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タグリッソ錠40mg

オシメルチニブメシル酸塩錠

添付文書改訂 2026年01月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、電子添文を参照して、適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性(特に、間質性肺疾患の初期症状、服用中の注意事項、死亡に至った症例があること等に関する情報)、非小細胞肺癌の治療法等を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2本剤の投与により間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例が報告されているので、投与期間中にわたり、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、特に治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。

  3. 1.3本剤投与開始前に、胸部CT検査及び問診を実施し、間質性肺疾患の合併又は既往歴がないことを確認した上で、投与の可否を慎重に判断すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌

  • EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法

  • *EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法

用法・用量

通常、成人にはオシメルチニブとして80mgを1日1回経口投与する。ただし、術後補助療法の場合は、投与期間は36カ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1*間質性肺疾患、放射線肺臓炎があらわれることがあるので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。必要に応じて、動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)等の検査を行うこと。また、患者に対して、初期症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう指導すること。

  2. 8.2QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に心電図検査及び電解質検査(カリウム、マグネシウム、カルシウム等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。また、必要に応じて電解質補正を行うこと。

  3. 8.3血小板減少、好中球減少、白血球減少、貧血があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  4. 8.4肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者

間質性肺疾患が増悪し、死亡に至る可能性がある。

  1. 9.1.2*放射線肺臓炎のある患者

*臨床試験では、化学放射線療法後の症候性放射線肺臓炎は除外されていた。

  1. 9.1.3QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者

QT間隔延長が起こるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者

血漿中濃度が上昇するおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

  2. 9.4.2男性には、本剤投与中及び最終投与後4カ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラットにおいてAUC比較で臨床曝露量に相当する用量から胚死亡、胎児重量の減少、胎児及び出生児の生存率低下、並びに成長抑制が認められている。また、ラットにおいてAUC比較で臨床曝露量未満に相当する用量から卵巣の黄体変性、子宮及び腟の上皮菲薄化、炎症又は変性、並びに雌受胎能への影響が認められている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。本剤又は本剤の代謝物がヒトの母乳中に移行するかどうかは不明であるが、動物実験(ラット)で授乳中の母動物へ本剤を投与した際、本剤及び本剤の代謝物が授乳された児に検出され、成長及び生存への悪影響が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

