慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1閉塞隅角緑内障の患者 [眼内圧を高め、症状を悪化させるおそれがある。]
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2.2前立腺肥大等による排尿障害のある患者 [更に尿を出にくくすることがある。]
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2.3アトロピン及びその類縁物質あるいは本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人には1回1カプセル(チオトロピウムとして18μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具(ハンディヘラーⓇ)を用いて吸入する。
使用上の注意
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8.1用法及び用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、本剤が適当ではないと考えられるので、漫然と投与を継続せず中止すること。
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8.2急性症状を緩和するためには、短時間作用性吸入β2刺激薬等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。 また、その薬剤の使用量が増加したり、あるいは効果が十分でなくなってきた場合には、疾患の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し医師の治療を求めるよう患者に注意を与えること。
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8.3吸入薬の場合、薬剤の吸入により気管支痙攣が誘発される可能性があるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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8.4本剤の投与時に、本剤が眼に入らないように患者に注意を与えること。また、結膜の充血及び角膜浮腫に伴う赤色眼とともに眼痛、眼の不快感、霧視、視覚暈輪あるいは虹輪が発現した場合、急性閉塞隅角緑内障の徴候の可能性がある。これらの症状が発現した場合には、可及的速やかに医療機関を受診するように患者に注意を与えること。
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8.5本剤は吸入製剤であり、消化管からの吸収率は低いため、内服しても期待する効果は得られない。したがって、内服しないよう患者に十分注意を与えること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1心不全、心房細動、期外収縮の患者、又はそれらの既往歴のある患者
心不全、心房細動、期外収縮が発現することがある。
- 9.1.2前立腺肥大(排尿障害がある場合を除く)のある患者
排尿障害が発現するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1腎機能が高度あるいは中等度低下している患者(クレアチニンクリアランス値が50mL/min以下の患者)
血中濃度の上昇がみられる。本剤は腎排泄型である。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎児に移行することが認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
副作用の発現に注意すること。一般に腎クリアランス等の生理機能が低下しており、血中濃度が上昇するおそれがある。また、臨床試験で口渇は高齢者でより高い発現率が認められている。
相互作用
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| クレアチニン上昇 | 1%未満 |
| じん麻疹 | 頻度不明 |
| そう痒 | 1%未満 |
| 上室性頻脈 | 頻度不明 |
| 不眠 | 1%未満 |
| 便秘 | 1%未満 |
| 動悸 | 1%未満 |
| 口内炎 | 1%未満 |
| 口渇(9.6%) | 頻度不明 |
| 味覚倒錯 | 1%未満 |
| 呼吸困難 | 1%未満 |
| 咳嗽 | 1%未満 |
| 咽喉刺激感 | 頻度不明 |
| 咽頭炎 | 1%未満 |
| 喘鳴 | 1%未満 |
| 嗄声 | 1%未満 |
| 嗅覚錯誤 | 1%未満 |
