Clinical snapshot

シンバスタチン錠5mg「杏林」

シンバスタチン

添付文書改訂 2026年03月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2重篤な肝障害のある患者

  3. 2.3妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦

  4. 2.4*イトラコナゾール、ミコナゾール、ポサコナゾール、アタザナビル、サキナビルメシル酸塩、コビシスタットを含有する製剤、セリチニブを投与中の患者

効能・効果

高脂血症、家族性高コレステロール血症

用法・用量

通常、成人にはシンバスタチンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、LDL-コレステロール値の低下が不十分な場合は1日20mgまで増量できる。

使用上の注意

  1. 8.1あらかじめ高脂血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法や、高血圧・喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分考慮すること。

  2. 8.2投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。

  3. 8.3肝炎、黄疸等の肝機能障害があらわれることがある。また、まれに肝不全に至ることがあるので、定期的に肝機能検査等の観察を十分に行うこと。

  4. 8.4血小板減少があらわれることがあるので、血液検査等の観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1アルコール中毒患者

本剤は主に肝臓において代謝され、作用するので肝障害を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある以下の患者
  • 甲状腺機能低下症の患者

  • 遺伝性の筋疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患者

  • 薬剤性の筋障害の既往歴のある患者

  • アルコール中毒患者

  1. 9.1.3重症筋無力症又はその既往歴のある患者

重症筋無力症(眼筋型、全身型)が悪化又は再発することがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎障害又はその既往歴のある患者

横紋筋融解症の報告例の多くが腎機能障害を有する患者であり、また、横紋筋融解症に伴って急激な腎機能の悪化が認められている。

  1. 9.2.2腎機能検査値異常のある患者

本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用することとし、本剤の投与量は10mg/日を超えないこと。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝障害のある患者

投与しないこと。本剤は主に肝臓において代謝され作用するので肝障害を悪化させるおそれがある。

  1. 9.3.2肝障害又はその既往歴のある患者(重篤な肝障害のある患者を除く)

本剤は主に肝臓において代謝され、作用するので肝障害を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラットでシンバスタチンの活性代謝物(オープンアシド体)及び他のHMG-CoA還元酵素阻害剤の大量投与で胎児の骨格奇形が報告されている。

9.6 授乳婦

投与しないこと。ラットで乳汁中への移行が観察されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。また、横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。

相互作用

  • 本剤は、主に肝代謝酵素チトクロームP450 3A4(CYP3A4)により代謝される。本剤の活性代謝物であるオープンアシド体はOATP1B1の基質である。また、本剤は乳癌耐性蛋白(BCRP)の基質である。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
イトラコナゾール:
• イトリゾールミコナゾール:
• フロリードポサコナゾール:
• ノクサフィル
急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。 これらの薬剤はCYP3A4を阻害し、本剤の代謝が抑制される。
アタザナビル:
• レイアタッツサキナビルメシル酸塩:
• インビラーゼコビシスタットを含有する製剤:
• ゲンボイヤ
• プレジコビックス
• シムツーザ*セリチニブ:
• ジカディア
横紋筋融解症を含むミオパチー等の重篤な副作用が起きるおそれがある。 これらの薬剤はCYP3A4を阻害し、本剤の代謝が抑制される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
クマリン系抗凝固剤:
• ワルファリンカリウム
抗凝血作用がわずかに増強する。
クマリン系抗凝固剤を併用する場合はプロトロンビン時間をモニターし抗凝固剤の量を調節すること。
機序不明
フィブラート系薬剤:
• ベザフィブラート等
急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。併用を必要とする場合には、本剤の投与量は10mg/日を超えないこと。自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。 これらの薬剤も横紋筋融解症が知られている。
危険因子:腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者
ダナゾール 急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。併用を必要とする場合には、本剤の投与量は10mg/日を超えないこと。自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。 腎障害のある患者には特に注意すること。
シクロスポリン 急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。併用を必要とする場合には、本剤の投与量は10mg/日を超えないこと。自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。 シクロスポリンはCYP3A4を阻害し、併用により本剤の代謝が抑制されるおそれがある。シクロスポリンのOATP1B1阻害作用により、本剤のオープンアシド体の肝取り込みが抑制され、血漿中濃度が上昇するおそれがある。腎障害のある患者には特に注意すること。
エリスロマイシン
クラリスロマイシン
HIVプロテアーゼ阻害剤:
• リトナビル等
急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。 これらの薬剤はCYP3A4を阻害し、併用により本剤の代謝が抑制されるおそれがある。腎障害のある患者には特に注意すること。
ニコチン酸 急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。 腎障害のある患者には特に注意すること。
エファビレンツ 併用により本剤の血漿中濃度が低下したとの報告がある。 エファビレンツのCYP3A4誘導作用により本剤の代謝が促進されるおそれがある。
アミオダロン
アムロジピン
ベラパミル
併用により本剤のAUCが上昇し、横紋筋融解症又はミオパチーが起きるおそれがある。 機序不明
ジルチアゼム 併用により本剤のAUCが上昇し、横紋筋融解症又はミオパチーが起きるおそれがある。 ジルチアゼムによりCYP3A4を介する本剤の代謝が抑制されるおそれがある。
グレープフルーツジュース 併用により本剤のAUCが上昇したとの報告がある。本剤の投与中はグレープフルーツジュースの摂取は避けること。 グレープフルーツジュースはCYP3A4を阻害し、本剤の代謝が抑制されるおそれがある。
グラゾプレビル 併用により本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。 グラゾプレビルが腸管のCYP3A及びBCRPを阻害する。
バダデュスタット 併用により本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。 バダデュスタットがBCRPを阻害する。
ダプトマイシン 併用した場合CKが上昇する可能性があることから、ダプトマイシン投与中は本剤の休薬を考慮すること。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1%未満
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
BUN上昇 1%未満
CK上昇 頻度不明
HbA1c上昇 1%未満
LDH上昇 頻度不明
γ-GTP上昇 頻度不明
しびれ 1%未満
そう痒 1%未満
テストステロン低下 1%未満
ほてり 1%未満
ミオグロビン上昇 頻度不明
めまい 1%未満
下痢 1%未満
不眠 頻度不明
便秘 1%未満
倦怠感 1%未満
光線過敏 頻度不明
勃起不全 1%未満
口内炎 1%未満
口渇 頻度不明
味覚異常 1%未満
嘔吐 1%未満
嘔気 1%未満
心悸亢進 頻度不明
扁平苔癬 頻度不明
抑うつ 頻度不明
浮腫 1%未満
消化不良 1%未満
混乱等) 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 1%未満
白血球減少 1%未満
筋痙攣 1%未満
筋肉痛 1%未満
紅斑 1%未満
総ビリルビン値上昇 1%未満
耳鳴 頻度不明
胸痛 1%未満
脱毛 1%未満
腹痛 1%未満
腹部膨満感 1%未満
膵炎 頻度不明
舌炎 頻度不明
蕁麻疹 1%未満
血糖値上昇 1%未満
認知機能障害(記憶障害 頻度不明
貧血 頻度不明
関節痛 1%未満
頭痛 1%未満
頻尿 頻度不明
食欲不振 1%未満
鼓腸放屁 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

