Clinical snapshot

タイケルブ錠250mg

ラパチニブトシル酸塩水和物

添付文書改訂 2020年10月01日

【警告】

  1. 1.1本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2重篤な肝機能障害があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。本剤投与中に重篤な肝機能障害がみられた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うこと。

  3. 1.3間質性肺炎、肺臓炎等の間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った例も報告されているので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には、投与を中止する等の適切な処置を行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

HER2過剰発現が確認された手術不能又は再発乳癌

用法・用量

  • 通常、成人にはラパチニブとして以下の用量を1日1回、食事の1時間以上前又は食後1時間以降に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • カペシタビンとの併用:1250mg

  • アロマターゼ阻害剤との併用:1500mg

使用上の注意

  1. 8.1重篤な肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査(AST、ALT、ALP及びビリルビン等)を行うこと。

  2. 8.2間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行うこと。また必要に応じて胸部CT検査、動脈血酸素分圧(PaO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)などの検査を行うこと。

  3. 8.3重篤な心障害があらわれることがあるので、必ず本剤投与開始前には心機能検査を行い、患者の心機能を確認すること。また、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行う等、患者の状態を十分に観察すること。

  4. 8.4QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は適宜心電図検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1間質性肺疾患(放射線性肺臓炎を含む)のある患者又はその既往歴のある患者

間質性肺疾患が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.2心不全症状のある患者又はその既往歴のある患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.3左室駆出率が低下している患者、コントロール不能な不整脈のある患者、臨床上重大な心臓弁膜症のある患者

症状が悪化するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

肝機能障害が悪化するおそれがある。ラパチニブは主として肝臓で代謝されるので、AUCが増加するおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

妊娠可能な女性には、本剤投与中及び投与終了後⼀定期間は適切な避妊を行い妊娠しないよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験では、ラットで生後21日までに出生児生存率の低値(60mg/kg/日以上)、母動物毒性及び軽度な胎児異常(骨化促進)(120mg/kg/日)が認められた。また、ウサギで母動物毒性、胎児体重の低値及び軽度な骨格変異(60mg/kg/日以上)、流産(120mg/kg/日)が認められた。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)でラパチニブを授乳動物に投与したとき、乳児への移行が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験を実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら注意して投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

