フェニルケトン尿症
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、セピアプテリンとして、以下の用量を1日1回食後又は食事とともに経口投与する。なお、忍容性が認められない場合、6カ月以上2歳未満では1日7.5mg/kgまで、2歳以上では1日20mg/kgまでの範囲で適宜減量すること。
| 年齢 | 1日量 |
|---|---|
| 0カ月以上6カ月未満 | 7.5mg/kg |
| 6カ月以上1歳未満 | 15mg/kg |
| 1歳以上2歳未満 | 30mg/kg |
| 2歳以上 | 60mg/kg |
使用上の注意
-
8.1定期的に血中フェニルアラニン濃度を測定し、血中フェニルアラニン濃度を適切に管理すること。
-
8.2本剤投与により低フェニルアラニン血症に至るおそれがあるため、血中フェニルアラニン濃度が管理目標の範囲を下回る場合は、食事からのタンパク摂取量を増加させ、必要に応じて本剤の減量又は投与中断も検討すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1食事摂取不良等により栄養状態が不良の患者
低フェニルアラニン血症の発現に注意すること。
- 9.1.2サプロプテリン塩酸塩に対し過敏症の既往歴のある患者
過敏症の発現に注意すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト母乳中への移行は不明であるが、サプロプテリンを用いた動物実験において、テトラヒドロビオプテリン(BH4)は乳汁中へ移行することが報告されている。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| ジヒドロ葉酸還元酵素阻害薬 • メトトレキサート • プララトレキサート • ペメトレキセド等 |
本剤の有効性が減弱する可能性があるため、血中フェニルアラニン濃度を確認し、必要に応じて食事からのタンパク摂取量を調節すること。 | これらの薬剤がジヒドロ葉酸還元酵素を阻害するため、ジヒドロビオプテリン(BH2)のBH4への代謝が阻害される可能性がある。 |
| サラゾスルファピリジン スルファメトキサゾール含有製剤 |
本剤の有効性が減弱する可能性があるため、血中フェニルアラニン濃度を確認し、必要に応じて食事からのタンパク摂取量を調節すること。 | これらの薬剤がセピアプテリン還元酵素を阻害するため、本剤のBH2への代謝が阻害されることで、BH4の生成が阻害される可能性がある。 |
| レボドパ含有製剤 | 興奮性、易刺激性が生じることがあるので、このような症状が認められた場合には、本剤の減量を検討するなど慎重に投与すること。 | 併用により相加的にカテコールアミンの産生が増加する可能性がある。 |
| 硝酸剤及びNO供与剤 • ニトログリセリン • 硝酸イソソルビド等PDE5阻害剤 • シルデナフィルクエン酸塩 • タダラフィル等 |
これらの薬剤の血圧低下作用が増強される可能性があるため、血圧等の患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。 | BH4は一酸化窒素合成酵素の補酵素として機能するため、併用により一酸化窒素を介した血管弛緩作用を増強させる可能性がある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| 上腹部痛 | 1〜5%未満 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 不安 | 1〜5%未満 |
| 便秘 | 1〜5%未満 |
| 嘔吐 | 1〜5%未満 |
| 変色便 | 頻度不明 |
| 悪心 | 1〜5%未満 |
| 斑状丘疹状皮疹 | 1〜5%未満 |
| 浮動性めまい | 1〜5%未満 |
| 消化不良 | 1〜5%未満 |
| 疲労 | 1〜5%未満 |
| 着色尿 | 1〜5%未満 |
| 腹痛 | 1〜5%未満 |
| 腹部不快感 | 1〜5%未満 |
| 腹部膨満 | 1〜5%未満 |
| 血中フェニルアラニン濃度低値注1) | 1〜5%未満 |
| 軟便 | 1〜5%未満 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 食欲減退 | 1〜5%未満 |
| 鼓腸 | 1〜5%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
セピアプテリンは、BH4の内因性前駆体である。 セピアプテリンは、細胞内でBH4に変換され、フェニルアラニン水酸化酵素の補酵素として作用する。また、セピアプテリン及びBH4は、フェニルアラニン水酸化酵素の薬理学的シャペロンとしても作用し、フェニルアラニン水酸化酵素の安定性を増加させる可能性がある。
18.2 効力を裏付ける試験
本剤をフェニルケトン尿症モデルマウスに経口投与したところ、フェニルアラニン水酸化酵素の活性が上昇し、血中フェニルアラニン濃度が低下した。
薬物動態
16.1 血中濃度
-
16.1.1単回投与
-
(1)健康成人
日本人健康成人に本剤20、40、60mg/kgを食後に単回投与したときのセピアプテリン及びBH4の薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。また、外国人健康成人3例にサプロプテリン20mg/kgを単回投与したときのBH4のCmax(幾何平均値)は80.29ng/mL、AUClast(幾何平均値)は603.7ng・h/mL、tmax(中央値)は2.0時間、消失半減期(幾何平均値)は5.3時間であった2)。
| 用量 (mg/kg) |
例数 | Cmax (ng/mL) |
AUClast (ng・h/mL) |
tmax (h) |
t1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|---|
| セピアプテリン | |||||
| 20 | 6 | 2.33 (29.2) |
11.1 (39.3) |
4.50 [3.00, 5.00] |
- |
| 40 | 6 | 3.33 (11.4)a) |
15.3 (34.3)a) |
3.02 [2.02, 5.02]a) |
- |
| 60 | 6 | 4.66 (33.8) |
22.8 (53.0) |
4.00 [2.00, 5.00] |
3.46b) |
| BH4 | |||||
