ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
【警告】
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1.1本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
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1.2本剤の投与により間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部CT検査等の実施など、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
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*2.2次の薬剤を投与中の患者:ベネトクラクス(慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫の用量漸増期)、アナモレリン塩酸塩、ボクロスポリン、イバブラジン塩酸塩、キニジン硫酸塩水和物、チカグレロル、マバカムテン、アゼルニジピン、オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン、エプレレノン、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、シンバスタチン、タダラフィル(アドシルカ)、マシテンタン・タダラフィル、フィネレノン、ロミタピドメシル酸塩、スボレキサント、ダリドレキサント塩酸塩、トリアゾラム、ブロナンセリン、ボルノレキサント水和物、ルラシドン塩酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、ロナファルニブ、イブルチニブ
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**2.3肝臓又は腎臓に障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはセリチニブとして450mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
使用上の注意
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8.1間質性肺疾患があらわれることがあるので、息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。また、胸部CT検査等の実施など、患者の状態を十分観察すること。必要に応じて動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLCO)等の検査を行うこと。
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8.2肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
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8.3QT間隔延長、徐脈があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に心電図及び電解質検査(カリウム、マグネシウム、カルシウム等)を行い、また、脈拍、血圧測定を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、必要に応じて電解質を補正すること。
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8.4高血糖があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血糖値を測定するなど、患者の状態を十分に観察すること。
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8.5リパーゼ、アミラーゼが増加することがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に検査を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者
間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。
- 9.1.2QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者
QT間隔延長が発現するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1腎機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者**
投与しないこと。コルヒチンの血中濃度が上昇するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1肝機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者**
投与しないこと。コルヒチンの血中濃度が上昇するおそれがある。
- 9.3.2重度の肝機能障害のある患者(コルヒチンを投与中の患者を除く)**
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある。また、重度の肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.4 生殖能を有する者
**妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。やむを得ず投与する場合には、本剤投与による胎児へのリスクについて患者に十分説明すること。ラット及びウサギに、セリチニブをそれぞれ50及び25mg/kg/日(AUCに基づく用量比較で臨床曝露量のそれぞれ0.6及び0.4倍に相当)反復投与したところ、胎児に骨格変異が認められた。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行は不明である。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
相互作用