| 夜間頻尿 | 1%未満 |
| 好酸球増多 | 1%未満 |
| 尿閉 | 1%未満 |
| 排尿障害 | 1%未満 |
| 浮動性めまい | 1%未満 |
| 消化不良 | 1%未満 |
| 発疹 | 1%未満 |
| 白血球減少 | 1%未満 |
| 眼圧上昇 | 頻度不明 |
| 脱毛 | 1%未満 |
| 腎機能異常 | 1%未満 |
| 舌炎 | 1%未満 |
| 血尿 | 1%未満 |
| 過敏症(血管浮腫を含む) | 1%未満 |
| 霧視 | 頻度不明 |
| 頻脈 | 1%未満 |
| 高尿酸血症 | 1%未満 |
| 鼻出血 | 1%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
チオトロピウムは長時間持続型の選択的ムスカリン受容体拮抗薬であり、気道においては、気道平滑筋のM3受容体に対するアセチルコリンの結合を阻害して気管支収縮抑制作用を発現する。
18.2 ムスカリン受容体に対する作用
チオトロピウムはムスカリン受容体のサブタイプであるM1~M5受容体にほぼ同程度の親和性を示す7)。摘出標本を用いた検討により、気管支収縮に対する抑制作用(M3受容体拮抗作用)はアセチルコリン遊離増強作用(M2受容体拮抗作用)に比べ持続することが明らかとなっている。このことから、M3受容体からの解離はM2受容体からの解離に比べて遅いと考えられ22)、レセプターの解離速度の面からはM3受容体に対する選択性が高いと考えられる。また、M3受容体からの解離はイプラトロピウム臭化物水和物よりもさらに遅い23)。
18.3 気管支収縮抑制作用
摘出標本(モルモット22)、ヒト22))において、メサコリンあるいはフィールド電気刺激による収縮反応に対して抗コリン作用によると考えられる用量依存的な気管支収縮抑制作用を示す。また、生体位(モルモット24)、ウサギ25)、イヌ25))においても、アセチルコリンにより誘発した気管支収縮に対して抗コリン作用によると考えられる用量依存的な収縮抑制作用を示す。
18.4 作用持続時間
摘出標本(モルモット22),26))におけるフィールド電気刺激による収縮に対する抑制作用及び生体位(モルモット24),26))におけるアセチルコリンによる気管収縮に対する抑制作用はイプラトロピウム臭化物水和物及びオキシトロピウム臭化物よりも持続的である。また、摘出標本(ヒト22))及び生体位(イヌ25))においても、気管支収縮抑制作用は持続的である。摘出標本及び生体位(ウサギ、イヌ)において示された気管支収縮抑制作用は、24時間以上持続する25),26)。この長時間持続する作用は本剤のM3受容体からの解離がきわめて遅いことに基づくと考えられる23)。
薬物動態
16.1 血中濃度
慢性閉塞性肺疾患患者(海外)にチオトロピウム18μgを1日1回反復吸入投与したとき、定常状態における最高血漿中濃度(Cmax)は17~19pg/mLであり、最小血漿中濃度(Cmin)は3~4pg/mLであった1)(外国人データ)。
16.2 吸収
健康成人にチオトロピウム108μg注)を吸入投与したときの生物学的利用率は19.5%であった2)。また、健康成人にチオトロピウム64μgを経口投与注)したときの生物学的利用率は2~3%であり、消化管からほとんど吸収されなかった2)。 注)本剤の承認された用法及び用量は、チオトロピウムとして1日1回18μg吸入投与である。
16.3 分布
ヒト血漿蛋白との結合率(in vitro試験)は72%であった3)。 分布容積は32L/kgであった2)(外国人データ)。 14C-チオトロピウム10mg/kgを気管内投与注)した場合、肺、消化管の他に肝臓、腎臓、膵臓に高い放射能濃度が認められたが、脳には移行しなかった(ラット4))。また、乳汁中に移行した(ラット5))。 注)本剤の承認された用法及び用量は、チオトロピウムとして1日1回18μg吸入投与である。
16.4 代謝
健康成人にチオトロピウム14.4μgを静脈内投与注)したとき、尿中にみられたチオトロピウムの代謝物はわずかであった1)。主要代謝物として、血漿中において非酵素的にエステル結合が加水分解され、N-メチルスコピン及びジチニールグリコール酸の生成がみられた6)(外国人データ)。これらの代謝物はムスカリン受容体に親和性を示さなかった7)。また、ヒト肝ミクロソーム及びヒト肝細胞を用いた試験でチトクロームP-450によって酸化された代謝物及びそのグルタチオン抱合体がわずかにみられた8),9)。この代謝はCYP2D6及び3A4の阻害薬により抑制されたことから、チオトロピウムの消失のごく一部にCYP2D6及び3A4が関与していると考えられた8)。チオトロピウムは治療濃度以上であっても、CYP1A1、1A2、2B6、2C9、2C19、2D6、2E1及び3Aのいずれの活性に対しても影響を与えなかった10)(外国人データ)。 注)本剤の承認された用法及び用量は、チオトロピウムとして1日1回18μg吸入投与である。
