Clinical snapshot

セムブリックス錠20mg

アシミニブ塩酸塩

添付文書改訂 2026年03月01日

【警告】

本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

*慢性骨髄性白血病

用法・用量

*通常、成人にはアシミニブとして1回80mgを1日1回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に(投与開始後最初の3ヵ月間は2週間毎、その後は1ヵ月毎)、また、患者の状態に応じて血液検査(血球数算定等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  2. 8.2膵炎があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に(1ヵ月毎)、また、患者の状態に応じて血清リパーゼ及び血清アミラーゼを測定し、患者の状態を十分に観察すること。

  3. 8.3QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は、必要に応じて心電図検査及び電解質検査(カリウム、マグネシウム等)を行い、患者の状態を十分に確認すること。また、必要に応じて、電解質(カリウム、マグネシウム等)を補正すること。

  4. 8.4感染症があらわれることがあるので、定期的に血液検査をする等、患者の状態を十分に観察すること。

  5. 8.5BCR::ABL1チロシンキナーゼ阻害剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与開始前に適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1膵炎又はその既往歴のある患者

膵炎が悪化又は再発するおそれがある。

  1. 9.1.2B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)

本剤投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行う等、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。BCR::ABL1チロシンキナーゼ阻害剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化があらわれることがある。

  1. 9.1.3QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者

QT間隔延長が起こるおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後3日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験において、臨床曝露量の10.7倍(ラット)及び3.0倍(ウサギ)に相当する用量で胚・胎児毒性(ウサギ)及び催奇形性(ラット及びウサギ)が認められた。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • *本剤はCYP2C9、BCRP及びP-gpに対する阻害作用を示す。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
イトラコナゾール(内用液) 本剤の有効性が減弱するおそれがあるため、内用液以外のイトラコナゾール製剤への代替を考慮すること。 イトラコナゾール(内用液)に含まれるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンが消化管内で本剤を包接することにより、本剤の吸収が低下し、本剤の血中濃度を低下させる可能性がある。
CYP2C9の基質となる薬剤
• ワルファリン
フェニトイン
セレコキシブ等
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 本剤がCYP2C9を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
BCRPの基質となる薬剤
• ロスバスタチン
• サラゾスルファピリジン等
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 本剤がBCRPを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
*治療域の狭いP-gpの基質となる薬剤
• ジゴキシン
ダビガトランエテキシラート
コルヒチン等
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 本剤がP-gpを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
• クラリスロマイシン
ハロペリドール
メサドン等
QT間隔延長を起こす又は悪化させるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察すること。 共にQT間隔延長に関連する副作用を有するため。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
頻度不明
頻度不明
5%以上
頻度不明
5%以上
頻度不明
5%以上
頻度不明
5%以上
頻度不明
5%以上
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
5%以上
5%以上
頻度不明
5%以上
頻度不明
5%以上
インフルエンザ 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ドライアイ 頻度不明
上気道感染 頻度不明
下気道感染 頻度不明
下痢 5%以上
便秘 頻度不明
光線過敏症 頻度不明
動悸 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嘔吐 頻度不明
悪心 5%以上
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
甲状腺機能低下症 頻度不明
疲労 5%以上
発熱 頻度不明
発疹 5%以上
筋骨格痛 5%以上
肝酵素上昇 頻度不明
胸水 頻度不明
脂質異常症 5%以上
腹痛 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血中CK増加 頻度不明
血中ビリルビン増加 頻度不明
過敏症 頻度不明
関節痛 頻度不明
霧視 頻度不明
非心臓性胸痛 頻度不明
頭痛 5%以上
食欲減退 頻度不明
駆出率減少 頻度不明
高血圧 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

アシミニブは、ABL1のチロシンキナーゼ活性を阻害する低分子化合物である。アシミニブは、ABL1のミリストイルポケットに結合することで、BCR::ABL1融合タンパクのリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。