- 本剤はCYP3Aの基質となる。本剤はCYP3Aを強く阻害する。また、CYP2C9を阻害する。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| ***ベネトクラクス(慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫の用量漸増期) • (ベネクレクスタ) |
腫瘍崩壊症候群の発現が増強されるおそれがある。 | 本剤の強いCYP3A阻害により、ベネトクラクスの代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。 |
| **アナモレリン塩酸塩 • (エドルミズ)ボクロスポリン • (ルプキネス)イバブラジン塩酸塩 • (コララン)キニジン硫酸塩水和物 チカグレロル • (ブリリンタ)マバカムテン • (カムザイオス)アゼルニジピン • (カルブロック)オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン • (レザルタス配合錠)エプレレノン • (セララ)エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン • (クリアミン配合錠)シンバスタチン • (リポバス)タダラフィル • (アドシルカ)マシテンタン・タダラフィル • (ユバンシ配合錠)フィネレノン • (ケレンディア)ロミタピドメシル酸塩 • (ジャクスタピッド)スボレキサント • (ベルソムラ)ダリドレキサント塩酸塩 • (クービビック)トリアゾラム • (ハルシオン)ブロナンセリン • (ロナセン)ボルノレキサント水和物 • (ボルズィ)ルラシドン塩酸塩 • (ラツーダ)バルデナフィル塩酸塩水和物 メチルエルゴメトリンマレイン酸塩 • (パルタンM)ロナファルニブ • (ゾキンヴィ)イブルチニブ • (イムブルビカ) |
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがある。 | 本剤の強いCYP3A阻害により、これらの薬剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤 • アミオダロン クラリスロマイシン ドロペリドール等 |
QT間隔延長を起こすおそれがあるので、患者の状態を十分に観察すること。 | いずれもQT間隔を延長させるおそれがある。 |
| 徐脈を起こすことが知られている薬剤 • β遮断剤 非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤 クロニジン等 |
徐脈を起こすおそれがあるので、可能な限り併用しないこと。 | いずれも徐脈を起こすおそれがある。 |
| CYP3A阻害剤 • ケトコナゾール注) イトラコナゾール リトナビル サキナビル等 |
本剤の血中濃度が増加し、副作用が増加するおそれがあるので、併用は避け、代替の治療薬への変更を考慮すること。併用が避けられない場合は、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | これらの薬剤のCYP3A阻害により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| CYP3A誘導剤 • リファンピシン カルバマゼピン セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等 |
本剤の血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、併用を避けることが望ましい。 | これらの薬剤のCYP3A誘導により、本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
| **CYP3Aの基質となる薬剤(併用禁忌の薬剤を除く) • ミダゾラム注) フェンタニル タクロリムス等 |
副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、これらの薬剤と併用する際には、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 | 本剤の強いCYP3A阻害により、これらの薬剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。 |
| **コルヒチン |
副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、これらの薬剤と併用する際には、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 | 本剤の強いCYP3A阻害により、これらの薬剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。 |
| **ベネトクラクス(慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫の維持投与期、急性骨髄性白血病) | 副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、これらの薬剤と併用する際には、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 | 本剤の強いCYP3A阻害により、これらの薬剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。 |
| CYP2C9の基質となる薬剤 • ワルファリン フェニトイン ジクロフェナク等 |
副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、これらの薬剤と併用する際には、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 ワルファリンと併用する場合にはプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)のモニタリングの頻度を増やすこと。 |
