Clinical snapshot

ジオトリフ錠20mg

アファチニブマレイン酸塩

添付文書改訂 2025年07月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、電子添文を参照して、適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性(特に、間質性肺疾患の初期症状、服用中の注意事項、死亡に至った症例があること等に関する情報)を十分に説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2本剤の投与により間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例が報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌

用法・用量

通常、成人にはアファチニブとして1日1回40mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回50mgまで増量できる。

使用上の注意

  1. 8.1間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、必要に応じて動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)等の検査を行うこと。

  2. 8.2肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  3. 8.3重篤な心障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には患者の心機能を確認すること。また、本剤投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率の変動を含む)を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者

間質性肺疾患が増悪し、死亡に至る可能性がある。

  1. 9.1.2心不全症状のある患者又はその既往歴のある患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.3左室駆出率が低下している患者

症状が悪化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度の腎機能障害のある患者

本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者

これらの患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.4 生殖能を有する者

*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後2週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で黄体数、着床数及び生存胎児数の減少並びに着床後胚損失の増加(ラット)、胎児体重の減少、矮小児、四肢の弯曲、大動脈弓及び右又は左頚動脈における過剰血管並びに矮小精巣等の変異(ウサギ)が認められている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験で乳汁中へ移行することが認められている(ラット)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

相互作用

  • 本剤はP-糖蛋白(P-gp)の基質である。また、in vitro試験において、本剤は乳癌耐性蛋白(BCRP)の基質であること、及び本剤の代謝への肝薬物代謝酵素P-450の関与は低いことが示唆された。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
P-gp阻害剤
• リトナビル、イトラコナゾール、ベラパミル等
本剤の血中濃度が上昇し、副作用の発現頻度及び重症度が高まるおそれがあることから、P-gp阻害剤と併用する場合は、本剤投与と同時又は本剤投与後に投与すること。 本剤はP-gpの基質であり、本剤服用前にP-gp阻害剤を投与すると、併用により本剤の血中濃度が上昇することがある。
P-gp誘導剤
• リファンピシン、カルバマゼピン、セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort)等
本剤の血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱するおそれがある。 本剤はP-gpの基質であり、併用により本剤の血中濃度が低下することがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇等)(14.0%) 頻度不明
CK-MB上昇 頻度不明
CK上昇 1%未満
アミラーゼ増加 1%未満
