Clinical snapshot

ゼオマイン注用50単位

インコボツリヌストキシンA

添付文書改訂 2025年10月01日

【警告】

  1. 1.1*本剤は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素製剤であり、有効成分としてインコボツリヌストキシンAを含有している。本剤の使用上の注意を熟読した上で、用法及び用量を厳守し、上肢痙縮、下肢痙縮、及び慢性流涎以外には使用しないこと。

  2. 1.2*A型ボツリヌス毒素を緊張筋又は唾液腺以外の部位に投与すると、一時的に周辺筋肉群の筋力低下等が発現することがある。本剤は、講習を受け、本剤についての十分な知識と、原疾患及び本剤の施注手技に必要な十分な知識・経験のある医師のもとで投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈効能共通〉
  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2*全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者(重症筋無力症、ランバート・イートン筋無力症候群等)[本剤は筋弛緩作用を有するため、病態を悪化させる可能性がある。]

  • 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉
  1. 2.3筋萎縮性側索硬化症患者[本剤は筋弛緩作用を有するため、病態を悪化させる可能性がある。]

効能・効果

  • 上肢痙縮

  • 下肢痙縮

  • *慢性流涎

用法・用量

  • 〈上肢痙縮〉

通常、成人にはインコボツリヌストキシンAとして複数の緊張筋注7) に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与間隔は10週まで短縮できる。

注7)緊張筋:橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、浅指屈筋、深指屈筋、腕橈骨筋、上腕二頭筋、上腕筋、方形回内筋、円回内筋、長母指屈筋、母指内転筋、短母指屈筋/母指対立筋等

  • 〈下肢痙縮〉

通常、成人にはインコボツリヌストキシンAとして複数の緊張筋注8) に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与間隔は10週まで短縮できる。

注8)緊張筋:腓腹筋(内側頭、外側頭)、ヒラメ筋、後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋等

  • 〈慢性流涎〉

*通常、成人にはインコボツリヌストキシンAとして合計100単位を分割して両側の耳下腺(片側につき30単位)及び顎下腺(片側につき20単位)に注射するが、患者の状態により適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は16週以上とすること。なお、患者の状態により投与間隔は14週まで短縮できる。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1本剤の投与に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項について文書を用いてよく説明し、文書による同意を得た後、使用すること。
  • 本剤の有効成分は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素(一般的名称:インコボツリヌストキシンA)である。

  • *本剤の投与は対症療法であり、その効果は上肢痙縮及び下肢痙縮では通常12-16週2) 、慢性流涎では通常16週3),4) で消失し、投与を繰り返す必要がある。

  • 本剤投与により、投与部位以外の筋に対する影響と考えられる会話困難、嚥下障害及び誤嚥性肺炎等があらわれることがある。本剤投与開始から16週までに会話困難、嚥下障害及び呼吸困難等の体調の変化が生じた場合、直ちに医師の診察を受けること。

  • 妊娠する可能性のある女性は、投与中及び最後の投与から16週後まで避妊を考慮すること。

  • 他の医療施設でボツリヌス毒素の投与を受けている場合には、治療対象疾患及び投与日を必ず申し出ること。

  1. 8.2本剤投与後、無力症、筋力低下があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
  • 〈下肢痙縮〉
  1. 8.3下肢の緊張筋への本剤投与に伴う活動性上昇や筋力バランスの変化により、転倒等が起こりやすくなる可能性がある。
  • 〈慢性流涎〉
  1. 8.4*本剤の投与により口内乾燥があらわれることがあるため、患者又は介護者に対し本剤投与中は口腔内を清潔に保つように指導すること。

  2. 8.5*慢性流涎患者では嚥下機能が低下していることから、本剤投与後は嚥下障害及び誤嚥性肺炎の発現に留意すること。本剤投与後にこれらの事象が発現した際には、本剤の効果が消失すると想定されるまでの期間は再投与を控えるとともに、再投与の可否は患者の状態を踏まえて慎重に検討すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉
  1. 9.1.1神経筋障害を有する患者(全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者又は筋萎縮性側索硬化症患者を除く)

*治療上の有益性がリスクを上回る場合にのみ使用すること。本剤の薬理作用のため過度の筋力低下に至り、病状を悪化させるおそれがある。

  • 〈慢性流涎〉
  1. 9.1.2神経筋障害を有する患者(全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者を除く)