本剤のCYP2C9阻害により、これらの薬剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。 ワルファリンの抗凝固作用が促進される可能性がある。 |
| 胃内pHを上昇させる薬剤 • プロトンポンプ阻害剤等 |
エソメプラゾールと併用した場合、本剤の血中濃度が低下したとの報告がある。 | pHの上昇により、本剤の溶解性が低下すると考えられる。 |
注)経口剤は国内未承認
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| AST増加(38.0%) | 頻度不明 |
| γ-GTP増加 | 頻度不明 |
| アミラーゼ増加 | 頻度不明 |
| リパーゼ増加 | 頻度不明 |
| 下痢注)(50.6%) | 頻度不明 |
| 低リン酸血症 | 頻度不明 |
| 体重減少 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 光視症 | 頻度不明 |
| 口腔カンジダ症 | 頻度不明 |
| 嘔吐注) | 頻度不明 |
| 嚥下障害) | 頻度不明 |
| 心膜炎 | 頻度不明 |
| 悪心注)(34.8%) | 頻度不明 |
| 感染症(肺炎 | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 硝子体浮遊物 | 頻度不明 |
| 老視等) | 頻度不明 |
| 肝機能検査値異常(52.8%)(ALT増加(44.5%) | 頻度不明 |
| 肺感染 | 頻度不明 |
| 胃腸炎 | 頻度不明 |
| 腎不全 | 頻度不明 |
| 腎機能障害 | 頻度不明 |
| 腹痛(31.3%) | 頻度不明 |
| 血中クレアチニン増加 | 頻度不明 |
| 血中ビリルビン増加等) | 頻度不明 |
| 視力障害 | 頻度不明 |
| 視覚障害(霧視 | 頻度不明 |
| 調節障害 | 頻度不明 |
| 貧血 | 頻度不明 |
| 食欲減退 | 頻度不明 |
| 食道障害(胃食道逆流性疾患 | 頻度不明 |
| 鼻咽頭炎等) | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
セリチニブは、ALK融合タンパクのチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制する17)。
18.2 抗腫瘍効果
セリチニブは、ALK融合タンパクを発現するヒト非小細胞肺癌由来NCI-H2228細胞株の増殖を阻害した18)。また、セリチニブは、NCI-H2228細胞株を皮下移植したマウス及びラット、並びにNCI-H2228細胞株由来のクリゾチニブ耐性腫瘍を皮下移植したマウスにおいて、腫瘍の増殖を抑制した19),20),21)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康被験者にセリチニブ750mgをカプセル剤(150mgカプセル×5)又は錠剤(150mg錠×5)として空腹時に単回経口投与注1)した結果、両製剤の生物学的同等性が確認された1)(外国人データ)。
| 製剤 | Cmax (ng/mL) |
Tmax注) (h) |
AUClast (h・ng/mL) |
T1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|
| カプセル剤 (n=73) |
208 (63.7) |
10.0 (6.00-12.1) |
9030 (70.5) |
37.0 (18.1) |
| 錠剤 (n=73) |
200 (52.5) |
10.0 (6.00-12.0) |
9000 (57.7) |
38.0 (17.6) |
幾何平均(幾何平均CV%)、注)Tmaxは中央値(最小値-最大値) AUClastは最終定量可能時点までのAUC
健康被験者に750mgをカプセル剤又は錠剤(各製剤150mg×5)として単回経口投与後の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
- 16.1.2単回及び反復投与
ALK融合遺伝子変異を有する日本人固形癌患者に、セリチニブ300、450、600及び750mgを空腹時に経口投与注1)したときの血漿中未変化体濃度を測定した。初回投与後の3日間、並びに、その後1日1回反復投与開始後22日目に薬物濃度を測定し薬物動態パラメータを算出した。反復投与によるAUCの累積比は750mgで7.3倍であった2)。
| 投与量 (mg) |
投与 | Cmax (ng/mL) |
Tmax注) (h) |
AUC0-24h (h・ng/mL) |
T1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|---|
| 300 | 初回 (n=2) |
166,170 | 4.17,6.03 | 2730, 2780 |
19.7,24.5 |
| 22日目 (n=2) |
825,908 | 5.98,5.98 | - | - | |
| 450 | 初回 (n=5) |
48.1 (176) |
5.88 (2.95-24.1) |
648 (169) |
21.6, 30.5a) |
| 22日目 (n=5) |
977 (11.1) |
5.95 (3.95-8.05) |
20600b) (20.5) |
- | |
| 600 | 初回 (n=4) |
126 (245) |
5.97 (3.97-6.03) |
2080 (270) |
30.5 (11.6) |
| 22日目 (n=4) |
1020 (64.6) |
4.93 (3.88-8.00) |
10600, 32200a) |
- | |
| 750 | 初回 (n=6) |
192 (46.0) |
5.98 (2.92-72.0) |
3160 (66.9) |
33.2c) (12.9) |
| 22日目 (n=3) |
1440 (25.5) |
1.93 (0.00-6.00) |
22300, 30500a) |
- |
幾何平均(幾何平均CV%)、注)Tmaxは中央値(最小値-最大値)、n=2は個別値 a)n=2、b)n=3、c)n=5
