脊髄性筋萎縮症
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
- 〈スピンラザ髄注50mg/28mg〉
*通常、ヌシネルセンとして、初回及び初回投与2週間後に50mgを投与し、以降4ヵ月の間隔で28mgの投与を行うこととし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること。
- 〈スピンラザ髄注12mg〉 〈乳児型脊髄性筋萎縮症、臨床所見は発現していないが遺伝子検査により発症が予測される脊髄性筋萎縮症〉
通常、ヌシネルセンとして、1回につき下表の用量を投与する。初回投与後、2週、4週及び9週に投与し、以降4ヵ月の間隔で投与を行うこととし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること。
- 〈スピンラザ髄注12mg〉 〈乳児型以外の脊髄性筋萎縮症〉
通常、ヌシネルセンとして、1回につき下表の用量を投与する。初回投与後、4週及び12週に投与し、以降6ヵ月の間隔で投与を行うこととし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること。
| 各投与時の日齢 | 用量 | 投与液量 |
|---|---|---|
| 0~90日齢 | 9.6mg | 4mL |
| 91~180日齢 | 10.3mg | 4.3mL |
| 181~365日齢 | 10.8mg | 4.5mL |
| 366~730日齢 | 11.3mg | 4.7mL |
| 731日齢~ | 12mg | 5mL |
使用上の注意
-
8.1本剤の投与は、脊髄性筋萎縮症の診断及び治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで行うこと。
-
8.2生後3~42日齢の乳児を対象とした臨床試験では、生後52~242日齢の乳児を対象とした臨床試験と比較して脳脊髄液中薬物濃度が約5倍高値を示した。新生児期又は乳児期早期の患者に本剤を投与する場合には、患者の状態を慎重に観察すること。
-
8.3海外で他のアンチセンスオリゴヌクレオチド製剤の皮下又は静脈内投与後に重度の急性血小板減少症を含む凝固系異常及び血小板数減少が報告されている。本剤においても血小板数減少が認められているため、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に血算(血小板数)及び凝固能検査を行うこと。
-
8.4海外で他のアンチセンスオリゴヌクレオチド製剤の皮下又は静脈内投与後に腎障害が報告されている。また、本剤においても蛋白尿の上昇が認められているため、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に腎機能検査を行うこと。
-
8.5海外で他のアンチセンスオリゴヌクレオチド製剤の皮下又は静脈内投与後に肝障害が認められているため、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に肝機能検査を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1抗凝固剤又は抗血小板薬を投与している患者、出血又は出血傾向のある患者
出血又は出血の増悪があらわれるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
ヌシネルセン及び代謝物の排泄が遅延するおそれがある。なお、臨床試験では除外されている。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
授乳中の女性には、本剤投与中は治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行は不明だが、マウスで乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
早産児では脳脊髄液量が少ないため、脳脊髄液中濃度が上昇するおそれがある。
相互作用
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| CSF蛋白増加 | 1%未満 |
| ウイルス感染 | 1%未満 |
