Clinical snapshot

シムレクト静注用20mg

バシリキシマブ(遺伝子組換え)

添付文書改訂 2023年12月01日

【警告】

  1. 1.1本剤の投与は、免疫抑制療法及び臓器移植患者の管理に精通している医師のもとで使用すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  3. 2.3生ワクチンを接種しないこと

効能・効果

腎移植後の急性拒絶反応の抑制

用法・用量

**通常、成人にはバシリキシマブ(遺伝子組換え)として40mgを総用量とし、20mgずつ2回に分けて、静脈内に注射する。初回投与は移植術前2時間以内に、2回目の投与は移植術4日後に行う。 静脈内注射に際しては、本剤1バイアルを日局注射用水5mLで溶解し、全量を投与する。

使用上の注意

  1. 8.1免疫抑制療法は、二次的感染症に対し感受性を高める可能性がある。二次的感染が生じた場合には適切な治療を行うこと。

  2. 8.2*本剤は、製造工程の極めて初期の段階(マスターセルバンクの作製時)で、培地成分の一部としてヒト血液由来成分であるヒト血清アルブミン及びヒトトランスフェリンを使用しているが、最終製品の成分としては含まれていない。これらヒト血液由来成分に対して原血漿を対象とした核酸増幅検査は実施していないが、血清学的検査によりウイルスの抗原又はウイルスに対する抗体が陰性であることを確認している。更に、これらヒト血液由来成分及びバシリキシマブ(遺伝子組換え)の製造において、複数の工程によりウイルスの除去・不活化をしており、最終製品へのB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)及びヒト免疫不全ウイルス(HIV-1及びHIV-2)混入の可能性は極めて低い。また、ヒトトランスフェリンの製造にフランスで採血したヒト血液を用いているが、本剤の投与により伝達性海綿状脳症(TSE)がヒトに伝播したとの報告はなく、TSEに関する理論的なリスク評価値は、一定の安全性を確保する目安に達しており、本剤によるTSE伝播のリスクは極めて低い。本剤の投与に際しては、その旨の患者又はその保護者への説明を考慮すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1低体重の患者

体重40kg未満の成人に本剤を投与した場合は、本剤の免疫抑制期間が延長される可能性があることから、観察を十分に行い、感染症等の発現に注意すること。

  1. 9.1.2肝炎ウイルスキャリアの患者

肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。

9.2 腎機能障害患者

本剤投与後に透析を行う場合は、ポリアクリロニトリル(PAN)膜及びポリエステルポリマーアロイ(PEPA)膜の使用を避けることが望ましい。in vitroでの透析膜への吸着試験において、PAN膜でバシリキシマブの濃度低下が認められ、PEPA膜で濃度低下の可能性が示唆された1)。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性では本剤最終投与後4ヵ月間は、避妊すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。本剤はIgG抗体であることから胎盤を通過すると考えられる。また、妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

  1. 9.7.1低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした国内臨床試験は実施していない。また、国内外臨床試験に体重9Kg未満の小児等は含まれていない2),3),4)。

  2. 9.7.2小児等へシムレクトを投与する場合には、シムレクト小児用静注用10mgの添付文書を参照すること。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能等)が低下している。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等) 免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので併用しないこと。 免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわす可能性がある。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
不活化ワクチン(不活化インフルエンザワクチン等) ワクチンの効果が得られないおそれがある。 免疫抑制作用によって、ワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT増加 頻度不明
AST増加 頻度不明
C-反応性蛋白増加 頻度不明
γ-GTP増加 頻度不明
けん怠感 頻度不明
そう痒症 頻度不明
リンパ球数減少 頻度不明
下垂体の良性腫瘍 頻度不明
下痢 頻度不明
体重増加 頻度不明
便秘 頻度不明
光視症 頻度不明
単球数減少 頻度不明
口腔咽頭痛 頻度不明
咳嗽 頻度不明
多毛症 頻度不明
好中球数増加 頻度不明
好中球数減少 頻度不明
尿中ブドウ糖陽性 頻度不明
尿中蛋白陽性 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
抗体検査陽性 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
湿性咳嗽 頻度不明
疼痛 頻度不明
痙攣 頻度不明
痰貯留 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球数増加 頻度不明
白血球数減少 頻度不明
眼の異常感 頻度不明
眼痛 頻度不明
第3脳神経麻痺 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
肺塞栓症 頻度不明
胸痛 頻度不明
血中ALP増加 頻度不明
血中LDH増加 頻度不明
血中アルブミン減少 頻度不明
血中クレアチニン増加 頻度不明
血中トリグリセリド増加 頻度不明
血中ビリルビン増加 頻度不明
血中リン減少 頻度不明
血中尿素増加 頻度不明
血小板数増加 頻度不明
血管炎 頻度不明
術後創合併症 頻度不明
複視 頻度不明
貧血 頻度不明
関節痛 頻度不明
静脈血栓症 頻度不明
頭痛 頻度不明
高カリウム血症 頻度不明
高コレステロール血症 頻度不明
高血圧・血圧上昇 頻度不明
鼻漏 頻度不明
鼻炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

バシリキシマブは、ヒトIL-2受容体α鎖(CD25)に対するマウスモノクローナル抗体であるRFT-5を基に、ヒトにおける異種抗原に対する免疫原性を減弱させ、バシリキシマブの効力であるIL-2の受容体結合阻害作用時間の延長を目的として開発されたヒト/マウスキメラ型モノクローナル抗体である。バシリキシマブは、活性化T細胞表面に選択的に発現するIL-2受容体α鎖(CD25)に対して特異的な親和性を有し、IL-2の受容体への結合を阻害する。その結果、IL-2受容体を介したT細胞の活性化及び増殖を抑制し、腎移植後に発現する急性拒絶反応を抑制する。

18.2 IL-2受容体に対する作用

バシリキシマブはヒト、アカゲザル及びカニクイザル由来の活性化T細胞において、細胞表面に選択的に発現するIL-2受容体α鎖(CD25)に対して特異的な親和性を有し、IL-2のIL-2受容体に対する結合を抑制した17)(in vitro)。

18.3 T細胞に対する作用

バシリキシマブは、ヒト末梢血由来T細胞の活性化及び混合リンパ球反応を抑制した17)(in vitro)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1国内の新規成人生体腎移植患者(11例、体重42.5~88.0kg)を対象とした試験において、本剤を移植術前2時間以内と移植術4日後の2回、それぞれ20mgずつ静脈内投与したところ、血清中濃度(ELISA法)は半減期8.2±2.5日(平均±標準偏差)で減衰したが、初回投与日から44~54日(中央値45日)の期間、IL-2受容体を完全抑制(IL-2受容体α鎖(CD25)発現率が3%以下)できる閾値濃度(0.2μg/mL)を上回った8),9)。

  2. 16.1.2国内試験と同一の用法・用量で実施された外国試験においても、シムレクトは同様な血清中濃度-時間曲線(半減期7.7±3.3日)を示した。一方、IL-2受容体抑制期間は25~43日(中央値35日)であった7)。 国内試験及び外国試験6),7),10)で得られた全血清中濃度成績を非線形混合効果モデル(NONMEM)を用いて母集団薬物動態解析した結果、シムレクトのクリアランスと分布容積に対して体重が有意(P<0.001)な共変量であり、年齢、性別、人種との関連性は認められなかった。なお、クリアランスと分布容積は体重にほぼ比例することが示唆されている。