B型肝炎ウイルスの増殖を伴い肝機能の異常が確認されたB型慢性肝疾患におけるB型肝炎ウイルスの増殖抑制
【警告】
本剤の投与終了後、ウイルス再増殖に伴い、肝機能の悪化もしくは肝炎の重症化が認められることがある。そのため、本剤の投与を終了する場合には、投与終了後少なくとも4ヵ月間は原則として2週間ごとに患者の臨床症状と臨床検査値(HBV-DNA、ALT及び必要に応じ総ビリルビン)を観察し、その後も観察を続けること。 特に、免疫応答の強い患者(黄疸の既往のある患者、重度の急性増悪の既往のある患者、等)あるいは非代償性肝疾患の患者(組織学的に進展し、肝予備能が少ない患者を含む)では、投与終了後に肝炎が重症化することがあり、投与終了後の経過観察をより慎重に行う必要がある。この様な患者では本剤の投与終了が困難となり、長期にわたる治療が必要になる場合がある。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはラミブジンとして1回100mgを1日1回経口投与する。
使用上の注意
-
8.1本剤は通常、投与を終了するまでに長期間を要する薬剤であり、投与中止により肝機能の悪化もしくは肝炎の重症化を起こすことがある。本内容を患者に説明し、患者が自己の判断で投与を中止しない様に十分指導すること。
-
8.2本剤によるB型慢性肝疾患の治療は、投与中のみでなく投与終了後も十分な経過観察が必要であり、経過に応じて適切な処置が必要なため、B型慢性肝疾患の治療に十分な知識と経験を持つ医師のもとで使用すること。
-
8.3本剤の投与中は定期的に肝機能検査値の測定を行うなど十分注意すること。
-
8.4投与期間1年までの臨床試験成績から、本剤投与終了後の肝機能悪化は、投与前に(1)HBV-DNA量が多い、(2)ALT値が高い及び(3)HBe抗原量が多い患者、さらに、投与中止時に(4)HBe抗原が陰性化していない、(5)セロコンバージョンを起こしていない、(6)投与期間が長い患者でより起こりやすいことが報告されている。従って、この様な患者で投与を中止する場合、投与中止後の経過観察をより慎重に行うこと。
-
8.5本剤による治療により他者へのHBV感染が避けられることは証明されていない旨を患者に説明すること。
-
8.6*本剤を投与する前にHIV感染の有無を確認すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1HIV重複感染患者
*ラミブジンを含む抗HIV療法を行う場合には、抗HIV薬であるラミブジン含有製剤をHIV感染症に対する用法及び用量により投与すること。B型肝炎ウイルスの増殖抑制に用いる本剤の用量は、HIV感染症に用いられるラミブジンの用量以下であり、薬剤耐性HIVが出現する可能性がある。
9.2 腎機能障害患者
高い血中濃度が持続するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1免疫応答の強い患者あるいは非代償性肝疾患の患者
免疫応答の強い患者(黄疸の既往のある患者、重度の急性増悪の既往のある患者、等)あるいは非代償性肝疾患の患者(組織学的に進展し、肝予備能が少ない患者を含む)では、投与終了後の経過観察をより慎重に行う必要がある。投与終了後に肝炎が重症化することがある。また、この様な患者では本剤の投与終了が困難となり、長期にわたる治療が必要になる場合がある。
- 9.3.2肝移植患者及び重度の肝疾患を有する患者
投与中及び投与終了後少なくとも6ヵ月間は臨床症状と臨床検査値を観察し、その後も観察を続けること。 肝移植患者及び重度の肝疾患を有する患者は、肝予備能が低下しているため、本剤投与終了後に肝炎が再燃した場合や本剤投与中に本剤による治療効果が得られなくなった場合(YMDD変異ウイルス出現時)、重度で致死的な代償不全を来たすおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
**妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後3日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。特に、妊娠3ヵ月以内の女性には投与しないことが望ましい。ヒトにおいて胎盤通過性があり、新生児の血清中ラミブジン濃度は、分娩時の母親の血清中及び臍帯血中の濃度と同じであることが報告されている。なお、動物実験(ウサギ)で胎児毒性(早期の胚死亡数の増加)が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。経口投与されたラミブジンはヒト乳汁中に排泄されることが報告されている(乳汁中濃度:<0.5~8.2μg/mL)。また、ラミブジンの母体血漿中濃度と乳汁中濃度の比率は0.6~3.3であることが報告されている。乳児での血清中ラミブジン濃度は18~28ng/mLであったとの報告がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤 | 本剤の血中濃度が上昇する。 | 腎臓における排泄がトリメトプリムと競合すると考えられている。 危険因子:腎機能障害 |
| ソルビトール | 経口ソルビトール溶液(ソルビトールとして3.2g、10.2g、13.4g)とラミブジンの併用により、ラミブジンのAUCが減少した(それぞれ18%、36%、42%減少)との報告がある。 | ソルビトールによりラミブジンの吸収が抑制されると考えられている。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| CK上昇 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 倦怠感 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 嘔気 | 頻度不明 |
| 感冒様症状 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 筋痙攣 | 頻度不明 |
