Clinical snapshot

ソマトロピンBS皮下注5mg「サンド」シュアパル

ソマトロピン(遺伝子組換え)注射液

添付文書改訂 2025年09月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈効能共通〉
  1. 2.1悪性腫瘍のある患者[成長ホルモンが細胞増殖作用を有するため。]

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  • 〈プラダー・ウィリ症候群〉
  1. 2.3高度な肥満又は重篤な呼吸器障害のある患者

効能・効果

  • 骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症

  • 骨端線閉鎖を伴わない次の疾患における低身長

  • ターナー症候群

  • 慢性腎不全

  • プラダー・ウィリ症候群

  • 成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)

  • 骨端線閉鎖を伴わないSGA(small-for-gestational age)性低身長症

用法・用量

効能又は効果 用法及び用量
骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症 通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.175mgを6~7回に分けて皮下に注射する。
骨端線閉鎖を伴わない次の疾患における低身長
ターナー症候群 通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.35mgを6~7回に分けて皮下に注射する。
慢性腎不全 通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.175mgを6~7回に分けて皮下に注射するが、投与開始6ヵ月後以降増量基準に適合した場合は0.35mgまで増量することができる。
プラダー・ウィリ症候群 通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.245mgを6~7回に分けて皮下に注射する。
成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る) 通常開始用量として、1週間に体重kgあたり、ソマトロピン(遺伝子組み換え)として0.021mgを6~7回に分けて皮下に注射する。患者の臨床症状に応じて1週間に体重kg当たり0.084mgを上限として漸増し、1週間に6~7回に分けて皮下に注射する。なお、投与量は臨床症状及び血清インスリン様成長因子-Ⅰ(IGF-Ⅰ)濃度等の検査所見に応じて適宜増減する。ただし、1日量として1mgを超えないこと。
骨端線閉鎖を伴わないSGA(small-for-gestational age)性低身長症 通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.23mgを6~7回に分けて皮下に注射する。なお、効果不十分な場合は1週間に体重kg当たり0.47mgまで増量し、6~7回に分けて皮下に注射する。

なお、専用の注入器を用いて注射する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1成長ホルモンは、インスリン感受性を低下させるため、本剤の投与により血糖値、HbA1cの上昇があらわれることがある。定期的に血糖値、HbA1c等を測定し、異常が認められた場合は、投与量の減量又は一時的な投与中止等、適切な処置を行うこと。特にプラダー・ウィリ症候群及びターナー症候群においては、耐糖能の低下を合併することがあり、経過を注意深く観察すること。

  2. 8.2甲状腺機能低下症があらわれることがあるため、甲状腺機能を定期的に検査し、甲状腺機能低下症があらわれあるいは悪化した場合には適切な治療を行うことが望ましい。

  • 〈骨端線閉鎖を伴わないプラダー・ウィリ症候群における低身長〉
  1. 8.3高度な肥満、呼吸器障害又は睡眠時無呼吸の既往、呼吸器感染の要因をもつプラダー・ウィリ症候群の小児患者において、本剤投与に伴う死亡例が報告されている。また、これら要因をもつ男性患者ではさらに危険性が高まる可能性がある。 従って、高度な肥満又は重篤な呼吸器障害のある患者には投与しないこと。 また、以下の点に注意すること。
  • 投与に際し、上気道閉塞がないことを確認すること。本剤投与中に上気道閉塞の徴候(いびきの発現又は増加等も含む)を示した場合は、本剤の投与を中止すること。

  • 睡眠時無呼吸の有無を確認し、睡眠時無呼吸が疑われる場合は観察を十分に行うこと。

  • 患者が効果的な体重管理を行っていることを確認すること。

  • 呼吸器感染の徴候の有無を十分に観察し、感染症に対する適切な処置を行うこと。

  1. 8.4プラダー・ウィリ症候群の基本的治療である食事療法、運動療法を行った上で適応を考慮すること。

  2. 8.5脊柱変形(側弯)が過度に進行するおそれがあるので、本剤投与中は理学的検査及びX線検査等を定期的に実施し観察を十分に行うこと。

  • 〈成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)〉
  1. 8.6血清IGF-Ⅰ値が基準範囲上限を超えないよう、定期的に検査を実施すること。

  2. 8.7本剤と本剤以外のホルモン剤を併用する場合には、併用するホルモン剤が血清IGF-Ⅰ濃度に影響を及ぼすことがあるため、慎重に血清IGF-Ⅰ濃度をモニタリングすること。

  3. 8.8浮腫、関節痛等があらわれることがあるため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与量の減量あるいは投与中止を考慮すること。