副作用があらわれやすいので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い。

相互作用

  • 本剤は主にCYP3Aにより代謝される。また、本剤はBreast Cancer Resistance Protein(BCRP)及びP糖蛋白質(P-gp)を阻害することが示されている。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP3A誘導剤
• フェニトイン、リファンピシン、カルバマゼピン、セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort)等
本剤の効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること。 左記薬剤のCYP3A誘導作用により、本剤の代謝が亢進し、血中濃度が低下する可能性がある。
P-gpの基質となる薬剤
• フェキソフェナジン、ジゴキシン、ダビガトランエテキシラート、アリスキレン等
副作用の発現が増強されるおそれがあるので、患者の状態をよく観察して、副作用の発現に十分注意すること。 本剤のP-gp阻害作用により、左記薬剤の血中濃度が増加する可能性がある。
BCRPの基質となる薬剤
• ロスバスタチン、サラゾスルファピリジン等
副作用の発現が増強されるおそれがあるので、患者の状態をよく観察して、副作用の発現に十分注意すること。 本剤のBCRP阻害作用により、左記薬剤の血中濃度が増加する可能性がある。
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
• キニジン、プロカインアミド、オンダンセトロン、クラリスロマイシン等
QT間隔延長を増強するおそれがある。 本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により作用が増強するおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP増加 頻度不明
アミラーゼ増加 1%未満
インフルエンザ 1%未満
ウイルス性上気道感染 1%未満
うつ病 頻度不明
クレアチニン増加 頻度不明
しゃっくり 1%未満
じん麻疹 頻度不明
そう痒症(13.6%) 頻度不明
ほてり 頻度不明
めまい 1%未満
メラノサイト性母斑 頻度不明
リンパ球減少症 1%未満
下痢(38.7%) 頻度不明
乳頭炎 頻度不明
低アルブミン血症 1%未満
低カリウム血症 頻度不明
低カルシウム血症 1%未満
低ナトリウム血症 1%未満
低リン酸血症 1%未満
体位性めまい 頻度不明
体重減少 頻度不明
便意切迫 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 1%未満
光線過敏性反応 1%未満
内出血発生の増加傾向 頻度不明
労作性呼吸困難 1%未満
動悸 1%未満
口内乾燥 頻度不明
口内炎(23.6%) 頻度不明
口唇びらん 頻度不明
口唇炎 1%未満
口腔咽頭痛 1%未満
口腔知覚不全 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 1%未満
呼気臭 頻度不明
咳嗽 頻度不明
咽喉乾燥 1%未満
咽頭出血 頻度不明
咽頭潰瘍 頻度不明
咽頭炎 1%未満
喉頭痛 1%未満
嘔吐 頻度不明
嚥下障害 1%未満
四肢痛 頻度不明
四肢膿瘍 1%未満
回転性めまい 1%未満
外耳炎 頻度不明
外陰腟痛 頻度不明
多毛症 1%未満
夜盲 頻度不明
尿路感染 1%未満
幻覚 頻度不明
心窩部不快感 1%未満
悪寒 頻度不明
感覚鈍麻 1%未満
房室ブロック 頻度不明
手掌・足底発赤知覚不全症候群 頻度不明
振戦 頻度不明
排尿困難 1%未満
播種性血管内凝固 頻度不明
頻度不明
易刺激性 頻度不明
末梢性ニューロパチー 1%未満
末梢性感覚ニューロパチー 1%未満
末梢性浮腫 頻度不明
構語障害 頻度不明
毛細血管拡張症 1%未満
毛質異常 頻度不明
毛髪障害 頻度不明
気管支炎 1%未満
気縦隔症 頻度不明
気胸 1%未満
活性化部分トロンボプラスチン時間延長 頻度不明
流涙増加 1%未満
消化不良 頻度不明
深部静脈血栓症 1%未満
湿性咳嗽 1%未満
無力症 頻度不明
爪の障害(爪囲炎を含む)(30.6%) 頻度不明
爪痛 1%未満
異常感覚 1%未満
疲労 頻度不明
痔出血 頻度不明
発声障害 1%未満
発熱 1%未満
発疹・ざ瘡等(40.8%) 頻度不明
白内障 1%未満
皮脂欠乏性湿疹 1%未満
皮膚乾燥・湿疹等(26.2%) 頻度不明
皮膚剥脱 頻度不明
皮膚反応 1%未満
皮膚嚢腫 頻度不明
皮膚変色 1%未満
皮膚感染 1%未満
皮膚擦過傷 頻度不明
皮膚潰瘍 1%未満
皮膚疼痛 1%未満
皮膚血管炎 頻度不明
眼そう痒症 1%未満
眼の異物感 頻度不明
眼乾燥 頻度不明
眼刺激 1%未満
眼感染 1%未満
眼瞼炎 1%未満
眼精疲労 1%未満
知覚過敏 頻度不明
筋痙縮 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
筋骨格痛 頻度不明
筋骨格硬直 1%未満
細菌性肺炎 頻度不明
結膜炎 頻度不明
網膜出血 頻度不明
羞明 1%未満
耳感染 1%未満
肛門周囲痛 頻度不明
肺塞栓症 1%未満
肺感染 1%未満
胃腸炎 1%未満
胃食道逆流性疾患 1%未満
背部痛 1%未満
胸膜炎 頻度不明
脱毛 頻度不明
脱水 1%未満
脳梗塞 1%未満
脾臓梗塞 頻度不明
腎機能障害 1%未満
腎結石症 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部不快感 1%未満
腹部膨満 1%未満
膀胱炎 1%未満
舌痛 1%未満
蜂巣炎 1%未満
血中クレアチンホスホキナーゼ増加 頻度不明
血中コレステロール増加 頻度不明
血尿 1%未満
血球減少症 頻度不明
裂傷 頻度不明
視力低下 1%未満
視力障害 1%未満
角膜炎 1%未満
記憶障害 頻度不明
足変形 頻度不明
過角化 1%未満
錯乱状態 頻度不明
関節痛 頻度不明
霧視 頻度不明
静脈炎 頻度不明
非心臓性胸痛 1%未満
頚部痛 1%未満
頭痛 頻度不明
頻尿 1%未満
顔面浮腫 1%未満
食欲減退 頻度不明
食道痛 頻度不明
駆出率減少 頻度不明
骨盤痛 頻度不明
高カリウム血症 1%未満
高コレステロール血症 1%未満
高リパーゼ血症 頻度不明
高血圧 1%未満
高血糖 1%未満
黄斑浮腫 頻度不明
黄色板腫 1%未満
鼓腸 1%未満
鼻の炎症 1%未満
鼻乾燥 頻度不明
鼻出血 頻度不明
鼻漏 1%未満
鼻炎 1%未満
鼻粘膜障害 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は、活性型変異(L858R等)を有するEGFRチロシンキナーゼ並びに活性型変異及びT790M変異を有するEGFRチロシンキナーゼに対して阻害作用を示すことにより、EGFR遺伝子変異を有する腫瘍の増殖を抑制すると考えられている20)。