日本人固形癌患者にセリチニブ300、450、600及び750mgを初回投与後(上図)及び反復経口投与開始後22日目(下図)の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
健康被験者にセリチニブ750mgを軽食後に単回経口投与注1)した場合(12例)、空腹時に比べCmax(45%)とAUC(54%)の増加がみられた3)。 また、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者を対象にセリチニブ750mgを空腹時に、450mg又は600mgを食後に、それぞれ1日1回反復経口投与し定常状態(22日目)での薬物動態パラメータを比較した。Cmax及びAUC0-24hは、750mg空腹時投与(31例)に対し、450mg食後投与(36例)で幾何平均比(90%信頼区間)としてそれぞれ1.03(0.865-1.22)及び1.04(0.869-1.24)、600mg食後投与(30例)でそれぞれ1.25(1.04-1.49)及び1.24(1.03-1.49)であった。750mg空腹時投与に比べ450mg食後では曝露量は同様であったが600mg食後では曝露量の増加がみられた4)(外国人データ)。
16.3 分布
セリチニブのヒト血漿蛋白結合率及び血液/血漿濃度比は薬物濃度に依存せず、それぞれ約97%及び1.35であった5)。
16.4 代謝
セリチニブの代謝に関与する主な代謝酵素はCYP3Aである6)(in vitro)。放射性標識したセリチニブ750mgを健康成人(6例)に空腹時に単回経口投与注1)したとき、血漿中の主な成分は未変化体で、放射能関連物質の82%を占めた。その他、11種類の代謝物が確認されたが、いずれも放射能関連物質の2.3%以下とわずかであった7)(外国人データ)。
16.5 排泄
放射性標識したセリチニブ750mgを健康成人(6例)に空腹時に単回経口投与後注1)、15日目までに放射能の91%が糞中に排泄された(未変化体は投与した放射能の68%)。一方、放射能の腎排泄は1.3%とわずかで、セリチニブは主に肝臓から代謝や胆汁排泄により消失すると考えられる7)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1肝機能障害患者
肝機能が正常な健康被験者8例、軽度肝機能障害被験者8例(Child-Pugh分類 A)、中等度肝機能障害被験者7例(Child-Pugh分類 B)及び重度肝機能障害被験者7例(Child-Pugh分類 C)にセリチニブ750mgを空腹時に単回経口投与注1)したとき、血漿中総濃度のAUC(血漿タンパク非結合形濃度のAUC)は、健康被験者に比べて軽度、中等度及び重度障害被験者でそれぞれ1.18倍(1.35倍)、1.02倍(1.22倍)及び1.66倍(2.08倍)であった。総濃度のCmax(血漿タンパク非結合形濃度のCmax)は健康被験者に比べて軽度、中等度及び重度障害被験者でそれぞれ1.40倍(1.61倍)、0.902倍(1.08倍)及び0.767倍(0.960倍)であった8)(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1ケトコナゾール
健康被験者(19例)にケトコナゾール(強力なCYP3A阻害剤、国内未承認の経口剤)反復投与時(200mg、1日2回投与)、セリチニブ450mgを空腹時に単回併用投与注1)したとき、セリチニブ未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ1.2倍及び2.9倍増加した9)(外国人データ)。
- 16.7.2リファンピシン
健康被験者(17例)にリファンピシン(強力なCYP3A誘導剤)反復投与時(600mg、1日1回投与)、セリチニブ750mgを空腹時に単回併用投与注1)したとき、セリチニブ未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ44%及び70%減少した10)(外国人データ)。
- 16.7.3ミダゾラム
ALK融合遺伝子陽性の固形腫瘍患者(20例)にセリチニブ750mgを空腹時に1日1回3週間投与後注1)、ミダゾラム(CYP3A基質、国内未承認の経口剤)2.5mgを単回併用投与したとき、ミダゾラムを単独投与した場合に比べて、ミダゾラムのCmax及びAUCはそれぞれ1.82倍及び5.42倍に増加した11)(外国人データ)。
- 16.7.4ワルファリン
ALK融合遺伝子陽性の固形腫瘍患者(20例)にセリチニブ750mgを空腹時に1日1回3週間投与後注1)、ワルファリン(CYP2C9基質)10mgを単回併用投与したとき、ワルファリンを単独投与した場合に比べて、ワルファリン(光学異性体のS体)のCmax及びAUCはそれぞれ1.05倍及び1.54倍に増加した11)(外国人データ)。
- 16.7.5エソメプラゾール
健康被験者(22例)にエソメプラゾール(プロトンポンプ阻害剤)反復投与時(40mg、1日1回投与注2))、セリチニブ750mgを空腹時に単回併用投与注1)したとき、セリチニブ未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ79%及び76%減少した12)(外国人データ)。
- 16.7.6その他
In vitro試験でセリチニブは CYP2A6(IC50:5μmol/L)、CYP2C9(IC50:2μmol/L)、CYP3A(competitive inhibition IC50:0.2μmol/L,time-dependent inhibition Ki:1.47μmol/L,Kinact:0.0642min-1)、P-gp(IC50:4.5-8.6μmol/L)及びBCRP(IC50:7.5-8.9μmol/L)を阻害すること、並びに、P-gpの基質であることが示された6),13)。
注1)本剤の承認された用法及び用量は、450mgを1日1回、食後に経口投与である。 注2)エソメプラゾールの承認された用法及び用量は、1回10~20mgを1日1回経口投与、ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助の場合には、1回20mgをアモキシシリン及びクラリスロマイシンと同時に1日2回経口投与である。