Clinical snapshot

ソマバート皮下注用20mg

ペグビソマント(遺伝子組換え)

添付文書改訂 2021年12月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

下記疾患におけるIGF-Ⅰ(ソマトメジン-C)分泌過剰状態および諸症状の改善 先端巨大症(外科的処置、他剤による治療で効果が不十分な場合又は施行が困難な場合)

用法・用量

通常、成人にはペグビソマント(遺伝子組換え)として初日に40mg(タンパク質部分)を1日1回皮下投与する。2日目以降は1日1回10mg(タンパク質部分)を投与する。なお、血清中IGF-Ⅰ値及び症状に応じて、1日量30mg(タンパク質部分)を上限として、5mg(タンパク質部分)ずつ適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1成長ホルモン産生下垂体腫瘍は進展することがあり、これに伴い視野狭窄などの重篤な症状を生じることがあるので、定期的にMRI検査等を行い患者の状態を十分観察すること。腫瘍の進展が認められた場合は、他の治療法への切り替え等適切な処置を行うこと。

  2. 8.2ALT、ASTが上昇することがあるので、以下の点に注意すること。

  • 本剤投与開始時 本剤投与開始前には必ず肝機能検査(ALT、AST等)を行うなど臨床検査値及び臨床症状を十分に観察し、投与の開始を検討すること。

  • 本剤投与中 本剤投与開始後1年間は1ヵ月に1回、以後は定期的に肝機能検査を行うこと。また、本剤投与中に、肝障害を示唆する症状(疲労、悪心、嘔吐、腹痛、黄疸)が発現した場合には、適宜肝機能検査を行い、肝障害が確認された場合には本剤の投与を中止すること。 患者に対し、本剤使用中に肝障害を示唆する症状があらわれた場合には、本剤の使用を中止し、直ちに連絡するよう指導すること。

  1. 8.3本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の指導、監督のもとで投与を行い、患者自らが確実に投与できることを確認した上で、自己投与を行うようにすること。

  2. 8.4本剤は成長ホルモン受容体拮抗剤であるため、血清中成長ホルモンが高値を示していても、成長ホルモン分泌不全状態を生じる可能性がある。したがって、血清中IGF-Ⅰ値をもとに本剤の用量調整を行うとともに、成長ホルモン分泌不全状態の臨床徴候及び症状に注意すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ウサギを用いた初期胚発生に関する試験では、ペグビソマント10mg(タンパク質部分)/kg/日投与群で着床後の吸収胚数の増加が認められたが1)、ウサギにおける胚・胎児発生に関する試験においては10mg(タンパク質部分)/kg/日までの投与量で催奇形性を示唆する所見は認められなかった2)。

9.6 授乳婦

本剤投与中は治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤の乳汁中への移行は不明である。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に高齢者では生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
インスリン製剤
経口血糖降下剤
低血糖症状があらわれることがあるので、これらの薬剤の用量を減量するなど注意すること。 本剤投与により成長ホルモンの作用が抑制されることに伴い、インスリン感受性が高くなるため。
麻薬 本剤の血清中IGF-Ⅰ低下作用を減弱させる可能性がある。 麻薬の血清中成長ホルモン濃度上昇作用による影響の可能性が考えられる3)。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT増加 頻度不明
AST増加 頻度不明
アナフィラキシー様反応 頻度不明
インフルエンザ様疾患 頻度不明
グリコヘモグロビン増加 頻度不明
トランスアミナーゼ上昇 頻度不明
ナルコレプシー 1%未満
ほてり 1%未満
メニエール病 1%未満
リビドー亢進 1%未満
下痢 頻度不明
不整脈 1%未満
不眠症 1%未満
丘疹 1%未満
乳房腫瘤 1%未満
低換気 1%未満
低血糖症 頻度不明
体重増加 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
健忘 1%未満
傾眠 頻度不明
出血傾向 頻度不明
創傷治癒不良 1%未満
口内乾燥 1%未満
嘔吐 頻度不明
多尿 1%未満
多汗症 頻度不明
寝汗 1%未満
尿潜血陽性 1%未満
怒り 1%未満
悪心 頻度不明
感覚減退 1%未満
挫傷 1%未満
挫傷発生の増加傾向 1%未満
振戦 頻度不明
末梢ピリピリ感 1%未満
末梢性浮腫 頻度不明
歯肉腫脹 1%未満
歯間の増大 1%未満
注射部位出血 頻度不明
注射部位反応 頻度不明
注射部位疼痛 頻度不明
注射部位紅斑 頻度不明
注射部位腫脹 1%未満
流涎過多 1%未満
浅眠 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
消化不良 1%未満
無力症 頻度不明
無感情 1%未満
異常な夢 頻度不明
異常感 1%未満
疲労 頻度不明
痔核 1%未満
瘙痒症 頻度不明
発熱 1%未満
白血球増加症 1%未満
白血球数減少 1%未満
皮膚乾燥 1%未満
皮膚乾燥・皮膚過敏 1%未満
皮膚疼痛 1%未満
眼圧迫感 1%未満
眼球運動異常 1%未満
眼痛 頻度不明
眼精疲労 1%未満
空腹感 頻度不明
突発的睡眠 1%未満
筋痛 1%未満
糖尿病 頻度不明
紅斑 1%未満
紅斑性皮疹 1%未満
総蛋白減少 1%未満
耳鳴 1%未満
肝機能検査値異常 頻度不明
肝酵素上昇 1%未満
肥満 1%未満
胃不快感 頻度不明
胸部不快感 1%未満
腎機能障害 1%未満
腹痛 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
蛋白尿 1%未満
血中アルカリホスファターゼ増加 1%未満
血中コレステロール増加 頻度不明
血中トリグリセリド増加 頻度不明
血中ブドウ糖増加 1%未満
血圧上昇 頻度不明
血小板数減少 1%未満
血尿 1%未満
視力低下 1%未満
軟便 頻度不明
過眠症 1%未満
錯乱状態 1%未満
関節炎 1%未満
関節痛 頻度不明
限局性皮下脂肪貯留 頻度不明
頚部痛 1%未満
頭痛 頻度不明
顔面腫脹 1%未満
高脂血症 1%未満
高血圧 頻度不明
鼓腸 頻度不明
鼻咽頭炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤はin vitroで成長ホルモン(GH)受容体に結合し、GHの結合を阻害することによってGH受容体の二量体化に伴うシグナル伝達を抑制する。本剤のヒト、アカゲザル及びウサギのGH受容体に対する結合能は同程度であるが、イヌ、マウス及びラットの受容体に対する結合能はそれらより弱い14)。本剤のGH受容体に対する結合は選択的であり、プロラクチンを含む他の各種受容体には結合しない15),16)。このGH作用の阻害によって、IGF-Ⅰ並びにGH反応性のタンパクであるIGFBP-3及び酸不安定性サブユニット(ALS)の血清中濃度が低下する。

