慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により、眼圧が上昇し症状を悪化させるおそれがある。]
-
2.2前立腺肥大等による排尿障害がある患者[抗コリン作用により、尿閉を誘発するおそれがある。]
-
2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人には1回1カプセル(グリコピロニウムとして50μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。
使用上の注意
-
8.1用法・用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、本剤が適当ではないと考えられるので、漫然と投与を継続せず中止すること。
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8.2吸入薬の場合、薬剤の吸入により気管支痙攣が誘発され生命を脅かすおそれがある。気管支痙攣が認められた場合は、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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8.3本剤の投与時に、本剤が目に入らないように患者に注意を与えること。また、結膜の充血及び角膜浮腫に伴う赤色眼とともに眼痛、眼の不快感、霧視、視覚暈輪あるいは虹輪が発現した場合、急性閉塞隅角緑内障の徴候の可能性がある。これらの症状が発現した場合には、可及的速やかに医療機関を受診するように患者に注意を与えること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1心不全、心房細動、期外収縮の患者又はこれらの既往歴のある患者
心不全、心房細動、期外収縮が発現又は悪化するおそれがある。
- 9.1.2前立腺肥大(排尿障害がある場合を除く)のある患者
排尿障害が発現するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1重度の腎機能障害のある患者(eGFRが30mL/min/1.73m2未満)又は透析を必要とする末期腎不全の患者
治療上の有益性と危険性を勘案して慎重に投与し、副作用の発現に注意すること。本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(マウス、ウサギ、イヌ)で、胎盤通過性が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
臨床試験において75歳以上の高齢者では、尿路感染、頭痛の発現率がプラセボ群1.5%、0%に比べて本剤投与群で高く、3.0%、2.3%であった。一方、65歳以上75歳未満の高齢者では、それぞれプラセボ群2.1%、3.6%に対し、本剤投与群では2.3%、3.6%と同様であった。
相互作用
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ― | 1%未満 |
| ― | 頻度不明 |
| ― | 1%未満 |
| ― | 頻度不明 |
| ― | 頻度不明 |
| ― | 1%未満 |
| ― | 1%未満 |
| ― | 1%未満 |
| ― | 頻度不明 |
| ― | 1%未満 |
| ― | 頻度不明 |
| ― | 1%未満 |
| ― | 頻度不明 |
| ― | 1%未満 |
| ― | 1%未満 |
| ― | 頻度不明 |
| ― | 頻度不明 |
| ― | 1%未満 |
| そう痒症 | 頻度不明 |
| 不眠症 | 頻度不明 |
| 副鼻腔うっ血 | 頻度不明 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 口内乾燥 | 頻度不明 |
| 咽喉刺激感 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 四肢痛 | 頻度不明 |
| 尿閉 | 頻度不明 |
| 感覚鈍麻 | 頻度不明 |
| 排尿困難 | 頻度不明 |
| 気管支痙攣 | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 湿性咳嗽 | 頻度不明 |
| 無力症 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 発声障害 | 頻度不明 |
| 発疹 | 1%未満 |
| 筋骨格痛 | 頻度不明 |
| 筋骨格系胸痛 | 頻度不明 |
| 糖尿病 | 頻度不明 |
| 胃腸炎 | 頻度不明 |
| 膀胱炎 | 頻度不明 |
| 血管浮腫 | 頻度不明 |
| 頚部痛 | 頻度不明 |
| 高血糖 | 頻度不明 |
| 鼻出血 | 頻度不明 |
| 鼻咽頭炎 | 頻度不明 |
| 鼻炎 | 頻度不明 |
| 齲歯 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
グリコピロニウムは、長時間作用性のムスカリン受容体拮抗薬であり、すべてのムスカリン受容体M1~M5受容体に対して高い親和性を示す。チオトロピウムと比較した場合、M2受容体に比べてM3受容体に対してやや高い選択性を有する20)。
18.2 気道収縮抑制作用
グリコピロニウムは、ムスカリン受容体刺激によって誘発されたモルモット及びヒトの摘出気管収縮に対して抑制作用を示した21)。
18.3 作用持続時間
