Clinical snapshot

スマトリプタン錠50mg「SPKK」

スマトリプタンコハク酸塩

添付文書改訂 2026年02月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2心筋梗塞の既往歴のある患者、虚血性心疾患又はその症状・兆候のある患者、異型狭心症(冠動脈攣縮)のある患者[不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれることがある]

  3. 2.3脳血管障害や一過性脳虚血性発作の既往のある患者[脳血管障害や一過性脳虚血性発作があらわれることがある]

  4. 2.4末梢血管障害を有する患者[症状を悪化させる可能性が考えられる]

  5. 2.5コントロールされていない高血圧症の患者[一過性の血圧上昇を引き起こすことがある]

  6. 2.6重篤な肝機能障害を有する患者

  7. 2.7エルゴタミン、エルゴタミン誘導体含有製剤、あるいは他の5-HT1B/1D受容体作動薬を投与中の患者

  8. 2.8モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAO阻害剤)を投与中、あるいは投与中止2週間以内の患者

効能・効果

片頭痛

用法・用量

通常、成人にはスマトリプタンとして1回50mgを片頭痛の頭痛発現時に経口投与する。 なお、効果が不十分な場合には、追加投与をすることができるが、前回の投与から2時間以上あけること。 また、50mgの経口投与で効果が不十分であった場合には、次回片頭痛発現時から100mgを経口投与することができる。 ただし、1日の総投与量を200mg以内とする。

使用上の注意

  1. 8.1心血管系の疾患が認められない患者においても、重篤な心疾患が極めてまれに発生することがある。

  2. 8.2片頭痛あるいは本剤投与により眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意すること。

  3. 8.3本剤を含むトリプタン系薬剤により、頭痛が悪化することがあるので、頭痛の改善を認めない場合には、「薬剤の使用過多による頭痛」1)の可能性を考慮し、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1虚血性心疾患の可能性のある患者

例えば、以下のような患者では不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれるおそれがある。

  • 虚血性心疾患を疑わせる重篤な不整脈のある患者

  • 閉経後の女性

  • 40歳以上の男性

  • 冠動脈疾患の危険因子を有する患者

  1. 9.1.2てんかん様発作の既往又は危険因子のある患者(脳炎等の脳疾患のある患者、痙攣の閾値を低下させる薬剤を使用している患者等)

てんかん様発作が発現したとの報告がある。

  1. 9.1.3スルホンアミド系薬剤に過敏症の既往歴のある患者

本剤はスルホンアミド基を有するため、交叉過敏症(皮膚の過敏症からアナフィラキシーまで)があらわれる可能性がある。

  1. 9.1.4コントロールされている高血圧症患者

一過性の血圧上昇や末梢血管抵抗の上昇がみられたとの報告がある。

  1. 9.1.5脳血管障害の可能性のある患者

脳血管障害があらわれるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

本剤は腎臓を介して排泄されるので、重篤な腎機能障害患者では血中濃度が上昇するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝機能障害患者

投与しないこと。本剤は主に肝臓で代謝されるので、重篤な肝機能障害患者では血中濃度が上昇するおそれがある。

  1. 9.3.2肝機能障害患者(重篤な肝機能障害患者を除く)

中等度の肝機能障害患者に本剤を投与したとき、健康成人と比較して血中濃度が上昇した。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