*治療上の有益性がリスクを上回る場合にのみ使用すること。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性は、投与中及び最後の投与から16週後まで避妊を考慮すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤は動物実験で、母動物の体重低値、摂餌量減少及び流産が認められている。また、類薬において、妊娠中の患者で胎児の死亡が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。乳汁への移行に関する情報は得られていない。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 筋弛緩剤• ダントロレンナトリウム水和物等 過剰な筋弛緩があらわれるおそれがあり、筋力低下、嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがある。 本剤及びこれらの薬剤はともに筋弛緩作用を有するため作用が増強されるおそれがある。
• 筋弛緩作用を有する薬剤• スペクチノマイシン塩酸塩水和物
• アミノグリコシド系抗生物質• ゲンタマイシン硫酸塩、フラジオマイシン硫酸塩等
• ポリペプチド系抗生物質• ポリミキシンB硫酸塩等
• テトラサイクリン系抗生物質
• リンコマイシン系抗生物質
• 抗痙縮剤• バクロフェン等
• 抗コリン剤• ブチルスコポラミン臭化物、トリヘキシフェニジル塩酸塩等
• ベンゾジアゼピン系薬剤及び類薬• ジアゼパム、エチゾラム等
• ベンザミド系薬剤• チアプリド塩酸塩、スルピリド等
過剰な筋弛緩があらわれるおそれがあり、筋力低下、嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがある。 本剤及びこれらの薬剤はともに筋弛緩作用を有するため作用が増強されるおそれがある。
• 唾液分泌抑制作用を有する薬剤• 抗コリン剤• ブチルスコポラミン臭化物、トリヘキシフェニジル塩酸塩等 慢性流涎患者においては、過剰な唾液分泌抑制があらわれるおそれがあり、口内乾燥、嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがある。 本剤及びこれらの薬剤はともに唾液分泌抑制作用を有するため作用が増強されるおそれがある。
• 他のボツリヌス毒素製剤 過剰な筋弛緩があらわれるおそれがあり、筋力低下、嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがある。 本剤及びこれらの薬剤はともに筋弛緩作用を有するため作用が増強されるおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
インフルエンザ様症状 頻度不明
そう痒 頻度不明
そう痒症 頻度不明
上咽頭炎 頻度不明
会話障害 1%未満
便秘 1%未満
倦怠感 1%未満
出血 頻度不明
口内乾燥 1〜5%未満
口渇 1%未満
味覚障害 1%未満
唾液変性 1%未満
四肢不快感 1%未満
四肢痛 1%未満
圧痛 頻度不明
失神) 頻度不明
尿閉 1%未満
悪心 頻度不明
感染 頻度不明
感覚鈍麻 1%未満
挫傷 頻度不明
排尿後の尿滴下 1%未満
末梢性浮腫 1%未満
構語障害 1%未満
注射部位内出血 1%未満
注射部位浮腫 頻度不明
注射部位知覚低下 頻度不明
注射部位腫脹 頻度不明
湿疹 1%未満
炎症 頻度不明
無力症 1%未満
疼痛 1%未満
発疹 頻度不明
皮下出血 1%未満
知覚異常 頻度不明
筋力低下 1〜5%未満
筋緊張低下 1%未満
筋肉内出血 1%未満
筋肉痛 1%未満
筋骨格痛 1%未満
紅斑 頻度不明
紅斑 1%未満
耳鳴 頻度不明
腫脹 頻度不明
蕁麻疹 1%未満
蜂巣炎 1%未満
血中CK増加 1%未満
血管迷走神経反応(一過性症候性低血圧 頻度不明
血腫 頻度不明
軟部組織浮腫 頻度不明
転倒 1%未満
過角化 1%未満
錯感覚 1%未満
関節痛 1%未満
靱帯捻挫 1%未満
頭痛 1%未満
頻尿 1%未満
麻痺 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

*インコボツリヌストキシンAは、末梢神経筋接合部における神経終末内でSynaptosomal Associated Protein 25(SNAP-25)を分解し、シナプス小胞からのアセチルコリンの放出を抑制する。 痙縮に対し、本剤は、神経筋接合部のコリン作動性神経終末からのアセチルコリン放出を阻害することにより筋弛緩作用を示すと考えられる7) 。 慢性流涎に対し、本剤は、副交感神経のコリン作動性神経終末からのアセチルコリン放出を阻害し、唾液腺において水及び電解質の分泌を阻害することにより、唾液分泌抑制作用を示すと考えられる8) 。

18.2 筋弛緩作用

マウスの後肢腓腹筋に本剤を単回投与したとき、用量依存的な後肢の筋麻痺が認められた9) 。 サルの左中臀筋に本剤を単回投与し筋電図を測定したとき、中臀筋活動電位は投与1~2週後に最も抑制された後、投与36週後には投与前の値まで回復が認められた10) 。