Clinical snapshot

スピリーバ1.25μgレスピマット60吸入

チオトロピウム臭化物水和物

添付文書改訂 2022年06月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1閉塞隅角緑内障の患者 [眼内圧を高め、症状を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2前立腺肥大等による排尿障害のある患者 [更に尿を出にくくすることがある。]

  3. 2.3アトロピン及びその類縁物質あるいは本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 〈スピリーバ1.25μgレスピマット60吸入〉

下記疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解

  • 気管支喘息

  • 〈スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入〉

下記疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解

  • 慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)、気管支喘息

用法・用量

  • 〈慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解〉

通常、成人にはスピリーバ2.5μgレスピマット1回2吸入(チオトロピウムとして5μg)を1日1回吸入投与する。

  • 〈気管支喘息の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解〉

通常、成人にはスピリーバ1.25μgレスピマット1回2吸入(チオトロピウムとして2.5μg)を1日1回吸入投与する。 なお、症状・重症度に応じて、スピリーバ2.5μgレスピマット1回2吸入(チオトロピウムとして5μg)を1日1回吸入投与する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1用法及び用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、本剤が適当ではないと考えられるので、漫然と投与を継続せず中止すること。

  2. 8.2吸入薬の場合、薬剤の吸入により気管支痙攣が誘発される可能性があるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  3. 8.3本剤の投与時に、本剤が眼に入らないように患者に注意を与えること。また、結膜の充血及び角膜浮腫に伴う赤色眼とともに眼痛、眼の不快感、霧視、視覚暈輪あるいは虹輪が発現した場合、急性閉塞隅角緑内障の徴候の可能性がある。これらの症状が発現した場合には、可及的速やかに医療機関を受診するように患者に注意を与えること。

  4. 8.4急性症状を緩和するためには、短時間作用性吸入β2刺激薬等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。また、その薬剤の使用量が増加したり、あるいは効果が十分でなくなってきた場合には、疾患の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し医師の治療を求めるよう患者に注意を与えること。

  • 〈気管支喘息〉
  1. 8.5気管支喘息治療の基本は、吸入ステロイド剤等の抗炎症剤であり、本剤は抗炎症剤ではないため、患者が本剤の使用により症状改善を感じた場合であっても、医師の指示なく吸入ステロイド剤等を減量又は中止し、本剤を単独で用いることのないよう、患者に注意を与えること。

  2. 8.6短時間作用性吸入β2刺激薬等の急性症状を緩和するための薬剤の使用量が増加したり、効果が十分でなくなってきた場合には、患者の生命が脅かされる可能性があるので、吸入ステロイド剤等の増量等の抗炎症療法の強化を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心不全、心房細動、期外収縮の患者、又はそれらの既往歴のある患者

心不全、心房細動、期外収縮が発現することがある。

  1. 9.1.2前立腺肥大(排尿障害がある場合を除く)のある患者

排尿障害が発現するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎機能が高度あるいは中等度低下している患者(クレアチニンクリアランス値が50mL/min以下の患者)

血中濃度の上昇がみられる。本剤は腎排泄型である。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎児に移行することが認められている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

副作用の発現に注意すること。一般に腎クリアランス等の生理機能が低下しており、血中濃度が上昇するおそれがある。また、チオトロピウム粉末吸入剤の臨床試験で口渇は高齢者でより高い発現率が認められている。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
クレアチニン上昇 頻度不明
じん麻疹 1%未満
そう痒 1%未満
上室性頻脈 1%未満
不眠 頻度不明
便秘 頻度不明
動悸 1%未満
口内炎 頻度不明
口渇(1.9%) 頻度不明
味覚倒錯 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
咽喉刺激感 1%未満
咽頭炎 頻度不明
喘鳴 頻度不明
嗄声 1%未満
嗅覚錯誤 頻度不明
夜間頻尿 頻度不明
好酸球増多 頻度不明
尿閉 頻度不明
排尿障害 頻度不明
浮動性めまい 1%未満
消化不良 頻度不明
発疹 1%未満
白血球減少 頻度不明
眼圧上昇 頻度不明
脱毛 頻度不明
腎機能異常 頻度不明
舌炎 頻度不明
血尿 頻度不明
過敏症(血管浮腫を含む) 頻度不明
霧視 頻度不明
頻脈 頻度不明
高尿酸血症 頻度不明
鼻出血 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

チオトロピウムは長時間持続型の選択的ムスカリン受容体拮抗薬であり、気道においては、気道平滑筋のM3受容体に対するアセチルコリンの結合を阻害して気管支収縮抑制作用を発現する。

18.2 ムスカリン受容体に対する作用

ムスカリン受容体のサブタイプであるM1~M5受容体にほぼ同程度の親和性を示す10)。摘出標本を用いた検討により、気管支収縮に対する抑制作用(M3受容体拮抗作用)はアセチルコリン遊離増強作用(M2受容体拮抗作用)に比べ持続することが明らかとなっている。このことから、M3受容体からの解離はM2受容体からの解離に比べて遅いと考えられ31)、レセプターの解離速度の面からはM3受容体に対する選択性が高いと考えられる。また、M3受容体からの解離はイプラトロピウム臭化物水和物よりもさらに遅い32)。

