脊髄小脳変性症における運動失調の改善
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはタルチレリン水和物として1回5mg、1日2回(朝、夕)食後に経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。
使用上の注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1内分泌異常のある患者
臨床症状を観察し、必要に応じて血中ホルモン濃度(TSH、プロラクチン等)を測定することが望ましい。
9.2 腎機能障害患者
重度の腎機能障害患者1例で血漿中濃度が約4.2倍上昇した。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁への移行が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
用量に注意して投与すること。本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。
相互作用
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALP | 1〜5%未満 |
| ALT | 1〜5%未満 |
| AST | 1〜5%未満 |
| BUNの上昇 | 1〜5%未満 |
| CKの上昇 | 1〜5%未満 |
| LDH | 1〜5%未満 |
| T4) | 1〜5%未満 |
| TSHの変動 | 1〜5%未満 |
| γ-GTP | 1〜5%未満 |
| しびれ | 1%未満 |
| そう痒 | 1〜5%未満 |
| トリグリセリド | 1〜5%未満 |
| ふらつき | 1〜5%未満 |
| プロラクチンの上昇 | 1〜5%未満 |
| ヘモグロビン減少 | 1〜5%未満 |
| めまい | 1〜5%未満 |
| 下痢 | 1〜5%未満 |
| 不眠 | 1%未満 |
| 便秘 | 1〜5%未満 |
| 倦怠感 | 1〜5%未満 |
| 動悸 | 1〜5%未満 |
| 口渇 | 1〜5%未満 |
| 嘔吐 | 1〜5%未満 |
| 女性化乳房 | 1%未満 |
| 悪心 | 1〜5%未満 |
| 振戦 | 1〜5%未満 |
| 熱感 | 1〜5%未満 |
| 甲状腺ホルモン(T3 | 1〜5%未満 |
| 発疹 | 1〜5%未満 |
| 眠気 | 1%未満 |
| 総コレステロールの上昇 | 1〜5%未満 |
| 胃炎 | 1〜5%未満 |
| 胃部不快感 | 1〜5%未満 |
| 脱毛 | 1%未満 |
| 腹痛 | 1〜5%未満 |
| 舌炎 | 1%未満 |
| 血圧及び脈拍数の変動 | 1〜5%未満 |
| 血糖上昇 | 1〜5%未満 |
| 赤血球減少 | 1〜5%未満 |
| 頭がボーっとする | 1%未満 |
| 頭痛 | 1〜5%未満 |
| 頻尿 | 1〜5%未満 |
| 食欲不振 | 1〜5%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
-
18.1.1種々の受容体及びイオンチャンネルに対するタルチレリン水和物の親和性の検討では、TRH受容体に対してのみ親和性を示した10)。
-
18.1.2諸種神経伝達物質の遊離及び代謝回転に対するタルチレリン水和物の作用の検討では、ラットの脳内アセチルコリン及びドパミンの遊離をそれぞれ0.1mg/kg以上及び1mg/kg以上の腹腔内投与で持続的に促進し、更に神経伝達物質の代謝回転あるいは合成も促進することが認められた11),12)。
18.2 運動失調改善作用
-
18.2.1遺伝性運動失調マウスであるRolling Mouse Nagoyaに対してタルチレリン水和物(1mg/kg、経口投与)は、転倒指数(転倒回数/自発運動量)を改善するとともに、脳幹腹側被蓋野の低下していた脳グルコース代謝率を正常レベルへ上昇させた(3mg/kg、腹腔内投与)13),14)。
-
18.2.23-アセチルピリジンによる運動失調ラットに対してタルチレリン水和物(3mg/kg、経口投与)は、運動失調(歩行速度、歩長、歩角)を改善した。なお、この効果は興奮性アミノ酸拮抗薬により消失した13),15)。
-
18.2.3ラットを用いた毒性試験では、1.5mg/kg、経口投与以上で薬効に基づくと思われる一過性の運動亢進、身震い等が発現した16)。
18.3 神経栄養因子様作用
タルチレリン水和物は10-12Mで、ラット胎児の脊髄腹側培養細胞において神経突起進展を濃度依存的に促進させ、ラット新生児の坐骨神経切断後の運動ニューロン変性を2mg/kg/日の2週間反復腹腔内投与により抑制した17),18)。
