Clinical snapshot

ティブソボ錠250mg

イボシデニブ

添付文書改訂 2026年04月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

  2. 1.2本剤の投与により分化症候群が発現し、致死的な転帰をたどることがあるので、十分な経過観察を行うこと。分化症候群が疑われる場合は、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

IDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病

用法・用量

アザシチジンとの併用において、通常、成人にはイボシデニブとして1日1回500mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に心電図検査及び電解質検査(カリウム、マグネシウム等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。なお、本剤投与中の心電図検査は、最初の2カ月間は2週間に1回、その後は月1回を目安に実施し、異常が認められた場合は速やかに適切な処置を行うこと。また、必要に応じて電解質を補正する等の適切な処置を行うこと。

  2. 8.2分化症候群があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査(白血球数、クレアチニン等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者

先天性QT延長症候群等のQT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者ではQT間隔延長があらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類C)

本剤は主に肝代謝により消失するため、血中濃度が上昇する可能性がある。なお、重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。経口避妊薬による避妊法の場合には、経口避妊薬以外の方法をあわせて使用するよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。胚・胎児毒性試験において、器官形成期の妊娠ラット及びウサギに本剤を投与したとき、臨床曝露量のそれぞれ2.0倍及び3.9倍に相当する用量から胚・胎児の死亡、胎児体重減少、骨格の成長遅延、又は内臓変異(ウサギ)が認められた1) 。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。ヒトでの乳汁移行に関するデータはないが、乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • 本剤は主にCYP3Aにより代謝される。また、本剤はCYP2B6、2C8、2C9及び3Aに対する誘導作用及びP-gp、OAT3及びOATP1B1に対する阻害作用を有する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 強いCYP3A阻害剤• イトラコナゾール
• クラリスロマイシン
• ボリコナゾール 等
本剤の副作用が増強されるおそれがあるため、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する場合は、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
• 中程度のCYP3A阻害剤• エリスロマイシン
• ジルチアゼム
• フルコナゾール 等
本剤の副作用が増強されるおそれがあるため、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する場合は、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
• グレープフルーツ含有食品 本剤の副作用が増強されるおそれがあるため、摂取しないよう注意すること。 これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
• 強いCYP3A誘導剤• リファンピシン
• カルバマゼピン
• フェノバルビタール
• フェニトイン
• セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort)含有食品 等
本剤の有効性が減弱するおそれがあるため、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、CYP3A誘導作用のない薬剤又は中程度以下のCYP3A誘導剤への代替を考慮すること。 これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
• QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤• キニジン
• プロカインアミド
• オンダンセトロン
• フルコナゾール
• モキシフロキサシン 等
QT間隔延長を増強するおそれがあるため、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、他の薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する場合は、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあり、併用によりQT間隔延長作用が増強するおそれがある。
• CYP3Aの基質となる薬剤• イトラコナゾール
• エベロリムス
• 経口避妊薬(ノルエチステロン・エチニルエストラジオール等) 等
これらの薬剤の効果が減弱するおそれがある。 本剤がCYP3Aを誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。
• CYP2B6の基質となる薬剤• エファビレンツ 等 これらの薬剤の効果が減弱するおそれがある。 本剤がCYP2B6を誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。
• CYP2C8の基質となる薬剤• パクリタキセル
• ピオグリタゾン
• レパグリニド 等
これらの薬剤の効果が減弱するおそれがある。 本剤がCYP2C8を誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。
• CYP2C9の基質となる薬剤• フェニトイン
• ワルファリン 等
これらの薬剤の効果が減弱するおそれがある。 本剤がCYP2C9を誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。
• P-gpの基質となる薬剤• ダビガトラン
• ジゴキシン
• フェキソフェナジン 等
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 本剤がP-gpを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
• OAT3の基質となる薬剤• ベンジルペニシリン
• フロセミド
• メトトレキサート 等
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 本剤がOAT3を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
• OATP1B1の基質となる薬剤• ロスバスタチン
• アトルバスタチン
• プラバスタチン 等
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 本剤がOATP1B1を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
C-反応性蛋白増加 頻度不明
そう痒症 頻度不明
上腹部痛 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠症 頻度不明
低アルブミン血症 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
便秘 頻度不明
回転性めまい 頻度不明
好中球増加症 頻度不明
好中球数減少 頻度不明
好中球減少症 頻度不明
悪心 頻度不明
感染 頻度不明
末梢性感覚ニューロパチー 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
点状出血 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球増加症 5%以上
白血球数減少 頻度不明
白血球減少症 頻度不明
皮膚病変 頻度不明
第一度房室ブロック 頻度不明
胸水 頻度不明
血中フィブリノゲン減少 頻度不明
血小板数減少 頻度不明
血小板減少症 頻度不明
貧血 頻度不明
錯乱状態 頻度不明
頭痛 頻度不明
骨痛 頻度不明
骨髄線維症 頻度不明
高尿酸血症 頻度不明
鼻出血 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

イボシデニブは、変異型IDH1に対する阻害作用を有する低分子化合物である。イボシデニブは、変異型IDH1の酵素活性を阻害することで、腫瘍細胞における2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)産生を阻害し、IDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)細胞の分化を誘導することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている14) 。