シンバスタチンは吸収後、コレステロール合成の主要臓器である肝臓に選択的に分布し、活性型のオープンアシド体に加水分解される10)。オープンアシド体はコレステロール生合成系の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を特異的かつ拮抗的に阻害し、肝臓のLDL受容体活性を増強させることによって、血清総コレステロールを速やかにかつ強力に低下させる11),12)。

18.2 コレステロール合成阻害作用

in vitroにおいてシンバスタチンのオープンアシド体はHMG-CoA還元酵素を拮抗的に阻害した。シンバスタチンは各種培養細胞を用いた試験及びラットに経口投与した試験13)において[14C]酢酸からの[14C]コレステロール合成を阻害した。また、ヒト肝癌細胞由来のHep G2細胞を用いた試験11)及びコレステロール負荷ウサギに経口投与した試験12)において、シンバスタチンは肝LDL受容体活性を増強させた。

18.3 脂質低下作用

シンバスタチンは経口投与によりイヌ、コレステロール負荷ウサギ12),14)及びWHHLウサギ(ヒト家族性高コレステロール血症のモデル動物)13)の血清総コレステロールを有意に低下させた。シンバスタチンはウサギに投与したときLDL-コレステロール及びVLDL-コレステロールを有意に低下させた。また、コレステロール負荷ウサギにおいてシンバスタチン0.7mg/kg/日はプラバスタチン18mg/kg/日とほぼ同等の血清脂質低下作用を示した12)。

18.4 動脈硬化進展抑制作用

シンバスタチンは、コレステロール負荷ウサギにおける大動脈及び冠状動脈硬化の進展を有意に抑制し14)、また、WHHLウサギにおける黄色腫発生を抑制した13)。

18.5 外因性コレステロール吸収抑制作用

コレステロール負荷ウサギにおいてシンバスタチンを連続経口投与したとき、消化管からの[3H]コレステロールの吸収が抑制された15)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人男性に2.5注1)、5、10及び20mgを1回経口投与したとき、HMG-CoA還元酵素阻害活性より求めた血漿中薬物濃度は投与量に依存して増加し、投与後1.4~3.7時間で最高値に達した3)。

  1. 16.1.2連続投与時の蓄積性

健康成人に20mg 1日1回又は10mg 1日2回注1)を7日間連続経口投与したとき、投与7日目の薬物動態パラメータは投与1日目と比較して有意な変動はみられず、蓄積性は認められなかった3)。

  1. 16.1.3生物学的同等性試験
  • 〈シンバスタチン錠5mg「杏林」〉

シンバスタチン錠5mg「杏林」とリポバス錠5をクロスオーバー法によりそれぞれ2錠(シンバスタチンとして10mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された4)。

• 判定パラメータ • 参考パラメータ
• AUC0-12
(ng・hr/mL)
• Cmax
(ng/mL)
• Tmax
(hr)
• T1/2
(hr)
• シンバスタチン錠
5mg「杏林」
• ±2.48 • ±0. 72 • ±0.73 • ±2.24
• リポバス錠5 • ±3.27 • ±0.61 • ±0.53 • ±1.36

(Mean±S.D.,n=20)

図16-1 血漿中シンバスタチン濃度

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

健康成人男性に2.5注1)、5、10及び20mgを1回経口投与したとき、速やかに吸収された3)。

16.4 代謝

健康成人男性に2.5注1)、5、10及び20mgを1回経口投与したとき、血漿中にはシンバスタチンとともに、活性代謝物としてオープンアシド体が確認された3)。

16.5 排泄

シンバスタチンの主排泄経路は胆汁排泄であると考えられ、健康成人男性に2.5注1)、5、10及び20mgを1回経口投与したとき、投与後24時間までの総阻害物質の尿中排泄率は投与量の0.34~0.42%であった3)。

注1)本剤の承認された用法及び用量は、シンバスタチンとして5mgを1日1回経口投与である。なお、年齢、症状により適宜増減するが、LDL-コレステロール値の低下が不十分な場合は1日20mgまで増量できる。

16.8 その他

  • 〈シンバスタチン錠10mg「杏林」〉

シンバスタチン錠10mg「杏林」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン」に基づき、シンバスタチン錠5mg「杏林」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた4)。