  4. 8.9内分泌専門医あるいは内分泌専門医の指導のもとで治療を行うこと。

  • 〈骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症〉
  1. 8.10治療前及び治療中にIGF-Ⅰを3ヵ月から6ヵ月に1回、HbA1c、空腹時又は随時血糖、TSH、fT4、骨年齢を6ヵ月から1年に1回測定すること。異常が認められた場合には投与中止を考慮すること。

  2. 8.11本疾患の治療に精通した医師(小児内分泌専門医等)あるいはその指導のもとで治療を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1糖尿病患者、耐糖能異常のある患者又は糖尿病の危険因子を持つ患者

糖尿病患者では、投与開始前に血糖(血糖値、HbA1c等)及び糖尿病合併症(糖尿病網膜症等)の病勢をコントロールしておくこと。投与開始後は定期的に血糖値、HbA1c等を測定し、また、糖尿病合併症(糖尿病網膜症等)を含め、患者の状態を注意深く観察すること。必要に応じて、糖尿病用薬の投与量の調整を行うこと。投与開始後に糖尿病の症状の顕在化又は悪化が認められた場合は、本剤の投与量の減量又は一時的な投与中止等、適切な処置を行うこと。 耐糖能異常のある患者又は糖尿病の危険因子を持つ患者(肥満、家族歴に糖尿病を持つ患者等)では、慎重に観察すること。糖尿病が顕在化することがある。

  1. 9.1.2心疾患のある患者

ときに一過性の浮腫があらわれることがある。

  1. 9.1.3脳腫瘍(頭蓋咽頭腫、下垂体腺腫、松果体腫等)による成長ホルモン分泌不全性低身長症及び成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)の患者

脳腫瘍の進行や再発の観察を十分に行うこと。成長ホルモンが細胞増殖作用を有する。

  1. 9.1.4脳腫瘍の既往のある患者

定期的に画像診断を実施し、脳腫瘍の発現や再発の有無を注意深く観察すること。成人成長ホルモン分泌不全症患者では脳腫瘍の既往のある患者が多く含まれており、国内臨床試験において本剤の治療で脳腫瘍が再発したとの報告がある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1慢性腎不全の患者

血清クレアチニン等を定期的に検査し、基礎疾患の進行の観察を十分に行い、悪化が認められた場合は本剤を減量するなど慎重に投与すること。腎機能が悪化することがある。

  1. 9.2.2腎疾患のある患者

ときに一過性の浮腫があらわれることがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中への移行については不明である。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児に使用する場合には十分注意すること。外国において、ベンジルアルコールの静脈内大量投与(99~234mg/kg)により、中毒症状(あえぎ呼吸、アシドーシス、痙攣等)が低出生体重児に発現したとの報告がある。本剤は添加剤としてベンジルアルコールを含有している。