18.2 抗腫瘍効果

  1. 18.2.1in vitro試験

本剤は、EGFR活性型変異を有する非小細胞肺癌(NSCLC)由来PC9細胞株(Ex19del)、EGFR活性型変異及びT790M変異を有するNSCLC由来H1975(L858R/T790M)及びPC9VanR(Ex19del/T790M)細胞株の増殖を抑制した21)。

  1. 18.2.2in vivo試験

本剤は、EGFR活性型変異を有するNSCLC由来H3255(L858R)及びPC9細胞株、並びにH1975及びPC9VanR細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した22)。また、EGFR活性型変異及びT790M変異を肺で発現させたトランスジェニックマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した23)。さらに、本剤は、PC9細胞株を脳内24)及び軟膜腔25)に移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

国際共同第I/II相試験(AURA試験)の第I相部分において、外国人進行非小細胞肺癌患者(11例)に本剤80mgを単回経口投与したとき、オシメルチニブの吸収は緩徐であり、最高血漿中濃度到達時間(tmax)は中央値で約6時間(範囲:2~24時間)であり、終末相における消失半減期は平均で48.6時間(標準偏差:6.5時間)であった。なお、本剤投与時のオシメルチニブの最高血漿中濃度(Cmax)及び投与後0時間から72時間までの血漿中濃度時間曲線下面積(AUC(0-72))は20~240mg注2)の用量範囲で用量に比例して増加した。外国人進行非小細胞肺癌患者に本剤80mgを単回経口投与したときのオシメルチニブの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下の通りである1)。

注2)本剤の承認用法・用量は80mgの1日1回投与である。

図1 外国人進行非小細胞肺癌患者に本剤80mgを単回経口投与したときの血漿中オシメルチニブ濃度推移(算術平均±標準偏差、n=11)

Cmax(nM) tmax(h)a AUC(nM・h)b t1/2(h)b
247.2±173.6 6(2.07~23.83) 12170±7340 48.6±6.5

Cmax 最高血漿中濃度 tmax 最高血漿中濃度到達時間 AUC 投与後0時間から無限大時間までの血漿中濃度時間曲線下面積 t1/2 終末相における消失半減期 a 中央値(範囲) b n=9