  • 本剤は、主としてCYP3Aにより代謝される。また、P-糖蛋白質及びBCRPの基質である。更にin vitroにおいて本剤のCYP3A4、CYP2C8、P-糖蛋白質、BCRP及びOATP1B1に対する阻害作用が示されている。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP3A4を阻害する薬剤等
• イトラコナゾール等
健康成人において、ケトコナゾールとの併用により本剤のAUCが約3.6倍に増加し、半減期が1.7倍に延長したとの報告がある2)。
CYP阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。併用する場合は、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
本剤の代謝酵素であるCYP3A4が阻害されることにより、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。
• グレープフルーツ(ジュース) 本剤投与時はグレープフルーツ(ジュース)を摂取しないよう注意すること。 本剤の代謝酵素であるCYP3A4が阻害されることにより、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。
CYP3A4を誘導する薬剤
• カルバマゼピン
リファンピシン
フェニトイン等
健康成人において、カルバマゼピンとの併用により本剤のAUCが約72%減少したとの報告がある2)。
CYP誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。併用に際しては、本剤の有効性が減弱する可能性があることを考慮すること。
本剤の代謝酵素であるCYP3A4が誘導されることにより、本剤の代謝が促進され、血中濃度が低下する可能性がある。
治療域が狭くCYP3A4で代謝される薬剤
• ミダゾラム(経口剤:国内未発売)等
ミダゾラムのAUCが経口投与では約45%及び静脈内投与では約14%増加したとの報告がある3)。 本剤のCYP3A4に対する阻害作用が示されている。経口投与製剤では本剤が消化管でのCYP3A4による代謝を阻害すると考えられる。
治療域が狭くCYP3A4又はCYP2C8で代謝される薬剤
• ビノレルビン等
これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、本剤との併用は避けることが望ましいが、併用する場合には、副作用の発現・増強に注意し、減量等を考慮すること。 本剤のCYP3A4とCYP2C8に対する阻害作用が示されている。
• パクリタキセル 本剤のAUCが約21%、パクリタキセルのAUCが約23%増加したとの報告がある4)。また、臨床試験において、パクリタキセル単独投与時と比較して、本剤とパクリタキセル併用時に下痢と好中球数減少の発現率及び重症度が増加した5)。 本剤のCYP3A4とCYP2C8に対する阻害作用が示されている。また、パクリタキセルはP-糖蛋白質の基質であるため、その寄与の可能性もある。
P-糖蛋白質を阻害する薬剤
• ベラパミル
イトラコナゾール
キニジン
シクロスポリン
エリスロマイシン等P-糖蛋白質を誘導する薬剤等
• リファンピシン
セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等
本剤の血中濃度や分布に影響を与える可能性がある。 本剤はP-糖蛋白質の基質であることが示されている。
P-糖蛋白質の基質薬剤
• ジゴキシン等
経口投与のジゴキシンのAUCが約80%増加したとの報告がある6)。 本剤のP-糖蛋白質に対する阻害作用が示されている。
パゾパニブ塩酸塩 本剤との併用によりパゾパニブ塩酸塩のAUC及びCmaxは、それぞれ約59%及び51%増加した7)。 本剤はCYP3A4、P-糖蛋白質及びBCRPの基質であり阻害作用を有することによる。
イリノテカン FOLFIRIレジメンの一部として投与した時、イリノテカンの活性代謝物であるSN-38のAUCが約41%増加したとの報告がある8)。 機序は不明である。
プロトンポンプ阻害剤
• エソメプラゾール等
エソメプラゾールとの併用により、本剤のAUCが約15%減少したとの報告がある9)。 胃内pHの上昇により、本剤の溶解度が低下し吸収が低下する可能性がある。