16.5 排泄
吸入投与後の終末相における尿中未変化体排泄速度から算出した消失半減期は5~6日であった2),11)(外国人データ)。血漿中濃度は投与開始後2~3週間で定常状態に達し、その後の蓄積性はみられなかった1),11)(外国人データ)。 健康成人にチオトロピウム14.4μgを静脈内投与注)したとき、全身クリアランスは880mL/minであった。また、尿中未変化体排泄率は74%であった2)(外国人データ)。 注)本剤の承認された用法及び用量は、チオトロピウムとして1日1回18μg吸入投与である。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能低下患者
他の腎排泄型の薬剤と同様、腎機能低下患者においては、チオトロピウムの静脈内投与注)12)及び吸入投与1)後の血漿中未変化体濃度は上昇し、腎クリアランスは低下した。軽度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランスが50~80mL/minの患者)において、チオトロピウム4.8μgを静脈内投与注)後のAUC0-4hは健康成人に比較して39%高い値を示した12)。また、高度あるいは中等度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランスが50mL/min未満の患者)においては血漿中未変化体濃度は約2倍高い値を示した(AUC0-4hは82%高かった)12)。 健康成人及び腎機能低下患者における薬物動態パラメータは以下のとおりであった12)(外国人データ)。
| 例数 | クレアチニン クリアランス (mL/min) |
Cmax (pg/mL) |
AUC0-4h (pg・hr/mL) |
総尿中未変化体排泄率 (% of dose) |
腎クリアランス (mL/min) |
|
|---|---|---|---|---|---|---|
| 健康成人 | 6 | >80 | 147 (103~186) |
55.5 (43.2~69.4) |
60.1 (44.8~76.5) |
435 (348~497) |
| 腎機能低下患者 | 5 | 50~80 | 200 (129~287) |
77.1 (60.9~105) |
59.3 (49.7~74.0) |
246 (150~341) |
| 7 | 30~50 | 223 (162~314) |
101 (69.4~156) |
39.9 (25.9~65.3) |
124 (98.3~171) |
|
| 6 | <30 | 223 (176~269) |
108 (76.3~145) |
37.4 (34.2~41.7) |
85.7 (68.4~128) |
幾何平均値 表中括弧内の数値は範囲を示す
注)本剤の承認された用法及び用量は、チオトロピウムとして1日1回18μg吸入投与である。
- 16.6.2高齢者
高齢者では、チオトロピウム18μgを吸入投与後の腎クリアランスは低下した(腎クリアランスは58歳以下の慢性閉塞性肺疾患患者で326mL/min、69歳以上の慢性閉塞性肺疾患患者で163mL/min)が、これは加齢に伴う腎機能の低下によるものと考えられた。11)若年健康成人(平均年齢32.1歳)にチオトロピウム108μgを吸入投与注)したときの尿中未変化体排泄率は14%であったが2)、慢性閉塞性肺疾患患者(平均年齢63.8歳)にチオトロピウム18μgを吸入投与したときの尿中未変化体排泄率は7%であり1)、若年健康成人に比較して低い値であった。一方、高齢者にチオトロピウム18μgを1日1回反復吸入投与後のAUC0-4hは非高齢者に比較して43%高い値を示した。非高齢者及び高齢者における薬物動態パラメータは以下のとおりであり11)、個体間変動を考慮すると、血漿中未変化体濃度に加齢による大きな差はないと考えられた11)(外国人データ)。
| 例数 | 投与後5分の 血漿中未変化体濃度 (pg/mL) |
AUC0-4h (pg・hr/mL) |
投与後4時間までの 尿中未変化体排泄率 (% of dose) |
腎クリアランス (mL/min) |
|
|---|---|---|---|---|---|
| 非高齢者 (45~58歳) |
12 | 9.63 (2.50~47.5) |
18.2 (10.0~61.7) |
1.97 (0.45~5.67) |
326 (117~724) |
| 高齢者 (69~80歳) |
13 | 15.3 (5.60~34.8) |
26.1 (10.5~56.0) |
1.42 (0.215~4.51) |
163 (20.5~477) |
幾何平均値 表中括弧内の数値は範囲を示す
注)本剤の承認された用法及び用量は、チオトロピウムとして1日1回18μg吸入投与である。