Clinical snapshot

シルニジピン錠5mg「JG」

シルニジピン錠

添付文書改訂 2024年09月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

高血圧症

用法・用量

通常、成人にはシルニジピンとして1日1回5~10mgを朝食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。効果不十分の場合には、1日1回20mgまで増量することができる。 ただし、重症高血圧症には1日1回10~20mgを朝食後経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1カルシウム拮抗剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合は徐々に減量すること。なお、5mg投与より休薬を要する場合には他剤に変更する等の処置をとること。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意すること。

  2. 8.2降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1カルシウム拮抗剤による重篤な副作用発現の既往のある患者

臨床試験では除外されている。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝機能障害のある患者

血中濃度が上昇する可能性がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で、胎児毒性並びに妊娠期間及び分娩時間の延長が報告されている1),2),3) 。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

低用量(例えば5mg)から投与を開始し、慎重に投与すること。一般に過度の降圧は好ましくないとされている。

相互作用

  • 本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4で代謝される4) 。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
降圧作用を有する薬剤 血圧が過度に低下するおそれがある。 相加的あるいは相乗的に作用を増強することが考えられている。
ジゴキシン 他のカルシウム拮抗剤(ニフェジピン等)でジゴキシンの血中濃度を上昇させることが報告されている。 ジゴキシン中毒症状(悪心・嘔吐、頭痛、視覚異常、不整脈等)が認められた場合、症状に応じジゴキシンの用量を調節又は本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 機序は完全には解明されていないが、ジゴキシンの腎及び腎外クリアランスが減少するためと考えられている。
シメチジン 他のカルシウム拮抗剤(ニフェジピン等)の作用が増強されることが報告されている。 シメチジンが肝血流量を低下させ、カルシウム拮抗剤の肝ミクロソームでの酵素代謝を抑制する一方で、胃酸を低下させ、カルシウム拮抗剤の吸収を増加させるためと考えられている。
リファンピシン 他のカルシウム拮抗剤(ニフェジピン等)の作用が減弱されることが報告されている。 リファンピシンにより誘導された肝薬物代謝酵素(チトクロームP-450)がカルシウム拮抗剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるためと考えられている。
アゾール系抗真菌剤
• イトラコナゾール
• ミコナゾール 等
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 アゾール系抗真菌剤が本剤の薬物代謝酵素のCYP3A4を阻害するためと考えられる。
グレープフルーツジュース 本剤の血中濃度が上昇することが確認されている。 発現機序の詳細は不明であるが、グレープフルーツジュースに含まれる成分が本剤の薬物代謝酵素のCYP3A4を抑制するためと考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-Pの上昇 1%未満
ALT 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
CKの変動 1〜5%未満
CRPの変動 1%未満
LDH等の上昇 1〜5%未満
T波逆転) 1〜5%未満
クレアチニン上昇 1〜5%未満
しびれ 頻度不明
そう痒感 1%未満
ヘマトクリットの変動 1%未満
ヘモグロビンの変動 1〜5%未満
めまい 1〜5%未満
もの忘れ 1%未満
リンパ球の変動 1%未満
下痢 1%未満
下肢等) 1〜5%未満
不眠 1%未満
便秘 1%未満
光線過敏症 頻度不明
全身倦怠感 1〜5%未満
冷感 1%未満
動悸 1〜5%未満
口渇 1%未満
味覚異常 1%未満
咳嗽 1%未満
嘔気・嘔吐 1〜5%未満
好中球の変動 1〜5%未満
好酸球の変動 1%未満
尿沈渣陽性 1%未満
尿糖陽性 1%未満
尿素窒素上昇 1〜5%未満
尿蛋白陽性 1〜5%未満
尿酸の変動 1〜5%未満
徐脈 頻度不明
心胸郭比の上昇 1%未満
心電図異常(ST低下 1〜5%未満
房室ブロック 1%未満
手指振戦 1%未満
期外収縮 頻度不明
歯肉肥厚 1%未満
浮腫(顔 1〜5%未満
熱感 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
発赤 1%未満
白血球数の変動 1〜5%未満
目の充血刺激感 1%未満
眠気 1%未満
眼周囲の乾燥 1%未満
空腹時血糖の変動 1%未満
立ちくらみ 1〜5%未満
総蛋白の変動 1%未満
耳鳴 頻度不明
肩こり 1〜5%未満
胸やけ 1%未満
胸痛 1%未満
脱力感 1%未満
腓腸筋痙直 1%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部膨満感 1%未満
血圧低下 1〜5%未満
血清Caの変動 1%未満
血清Kの変動 1〜5%未満
血清Pの変動 1〜5%未満
血清コレステロールの上昇 1〜5%未満
赤血球数の変動 1%未満
頭痛 1〜5%未満
頭重感 1〜5%未満
頻尿 1〜5%未満
頻脈 1%未満
顔面潮紅 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1シルニジピンは、血管平滑筋細胞膜に存在するL型電位依存性Caチャネルのジヒドロピリジン結合部位に結合し、L型電位依存性CaチャネルからのCa2+流入を抑制した23) (ウサギ、in vitro)。 それにより、血管平滑筋を弛緩、拡張させ、降圧作用を発現すると考えられる24) 。