ウイルス感染 1%未満
ざ瘡(20.5%) 頻度不明
ざ瘡様皮膚炎(13.1%) 頻度不明
シェーグレン症候群 1%未満
しゃっくり 1%未満
そう痒症(19.2%) 頻度不明
トロポニンT増加 1%未満
ひび・あかぎれ 1%未満
ほてり 1%未満
リンパ球減少症 1%未満
上室性期外収縮 頻度不明
上腹部痛 頻度不明
下痢(80.8%) 頻度不明
不安 頻度不明
不眠症 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 1%未満
低血圧 頻度不明
体重減少(10.5%) 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 1%未満
全身性発疹・斑状丘疹性及び紅斑性皮疹(55.5%) 頻度不明
創し開 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎(38.4%) 頻度不明
口唇乾燥 1%未満
口唇炎(12.2%) 頻度不明
口唇症 1%未満
口唇腫脹 頻度不明
口腔咽頭不快感 頻度不明
口腔咽頭痛 頻度不明
味覚異常 頻度不明
咽頭 頻度不明
嘔吐(17.0%) 頻度不明
多毛症 頻度不明
大腸炎 頻度不明
好中球減少症 頻度不明
好酸球増加症 頻度不明
小腸炎 頻度不明
尿中白血球陽性 頻度不明
尿中血陽性 1%未満
尿路 頻度不明
嵌入爪 1%未満
帯状疱疹 頻度不明
後天性涙腺炎 1%未満
後天性魚鱗癬 頻度不明
心窩部不快感 1%未満
心電図T波逆転 1%未満
悪寒 頻度不明
悪心(17.9%) 頻度不明
感染症(皮膚 頻度不明
感覚鈍麻 頻度不明
手掌・足底発赤知覚不全症候群 頻度不明
挫傷 1%未満
振戦 1%未満
排尿困難 頻度不明
敗血症 1%未満
末梢性感覚ニューロパチー 1%未満
末梢性浮腫 頻度不明
歯肉炎 1%未満
毛包炎 頻度不明
気管支 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
湿性咳嗽 1%未満
激越 1%未満
炎症 1%未満
爪) 頻度不明
爪の障害 頻度不明
爪囲炎(56.8%) 頻度不明
疲労(13.5%) 頻度不明
痔核 1%未満
発声障害 1%未満
発熱 頻度不明
白内障 頻度不明
白血球減少症 頻度不明
皮膚乾燥(29.3%) 頻度不明
皮膚亀裂 頻度不明
皮膚剥脱 頻度不明
皮膚潰瘍 頻度不明
皮膚色素過剰 頻度不明
真菌感染症(皮膚 頻度不明
眼乾燥 頻度不明
眼痛 頻度不明
眼瞼炎 頻度不明
眼瞼障害 1%未満
眼脂 頻度不明
睫毛乱生 1%未満
硝子体剥離 1%未満
筋力低下 1%未満
筋痙縮 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
粘膜の炎症(28.8%) 頻度不明
粘膜乾燥 1%未満
粘膜障害 1%未満
紅斑 頻度不明
結膜出血 1%未満
結膜炎 頻度不明
網膜変性 1%未満
総蛋白減少 1%未満
頻度不明
耳鳴 1%未満
肋骨痛 頻度不明
肛門の炎症 1%未満
肛門周囲炎 頻度不明
肛門周囲痛 頻度不明
肝機能検査値異常(AST 頻度不明
肩痛 頻度不明
胃炎 頻度不明
背部痛 頻度不明
胸部不快感 1%未満
脂漏性皮膚炎 頻度不明
脱毛症(10.0%) 頻度不明
脱水 頻度不明
腎機能障害 頻度不明
腸炎 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部不快感 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
膀胱炎 頻度不明
膿痂疹 1%未満
舌炎 1%未満
色素沈着障害 1%未満
萎縮性外陰腟炎 頻度不明
虹彩毛様体炎 1%未満
蛋白尿 頻度不明
蜂巣炎 頻度不明
血中アルカリホスファターゼ増加 頻度不明
血中アルブミン減少 1%未満
血中クレアチニン増加 1%未満
血中ビリルビン増加 1%未満
血中乳酸脱水素酵素増加 頻度不明
血中尿素増加 頻度不明
血尿 1%未満
血栓症 頻度不明
角膜びらん 1%未満
角膜炎 頻度不明
貧血 頻度不明
足部) 頻度不明
過角化 1%未満
鉄欠乏性貧血 1%未満
開口障害 1%未満
霧視 頻度不明
頭痛 頻度不明
顔面浮腫 1%未満
食欲減退(20.5%) 頻度不明
食道炎 頻度不明
高尿酸血症 1%未満
高血圧 頻度不明
鼓膜炎 1%未満
頻度不明
鼻の炎症 頻度不明
鼻乾燥 頻度不明
鼻出血(13.1%) 頻度不明
鼻漏 頻度不明
鼻閉 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は、野生型及び遺伝子変異を有するEGFR(ErbB1)だけではなく、HER2(ErbB2)及びHER4(ErbB4)のチロシンキナーゼ活性を不可逆的に阻害し、ErbB受容体ファミリー(EGFR、HER2、HER3(ErbB3)並びにHER4が形成するホモ及びヘテロダイマーの活性を阻害することにより、受容体からの異常シグナル伝達を遮断し、腫瘍細胞の増殖を抑制する17),18),19),20)。