18.3 気管支収縮抑制作用

摘出標本(モルモット31)、ヒト31))において、メサコリンあるいはフィールド電気刺激による収縮反応に対して抗コリン作用によると考えられる用量依存的な気管支収縮抑制作用を示す。また、生体位(モルモット33)、ウサギ34)、イヌ34))においても、アセチルコリンにより誘発した気管支収縮に対して抗コリン作用によると考えられる用量依存的な収縮抑制作用を示す。

18.4 作用持続時間

摘出標本(モルモット31),35))におけるフィールド電気刺激による収縮に対する抑制作用及び生体位(モルモット33),35))におけるアセチルコリンによる気管収縮に対する抑制作用はイプラトロピウム臭化物水和物及びオキシトロピウム臭化物よりも持続的である。また、摘出標本(ヒト31))及び生体位(イヌ34))においても、気管支収縮抑制作用は持続的である。摘出標本及び生体位(ウサギ、イヌ)において示された気管支収縮抑制作用は、24時間以上持続する34),35)。この長時間持続する作用は本剤のM3受容体からの解離がきわめて遅いことに基づくと考えられる32)。

薬物動態

16.1 血中濃度

チオトロピウム臭化物は本剤を吸入投与後5分で最高血漿中濃度に到達した1)(外国人データ)。 定常状態における、日本人慢性閉塞性肺疾患患者の本剤5μg吸入投与10分後の血漿中濃度は17.1pg/mLであり、トラフ濃度は2.00pg/mL、AUCτ,ssは94.3pg・h/mL、AUC0-4,ssは30.4pg・h/mLであった2)。 定常状態において、喘息患者に本剤5μgを吸入投与したとき、チオトロピウムは吸入投与5分後に最高血漿中濃度5.15pg/mLに到達した4)(外国人データ)。

16.2 吸収

健康成人に本剤を吸入投与したとき、投与量の33%が全身循環血中に吸収されることが尿中排泄データから示された1),3)。チオトロピウムは4級アンモニウム化合物のため経口投与後に消化管からはほとんど吸収されず、溶液で経口投与されたチオトロピウムのバイオアベイラビリティは2-3%であった3)。なお、AUC及び尿中排泄量のチオトロピウム粉末吸入剤18μg投与時に対する本剤5μg投与時の比の90%信頼区間は生物学的同等性の基準の80-125%の範囲内であった2)。

16.3 分布

血漿蛋白との結合率(in vitro試験)は72%で5)、分布容積は32L/kgであった3)(外国人データ)。 14C-チオトロピウム10mg/kgを気管内投与注)した場合、肺、消化管のほかに肝臓、腎臓、膵臓に高い放射能濃度が認められたが、脳には移行しなかった6),7)(ラット)。また、乳汁中に移行した8)(ラット)。 注)本剤の承認された用法及び用量は、慢性閉塞性肺疾患では、通常、成人にはチオトロピウムとして5μg、気管支喘息では、通常、成人にはチオトロピウムとして2.5μg、症状・重症度に応じてチオトロピウムとして5μgを1日1回吸入投与である。

16.4 代謝

健康成人にチオトロピウム14.4μgを静脈内投与注)したとき、尿中未変化体排泄率は投与量の74%であり、チオトロピウムの代謝はわずかであった3)。エステル化合物であるチオトロピウム臭化物は、非酵素的にエステル結合が加水分解され、N-メチルスコピン及びジチニールグリコール酸の生成がみられた9)。これらの代謝物はムスカリン受容体に親和性を示さなかった10)。また、ヒト肝ミクロソーム及びヒト肝細胞を用いた試験でチトクロームP-450によって酸化された代謝物及びそのグルタチオン抱合体がわずかにみられた11),12)。 この代謝はCYP2D6及び3A4の阻害薬により抑制されたことから、チオトロピウムの消失のごく一部にCYP2D6及び3A4が関与していると考えられた11)。チオトロピウムは治療濃度以上であっても、CYP1A1、1A2、2B6、2C9、2C19、2D6、2E1及び3Aのいずれの活性に対しても影響を与えなかった13)(外国人データ)。 注)本剤の承認された用法及び用量は、慢性閉塞性肺疾患では、通常、成人にはチオトロピウムとして5μg、気管支喘息では、通常、成人にはチオトロピウムとして2.5μg、症状・重症度に応じてチオトロピウムとして5μgを1日1回吸入投与である。