  2. 18.1.2シルニジピンは、交感神経の細胞膜に存在するN型電位依存性CaチャネルからのCa2+流入を抑制した。また、N型電位依存性Caチャネル及びL型電位依存性CaチャネルからのCa2+流入をほぼ同濃度域で抑制した25) (ラット、in vitro)。 その結果、交感神経終末からのノルアドレナリンの放出を抑制することにより、交感神経活動の亢進による降圧時の心拍数増加やストレス負荷時の昇圧等を抑制すると考えられる26),27),28),29),30) 。

18.2 降圧作用

  1. 18.2.1シルニジピンは、高血圧自然発症ラット、腎性高血圧ラット・イヌ、DOCA食塩高血圧ラット及び脳卒中易発症高血圧自然発症ラットの各種高血圧病態モデルにおける単回経口投与で、1mg/kgより用量依存的に緩徐で持続的な降圧作用を示した。一方、正常血圧ラットに対する降圧作用は弱かった。また、用量増加による作用時間の延長はみられなかった。シルニジピンは、腎性高血圧イヌにおいて、β遮断薬あるいはアンジオテンシン変換酵素阻害薬との併用で相加的な作用を示した31),32),33) 。

  2. 18.2.2シルニジピンは、脳卒中易発症高血圧自然発症ラット及び腎性高血圧イヌにおいて、反復経口投与で安定した降圧効果を示し、投与反復による作用の減弱及び休薬に伴う血圧のリバウンド現象を示さなかった34),35) 。

  3. 18.2.3シルニジピンは、無麻酔・無拘束の高血圧自然発症ラットにおける単回投与試験において、降圧時に心拍数の増加を示さなかった。また、降圧時に血漿中ノルアドレナリンの増加はみられず、交感神経遮断薬(グアネチジン硫酸塩)が示した血漿中ノルアドレナリンの減少も示さなかった。なお、ウサギにおいて自律神経節遮断薬(ペントリニウム)にみられたチルティング(傾斜位)による血圧の低下は示さなかった26) 。

  4. 18.2.4本態性高血圧症患者に1日1回経口投与することにより、24時間降圧効果が持続し、早朝にも確かな降圧が認められている。また、24時間にわたる心拍周波数(R-R間隔)変動を解析したところ、降圧に伴う交感神経活動亢進をきたさず、心拍数の増加も示さなかった14),27) 。

18.3 ストレス性昇圧抑制作用

  1. 18.3.1シルニジピンは、無麻酔・無拘束の高血圧自然発症ラットにおいて、寒冷ストレス負荷時の昇圧及び血漿中ノルアドレナリンの増加を抑制し、また、エア・ジェットストレス(精神ストレス)負荷時の昇圧を抑制した28),29) 。

  2. 18.3.2寒冷ストレス負荷により、昇圧度が20%以上を示す健康成人男子において、寒冷ストレス負荷時の昇圧を抑制した30) 。

18.4 交感神経電気刺激による昇圧の抑制作用

  1. 18.4.1シルニジピンは、脊髄破壊した高血圧自然発症ラットの交感神経刺激による昇圧を抑制した36) 。

  2. 18.4.2高血圧自然発症ラットより摘出した腸間膜動脈血管灌流標本において、交感神経刺激時のノルアドレナリン放出を抑制した36) 。

18.5 脳循環に対する影響

  1. 18.5.1シルニジピンは、高血圧自然発症ラットにおいて、30~40%の降圧を示す用量でも脳血流量を減少させず、降圧時にも脳血流自動調節機能をよく保持した37) 。