本剤投与後12時間は授乳しないことが望ましい。皮下投与後にヒト母乳中へ移行することが認められている2)(外国人データ)。

9.7 小児等

10歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

高い血中濃度が持続するおそれがある。本剤は主として肝臓で代謝され、腎臓で排泄されるが、高齢者では肝機能あるいは腎機能が低下していることが多い。

相互作用

  • 本剤は、主としてMAO-Aで代謝される。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
エルゴタミン
• エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン(クリアミン)エルゴタミン誘導体含有製剤
• ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩
エルゴメトリンマレイン酸塩(エルゴメトリンF)
メチルエルゴメトリンマレイン酸塩(パルタンM)
血圧上昇又は血管攣縮が増強されるおそれがある。
本剤投与後にエルゴタミンあるいはエルゴタミン誘導体含有製剤を投与する場合、もしくはその逆の場合は、それぞれ24時間以上の間隔をあけて投与すること。
5-HT1B/1D受容体作動薬との薬理的相加作用により、相互に作用(血管収縮作用)を増強させる。
5-HT1B/1D受容体作動薬
• ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)
エレトリプタン臭化水素酸塩(レルパックス)
リザトリプタン安息香酸塩(マクサルト)
ナラトリプタン塩酸塩(アマージ)
血圧上昇又は血管攣縮が増強されるおそれがある。
本剤投与後に他の5-HT1B/1D受容体作動型の片頭痛薬を投与する場合、もしくはその逆の場合は、それぞれ24時間以内に投与しないこと。
併用により相互に作用を増強させる。
MAO阻害剤
本剤の消失半減期(t1/2)が延長し、血中濃度−時間曲線下面積(AUC)が増加するおそれがあるので、MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止2週間以内の患者には本剤を投与しないこと。 MAO阻害剤により本剤の代謝が阻害され、本剤の作用が増強される可能性が考えられる。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
選択的セロトニン再取り込み阻害薬
• フルボキサミンマレイン酸塩
パロキセチン塩酸塩水和物
セルトラリン塩酸塩セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
• ミルナシプラン塩酸塩
デュロキセチン塩酸塩
セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、頻脈、発熱、反射亢進、協調運動障害、下痢等)があらわれることがある。 セロトニンの再取り込みを阻害し、セロトニン濃度を上昇させる。よって本剤との併用により、セロトニン作用が増強する可能性が考えられる。
痙攣の閾値を低下させる薬剤
てんかん様発作がおこることがある。 痙攣の閾値を低下させる可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ジストニア 頻度不明
しびれなどの感覚鈍麻等) 頻度不明
ちらつき 頻度不明
ひっ迫感注) 頻度不明
めまい 頻度不明
レイノー現象 頻度不明
一過性の血圧上昇 頻度不明
一過性の視力低下 頻度不明
乳房痛 頻度不明
低血圧 頻度不明
倦怠感 頻度不明
冷感注) 頻度不明
動悸 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咽喉頭痛 頻度不明
嘔吐 頻度不明
圧迫感注) 頻度不明
徐脈 頻度不明
悪心 頻度不明
感覚障害(錯感覚 頻度不明
振戦 頻度不明
暗点 頻度不明
潮紅 1%未満
熱感注) 1%未満
痛み(胸痛 頻度不明
発疹等の皮膚症状 頻度不明
眠気 頻度不明
眼振 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
肝機能障害 1%未満
背部痛 頻度不明
脱力感 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
虚血性大腸炎 頻度不明
複視 頻度不明
視野狭窄 頻度不明
重感注) 頻度不明
関節痛 頻度不明
頚部痛等)注) 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

スマトリプタンは5-HT1受容体、特に5-HT1B、5-HT1D受容体に作用して、頭痛発作時に過度に拡張した頭蓋内外の血管を収縮させることにより片頭痛を改善すると考えられる12),13),14),15),16),17)。 また、三叉神経に作用して、神経末端からのCGRP(calcitonin gene-related peptide)など起炎性ペプチドの放出を抑制することも、片頭痛の緩解に寄与していると考えられる18)。

18.2 5-HT1受容体に対する作用

本薬は、in vitroのレセプターバインディング試験において5-HT1B、5-HT1D受容体に対して選択的に高い親和性を示したが、5-HT2、5-HT3や他の受容体に対してはほとんど親和性を示さなかった19)。また、in vitroにおいて、5-HT1受容体を有する摘出イヌ伏在静脈に対して濃度依存的な収縮作用を示し、その収縮は、5-HT1受容体拮抗薬メチオテピンで抑制されたが、5-HT2、5-HT3受容体や他の受容体の拮抗薬によってはほとんど影響されなかった20)。

18.3 各種摘出血管に対する作用

In vitroにおいて、イヌ及びヒトの摘出脳底動脈、ヒト摘出中硬膜動脈、ヒト側頭動脈、ヒト大脳動脈及びヒト摘出硬膜内の動脈を濃度依存的(1pM〜100μM)に収縮させた12),13),14),15)。これらの収縮は、5-HT1B/1D受容体の選択的拮抗薬であるGR55562やこれより選択性の劣る5-HT1受容体拮抗薬メチオテピンで抑制された(in vitro)12),13),14),15)。一方、イヌ冠動脈や大腿動脈などの末梢血管に対してはほとんど作用を示さなかった(in vitro)21)。ヒト摘出冠動脈に対しては、TXA2類似薬であるU-46619の0.1μMに対して最大約10%程の弱い収縮作用を示した(in vitro)22)。