| 筋痛 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ラミブジンは細胞内でリン酸化され、活性体のラミブジン5'-三リン酸に変換される6)。 HBVのDNA複製時、ラミブジン5'-三リン酸はDNAポリメラーゼによるDNA鎖へのデオキシシチジン5'-三リン酸(dCTP)の取り込みを競合的に阻害する6)。また、ラミブジン5'-三リン酸はDNAポリメラーゼの基質としてウイルスDNA鎖に取り込まれるが、ラミブジン5'-三リン酸は次のヌクレオチドとの結合に必要な3'位のOH基がないためDNA鎖伸長が停止する(チェーンターミネーション)6)。 以上のことから、ラミブジンの抗HBV活性の作用機序はウイルスのDNAポリメラーゼに対する競合的拮抗作用とDNA伸長停止作用の二つが考えられている。
18.2 抗ウイルス活性
- 18.2.1In vitro試験
HBVのDNAをトランスフェクトしたHepG2 2.2.15細胞をラミブジンとともに7日間又は12日間インキュベートしたところ、HepG2 2.2.15細胞から遊離するHBV-DNA量は濃度依存的に減少した。 HBV-DNA遊離量を50%抑制するラミブジンの培養液中濃度(IC50)は0.032μM又は0.018μMであった。
- 18.2.2In vivo試験
慢性HBV感染チンパンジーにラミブジン0.1mg/kgを1日2回14日間経口投与したところ、血清中HBV-DNA濃度は投与前値の10%以下に減少した。さらにラミブジン0.3mg/kgを1日2回14日間投与したところ、血清中HBV-DNA濃度は検出限界以下となった。
18.3 薬剤耐性
本剤の長期投与によりYMDD変異ウイルス(DNAポリメラーゼの活性中心のアミノ酸配列がYMDDからYIDD又はYVDDに変異したウイルス)が出現し、本剤への感受性が低下することが知られている。その出現頻度は、国内臨床試験では投与1年目で20.0%、2年目で35.4%、3年目で47.1%、4年目で47.1%、5年目で59.7%であった。なお、YMDD変異ウイルスは増殖能力が弱いことが実験的に示されている。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1健康成人
健康成人男性12例にラミブジン100mgを空腹時又は食後に単回経口投与した場合、血漿中ラミブジン濃度は下図のとおりである1)。
| 空腹時(6例) | 食後(6例) | |
|---|---|---|
| Tmax(hr) | 1.1±0.6 | 1.7±0.4 |
| Cmax(ng/mL) | 1176±165 | 884±162 |
| T1/2(β)(hr) | 8.2±3.2 | 8.5±1.8 |
| AUC(ng・hr/mL) | 4004±799 | 3908±333 |
mean±SD
- 16.1.2小児
12歳未満の小児患者におけるラミブジンの薬物動態は、成人と類似していた。しかしながら、小児患者では成人よりもAUCが低いため、体重補正した全身クリアランスは成人よりも高く、年齢別では、全身クリアランスは2歳の患者で最も高くなり、2歳から12歳にかけて低下し、成人と同様な値となった。また、3mg/kg/日投与時の定常状態におけるAUCは、成人に100mg/日投与した場合と同様であった2)。なお、2歳未満の患者における薬物動態に関する十分なデータは得られていない(外国人データ)。
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
健康成人男性12例にラミブジン100mgを食後に単回経口投与した時の最高血漿中濃度は空腹時投与と比較して約25%低下したが、AUCには有意な変動を認めず、吸収に及ぼす食事の影響は小さい1)。
- 16.2.2生物学的利用率
HIV患者12例にラミブジン100mgを単回投与した時の生物学的利用率は86%である3)(外国人データ)。
16.3 分布
In vitroでのヒト血漿蛋白結合率は7%以下であった4)。
16.5 排泄
健康成人男性にラミブジン100mgを空腹時に単回経口投与した場合、投与後24時間までの尿中排泄率(投与量に対する%)は、未変化体は68%、主代謝物であるトランス-スルホキシド体(1-[(2R5S)trans-2-hydroxymethyl-1,3-oxathiolan-3-oxide-5-yl]cytosine)は5%である5)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能低下者
腎機能が低下している成人(クレアチニンクリアランス<50mL/min)に、クレアチニンクリアランス値に応じてラミブジン100mg又は300mg注)を空腹時に単回経口投与した場合、投与量100mgに標準化した薬物動態パラメータは表のとおりである。腎機能が低下している成人では、健康成人に比し、AUCは約3~5倍、最高血清中濃度は約1.2~1.4倍の値を示す。また、重度腎機能低下成人では血清中濃度半減期の延長が認められる。なお、透析によりラミブジンは約50%除去されるが、ラミブジンのAUCの減少は約30%であり、間歇的(週2~3回)透析施行後の用量調節の必要はない(外国人データ)。
| 腎機能 | 正常(9例) (Clcr:96.9±13.5mL/min) |
軽~中等度低下(8例) (Clcr:39.1±9.5mL/min) |
重度低下(6例) (Clcr:15.1±2.4mL/min) |
|---|---|---|---|
| Tmax(hr) | 1.1±0.3 | 2.1±1.2 | 2.7±1.5 |
| Cmax(ng/mL) | 1312±352 | 1850±398 | 1545±307 |
| T1/2(hr) | 12.2±4.1 | 9.9±0.8 | 14.8±1.5 |
| AUC(ng・hr/mL) | 5280±1014 | 14666±3741 | 27327±6563 |
| Clr(mL/min) | 200±57 | 53±19 | 11±8 |
| Clt/F(mL/min) | 326±64 | 120±30 | 65±18 |
mean±SD Clcr:クレアチニンクリアランス Clr:腎クリアランス Clt/F:全身クリアランス
注)本剤の承認用量は1回100mgである。
16.7 薬物相互作用
スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤との併用投与は、単独投与に比し、AUCは約43%の増加、全身クリアランスは30%の減少、腎クリアランスは35%の減少が認められている。これは、トリメトプリムとの併用によりラミブジンの腎尿細管分泌が減少することによる(外国人データ)。