18.2 薬理作用

本剤を皮下投与したアカゲザル、ウサギ及びマウスにおいて血清中IGF-Ⅰ濃度を低下させたが、その作用はマウスでは他の動物種に比して弱かった17),18),19),20),21),22)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与(健康成人)

日本人及び外国人の健康成人にペグビソマント1mg(タンパク質部分)/kgを単回皮下投与した場合、血清中薬物動態パラメータ(平均±標準偏差)はそれぞれ、Cmaxが9.01±1.43及び8.98±2.19μg/mL、Tmaxが76及び60時間、AUCが1,910±410及び1,510±550μg・h/mLであり、日本人と外国人で同様の値を示した4),5)(外国人及び日本人データ)。

図 健康成人(日本人及び外国人)にペグビソマント1mg(タンパク質部分)/kgを単回皮下投与後の血清中ペグビソマント(タンパク質部分)濃度推移

  1. 16.1.2反復投与(先端巨大症患者)

先端巨大症患者にペグビソマント10、15又は20mg(タンパク質部分)を1日1回長期投与した後の定常状態における血清中濃度(平均±標準偏差)はそれぞれ9.3±6.3、14.3±7.5及び18.1±10.1μg/mLであり、ほぼ投与量に比例して増加した6)(外国人データ)。また、先端巨大症患者にペグビソマントを長期投与した後の血清中ペグビソマント濃度とIGF-Ⅰ濃度の関係は、ペグビソマント濃度の上昇に伴い、ペグビソマント濃度10μg/mL付近まではIGF-Ⅰ濃度は大きく減少し、この付近を越えると、緩やかに減少した7)(外国人及び日本人データ)。

16.2 吸収

健康成人にペグビソマント20mg(タンパク質部分)を単回皮下投与後49時間にCmax(1.39μg/mL)を示し、半減期は約6日(138時間)であった。バイオアベイラビリティは57%であった8)(外国人データ)。

16.3 分布

雌雄ラットに[125I]ペグビソマント3mg(タンパク質部分)/kgを単回皮下投与した後の全身オートラジオグラフィーの結果より、ラットでは[125I]ペグビソマントは血液脳関門を通過しにくいと考えられる9)。

16.4 代謝

ペグビソマントの代謝経路は、そのタンパク質部分及びPEG5000(分子量5000のポリエチレングリコール)の代謝、並びに両分子間のアミド結合の安定性の各観点から推定可能であり、それぞれの代謝について考察した。その結果、PEG5000は代謝を受け難く、またタンパク質部分とポリエチレングリコールの間のアミド結合は安定と考えられることから、ペグビソマントの代謝はそのタンパク質部分の代謝に依存するものと考えられた。ペグビソマントのタンパク質部分の代謝は小さなペプチド及び各アミノ酸への分解であることが予期され、その代謝経路は一般に知られていることから代謝試験は実施しなかった。

16.5 排泄

健康成人にペグビソマント20mg(タンパク質部分)を単回皮下投与後の未変化体(タンパク質部分)の尿中排泄率は投与量の1%未満であった8)(外国人データ)。