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
• イミプラミン
ピモジド等抗不整脈薬
• キニジン
プロカインアミド
ジソピラミド等
QT間隔延長を起こす又は悪化させるおそれがある。 本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあり、併用により作用が増強する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
C-反応性蛋白増加 頻度不明
γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加 頻度不明
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 1%未満
アフタ性口内炎 1%未満
アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加 頻度不明
アレルギー性鼻炎 1%未満
インフルエンザ様疾患 1%未満
うつ病 1%未満
けん怠感 頻度不明
ざ瘡 頻度不明
ざ瘡様皮膚炎 頻度不明
そう痒症 頻度不明
プリンツメタル狭心症 1%未満
ヘマトクリット減少 頻度不明
ヘモグロビン減少 1%未満
ほてり 頻度不明
ラクトース不耐性 1%未満
リンパ球数増加 頻度不明
リンパ球数減少 頻度不明
レッチング 1%未満
上室性期外収縮 1%未満
上気道感染 頻度不明
上腹部痛 頻度不明
下痢注2) 頻度不明
下腹部痛 頻度不明
不快感 1%未満
不眠症 頻度不明
丘疹 頻度不明
乾皮症 1%未満
低アルブミン血症(血中アルブミン減少を含む) 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低クロール血症 頻度不明
低ナトリウム血症 1%未満
低蛋白血症 1%未満
低血圧 1%未満
体位性めまい 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
傾眠 頻度不明
全身性皮疹 1%未満
冷感 頻度不明
剥脱性発疹 1%未満
副鼻腔障害 1%未満
動悸 1%未満
単球百分率減少 頻度不明
単純ヘルペス 頻度不明
口の錯感覚 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
口唇のひび割れ 1%未満
口唇びらん 頻度不明
口唇乾燥 1%未満
口唇水疱 1%未満
口唇潰瘍 1%未満
口唇炎 1%未満
口渇 頻度不明
口腔カンジダ症 頻度不明
口腔内潰瘍形成 頻度不明
口腔咽頭痛 1%未満
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
咽喉頭疼痛 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
喘息 1%未満
嗅覚錯誤 1%未満
嗜眠 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嚥下障害 1%未満
四肢不快感 1%未満
四肢痛 頻度不明
回転性めまい 頻度不明
壊死 1%未満
多形紅斑 1%未満
多汗症 1%未満
大腸炎 1%未満
大腸菌性敗血症 1%未満
女性生殖器痛 1%未満
好中球増加症 1%未満
好中球減少症(好中球数減少を含む) 頻度不明
好塩基球数増加 頻度不明
好塩基球百分率増加 頻度不明
好酸球数増加 頻度不明
好酸球百分率増加 頻度不明
尿中ケトン体陽性 頻度不明
尿比重増加 頻度不明
尿路感染 1%未満
嵌入爪 頻度不明
帯状疱疹 頻度不明
心室機能不全 頻度不明
心房細動 1%未満
心窩部不快感 頻度不明
心筋梗塞 1%未満
急性骨髄性白血病 1%未満
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
感染 1%未満
感覚鈍麻 頻度不明
手掌・足底発赤知覚不全症候群 頻度不明
手掌紅斑 1%未満
抑うつ気分 1%未満
排尿困難 1%未満
接触性皮膚炎 頻度不明
放屁 頻度不明
1%未満
斑状丘疹状皮疹 1%未満
斑状皮疹 1%未満
末梢性ニューロパチー 頻度不明
末梢性感覚ニューロパチー 1%未満
末梢性浮腫 頻度不明
歯肉出血 頻度不明
歯肉炎 1%未満
歯肉痛 1%未満