9.8 高齢者

投与量の減量あるいは投与中止も考慮に入れて、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。また、外国において、成人成長ホルモン分泌不全症患者における成長ホルモン維持用量は加齢に伴い減少することが報告されている。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
糖質コルチコイド 成長ホルモンの成長促進作用が抑制されることがある。 糖質コルチコイドが成長抑制効果を有するため。
糖質コルチコイド 血清コルチゾール濃度が低下することがあるので、糖質コルチコイドの用量に注意すること。 成長ホルモンが11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β-HSD-1)を抑制することにより、コルチゾンからコルチゾールへの変換を減少させるため。
経口エストロゲン 成長ホルモンの作用が抑制されることがある。成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)の患者では本剤の増量を検討すること。 エストロゲンがIGF-Ⅰ産生を抑制するため。
糖尿病用薬
• インスリン製剤
ビグアナイド系薬剤
スルホニルウレア剤
速効型インスリン分泌促進薬
α-グルコシダーゼ阻害剤
チアゾリジン系薬剤
DPP-4阻害剤
GLP-1受容体作動薬
SGLT2阻害剤 等
本剤投与により、血糖値が上昇することがある。定期的に血糖値、HbA1c等を測定し、これらの薬剤の投与量の調整を行うこと。 成長ホルモンがインスリン感受性を低下させるため。
甲状腺ホルモン 甲状腺ホルモン補充療法を受けている患者では、本剤投与により軽度の甲状腺機能亢進様症状を起こすことがあるので、本剤による治療開始後及び本剤の投与量変更後に甲状腺機能検査を行うことが望ましい。 T4からT3への転換が促進され、血清T4の低下及び血清T3の増加が生じる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALTの上昇 頻度不明
ASTの上昇 頻度不明
CK上昇 頻度不明
LDH上昇 頻度不明
アデノイド肥大 1%未満
いぼ 1%未満
トリグリセライド上昇 頻度不明
ミオグロビン上昇 1%未満
側弯症等の脊柱変形の進行 1%未満
全身そう痒 1%未満
出血 1%未満
口腔嚢胞 1%未満
周期性四肢麻痺 頻度不明
喘息・気管支炎 1%未満
嘔気 1%未満
外骨腫 頻度不明
大腿骨骨頭壊死 1%未満
大腿骨骨頭辷り症 1%未満
好酸球増多 頻度不明
尿潜血・顕微鏡的血尿 頻度不明
慢性腎不全におけるBUNの上昇 頻度不明
慢性腎不全における血清クレアチニンの上昇 頻度不明
慢性腎不全に合併する骨異形成症の進行 頻度不明
扁桃肥大 1%未満
攻撃性 1%未満
有痛性外脛骨 頻度不明
浮腫 1%未満
湿疹 1%未満
熱感 頻度不明
甲状腺機能低下症b) 頻度不明
異型リンパ球出現 1%未満
疼痛 1%未満
発熱 1%未満
発疹 1%未満
発赤 1%未満
白血球数上昇 1%未満
皮下脂肪の消失 1%未満
硬結 1%未満
筋痛 1%未満
紅斑 頻度不明
総蛋白減少 1%未満
耐糖能低下 頻度不明
胃腸炎 1%未満
胸部不快感 1%未満
脱毛 1%未満
腹痛 1%未満
蕁麻疹 1%未満
蛋白尿 頻度不明
血清P上昇 頻度不明
貧血 頻度不明
踵骨骨端炎 1%未満
遊離脂肪酸上昇 1%未満
関節痛・下肢痛等の成長痛 頻度不明
頭痛 頻度不明
頭蓋内圧亢進に伴う乳頭浮腫・視覚異常・頭痛・悪心及び嘔吐c) 頻度不明
顔面浮腫 頻度不明
鼻膿瘍 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ソマトロピンは、肝臓に存在する成長ホルモン受容体を介してIGF-Ⅰを誘導し、このIGF-Ⅰが軟骨細胞に作用して骨格の成長をもたらすと考えられている。また、脂肪分解の促進やトリグリセリドの体脂肪への蓄積抑制などを介して体組成を改善する13)。

18.2 IGF-Ⅰ増加作用

5/6腎部分摘出ラットにおいて、血中IGF-Ⅰ濃度を有意に増加させ、IGF-Ⅰ活性も高値を示すことが認められている14)。

18.3 身体成長促進作用

5/6腎部分摘出ラットにより用量依存的な体重及び体長が有意に増加することが確認されている14)。

18.4 体組成改善作用

下垂体摘出成熟ラットにおいて、本剤単独で除脂肪体重増加、体脂肪率低下、血中総コレステロール及びLDL脂質濃度低下、並びに血中IGF-Ⅰ濃度上昇等の作用が認められている。また、コハク酸ヒドロコルチゾン及びL-チロキシンとの併用試験においても、同様の作用を示すことが確認されている15)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1反復投与

欧米人のデータでは、6ヵ月間反復皮下注射後も蓄積性が認められないとの報告がある1)。

  1. 16.1.2生物学的同等試験

ソマトロピンBS皮下注5mg「サンド」、ソマトロピンBS皮下注10mg「サンド」及びジェノトロピン®5.3mgを、クロスオーバー法によりそれぞれソマトロピン(遺伝子組換え)として0.07mg/kg、健康成人男子に絶食単回下腹部皮下投与して血清中hGH(ヒト成長ホルモン)濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、80%〜125%の範囲内であり、3製剤の同等性が確認された2)。 (ジェノトロピン®5.3mgは、ソマトロピンBS皮下注5mg「サンド」、同10mg「サンド」とカートリッジの形状のみが異なる同一製剤であるため、本試験成績を引用する。)

ソマトロピンBS皮下注5mg「サンド」、ソマトロピンBS皮下注10mg「サンド」及びジェノトロピン®5.3mg投与後の血清中濃度推移

AUC0-24
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
AUC∞
(ng・hr/mL)
Tmax注)
(hr)
T1/2
(hr)
ソマトロピンBS皮下注5mg
「サンド」
614±61 78±16 616±63 3.0
[2.0, 6.0]
2.2±0.5
ソマトロピンBS皮下注10mg
「サンド」
641±54 85±19 643±54 3.0
[1.0, 6.0]
2.1±0.4
ジェノトロピン
®5.3mg
642±58 88±18 644±58 3.0
[2.0, 8.0]
2.2±0.4

(平均値±標準偏差、n=53) 注)中央値[範囲]

血清中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。