| カタル | 1%未満 |
| 不快気分 | 1%未満 |
| 不眠症 | 1%未満 |
| 体温上昇 | 1%未満 |
| 体温低下 | 1%未満 |
| 便失禁 | 1%未満 |
| 処置による疼痛 | 1%未満 |
| 処置後腫脹 | 1%未満 |
| 吐き気 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 嘔吐) | 頻度不明 |
| 好酸球増加症 | 1%未満 |
| 寝汗 | 1%未満 |
| 尿中結晶陽性 | 頻度不明 |
| 尿蛋白 | 1%未満 |
| 平衡障害 | 1%未満 |
| 悪心 | 1%未満 |
| 末梢冷感 | 1%未満 |
| 注意力障害 | 1%未満 |
| 浮動性めまい | 1%未満 |
| 湿性咳嗽 | 1%未満 |
| 発声障害 | 1%未満 |
| 発熱 | 頻度不明 |
| 発疹等) | 頻度不明 |
| 皮膚疼痛 | 1%未満 |
| 眼振 | 1%未満 |
| 筋力低下 | 1%未満 |
| 筋肉痛 | 1%未満 |
| 紅斑性皮疹 | 1%未満 |
| 背部痛 | 頻度不明 |
| 腰椎穿刺後症候群(頭痛 | 頻度不明 |
| 蕁麻疹 | 頻度不明 |
| 蜂巣炎 | 1%未満 |
| 血管炎 | 1%未満 |
| 誤嚥性肺炎 | 頻度不明 |
| 貧血 | 1%未満 |
| 貧血母斑 | 1%未満 |
| 過敏症(血管浮腫 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 頻脈 | 頻度不明 |
| 食欲亢進 | 1%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ヌシネルセンはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、SMN2 mRNA前駆体のイントロン7に結合し、エクソン7のスキッピングを抑制することで、エクソン7含有SMN2 mRNAを生成させ、完全長SMNタンパクを発現させることにより脊髄性筋萎縮症に対する作用を示すと考えられている8),9) 。
18.2 薬理作用
- 18.2.1SMAマウスモデル
内因性Smnを欠失等させた上でヒトSMN2遺伝子を導入したトランスジェニックマウスにおいて、完全長SMNタンパク発現量の増加、握力の改善、生存期間の延長等が認められた10),11) 。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 〈スピンラザ髄注50mg/28mg〉
- 16.1.1脊髄性筋萎縮症(7ヵ月齢未満の外国人乳児)における血漿中及び脳脊髄液中濃度1)
*脊髄性筋萎縮症と診断された7ヵ月齢未満の外国人乳児50例に、初回及び15日目に50mgを投与し、135日目及び279日目に28mgを維持投与したとき、血漿中及び脳脊髄液中本薬トラフ濃度の推移並びに血漿中本薬の薬物動態パラメータは表16-1及び表16-2のとおりであった。
| 評価時期 | 血漿中濃度 | CSF中濃度 | ||
|---|---|---|---|---|
| 評価例数 | トラフ濃度 (ng/mL) |
評価例数 | トラフ濃度 (ng/mL) |
|
| 15日目 | 47 | 6.62±2.31 | 44 | 10.79±8.32 |
| 64日目 | 40 | 7.70±4.11 | −注1) | −注1) |
| 135日目 | 42 | 4.10±2.40 | 39 | 10.39±7.65 |
| 183日目 | 40 | 5.12±2.44 | −注1) | −注1) |
| 279日目 | 35 | 2.27±1.18 | 29 | 8.65±4.77 |
| 302日目 | 34 | 4.23±1.93 | −注1) | −注1) |
平均値±標準偏差 注1)測定せず
| 評価例数 | Cmax注3) (ng/mL) |
Tmax注2), 注3) (h) |
AUC0-8h (ng・h/mL) |
AUC0-24h注3) (ng・h/mL) |
|---|---|---|---|---|
| 40注4) | 4410.4±2604.03 | 2.1 [1.0, 23] |
22588.9±11661.65 | 45332.4±18249.34 |