毛包炎 頻度不明
毛髪成長異常 1%未満
気分変動 1%未満
水疱 1%未満
治癒不良 1%未満
洞性頻脈 頻度不明
流涙増加 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
消化器痛 1%未満
消化管潰瘍 頻度不明
湿疹 頻度不明
潮紅 頻度不明
無力症 頻度不明
熱感 頻度不明
爪の障害 頻度不明
爪囲炎 頻度不明
爪感染 頻度不明
爪毒性 頻度不明
爪甲離床症 1%未満
爪痛 頻度不明
爪白癬 頻度不明
爪破損 頻度不明
生殖器の炎症 1%未満
異常感覚 1%未満
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
痂皮 1%未満
痔核 1%未満
発声障害 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球増加症 1%未満
白血球減少症(白血球数減少を含む) 頻度不明
皮脂欠乏性湿疹 頻度不明
皮膚の新生物 1%未満
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚亀裂(ひび・あかぎれを含む) 頻度不明
皮膚刺激 1%未満
皮膚剥脱 頻度不明
皮膚反応 頻度不明
皮膚変色 1%未満
皮膚感染 1%未満
皮膚潰瘍 1%未満
皮膚炎 頻度不明
皮膚疼痛 1%未満
皮膚病変 1%未満
皮膚肥厚 1%未満
皮膚色素過剰 頻度不明
皮膚裂傷 頻度不明
皮膚障害 1%未満
真菌感染 1%未満
眼そう痒症 頻度不明
眼の異常感 頻度不明
眼乾燥 頻度不明
眼刺激 1%未満
眼球乾燥 1%未満
眼瞼浮腫 1%未満
眼部不快感 頻度不明
知覚過敏 1%未満
神経毒性 1%未満
神経痛 1%未満
筋痙縮 頻度不明
筋痛 頻度不明
筋骨格痛 頻度不明
筋骨格硬直 1%未満
粘膜の炎症 頻度不明
粘膜乾燥 頻度不明
紅斑 頻度不明
紅斑性皮疹 1%未満
紅色汗疹 頻度不明
結膜炎 頻度不明
総蛋白減少 頻度不明
羞明 頻度不明
耳感染 1%未満
肛門出血 頻度不明
肝毒性 1%未満
肺塞栓症 1%未満
肺感染 頻度不明
胃不快感 頻度不明
胃炎 1%未満
胃腸出血 頻度不明
胃腸炎 1%未満
胃食道逆流性疾患 頻度不明
胆嚢炎 1%未満
背部痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
脂漏性皮膚炎 頻度不明
脱毛症 頻度不明
脱水 頻度不明
脳性ナトリウム利尿ペプチド上昇 頻度不明
腋窩痛 1%未満
腎クレアチニン・クリアランス減少 1%未満
腹痛 頻度不明
腹部膨満(鼓腸を含む) 頻度不明
膀胱炎 1%未満
膣の炎症 1%未満
膣出血 1%未満
膣分泌物 1%未満
舌炎 頻度不明
舌痛 1%未満
舌苔 頻度不明
舌障害 頻度不明
色素沈着障害 1%未満
蒼白 1%未満
蛋白尿(尿蛋白を含む 頻度不明
蜂巣炎 頻度不明
血中アルカリホスファターゼ増加 頻度不明
血中クレアチニン増加 1%未満
血中クレアチニン異常 1%未満
血中クレアチンホスホキナーゼ増加 頻度不明
血中クレアチン異常 1%未満
血中コレステロール増加 頻度不明
血中乳酸脱水素酵素増加 頻度不明
血中乳酸脱水素酵素減少 頻度不明
血便排泄 頻度不明
血小板減少症(血小板数減少を含む) 1%未満
血尿(尿中血陽性を含む) 頻度不明
血液毒性 1%未満
血管迷走神経性失神 1%未満
視覚障害 1%未満
角膜びらん 頻度不明
角膜炎 1%未満
貧血 頻度不明
赤血球数減少 頻度不明
足部白癬 1%未満
過敏症 頻度不明
過角化 1%未満
錯感覚 頻度不明
関節痛 1%未満
関節硬直 1%未満
限局性感染 頻度不明
霧視 1%未満
霰粒腫 頻度不明
頭痛 頻度不明
顔面浮腫 1%未満
食欲減退(食欲不振を含む) 頻度不明
駆出率減少 頻度不明
骨痛 1%未満
高カリウム血症(血中カリウム増加を含む) 頻度不明
高カルシウム血症(血中カルシウム増加を含む) 頻度不明
高ビリルビン血症(血中ビリルビン増加を含む) 頻度不明
高尿酸血症(血中尿酸増加を含む) 頻度不明
高血糖 頻度不明
鼻乾燥 頻度不明
鼻出血 頻度不明
鼻咽頭炎 1%未満
鼻漏 1%未満
鼻潰瘍 1%未満
鼻炎 1%未満
鼻部不快感 1%未満
鼻閉 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