  1. 16.1.2反復投与

国際共同第I/II相試験(AURA試験)の第II相部分において、日本人進行非小細胞肺癌患者(32例)に本剤80mgを1日1回反復経口投与したとき、オシメルチニブの吸収は緩徐であり、最高血漿中濃度到達時間(tss,max)は中央値で約6時間(範囲:2~11時間)であった。日本人進行非小細胞肺癌患者に本剤80mgを反復経口投与したときのオシメルチニブの血漿中濃度推移並びにオシメルチニブ及びその活性代謝物(AZ5104及びAZ7550)の薬物動態パラメータは以下の通りである1)。

図2 日本人進行非小細胞肺癌患者に本剤80mgを1日1回反復経口投与したときの投与22日目における血漿中オシメルチニブ濃度推移(算術平均±標準偏差、n=32)

Css,max(nM) tss,max(h)a AUCss(nM・h)
オシメルチニブ 782.4±333 6(2~11.05) 14980±6809
AZ5104 80.43±46.83 6.04(0~23.93) 1619±972.3
AZ7550 60.75±17.09 8(0~11.95) 1260±378.5

Css,max 定常状態における最高血漿中濃度 tss,max 定常状態における最高血漿中濃度到達時間 AUCss 定常状態における投与間隔での血漿中濃度時間曲線下面積 a 中央値(範囲)

16.2 吸収

  1. 16.2.1バイオアベイラビリティ

健康被験者(10例)に本剤80mgを単回経口投与及び14Cで標識した本剤100µgを単回静脈内投与したとき、オシメルチニブの絶対バイオアベイラビリティは約70%であった2)(外国人データ)。

  1. 16.2.2食事の影響

進行非小細胞肺癌患者(34例)に本剤80mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、オシメルチニブのAUC及びCmaxに食事による影響は認められなかった3)(外国人データ)。

16.3 分布

国際共同第I/II相試験(AURA試験)の第I相部分において、外国人進行非小細胞肺癌患者(11例)に本剤80mgを単回経口投与したときのオシメルチニブの定常状態におけるみかけの分布容積は約1200Lであり、全身の組織に広く分布することが示唆された1)。In vitro試験において、オシメルチニブの血漿蛋白結合率は約95%であった4)。

16.4 代謝

In vitro試験において、オシメルチニブの代謝には主にCYP3A4及びCYP3A5が関与することが示唆された5)。 血漿中に2種の活性代謝物(AZ5104及びAZ7550:ともにN-脱メチル体。ただし、代謝部位が異なる)が認められたが、これら代謝物の曝露量はオシメルチニブの約10%であった1)。ヒトの尿及び糞便には12種以上の成分が検出されたが、そのうちの5種の成分が投与量の1%以上の割合で存在しており、オシメルチニブ(1.9%)、AZ5104(6.6%)及びAZ7550(2.7%)が含まれていた6)(外国人データ)。

16.5 排泄

健康被験者に14Cで標識した本剤20mgを単回経口投与したとき、84日間までに放射能(投与量の67.8%)は主に糞便中に未変化体又は代謝物として排泄され、尿中排泄率は約14.2%であった。尿中に排泄された未変化体は投与量の2%未満であった5)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害者

肝機能が正常な進行固形癌患者(10例)、軽度(Child-Pugh分類A)及び中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害を有する進行固形癌患者(それぞれ7例及び5例)に本剤80mgを単回経口投与したとき、オシメルチニブのCmax及びAUCは軽度肝機能障害者で肝機能正常者のそれぞれ51%(90%信頼区間:37%~72%)及び63%(90%信頼区間:47%~85%)、中等度肝機能障害者で肝機能正常者のそれぞれ61%(90%信頼区間:42%~89%)及び68%(90%信頼区間:50%~94%)であり、肝機能正常者に比べ軽度及び中等度肝機能障害者においてオシメルチニブの曝露量が高値を示すことはなかった7)(外国人データ)。