16.5 排泄

定常状態における、日本人慢性閉塞性肺疾患患者の本剤5μg吸入投与後4時間までの尿中排泄量は0.342μg、尿中未変化体排泄率は6.84%であった2)。健康成人及び慢性閉塞性肺疾患患者に粉末吸入剤吸入投与後の終末相における尿中未変化体排泄速度から算出した消失半減期は5~6日であった3),14)(外国人データ)。健康成人にチオトロピウムを静脈内投与注)したとき、全身クリアランスは880mL/minで3)、尿中未変化体排泄率は74%であった3)(外国人データ)。本剤吸入投与後の尿中排泄率は20.1-29.4%であった1)(外国人データ)。 喘息患者での累積係数から算出した半減期は34時間であった4)。また、本剤5μg投与後の定常状態時の投与24時間までの尿中未変化体排泄率は11.9%であった4)(外国人データ)。 腎クリアランス値がクレアチニンクリアランス値より大きいことから3),14)、チオトロピウム臭化物の尿中への分泌が示唆された。慢性閉塞性肺疾患患者及び喘息患者に1日1回本剤を連続投与すると、7日目に定常状態に達し、蓄積はみられなかった4),15)(外国人データ)。 注)本剤の承認された用法及び用量は、慢性閉塞性肺疾患では、通常、成人にはチオトロピウムとして5μg、気管支喘息では、通常、成人にはチオトロピウムとして2.5μg、症状・重症度に応じてチオトロピウムとして5μgを1日1回吸入投与である。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能低下患者

他の腎排泄型の薬剤と同様、腎機能低下患者においては、チオトロピウムの静脈内投与注)16)及び粉末吸入剤吸入投与17)後の血漿中未変化体濃度は上昇し、腎クリアランスは低下した(外国人データ)。軽度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランスが50~80mL/minの患者)において、チオトロピウム4.8μgを静脈内投与注)後のAUC0-4hは健康成人に比較して39%高い値を示した16)(外国人データ)。また、高度あるいは中等度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランスが50mL/min未満の患者)においては血漿中未変化体濃度は約2倍高い値を示した(AUC0-4hは82%高かった)16)(外国人データ)。健康成人及び腎機能低下患者における薬物動態パラメータは以下のとおりであった16)(外国人データ)。

例数 クレアチニン
クリアランス
(mL/min)
Cmax
(pg/mL)
AUC0-4h
(pg・hr/mL)
総尿中未変化体排泄率
(% of dose)
腎クリアランス
(mL/min)
健康成人 6 >80 147
(103~186)
55.5
(43.2~69.4)
60.1
(44.8~76.5)
435
(348~497)
腎機能低
下患者
5 50~80 200
(129~287)
77.1
(60.9~105)
59.3
(49.7~74.0)
246
(150~341)
7 30~50 223
(162~314)
101
(69.4~156)
39.9
(25.9~65.3)
124
(98.3~171)
6 <30 223
(176~269)
108
(76.3~145)
37.4
(34.2~41.7)
85.7
(68.4~128)

幾何平均値 表中括弧内の数値は範囲を示す。

腎機能が軽度低下している喘息患者(クレアチニンクリアランスが50~80mL/minの患者、海外)においては、腎機能が正常な喘息患者と比較して、チオトロピウムの曝露量の増加は認められなかった4)(外国人データ)。 注)本剤の承認された用法及び用量は、慢性閉塞性肺疾患では、通常、成人にはチオトロピウムとして5μg、気管支喘息では、通常、成人にはチオトロピウムとして2.5μg、症状・重症度に応じてチオトロピウムとして5μgを1日1回吸入投与である。

  1. 16.6.2高齢者

高齢者に粉末吸入剤を吸入投与したとき、チオトロピウムの腎クリアランスは低下した(腎クリアランスは58歳以下の慢性閉塞性肺疾患患者で326mL/min、69歳以上の慢性閉塞性肺疾患患者で163mL/min)が、これは加齢に伴う腎機能の低下によるものと考えられた14)(外国人データ)。 若年健康成人(平均年齢32.1歳)にチオトロピウム粉末吸入剤を吸入投与したときの尿中未変化体排泄率は14%であった2)が、慢性閉塞性肺疾患患者(平均年齢63.8歳)にチオトロピウム粉末吸入剤を吸入投与したときの尿中未変化体排泄率は7%であり17)、若年健康成人に比較して低い値であった(外国人データ)。 一方、高齢者にチオトロピウム粉末吸入剤を1日1回反復吸入投与後のAUC0-4hは非高齢者(海外)に比較して43%高い値を示した。非高齢者及び高齢者における薬物動態パラメータは以下のとおりであり、個体間変動を考慮すると、血漿中未変化体濃度に加齢による大きな差はないと考えられた14)(外国人データ)。

例数 投与後5分の
血漿中未変化体濃度
(pg/mL)
AUC0-4h
(pg・hr/mL)
投与後4時間までの尿中未変化体排泄率
(% of dose)
腎クリアランス
(mL/min)
非高齢者
(45~58歳)
12 9.63
(2.50~47.5)
18.2
(10.0~61.7)
1.97
(0.45~5.67)
326
(117~724)
高齢者
(69~80歳)
13 15.3
(5.60~34.8)
26.1
(10.5~56.0)
1.42
(0.215~4.51)
163
(20.5~477)

幾何平均値 表中括弧内の数値は範囲を示す。

喘息患者では、本剤吸入投与後のチオトロピウムの曝露量に年齢による差は認められなかった4)(外国人データ)。