18.2 抗腫瘍効果

  1. 18.2.1アシミニブは、野生型のBCR::ABL1融合タンパクを発現する9種類のヒト慢性骨髄性白血病由来細胞株(BV-173、CML-T1、KCL-22細胞株等)等に対して増殖抑制作用を示した13),14)(in vitro)。

  2. 18.2.2アシミニブは、野生型又は変異型(T315I)のBCR::ABL1融合タンパクを発現するKCL-22細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した15),16)(in vivo)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人健康成人に本剤40mg注1)を空腹時に単回経口投与したときの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は以下のとおりであった1)。

n Cmax
(ng/mL)
AUClast
(ng・h/mL)
Tmax*
(h)
T1/2
(h)
23 943
(27.4)
9200
(18.5)
2.00
(1.00-4.00)
12.6
(10.0)

幾何平均値(幾何CV%) *Tmaxは中央値(最小値-最大値)

日本人健康成人に本剤40mgを空腹時に単回経口投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)

  1. 16.1.2*反復投与

  2. (1)初発の慢性骨髄性白血病

日本人を含む初発の慢性骨髄性白血病患者に、本剤80mgを空腹時に1日1回反復経口投与したときの定常状態(投与開始第8日目)における薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は以下のとおりであった2)。

n Cmax
(ng/mL)
AUClast
(ng・h/mL)
Tmax*
(h)
26 1470(38.2) 8590(42.2) 2.00(0.883-3.18)

幾何平均値(幾何CV%) *Tmaxは中央値(最小値-最大値)

初発の慢性骨髄性白血病患者に本剤80mgを空腹時に1日1回反復経口投与したときの血漿中濃度推移 (平均値±標準偏差)

  1. (2)前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病

日本人を含む前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病患者に、本剤40mg注1)を空腹時に1日2回反復経口投与したときの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は以下のとおりであり、投与29日目の累積比は1.65であった。また、本剤10~200mg注1)を1日2回反復経口投与したとき、Cmax及びAUCは用量比を上回って増加した3)。

n Cmax
(ng/mL)
AUClast
(ng・h/mL)
Tmax*
(h)
第1日目 30 537(74.3) 2250(69.3) 2.10(1.95-5.62)
第15日目 12 718(57.0) 3790(53.0) 2.11(1.97-4.03)
第29日目 30 793(48.9) 3970(49.6) 2.01(1.00-6.00)

幾何平均値(幾何CV%) *Tmaxは中央値(最小値-最大値)

前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病患者に本剤40mgを空腹時に1日2回反復経口投与したときの血漿中濃度推移 (平均値+標準偏差)

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人(24例)に本剤40mg注1)を空腹時、低脂肪食、及び高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、空腹時に対するCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は低脂肪食摂取後では0.652及び0.700、高脂肪食摂取後では0.318及び0.377であった4)(外国人データ)。

16.3 分布

アシミニブのヒト血漿蛋白結合率は97.3%であり、濃度に依存しなかった5)(in vitro)。

16.4 代謝

アシミニブの酸化には主にCYP3A4、グルクロン酸抱合には主にUGT2B7が関与し、グルクロン酸抱合の一部にはUGT2B17、1A3及び1A4が関与することが示された6)(in vitro)。健康成人(4例)に14C標識した本剤80mgを空腹時に単回経口投与したとき、投与24時間後までの血漿中には主に未変化体が検出され、主な代謝物としてM30.5(O-グルクロン酸抱合体)及びM44(酸化体)が検出された(血漿中総放射能のAUC0-24hに対する割合は、それぞれ92.7%、4.93%、及び1.88%)6)(外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人(4例)に14C標識した本剤80mgを空腹時に単回経口投与したとき、投与放射能の80.0%が糞中に、11.0%が尿中に排泄された。糞中に排泄された未変化体は投与放射能の56.7%であった6)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

