2抗炎症作用
In vitro試験においてフマル酸ジメチル及びその主要な活性代謝物であるフマル酸モノメチルは、炎症性刺激に対する免疫細胞の活性化及びその後の炎症性サイトカイン産生の抑制を示した11)。
18.2 実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)
多発性硬化症動物モデルであるラットの慢性EAEにフマル酸ジメチルを経口投与すると、臨床症状軽減作用を示した9)。
薬物動態
16.1 血中濃度
経口投与後、フマル酸ジメチルは全身循環前にエステラーゼにより急速に加水分解され、活性代謝物であるフマル酸モノメチルに代謝される。経口投与後の血漿中フマル酸ジメチルは測定不可能であり、薬物動態の検討は血漿中フマル酸モノメチル濃度に基づく。
- 16.1.1健康成人
健康成人にフマル酸ジメチル120mgまたは240mgを1日2回食後に経口投与したとき、血漿中フマル酸モノメチル濃度推移並びに薬物動態パラメータは以下の図16-1及び表16-1のとおりであった(日本人における成績)。
図16-1 日本人における1回120mg及び240mg 1日2回投与時の血漿中フマル酸モノメチル濃度推移(平均値±標準誤差、片対数軸)
| フマル酸モノメチル 薬物動態パラメータ 「平均値±標準偏差」注1) |
日本人 | |
|---|---|---|
| 120mg×1日2回 | 240mg×1日2回 | |
| 12例 | 12例 | |
| AUC0-24hr(時間・ng/mL) | 4915±981 | 8235±2911 |
| Cmax(ng/mL) | 1347±638 | 2366±1353 |
| Tmax(時間) | 4.00 | 5.00 |
| t1/2(時間) | 0.86±0.85 | 0.66±0.22 |
注1)Tmaxのみ中央値
- 16.1.2健康成人
健康成人にフマル酸ジメチル120mg、240mgまたは360mgを食後に単回経口投与したとき、血漿中フマル酸モノメチルのCmaxとAUCはほぼ線形性を示した(外国人における成績)。
- 16.1.3多発性硬化症
多発性硬化症患者にフマル酸ジメチル240mgを1日2回食後に経口投与したとき、血漿中フマル酸モノメチル薬物動態パラメータは表16-2のとおりであった(外国人における成績)。
| フマル酸モノメチル 薬物動態パラメータ 「平均値±標準偏差」注2) |
240mg×1日2回 |
|---|---|
| 22例 | |
| AUC0-24hr(時間・ng/mL) | 8205±3464 |
| Cmax(ng/mL) | 1868±1250 |
| Tmax(時間) | 5.00 |
| t1/2(時間) | 1.30±0.80 |
注2)Tmaxのみ中央値
16.2 吸収
健康成人にフマル酸ジメチル240mgを空腹時又は食後に経口投与したとき、低脂肪食の摂取は血漿中フマル酸モノメチルのAUCとCmaxに影響を与えなかった。高脂肪食の摂取は血漿中フマル酸モノメチルのAUCに影響を与えなかったが、Cmaxは38%低下した(外国人における成績)。
16.3 分布
フマル酸ジメチル240mg経口投与後のフマル酸モノメチルの見かけの分布容積は60~90Lである。フマル酸モノメチルの血漿蛋白結合率は27~40%である。
16.4 代謝
フマル酸ジメチルは消化管、血液及び組織に広く存在するエステラーゼにより代謝される。さらにTCA回路を介して代謝され、チトクロームP450(CYP)分子種はフマル酸ジメチル及びフマル酸モノメチルの代謝に関与しない。14C-フマル酸ジメチル240mg経口投与により同定された血漿中の主要代謝物はフマル酸モノメチル、フマル酸、クエン酸及びグルコースであり、フマル酸とクエン酸はさらにTCA回路を介して代謝される。
16.5 排泄
健康成人に14C-フマル酸ジメチル240mgを単回経口投与したとき、投与7日後までに投与放射能の約60%が呼気(CO2)として排泄され、さらに15.5%が尿中に、0.9%が糞中に排泄された。尿中に排泄された主な代謝物はコハク酸モノメチルのシステイン抱合体(投与放射能の4.64%)、コハク酸モノメチルのN-アセチルシステイン抱合体(投与放射能の1.77%)であった(外国人における成績)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1インターフェロン ベータ-1a
健康成人にフマル酸ジメチル(1回240mg 1日3回経口投与)とインターフェロン ベータ-1a(30μg単回筋肉内投与)を併用投与したとき、インターフェロン ベータ-1aはフマル酸ジメチルの薬物動態に影響を与えなかった3)(外国人データ)。
- 16.7.2グラチラマー酢酸塩
健康成人にフマル酸ジメチル(1回240mg 1日3回経口投与)とグラチラマー酢酸塩(20mg単回皮下投与)を併用投与したとき、グラチラマー酢酸塩はフマル酸ジメチルの薬物動態に影響を与えなかった4)(外国人データ)。
- 16.7.3経口避妊薬(エチニルエストラジオール-ノルゲスティメート:国内未承認)
経口避妊薬(1日1回経口投与)が投与されている健康成人女性にフマル酸ジメチル(1回240mg 1日2回経口投与)を21日間併用したとき、フマル酸ジメチルはエチニルエストラジオール及びノルエルゲストロミン(ノルゲスティメートの主要代謝物)の薬物動態に影響を与えなかった5)(外国人データ)。