EGFR及びHER2チロシン自己リン酸化を選択的かつ可逆的に阻害することにより、その結果としてアポトーシスを誘導し、腫瘍細胞の増殖を抑制する28)。

18.2 抗腫瘍効果

  1. 18.2.1 In vitro試験において、HER2過剰発現細胞(BT474ヒト乳管癌及びN87ヒト胃癌)及びEGFR過剰発現細胞(HN5ヒト頭頸部扁平上皮癌)の増殖を抑制する28)。また、5-FUとの併用により、MDA-MB-468ヒト乳癌、A549ヒト肺癌、NCI-H1299ヒト肺癌及びColo205ヒト結腸癌細胞の増殖を相加的に抑制する29)。

  2. 18.2.2BT474ヒト乳管癌又はHN5ヒト頭頸部扁平上皮癌細胞を用いたマウス異種移植モデルにおいて、それぞれHER2又はEGFRチロシン自己リン酸化を阻害し、腫瘍増殖を抑制する28)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1反復投与

本剤を日本人固形癌患者に21日間反復経口投与したときのラパチニブの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。ラパチニブの血漿中濃度はばらつきが大きかった。ラパチニブの最高血漿中濃度は投与約4時間後にみられ、血漿中半減期は約24時間であった12)。

投与量
(例数)
Cmax注1)
(ng/mL)
Tmax注2)
(h)
AUC0-24注1)
(ng・h/mL)
t1/2注1)
(h)
900mg
(n=6)
1895
(1319,2721)
3.99
(3.00-5.97)
29272
(21618,39638)
21.05
(13.08,33.89)
1200mg
(n=6)
1715
(965,3048)
3.59
(3.00-7.93)
25680
(13728,48038)
19.41
(14.09,26.72)
1600mg
(n=6)
3111
(1937,4996)
5.05
(0.93-8.02)
51099
(28674,91062)
26.93
(16.38,44.28)
1800mg
(n=5)
2333
(927,5870)
3.92
(2.98-7.32)
39451
(14909,104391)
28.46
(11.49,70.46)

注1)幾何平均値(95%信頼区間) 注2)中央値(範囲)

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

癌患者にラパチニブ1500mgを単回経口投与したとき、低脂肪食(5%脂肪[500kcal])及び高脂肪食(50%脂肪[1000kcal])とともに投与するとラパチニブの全身曝露量(AUC0-∞)は、空腹時と比べそれぞれ約2.7及び4.3倍に増加し、最高血漿中濃度はそれぞれ約2.4及び3.0倍に増加した13)(外国人のデータ)。

16.3 分布

ラパチニブのヒト血漿蛋白結合率は99%を超えていた14)。 In vitro試験において、ラパチニブはトランスポーターのP-糖蛋白質(ABCB1)及びBCRP(ABCG2)の基質であることが示された。また、in vitro試験において、ラパチニブはトランスポーターのP-糖蛋白質、BCRP及びOATP1B1を臨床血漿中濃度付近で阻害した15)。 ラットに14C-ラパチニブ10mg/kgを単回経口投与したときには、中枢神経系への移行が認められた15)。

16.4 代謝

ラパチニブは主にCYP3A4及びCYP3A5で、一部CYP2C19及びCYP2C8で代謝された16)。代謝物として多くの種類の酸化体が血漿及び糞中に検出されたが、いずれの代謝物も血漿中では未変化体濃度の10%未満、糞中では投与量の14%以下であった。また、in vitro試験において、CYP3A4活性(Ki値:0.6~2.3μg/mL)及びCYP2C8活性(Ki値:0.3μg/mL)を阻害した17)。

16.5 排泄

健康成人に14C-ラパチニブ250mgを単回経口投与したとき、投与されたラパチニブの大部分は糞中に排泄され(投与後168時間までに放射活性の約92%)、尿中排泄率は2%未満であった。糞中へのラパチニブ未変化体の排泄率は投与量の約27%であった18)(外国人のデータ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

ラパチニブの薬物動態に及ぼす腎障害の影響及び腎透析の影響は検討されていない。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

肝障害患者にラパチニブ100mg注)を単回経口投与したとき、健康成人に比し、ラパチニブの全身曝露量(AUC0-∞)は、中等度障害患者において56%、重度障害患者において85%増加し、重度障害患者における消失半減期は55%延長した19)(外国人のデータ)。 注)本剤の承認された用法及び用量は、[通常、成人にはラパチニブとして、カペシタビンとの併用時には1250mg、アロマターゼ阻害剤との併用時には1500mgを1日1回、食事の1時間以上前又は食後1時間以降に経口投与する。]である。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1カペシタビン

癌患者にラパチニブ1250mgとカペシタビン2000mg/m2を併用投与したときの血漿中ラパチニブのAUC及びCmaxは単独投与時のそれぞれ1.20及び1.34倍に増加した。血漿中カペシタビンのAUC及びCmaxは単独投与時のそれぞれ0.96及び0.72倍であった20)。

  1. 16.7.2レトロゾール

癌患者にラパチニブ1500mgとレトロゾール2.5mgを併用投与したときの血漿中ラパチニブのAUC及びCmaxは単独投与時のそれぞれ0.84及び0.78倍であった。血漿中レトロゾールのAUC及びCmaxは単独投与時のそれぞれ0.94及び0.90倍であった21)。