18.4 下垂体-甲状腺ホルモン刺激作用
-
18.4.1健康成人男子を対象としたタルチレリン水和物0.5~40mgの単回経口投与にてTSH分泌刺激作用が検討され、1回5mg以上の投与量より用量依存的な血中TSH濃度の上昇がみられた。また、1回10mg以上にてT3の有意な上昇がみられた1)。
-
18.4.2タルチレリン水和物2.75μmol/bodyの経口投与は雄ラットの血中TSHを投与3時間後まで対照群の最大5倍まで上昇させた。同程度のTSH上昇効果がTRH0.275μmol/bodyの経口投与にて観察された19),20)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康成人男子6例にタルチレリン水和物錠0.5~40mgを単回経口投与注1)した時の血漿中タルチレリン濃度は投与約3時間後で最高濃度(0.15~10.81ng/mL)に達し、消失半減期はおよそ2時間であった。Cmax及びAUCは用量に比例して増加し、Tmax及びt1/2は投与量にかかわらずほぼ一定値を示した1)。
- 16.1.2反復投与
健康成人男子6例に対するタルチレリン水和物錠2.5mg1日2回あるいは5mg1日1回2週間反復経口投与注1)によっても蓄積性は認められず、投与初日と14日目の血漿中濃度推移に差はみられなかった2)。
- 16.1.3生物学的同等性試験
- 〈タルチレリン錠5mg「サワイ」〉
タルチレリン錠5mg「サワイ」とセレジスト錠5mgを健康成人男子にそれぞれ1錠(タルチレリン水和物として5mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中タルチレリン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された3)。
| Cmax (ng/mL) |
Tmax (hr) |
T1/2 (hr) |
AUC0-12hr (ng・hr/mL) |
|
|---|---|---|---|---|
| タルチレリン錠5mg「サワイ」 | 3.28±3.38 | 3.6±1.2 | 2.2±0.4 | 18.71±16.52 |
| セレジスト錠5mg | 2.99±1.88 | 4.2±1.7 | 2.6±1.0 | 17.68±7.22 |
(Mean±S.D.)
- 〈タルチレリンOD錠5mg「サワイ」〉
タルチレリンOD錠5mg「サワイ」とセレジストOD錠5mgを健康成人男子にそれぞれ1錠(タルチレリン水和物として5mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中タルチレリン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された4)。
| Cmax (ng/mL) |
Tmax (hr) |
T1/2 (hr) |
AUC0-12hr (ng・hr/mL) |
||
|---|---|---|---|---|---|
| 水なし | タルチレリンOD錠5mg「サワイ」 | 2.93±1.07 | 3.6±1.3 | 2.1±0.3 | 17.16±5.64 |
| セレジストOD錠5mg | 2.71±1.08 | 3.5±1.0 | 2.2±0.4 | 16.49±6.25 | |
| 水あり | タルチレリンOD錠5mg「サワイ」 | 2.26±0.60 | 3.5±1.1 | 2.1±0.4 | 13.57±3.60 |
| セレジストOD錠5mg | 2.44±0.66 | 3.3±1.2 | 2.3±0.6 | 14.09±3.64 |
(Mean±S.D.)
血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
健康成人男子にタルチレリン水和物錠5mgを空腹時及び食後に単回投与した時の血漿中タルチレリン濃度のCmaxは食後で空腹時のおよそ77%、AUCは食後で空腹時のおよそ75%と低下がみられた5)。
16.3 分布
健康成人男子にタルチレリン水和物錠5mgを単回経口投与した場合、投与3及び6時間後の血漿蛋白へのタルチレリンの結合は認められなかった6)。
16.4 代謝
健康成人にタルチレリン水和物錠5mgを単回経口投与した場合、血漿及び尿中に代謝物としてプロリンアミドから脱アミノしたアシド体が認められた1),7)。
16.5 排泄
健康成人にタルチレリン水和物錠5mgを単回経口投与した場合、投与24時間後までの未変化体と代謝物アシド体の尿中排泄量はともに投与量の1~2%であった1)。
注1)本剤の承認された用法及び用量は、通常、1回5mg1日2回である。