本剤40mg注1)を空腹時に単回経口投与したとき、腎機能が正常な被験者(6例)に対する重度(体表面積未補正のeGFRが30mL/min未満で透析を必要としない)の腎機能障害患者(8例)における本剤のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.08及び1.56であった7)(外国人データ)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

本剤40mg注1)を空腹時に単回経口投与したとき、肝機能が正常な被験者(8例)に対する軽度(Child-Pugh分類A)の肝機能障害患者(8例)における本剤のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.26及び1.22であった。中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害患者(8例)におけるCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ0.983及び1.03であった。また、重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害患者(8例)におけるCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.29及び1.66であった7)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1イトラコナゾール(内用液)

健康成人(18例)にイトラコナゾール(添加剤としてヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン8gを含有する内用液)200mgを1日1回8日間反復投与し、本剤40mg注1)を空腹時に単回経口投与したとき、単独投与時に対するイトラコナゾール(内用液)併用投与時の本剤のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ0.499及び0.598であった8)(外国人データ)。

  1. 16.7.2ワルファリン

健康成人(22例)に本剤40mg注1)を空腹時に1日2回5日間反復経口投与し、ワルファリン(CYP2C9の基質)5mgを単回投与したとき、単独投与時に対する本剤併用時のS-ワルファリンのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.08及び1.41であった9)(外国人データ)。

  1. 16.7.3ロスバスタチン、サラゾスルファピリジン

生理学的薬物動態モデルによるシミュレーションにおいて、本剤の併用によりロスバスタチン、サラゾスルファピリジン(BCRPの基質)の血中濃度が上昇する可能性が示唆された。

  1. 16.7.4*ジゴキシン

生理学的薬物動態モデルによるシミュレーションにおいて、本剤の併用によりジゴキシン(P-gpの基質)の血中濃度が上昇する可能性が示唆された。

  1. 16.7.5その他

  2. (1)健康成人(10例)にイトラコナゾール(添加剤としてヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含有しないカプセル剤)200mgを1日1回8日間反復投与し、本剤40mg注1)を空腹時に単回経口投与したとき、単独投与時に対するイトラコナゾール(カプセル剤)併用投与時の本剤のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.04及び1.04であった8)(外国人データ)。

  3. (2)健康成人(14例)にクラリスロマイシン(強いCYP3A阻害剤)500mgを1日2回8日間反復投与し、本剤40mg注1)を空腹時に単回経口投与したとき、単独投与時に対するクラリスロマイシン併用投与時の本剤のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.19及び1.36であった8)(外国人データ)。

  4. (3)健康成人(18例)にリファンピシン(強いCYP3A誘導剤)600mgを1日1回6日間反復投与し、本剤40mg注1)を空腹時に単回経口投与したとき、単独投与時に対するリファンピシン併用投与時の本剤のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.09及び0.851であった8)(外国人データ)。

  5. (4)健康成人(19例)にキニジン(P-gp阻害剤)300mgを1日3回6日間反復投与し、本剤40mg注1)を空腹時に単回経口投与したとき、単独投与時に対するキニジン併用投与時の本剤のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ0.887及び0.871であった8)(外国人データ)。

  6. (5)健康成人(22例)に本剤40mg注1)を空腹時に1日2回5日間反復経口投与し、ミダゾラム(CYP3Aの基質)4mgを単回投与したとき、単独投与時に対する本剤併用時のミダゾラムのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.11及び1.28であった9)(外国人データ)。

  7. (6)健康成人(25例)に本剤40mg注1)を空腹時に1日2回3日間反復経口投与し、レパグリニド(CYP2C8の基質)0.5mgを単回投与したとき、単独投与時に対する本剤併用時のレパグリニドのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.14及び1.08であった9)(外国人データ)。

  8. (7)本剤はBCRPの基質であり、CYP1A2を誘導し、UGT1A1及びP-gpを阻害した10)(in vitro)。

注1)本剤の承認された用法及び用量は、1回80mgを1日1回である。