18.4 麻酔動物の血管床に対する作用

麻酔したイヌに十二指腸内投与(0.01〜10mg/kg)すると、血圧、心拍数にはほとんど影響をおよぼさずに、用量依存的な頚動脈血管抵抗の上昇が認められた16)。静脈内投与(0.1〜1000μg/kg)によっても同様な頚動脈血管抵抗の上昇が認められたが、大動脈、冠動脈、腎動脈、上腸間膜動脈等に対しては、ほとんど作用を示さないか、示してもわずかであった16)。また、頚動脈血管抵抗上昇作用は、5-HT1受容体拮抗薬で抑制された。同様の結果が、ネコでも得られている16)。

18.5 脳循環に対する作用

片頭痛発作時の成人患者に3mg又は6mgを皮下投与すると、臨床症状の改善と相関して、内頚動脈と中大脳動脈の血流速度が用量依存的に増加することが報告されている(外国人データ)17)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人男性にスマトリプタン50mg及び100mgを単回経口投与した時の血漿中スマトリプタン濃度は下記のとおりである。血漿中濃度推移は2峰性を示した。スマトリプタンは速やかに吸収され、最初のピークは投与後1.5時間までに認められた。第2のピークは投与後2~3時間の間に認められ、消失半減期は約2時間であった。Cmax及びAUC0−∞は投与量の増加と共に増加した。また、Cmax及びAUC0−∞には個体間差が認められた。 なお、健康成人男性にスマトリプタン50mg及び100mgを単回経口投与した時の薬物動態パラメータは下記のとおりであり、日本人と外国人の成績に大きな差は認められなかった(外国人データ)。

図1 健康成人における単回投与時の血漿中スマトリプタン濃度(平均値±標準偏差)

対象 投与量 Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
Cmax
(ng/mL)
AUC0−∞
(ng・hr/mL)
日本人 50mg(16例) 1.8±0.9 2.2±0.3 32.6±8.4 117.8±23.7
100mg(16例) 2.0±0.9 2.4±0.5 58.2±17.2 234.7±56.4
外国人 50mg(19例) 1.5±0.8 2.3±0.4 29.3±9.3 100.4±30.2
100mg(18例) 2.3±0.8 2.2±0.5 51.5±16.4 197.5±58.2

平均値±標準偏差

  1. 16.1.2反復投与

健康成人男性にスマトリプタン50mg及び100mgを1日1回5日間反復経口投与した時、蓄積性は認められなかった3)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人男性にスマトリプタン200mgを空腹時及び食後単回経口投与した時、食後投与では空腹時投与と比較してTmaxは30分程度遅延したが、Cmax、t1/2及びAUC0−∞は同様の値を示した(外国人データ)。

  1. 16.2.2バイオアベイラビリティ

経口投与した時の皮下投与に対する相対的生物学的利用率は約14%であった4)(外国人データ)。

16.3 分布

In vitroでのヒト血漿蛋白結合率は約34%であった。

16.4 代謝

本剤は、主にMAO-Aにより代謝されると考えられる5)。

16.5 排泄

健康成人男性にスマトリプタン50mg及び100mgを単回経口投与した時の投与後24時間までの未変化体及びインドール酢酸体の尿中排泄率は、それぞれ約2%及び約40%であった。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者

中等度の肝機能障害患者にスマトリプタン50mgを単回経口投与した時、健康成人と比較してCmax及びAUC0−∞は約1.8倍に上昇した(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1MAO-A阻害剤(モクロベミド)

MAO-A阻害剤(モクロベミド)を予め単回経口投与することにより、本剤経口投与時のAUCは約4.4倍に増加し、消失半減期が約1.4倍に延長した6)(外国人データ)。

  1. 16.7.2その他の薬剤

β遮断薬(プロプラノロール)、Ca拮抗薬(フルナリジン)あるいはアルコールとの併用投与において、スマトリプタンの薬物動態に変化は認められなかった7),8)(外国人データ)。