18.2 抗腫瘍効果

本剤は、in vitro試験において、非小細胞肺癌由来のEGFR遺伝子野生型を有するH1666細胞株、EGFR遺伝子のL858R変異を有するNCI-H3255細胞株及びL858R変異とT790M変異を有するNCI-H1975細胞株の増殖を抑制した21),22)。

薬物動態

16.1 血中濃度

日本人非小細胞肺癌患者12例に本剤20、40、50mgを空腹時(服薬前2時間及び服薬後1時間は絶食)単回経口投与若しくは1日1回28日間反復経口投与したときの血漿中未変化体の薬物動態パラメータ及び血漿中未変化体濃度推移を以下に示す。AUC0-∞及びCmaxは、本剤20~50mgの範囲で用量比をわずかに上回って増加する。投与開始後8日目には定常状態に到達していると考えられ1)、本剤の累積係数はAUC0-∞では2.8、Cmaxでは2.1であった。

単回投与 反復投与
幾何平均値
(% gCV)a)
20mg
N=3
40mg
N=3
50mg
N=6
幾何平均値
(% gCV)a)
20mg
N=3
40mg
N=3
50mg
N=5
AUC0-24
[ng・h/mL]
147
(84.5)
299c)
(6.01)
539
(59.0)
AUCτ, ssd)
[ng・h/mL]
409
(16.5)
1240
(9.73)
1010
(71.5)
Cmax
[ng/mL]
12.4
(101)
18.9
(45.8)
44.4
(60.6)
Cmax, ss
[ng/mL]
26.9
(24.9)
83.3
(30.1)
66.8
(71.6)
tmaxb)[h] 3.87
(3.00-4.98)
4.05
(2.00-8.95)
3.00
(2.02-4.95)
tmax, ssb)[h] 3.97
(2.92-4.95)
2.97
(1.98-4.02)
3.00
(0.983-5.03)
t1/2[h] 21.3
(63.1)
37.9c)
(24.9)
14.8
(20.0)
t1/2, ss[h] 38.5
(14.4)
40.4
(11.9)
33.5
(22.2)

a)gCVは幾何変動係数を表す b)中央値(最小値-最大値) c)N=2 d)τは24時間、ssは定常状態のパラメータを表す

図 本剤経口投与後の血漿中アファチニブ濃度推移(算術平均±SD)

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

固形癌患者に本剤40mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、空腹時投与に比べてAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ39及び50%低下した2)(外国人データ)。

16.3 分布

ヒトにおけるin vitro血漿蛋白結合率は95%であった3)。本剤はヒト血清アルブミン及びα1-酸性糖蛋白(AAG)と結合し、AAGとの結合は蛋白質濃度に依存していた4)。また、ヒトin vitroにおける14C標識アファチニブの血球移行(Cc/Cp)は、1.02~2.21であった3)。

16.4 代謝

アファチニブはin vivoにおいて酵素を介する酸化的代謝はほとんど受けず、血漿中の主要な代謝物は蛋白質との共有結合付加体であった5)。

16.5 排泄

  1. 16.5.1 14C標識アファチニブ15mg注)溶液を健康成人に経口投与したとき、投与放射能の85.4%が糞便中に、4.3%が尿中に排泄された6)。回収された放射能の約88%(糞便中:85.6%、尿中:2.5%)が未変化体であった5)。(外国人データ)

  2. 16.5.2 In vitroにおいて本剤はP-糖蛋白(P-gp)及び乳癌耐性蛋白(BCRP)の基質であることが示唆されている7),8),9)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害者

中等度並びに重度腎機能障害被験者(各8例)に本剤40mgを単回投与した場合、腎機能正常被験者(各比較対象群に対してそれぞれ8例)に比べて中等度腎機能障害(eGFR:30~59mL/min/1.73m2)を有する群ではAUC0-lastは22.2%(90% CI:95.7、156.0)、Cmaxは1.2%(90% CI:72.9、140.3)の上昇が認められ、重度腎機能障害(eGFR:15~29mL/min/1.73m2)を有する群では、AUC0-lastは50.0%(90% CI:105.3、213.7)、Cmaxは21.7%(90% CI:90.8、163.2)の上昇が認められた(外国人データ)。 また、本剤単独投与を受けた癌患者927例(血漿中アファチニブ濃度4460時点)を対象に母集団薬物動態解析を実施し、内因性要因及び外因性要因が本剤の薬物動態に及ぼす影響を評価した10),11)。癌患者927例のうち、軽度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス50mL/min以上80mL/min以下)は528例(2051時点)、中等度の腎機能障害患者(30mL/min以上50mL/min未満)は161例(554時点)、重度の腎障害患者(30mL/min未満)は10例(21時点)であった。クレアチニンクリアランスが79mL/min(中央値)の患者と比較して、60mL/min及び30mL/minの患者ではAUCτ, ssはそれぞれ13%及び42%の上昇、90mL/min及び120mL/minの患者ではそれぞれ6%及び20%の低下が示された。

  1. 16.6.2肝機能障害者

軽度(Child-Pugh分類A)又は中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害者に本剤50mgを単回経口投与したとき、健康被験者と比較して曝露量に有意な変化はみられなかった10),12)。重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害のある患者における薬物動態は検討されていない。(外国人データ)

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1リトナビル

本剤20mgの投与1時間前にP-糖蛋白(P-gp)の阻害剤であるリトナビルを投与したときの本剤のAUC0-∞及びCmaxは48%及び39%上昇した13)。一方、本剤40mgとリトナビルを同時併用したとき、AUC0-∞及びCmaxの上昇はそれぞれ19%及び4%、本剤投与6時間後にリトナビルを併用投与したときにはそれぞれ11%及び5%であった14)。

  1. 16.7.2リファンピシン

本剤40mg服用前にP-gpの誘導剤であるリファンピシンを投与したとき、本剤のAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ34%及び22%低下した15)。

注)承認された用法・用量は、「通常、成人にはアファチニブとして1日1回40mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回50mgまで増量できる。」である。