平均値±標準偏差 注2)中央値[最小値, 最大値] 注3)投与前、投与後2、4、8及び24時間時点の血漿中濃度から算出した。 注4)Cmax、Tmax及びAUC0-24hは37例
- 〈スピンラザ髄注50mg/28mg〉
- 16.1.2脊髄性筋萎縮症(2~9歳の外国人小児)における血漿中及び脳脊髄液中濃度1)
*脊髄性筋萎縮症と診断された2~9歳の外国人小児16例に、初回及び15日目に50mgを投与し、135日目及び279日目に28mgを維持投与したとき、血漿中及び脳脊髄液中本薬トラフ濃度の推移並びに血漿中本薬の薬物動態パラメータは表16-3及び表16-4のとおりであった。
| 評価時期 | 血漿中濃度 | CSF中濃度 | ||
|---|---|---|---|---|
| 評価例数 | トラフ濃度 (ng/mL) |
評価例数 | トラフ濃度 (ng/mL) |
|
| 15日目 | 16 | 3.3±0.87 | 16 | 8.9±4.48 |
| 64日目 | 16 | 3.5±2.08 | −注1) | −注1) |
| 135日目 | 16 | 1.7±0.79 | 15 | 9.2±6.49 |
| 183日目 | 16 | 2.5±1.38 | −注1) | −注1) |
| 279日目 | 15 | 0.9±0.60 | 13 | 9.7±5.53 |
| 302日目 | 14 | 1.9±1.08 | −注1) | −注1) |
平均値±標準偏差 注1)測定せず
| 評価例数 | Cmax注3) (ng/mL) |
Tmax注2), 注3) (h) |
AUC0-8h (ng・h/mL) |
AUC0-24h注3) (ng・h/mL) |
|---|---|---|---|---|
| 16 | 2433.9±1378.27 | 4.0 [2.0, 8.0] |
11623.2±5197.80 | 22394.2±7416.40 |
平均値±標準偏差 注2)中央値[最小値, 最大値] 注3)投与前、投与後2、4、8及び24時間時点の血漿中濃度から算出した。
- 〈スピンラザ髄注50mg/28mg〉
- 16.1.3脊髄性筋萎縮症(日本人及び外国人小児あるいは成人)における血漿中及び脳脊髄液中濃度1)
*既承認の用量(12mg)を1年以上投与されている脊髄性筋萎縮症と診断された日本人及び外国人小児あるいは成人40例に、直近の12mgの投与から4ヵ月後に50mgを投与し、121日目及び241日目に28mgを維持投与したとき、血漿中及び脳脊髄液中本薬トラフ濃度の推移は表16-5のとおりであった。
| 評価時期 | 血漿中濃度 | CSF中濃度 | ||
|---|---|---|---|---|
| 評価例数 | トラフ濃度 (ng/mL) |
評価例数 | トラフ濃度 (ng/mL) |
|
| 1日目 | 34 | 0.25±0.15 | 39 | 16.91±9.27 |
| 121日目 | 33 | 0.57±0.35 | 38 | 19.01±9.70 |
| 241日目 | 35 | 0.53±0.35 | 39 | 20.14±10.45 |
| 302日目 | 34 | 0.72±0.42 | −注1) | −注1) |
平均値±標準偏差 注1)測定せず
- 〈スピンラザ髄注12mg〉
- 16.1.4脊髄性筋萎縮症(7ヵ月齢未満の日本人及び外国人乳児)における血漿中及び脳脊髄液中濃度2)
脊髄性筋萎縮症と診断された7ヵ月齢未満の日本人及び外国人乳児121例に、用法・用量に従い1回12mg相当量の本剤を初回投与後、15、29及び64日目に投与し、以降4ヵ月に1回維持投与したとき、血漿中及び脳脊髄液中本薬トラフ濃度の推移並びに血漿中本薬の薬物動態パラメータは表16-6及び表16-7のとおりであった。
| 評価時期 | 血漿中濃度 | CSF中濃度 | ||
|---|---|---|---|---|
| 評価例数 | トラフ濃度 (ng/mL) |
評価例数 | トラフ濃度 (ng/mL) |
|
| 15日目 | −注1) | −注1) | 68 | 3.96±2.33 |
| 29日目 | 67 | 2.34±0.96 | 69 | 5.58±3.49 |
| 64日目 | 55 | 2.33±0.94 | 56 | 6.68±4.42 |
| 183日目 | 34 | 1.62±3.14 | 36 | 6.72±2.72 |