| 20 | 6 | 476 (20.8) |
2920 (19.2) |
5.00 [4.00, 5.00] |
6.31 (12.2)c) |
| 40 | 6 | 552 (27.5)a) |
3420 (23.1)a) |
5.00 [4.05, 5.02]a) |
6.79 (20.8)d) |
| 60 | 6 | 511 (11.7) |
3280 (7.2) |
4.00 [3.00, 5.00] |
6.66 (21.8)a) |
幾何平均値(幾何CV%)、tmax:中央値[範囲]、2例以下は個別値、-:算出なし
a)4例、b)1例、c)5例、d)3例
- (2)フェニルケトン尿症患者
フェニルケトン尿症患者に本剤を経口投与したときの国際共同第Ⅲ相試験の投与1日目におけるセピアプテリン及びBH4の薬物動態パラメータは以下のとおりであった3)。
| 用量 (mg/kg) |
年齢 | 例数 | Cmax (ng/mL) |
AUC0-24h (ng・h/mL) |
|---|---|---|---|---|
| セピアプテリン | ||||
| 7.5 | 6カ月未満 | 1 | 1.21 | - |
| 30 | 1~2歳未満 | 5 | 3.33, 13.6b) | - |
| 60 | 2~6歳未満 | 7 | 1.54(17.2)c) | 2.81, 9.25b) |
| 6~12歳未満 | 4 | 2.57(103) | 10.9(221) | |
| 12~18歳未満 | 7 | 2.64(74.4)d) | 12.1(78.1)d) | |
| 18歳以上 | 20 | 2.31(47.2)e) | 12.9(81.2)f) | |
| BH4 | ||||
| 7.5 | 6カ月未満 | 1 | 207 | - |
| 15 | 6~12カ月未満 | 1 | 248 | 2410 |
| 30 | 1~2歳未満 | 5 | 194(40.1) | 1710(34.6)g) |
| 60 | 2~6歳未満 | 6 | 270(59.0)h) | 2580(54.3)h) |
| 6~12歳未満 | 4 | 392(49.1) | 3430(43.8) | |
| 12~18歳未満 | 7 | 298(88.2)d) | 2260(116)d) | |
| 18歳以上 | 20 | 436(40.4) | 3520(44.2) |
幾何平均値(幾何CV%)、2例以下は個別値、-:算出なし
a)本剤15mg/kg投与時に血漿中セピアプテリン濃度は定量下限未満であり、薬物動態パラメータの算出は困難であった。
b)2例、c)3例、d)6例、e)19例、f)17例、g)4例、h)5例
- 16.1.2反復投与
外国人健康成人に本剤60mg/kgを1日1回高脂肪食と7日間反復経口投与したときのセピアプテリン及びBH4の薬物動態パラメータは以下のとおりであった2)。
| 評価時点 | 例数 | Cmax (ng/mL) |
AUCa) (ng・h/mL) |
tmax (h) |
t1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|---|
| セピアプテリン | |||||
| 1日目 | 6 | 2.50 (41) |
20.32 (32.8) |
4.00 [2.00, 4.00] |
17.40b) |
| 7日目 | 6 | 2.72 (27) |
15.20 (38.0) |
3.00 [1.98, 4.00] |
3.90b) |
| BH4 | |||||
| 1日目 | 6 | 577.90 (29.4) |
4538 (27.1)c) |
4.00 [4.00, 8.03] |
3.76 (16) |
| 7日目 | 6 | 646.06 (35.8) |
4518 (45.8) |
4.00 [3.98, 4.03] |
3.38 (13) |
幾何平均値(幾何CV%)、tmax:中央値[範囲]、2例以下は個別値
a)セピアプテリンはAUClast、BH4は1日目がAUCinf、7日目がAUC0-24h
b)1例、c)5例
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
外国人健康成人14例に本剤60mg/kgを空腹時及び高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、セピアプテリンのCmax及びAUC0-24hの幾何平均値の比(高脂肪食摂取時/空腹時)は1.10及び1.97、BH4のCmax及びAUC0-24hの幾何平均値の比(高脂肪食摂取時/空腹時)は2.21及び2.84であった4)。
16.3 分布
セピアプテリン(0.1~10μmol/L)のヒト血漿タンパク結合率は0.0~31.4%であった(in vitro)5)。 フェニルケトン尿症患者等326例から得られた血漿中BH4濃度に基づく母集団薬物動態解析の結果、BH4の見かけの分布容積は5695Lと推定された6)。
16.4 代謝
セピアプテリンは、セピアプテリン還元酵素又はカルボニル還元酵素によりジヒドロビオプテリン(BH2)に変換され、BH2はジヒドロ葉酸還元酵素によりBH4に変換される7)。 外国人健康成人8例に本剤の14C標識体4000mg注2)を経口投与したとき、本剤投与後24時間までに、血漿中代謝物としてBH4、BH2に加え、主にジヒドロキサントプテリンが同定された8)。
16.5 排泄
外国人健康成人8例に本剤の14C標識体4000mg注2)を経口投与したとき、投与後240時間までの尿中及び糞中放射能の累積排泄率(平均値)は投与放射能の6.71%及び26.2%であった9)。
16.7 薬物相互作用
外国人健康成人29例に本剤20mg/kgとクルクミン(BCRP阻害薬)2gを単回併用投与したとき、セピアプテリン及びBH4のCmax及びAUClastの幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)は、セピアプテリンでは1.14及び1.36、BH4では1.24及び1.20であった。また、本剤60mg/kgとロスバスタチン(BCRP基質)10mgを単回併用投与したとき、ロスバスタチンのCmax及びAUClastの幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)は1.13及び1.02であった10)。
注2)本剤の承認用量は、2歳以上では1日1回60mg/kgである。