グリコピロニウムは、ラット及びアカゲザルにおけるメサコリン誘発気道収縮を顕著に抑制し、その作用持続時間は、チオトロピウムとほぼ同程度であった22),23)。
18.4 作用発現時間
慢性閉塞性肺疾患患者に本剤50μgを吸入投与した時、初回投与後5分で、FEV1はプラセボに対し有意に上昇した18)(日本人及び外国人のデータ)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
日本人健康成人にグリコピロニウム50~200μg注3) を単回吸入投与したとき、血漿中濃度は5分で最高値に達した1)。
| 用量 (μg) |
n | Tmax (h) |
Cmax (pg/mL) |
AUC (pg・h/mL) |
尿中排泄量 (%dose) |
腎クリアランス (L/h) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 50 | 18注2) | 0.08 (0.08~0.08) |
181±95.6 | 257±154 | 15.5±5.23 | - |
| 100 | 18 | 0.08 (0.02~0.15) |
328±142 | 578±219 | 13.0±4.28 | 23.5±4.89 |
| 200 | 18 | 0.08 (0.08~0.17) |
801±359 | 1,270±357 | 13.2±3.26 | 21.4±4.47 |
Tmaxは中央値(最小値~最大値)を、それ以外は平均値±標準偏差を示す
注2):Tmax、Cmax、AUCはn=17
日本人健康成人にグリコピロニウムを単回吸入投与したときの血漿中濃度推移(平均値+標準偏差)
- 16.1.2反復投与
外国人慢性閉塞性肺疾患患者にグリコピロニウム25~200μg注3) を反復吸入投与したとき、投与開始6日後に血漿中暴露量が定常状態に到達した。定常状態時における血漿中暴露量は50~200μgの用量範囲でほぼ用量に比例して増加した。定常状態時の血漿中暴露量は単回投与時の1.4~1.7倍であった2) (外国人のデータ)。
16.2 吸収
吸入投与時の絶対的バイオアベイラビリティは約40%であり、血漿中暴露量に対する肺吸収及び消化管吸収の寄与はそれぞれ約90%及び約10%であった。経口投与時注3) の絶対的バイオアベイラビリティは約5%であった3)(外国人のデータ)。
16.3 分布
In vitro試験において、グリコピロニウムのヒト血漿中蛋白結合率は1~10ng/mLの濃度範囲で38%~41%であった4)。静脈内投与時注3)の定常状態時及び消失相での分布容積はそれぞれ83L及び376Lであった3)(外国人のデータ)。
16.4 代謝
In vitro試験において、グリコピロニウムの主な代謝物は、水酸化による一水酸化体、二水酸化体、並びに加水分解で生じたカルボン酸誘導体であった。酸化的代謝には複数のCYP分子種の関与が考えられた5),6),7),8)。 吸入投与時のカルボン酸誘導体の血漿中暴露量は未変化体と同程度であった3)。外国人慢性閉塞性肺疾患患者にグリコピロニウムを吸入投与したとき、抱合代謝物は尿中に投与量の約3%排泄された2)(外国人のデータ)。
16.5 排泄
日本人健康成人にグリコピロニウムを吸入投与したときの未変化体の尿中排泄量は、投与量の13.0%~15.5%であった。また、腎クリアランスは21.4~23.5L/hであり、尿細管分泌の関与が考えられた1)。 腎クリアランス及び腎外クリアランスは、それぞれ全身クリアランスの60%~70%及び30%~40%であった3),9) 。吸入投与時の消失半減期は33~57時間であった3),10) (外国人のデータ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者における薬物動態
腎機能障害患者にグリコピロニウムを吸入投与したとき、軽度又は中等度の腎機能障害患者(eGFRが30mL/min/1.73m2以上)及び重度(eGFRが30mL/min/1.73m2未満)又は透析を必要とする末期腎不全患者のAUCは、それぞれ健康成人の1.0~1.4倍及び2.1~2.2倍であった9)(外国人のデータ)。
16.7 薬物相互作用
グリコピロニウムはヒト肝ミクロソームCYP分子種(CYP1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2E1)活性を200μMの濃度範囲まで阻害しなかった。CYP2D6及びCYP3A4/5(ミダゾラム水酸化)に対しては阻害作用を示し、IC50はそれぞれ100μM及び230μMであった11),12)。トランスポーターを強制発現させたMDCKII細胞を用いた検討で、グリコピロニウムはMRP2、MDR1及びBCRP(MXR)を300μMの濃度範囲まで、OATP1B1、OATP1B3、OAT1並びにOAT3を200μMの濃度範囲まで阻害しなかった13),14),15) 。OCT1及びOCT2に対しては阻害作用を示し、IC50はそれぞれ47μM及び17μMであった16)。ヒト初代培養肝細胞を用いた検討では、グリコピロニウムはCYP1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、3A4のmRNA及び酵素活性を、また、CYP1A1、3A5、UGT1A1、MDR1及びMRP2のmRNAを50nMの濃度範囲まで誘導しなかった17)。 健康成人にシメチジン800mg(経口投与)とグリコピロニウム100μg注3) (吸入投与)を併用したとき、グリコピロニウムのAUCは22%増加し、腎クリアランスは23%低下した10) (外国人のデータ)。
注3)グリコピロニウムの承認された用法及び用量は、1日1回50μgの吸入投与である。