| 302日目 | 20 | 0.84±0.33 | 19 | 11.2±6.92 |
平均値±標準偏差 注1)測定せず
| 評価例数 | Cmax (ng/mL) |
Tmax注2) (h) |
AUC0-4h (ng・h/mL) |
AUC0-24h注3) (ng・h/mL) |
|---|---|---|---|---|
| 76注4) | 1103±854 | 2.00 [1.00, 24.0] |
2811±1864 | 10075±4833 |
平均値±標準偏差 注2)中央値[最小値, 最大値] 注3)投与前、投与後1、2、4及び24時間時点の血漿中濃度から算出した。 注4)AUC0-4hは75例、AUC0-24hは72例
- 〈スピンラザ髄注12mg〉
- 16.1.5脊髄性筋萎縮症(2~9歳の日本人及び外国人小児)における血漿中及び脳脊髄液中濃度3)
脊髄性筋萎縮症と診断された2~9歳の日本人及び外国人小児84例に、1回12mgの本剤を初回投与後、29、85及び274日目に投与したとき血漿中及び脳脊髄液中本薬トラフ濃度の推移並びに血漿中本薬の薬物動態パラメータは表16-8及び表16-9のとおりであった。
| 評価時期 | 血漿中濃度 | CSF中濃度 | ||
|---|---|---|---|---|
| 評価例数 | トラフ濃度 (ng/mL) |
評価例数 | トラフ濃度 (ng/mL) |
|
| 29日目 | 84 | 0.701±0.335 | 81 | 3.11±1.32 |
| 85日目 | 83 | 0.926±0.541 | 81 | 4.62±2.09 |
| 274日目 | 72 | 0.343±0.148 | 74 | 4.66±2.03 |
平均値±標準偏差
| 評価例数 | Cmax (ng/mL) |
Tmax注1) (h) |
AUC0-8h (ng・h/mL) |
AUC0-24h注2) (ng・h/mL) |
|---|---|---|---|---|
| 84注3) | 350±181 | 3.90 [1.70, 8.00] |
1783±840 | 3523±1288 |
平均値±標準偏差 注1)中央値[最小値, 最大値] 注2)投与前、投与後2、4、8及び24時間時点の血漿中濃度から算出した。 注3)AUC0-24hは45例
- 〈スピンラザ髄注12mg〉
- 16.1.6臨床所見は発現していないが遺伝子検査により発症が予測される脊髄性筋萎縮症(43日齢未満の外国人乳児)における血漿中及び脳脊髄液中濃度4)
遺伝子検査によりSMN1遺伝子の欠失又は変異を有し、臨床所見は発現していない3~42日齢の外国人脊髄性筋萎縮症患者25例に、用法・用量に従い1回12mg相当量の本剤を初回投与後、15、29及び64日目に投与し、以降4ヵ月に1回維持投与したときの初回投与4時間時点での血漿中本薬濃度(平均値±標準偏差)は524.8±387.8ng/mLであった。血漿中及び脳脊髄液中本薬トラフ濃度の推移は表16-10のとおりであり、投与開始421~1611日目までの血漿中及び脳脊髄液中本薬トラフ濃度(平均値の範囲)は、それぞれ0.6~0.8ng/mL及び10.70~13.62ng/mLであった。
| 評価時期 | 血漿中濃度 | CSF中濃度 | ||
|---|---|---|---|---|
| 評価例数 | トラフ濃度 (ng/mL) |
評価例数 | トラフ濃度 (ng/mL) |
|
| 15日目 | −注) | −注) | 24 | 14.52±11.28 |
| 29日目 | −注) | −注) | 24 | 29.40±20.11 |
| 64日目 | 25 | 1.7±0.74 | 21 | 20.23±11.21 |
| 183日目 | 23 | 0.8±0.21 | 23 | 14.62±8.86 |
| 302日目 | 23 | 0.9±0.40 | 25 | 11.94±6.47 |
平均値±標準偏差 注)測定せず
16.3 分布
ヒト血漿蛋白結合率は94-96%であった5),6) 。
16.4 代謝
ヌシネルセンは、エキソヌクレアーゼによる加水分解を介して緩徐に代謝される。
16.5 排泄
主な排泄経路は尿中であり、ヌシネルセン又は代謝物として排泄される。脳脊髄液中の半減期は135~177日であった7) (外国人のデータ)。