  2. 18.5.2脳血管障害を合併している高血圧症患者において、降圧時にも脳血流を維持した38) 。

18.6 心機能に対する影響

  1. 18.6.1シルニジピンは、イヌにおいて、拍動数の減少と心筋収縮力の低下を起こしたが、その用量は動脈血流量の増大を起こすよりも高用量であった31) 。

  2. 18.6.2シルニジピンは、麻酔開胸イヌにおいて、降圧用量で心筋酸素消費量を低下させた。この際、心拍数の増加あるいは心収縮力の抑制は示さなかった39) 。

  3. 18.6.3本態性高血圧症患者において降圧時に脈拍数に影響を与えなかった16) 。

18.7 腎臓に対する影響

  1. 18.7.1本態性高血圧症患者において、降圧時に腎機能に影響を及ぼさなかった40) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人男子6名にシルニジピン5mg、10mg、20mgを単回経口投与した時のCmaxはそれぞれ4.7ng/mL、5.4ng/mL、15.7ng/mL、AUC0~24はそれぞれ23.7ng・hr/mL、27.5ng・hr/mL、60.1ng・hr/mLであり、用量依存的に増加した5) 。

  1. 16.1.2反復投与

健康成人男子6名にシルニジピン10mgを1日1回反復経口投与した時の薬物動態学的パラメータは以下のとおりであり、投与第4日目以降は定常状態に達し、蓄積性は認められなかった6) 。

Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
t1/2(α)
(hr)
t1/2(β)
(hr)
AUC0~∞
(ng・hr/mL)
投与第1日目 9.5±1.6 2.8±1.0 1.0±0.2 5.2±2.0 51.4±12.7
投与第4日目 13.5±5.0 3.7±0.8 101.8±29.0
投与第7日目 16.5±7.9 3.0±1.3 1.1±0.6 8.1±2.7 95.5±34.5

(平均値±標準偏差)

  1. 16.1.3生物学的同等性試験
  • 〈シルニジピン錠5mg「JG」〉

シルニジピン錠5mg「JG」とアテレック錠5を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(シルニジピンとして5mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された7) 。

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-24
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
シルニジピン錠5mg「JG」 11.56±6.29 2.38±1.36 2.8±1.1 2.8±1.1
アテレック錠5 10.71±5.96 2.09±0.93 2.6±1.4 3.2±1.6

(Mean±S.D., n=29)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

  • 〈シルニジピン錠10mg「JG」〉

シルニジピン錠10mg「JG」とアテレック錠10を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(シルニジピンとして10mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された8) 。

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-24
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
シルニジピン錠10mg「JG」 46.09±23.12 8.57±4.35 3.0±0.9 4.9±2.4
アテレック錠10 40.35±19.49 7.87±4.28 2.2±0.9 5.6±2.6

(Mean±S.D., n=28)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.3 分布

血清蛋白結合率は99.3%であった9) 。

16.4 代謝

健康成人男子における血漿中及び尿中で認められた代謝物5),10) から、主代謝経路はメトキシエチル基の脱メチル化、それに続くシンナミルエステル基の加水分解及びジヒドロピリジン環の酸化と考えられている9) 。なお、代謝過程におけるメトキシエチル基の脱メチル化反応には主としてCYP3A4が関与し、また、一部CYP2C19が関与しているものと考えられている4) (in vitro)。 なお、メトキシエチル基の脱メチル化体のカルシウム拮抗作用は未変化体の1/100の活性であった5) 。

16.5 排泄

健康成人男子にシルニジピン10mgを1日2回注1) 7日間反復経口投与した時、尿中に未変化体は検出されず、代謝物として総投与量の5.2%が排泄された10) 。

注1)本剤の承認された用法は、1日1回朝食後経口投与である。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

高血圧患者にシルニジピン10mgを単回経口投与した時の血漿中濃度推移は、腎機能の正常な患者と腎機能が低下した患者(血清クレアチニン値:1.5~3.1mg/dL)との間に差を認めなかった。 腎機能が低下した患者にシルニジピン10mgを1日1回7日間反復経口投与した時にも、血漿中濃度推移には反復投与による影響は認められなかった11) 。

16.8 その他

シルニジピン錠20mg「JG」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(平成24年2月29日 薬食審査発0229第10号 別紙2)」に基づき、シルニジピン錠5mg「JG」を標準製剤とした溶出試験の結果、溶出挙動は同等と判定され、生物学的に同等とみなされた12) 。