  1. 16.6.2腎機能障害者

腎機能が正常(クレアチニンクリアランスが90mL/min以上)な進行固形癌患者(8例)及び重度(クレアチニンクリアランスが30mL/min未満)の腎機能障害を有する進行固形癌患者(7例:透析患者は含まれていない)に本剤80mgを単回経口投与したとき、オシメルチニブのCmax及びAUCは腎機能正常者に比べ重度腎機能障害者においてそれぞれ19%(90%信頼区間:-31%~107%)及び85%(90%信頼区間:-6%~264%)高値を示した8)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1リファンピシン

進行非小細胞肺癌患者(41例)に本剤80mg/日を強力なCYP3A誘導剤であるリファンピシン(600mg/日を21日間投与)と併用投与したとき、オシメルチニブのAUCssは78%(90%信頼区間:76%~81%)、Css,maxは73%(90%信頼区間:70%~76%)低下した9)(外国人データ)。

  1. 16.7.2フェキソフェナジン

進行非小細胞肺癌患者(24例)を対象に本剤80mgをP-gpの基質であるフェキソフェナジン(120mg)と併用して単回投与したとき、フェキソフェナジンのAUC及びCmaxはそれぞれ56%(90%信頼区間:35%~79%)及び76%(90%信頼区間:49%~108%)増加した。また、本剤80mg/日を反復投与した後、フェキソフェナジン(120mg)を併用投与したとき、フェキソフェナジンのAUC及びCmaxはそれぞれ27%(90%信頼区間:11%~46%)及び25%(90%信頼区間:6%~48%)増加した10)(外国人データ)。

  1. 16.7.3ロスバスタチン

進行非小細胞肺癌患者(44例)を対象に本剤80mg/日を反復投与した後、BCRPの基質であるロスバスタチン(20mg)を併用投与したとき、ロスバスタチンのAUC及びCmaxはそれぞれ35%(90%信頼区間:15%~57%)及び72%(90%信頼区間:46%~103%)増加した11)(外国人データ)。

  1. 16.7.4その他の薬剤

  2. (1)健康被験者(57例)にオメプラゾールを5日間投与し、胃内pHを上昇させた条件にて、5日目に本剤80mgを併用投与したとき、オシメルチニブのAUC及びCmaxに臨床上問題となる影響は認められなかった3)(外国人データ)。

  3. (2)進行非小細胞肺癌患者(36例)に本剤80mgを強力なCYP3A阻害剤であるイトラコナゾール(200mgを1日2回)と併用投与したとき、オシメルチニブの曝露量に臨床上問題となる影響は認められなかった(Cmaxは20%[90%信頼区間:13%~27%]低下、AUCは24%[90%信頼区間:15%~35%]増加)9)(外国人データ)。

  4. (3)進行非小細胞肺癌患者(49例)に本剤80mg/日を反復投与した後、CYP3Aの基質であるシンバスタチン(40mg)を併用投与したとき、シンバスタチンの曝露量に臨床上問題となる影響は認められなかった(AUC及びCmaxはそれぞれ9%[90%信頼区間:-8%~23%]及び23%[90%信頼区間:6%~37%]低下)11)(外国人データ)。

  5. (4)In vitro試験成績から、オシメルチニブはCYP1A2及びCYP3A4を誘導すること、並びにオシメルチニブがP-gp及びBCRPの基質であることが示された12),13)。

16.8 その他

  1. 16.8.1薬物動態とQT間隔との関連性

国際共同第II相試験(AURA2試験)において、本剤を80mgの用量で1日1回反復投与された210例の進行非小細胞肺癌患者において本剤がQT間隔に及ぼす影響を評価した。単回投与時及び反復投与後の定常状態時にデジタルECGを頻回測定し、血漿中未変化体濃度とQT間隔との関連性を評価した。血漿中未変化体濃度とQTc間隔との関係を解析したところ、本剤の投与に起因するQTc間隔の延長は平均で14ms、その90%信頼区間の上限は16msと予測された14)。