18.2 分化誘導作用

イボシデニブは、変異型IDH1(R132C)を発現するAML患者由来の骨髄細胞等に対して、分化誘導作用を示した15) (in vitro)。 イボシデニブは、変異型IDH1(R132H)を発現するAML患者由来TM001036細胞を静脈内移植したインターロイキン2受容体γ鎖が完全欠損した非肥満型糖尿病/重症複合型免疫不全マウスにおいて、AML細胞に対する分化誘導作用を示した16) (in vivo)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1反復投与

強力な寛解導入療法の適応とならない未治療のIDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病患者(日本人2例を含む)に、アザシチジン併用下で、本剤500mgを反復経口投与したときの初回及び反復投与後のイボシデニブの薬物動態パラメータ及び平均血漿中濃度推移を以下に示す3) 。

例数 tmax注1)
(hr)
Cmax
(ng/mL)
AUC0-4h
(hr・ng/mL)
AUC0-24h注2)
(hr・ng/mL)
初回投与 59 2.57
(0.50, 4.25)
4,821
(38.7)
12,683
(54.9)注3)
NA
反復投与 34 2.22
(0.52, 4.67)
6,145
(33.8)
20,111
(36.9)
106,326
(40.9)注4)

幾何平均値(幾何CV%) NA:該当なし

注1)中央値(最小値, 最大値)

注2)AUC0-24hは反復投与時の投与前の血漿中濃度を投与24時間後に相当する血漿中濃度に代入して算出した。

注3)50例

注4)32例

図1 アザシチジン併用下で、急性骨髄性白血病患者に本剤500mgを経口投与したときのイボシデニブの血漿中濃度推移(平均値+標準偏差)

16.2 吸収

健康成人(27例)に本剤500mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に対する高脂肪食(総カロリー約900~1,000kcalのうち、56~60%が脂質)摂取後投与におけるイボシデニブのCmax及びAUC0-infの幾何平均値の比は、それぞれ1.978及び1.243であった4) (外国人データ)。

16.3 分布

イボシデニブのヒト血漿蛋白結合率は92~96%であった5) (in vitro)。

16.4 代謝

イボシデニブは主にCYP3Aにより代謝される6) (in vitro)。 健康成人(8例)に放射性標識したイボシデニブ500mgを単回経口投与したとき、血漿中放射能の92.4%が未変化体であった7) (外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人(8例)に放射性標識したイボシデニブ500mgを単回経口投与したとき、投与後15日間までに投与量の77.4%が糞中、16.9%が尿中から回収され、未変化体の排泄率は糞中で67.4%、尿中で9.96%であった7) (外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者における薬物動態

本剤500mgを単回経口投与したとき、健康成人(8例)に対する軽度肝機能障害患者(Child-Pugh分類A、8例)のイボシデニブのCmax及びAUC0-infの幾何平均値の比は0.933及び0.847、非結合型のイボシデニブのCmaxの幾何平均値の比は1.40であった。健康成人(8例)に対する中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類B、8例)のイボシデニブのCmax及びAUC0-infの幾何平均値の比は0.565及び0.716、非結合型のイボシデニブのCmaxの幾何平均値の比は1.29であった8) (外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1イトラコナゾール

健康成人(21例)に、イトラコナゾール(強いCYP3A阻害剤)200mgを1日1回18日間経口投与し、本剤250mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するイトラコナゾールの併用投与時のイボシデニブのCmax及びAUC0-inf注5) の幾何平均値の比はそれぞれ1.02及び2.69であった9) (外国人データ)。

注5)20例

  1. 16.7.2生理学的薬物動態モデルによるシミュレーション

  2. (1)フルコナゾール

本剤500mgをフルコナゾール(中程度のCYP3A阻害剤)と併用投与したとき、本剤単独投与に対するフルコナゾール併用投与時のイボシデニブのCmax及びAUCssの幾何平均値の比は、本剤反復投与時ではそれぞれ1.52及び1.90と推定された10) 。

  1. (2)リファンピシン

本剤500mgをリファンピシン(強いCYP3A誘導剤)と併用投与したとき、本剤単独投与に対するリファンピシン併用投与時のイボシデニブのCmax及びAUCssの幾何平均値の比は、本剤反復投与時ではそれぞれ0.81及び0.67と推定された10) 。

  1. (3)ブプロピオン、レパグリニド、ワルファリン、ミダゾラム

本剤500mgをブプロピオン(CYP2B6基質、国内未承認)、レパグリニド(CYP2C8基質)、ワルファリン(CYP2C9基質)又はミダゾラム(CYP3A基質)と併用投与したとき、単独投与時と比較して本剤併用時にブプロピオン、レパグリニド、ワルファリン又はミダゾラムの曝露量が低下する可能性が示唆された10) 。

  1. (4)ジゴキシン、メトトレキサート、ロスバスタチン

本剤500mgをジゴキシン(P-gp基質)、メトトレキサート(OAT3基質)又はロスバスタチン(OATP1B1基質)と併用投与したとき、単独投与時と比較して本剤併用時にジゴキシン、メトトレキサート又はロスバスタチンの曝露量が増加する可能性が示唆された10) 。

  1. 16.7.3その他

イボシデニブはP-gpの基質であることが示された11) (in vitro)。